2018年08月11日

真夏の夜の涼しい声|スザンヌ・ヴェガ来日公演

昨日のこと。今週中に仕上げるべき仕事があり、午後からずっとレコーディング。庭の木でうるさくセミが鳴くから遮音カーテンを閉めると、太陽の光がまったく入らない部屋になる。薄暗い照明のなかでエアコンを付けたり消したりしながらの自宅録音は結構しびれる作業。それでも何もなかったところに基礎ができて枠が組まれて、壁の色を塗って庭木を植えて、家具を揃えて、暮らしが始まる、みたいな過程をわくわくしながら進めていくのは音楽家としての醍醐味。メインボーカルを録音したら夜になっていた。

支度をして出かけて、吉祥寺HMV record shopに立ち寄って思い出野郎Aチームのインストアライブに間に合った。飾らないパーティーミュージック。僕が今大学生だったら仲間とこんな音楽をやりたいなと思う(ギターリストでガヤとかコーラスをやりたい)。「楽しく暮らそう」という歌を聞いて、ホントそうよね…と思った。

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この日はずっと楽しみにしていたビルボードライブ東京でのスザンヌ・ヴェガのコンサート。2012年の1月以来なので6年半ぶりに観る来日公演。最初に見たのは1993年の横浜ランドマークホールのこけら落としだった。1987年の『孤独』というアルバムからだからもう30年以上聴き続けている、懐メロにならない現在進行系のシンガーソングライター。僕らの世代のパティ・スミスだ、と最近感じるようになってきた(パティ・スミスはスザンヌ・ヴェガよりひとまわり年上)。

ビルボードライブ東京でライブを観るのが僕は大好きなのです。武蔵野から井ノ頭通りを走って原宿を抜けて六本木へ向かうドライブはどんどん “TOKYO” へ登っていく感じがいいし、キラキラした会場内を席まで案内されるのも外国に来たみたいでワクワクする。観るなら1stより2nd、遅い時間のライブがいい。6年前は階上の席から遠くステージを見下ろしたけど、この日は良い席でその見目麗しい運指までよく見えました。オリジナルのベーシストであるマイケル・ヴィセグリアとのデュオ、過不足のない完璧なライブでした。

スザンヌ・ヴェガは英語の発音がとてもきれいで、MCでも歌でも言葉が耳にすっとスムーズに飛び込んでくる。耳を傾けるべき言葉が凛とした声で歌われ、ギターが爪弾かれ、必要なベースが伴奏する。僕の大好きな「Gypsy」という曲について、彼女が18歳のときに書いたって言ってたっけな(「Gypsy」について昔書いた記事は>こちら)。サマーキャンプで会った、リバプールから来た少年のために捧げて書いて、お返しにバンダナをもらったの、と照れて恥ずかしそうに言う姿は少女のよう。「In Liverpool」と続けて演奏されたのもよかった。ベースのみの伴奏で歌うシーンも素晴らしく、前回公演よりも歌も演奏も何倍もよかったし、世界を駆け回るハードな旅の最中だったそうだけど若々しく見えた。来年還暦だなんて信じられない。今回も終演後に待っていたら詩集にサインをもらえた(2ndステージの利点だ)。たくさんの刺激と示唆に富んだ、ご褒美のような時間でした。




Posted by monolog at 10:21│Comments(0)