イベントは、まずオズマガジン古川さんとトラベラーズファクトリー飯島さんと僕でトーク。いい年したおじさん3人で決め事もなく始まったおしゃべりでしたが、よく噛み合って、有益な言葉がいくつもあったと思います。オズマガジンとトラベラーズファクトリーのコラボで完成した「よりみちノート」はわくわくする余白がたくさんある、“育てていく手帳”だと思いました。「さんぽ」「よりみち」「とおまわり」ってやっぱり必要なのでしょうね、われわれの心と身体には。それと、「宝笑」と書いて「ぽえむ」と読ませる名前をここ最近ずっと推していたのを、この日みんなに伝えられてすっきりしました。


ライブは「どこへ向かうかを知らないなら」でスタート、「手帳に挟んでずっと隠してた」と歌われる手帳はトラベラーズノートのこと。そのまま「一角獣と新しいホライズン」と続けました。トラベラーズファクトリーは最近深い青のカバーのついたノートを新ラインナップに加えて「新しい青のノート」と銘打っているのですが、トラベラーズファクトリーとの付き合いが『新しい青の時代』を出した2013年から始まったと思うと感慨深いものがあります。5年も経った。現在録音中のGTH『SONG LIMBO』のなかからの「虹とスニーカー」は夏の訪れをうきうきと歌った歌。何回りかしてとても素直に歌うことができるようになった。そして4月なのに25度を越えていこうとするようなこの日にフィッシュマンズの「Weather Report」を歌いました。
鎌倉でのライブなので特別なことを、と思ってサザンオールスターズのカバーを2曲。「鎌倉物語」は中学生のころに湘南への幻想をかきたてた、『kamakura』という名盤のなかで一番好きな歌。もう一曲、初めてカバーした「希望の轍」は1990年映画『稲村ジェーン』の挿入歌として発表された曲、高校2年生だった。僕の書く歌詞において頻出単語の部類に入る「轍」という言葉を最初に知ったのはこの曲がきっかけでした。実際の歌詞中には「轍」は出てこないから余計に印象的だったのです。国民的メロディだな、と歌いながら、キーを高く設定したぶん気分がすっとする感覚がありました。
日曜日に歌われる「glenville」は響きが良い。これも寄り道する歌でした。トラベラーズノートについて歌った「notebook song」は久しぶりでしたが、これは近いうちにバンドで勢いよく録音したいなと思っています。「my favorite things」も「small good things」も歌なかに散りばめた言葉が鎌倉の街と呼応して、電車と踏切の音の向こうに「遠すぎて聞こえないはずの潮騒」が聞こえた気がした。アンコールには「セラヴィとレリビー」、そしてオズマガジン編集部チームのリクエストに応えて「calendar song」を。全然肌触りの違う2曲なのに、どちらも春夏秋冬、と季節を想うのだなと僕は歌いながらハッと思ったのでした。とても楽しい一日でした。今日は掛け値なしに良いライブだった、と自分でも思いました。こういうことが年に何回かあるのです。
オズマガジンの皆さん、トラベラーズファクトリーの皆さん、モルンの綾ちゃんと五十嵐くんにも感謝。たくさんのご来場ありがとうございました。
