2018年09月19日

GOMES THE HITMAN 00-ism 2018 TOKYO(2018年9月1日 @ 吉祥寺 スターパインズカフェ)【ライブ後記】

もう2週間と3日も経ってしまいましたが、9月1日に行われた吉祥寺スターパインズカフェでのGOMES THE HITMAN12年ぶりの東名阪ツアーのファイナル公演を振り返りたいと思います。PLECTRUM藤田顕(アッキー)をサポートギターに迎えた5人編成のバンドは名古屋、大阪とライブを重ねて東京へ戻ってきました。ライブの3日前には前売り券がソールドアウトという吉報が届き、思い返せばスターパインズカフェで気持ちよく完売御礼となったのは2014年の再始動ライブ以来のことで、それが僕はとても嬉しかった。猫町フェスとGOMES THE HITMAN、ふたつの大入り公演を吉祥寺で仕切ることができた平成最後の夏をしばらくは忘れないだろうと思います。

昼過ぎに会場入り、馴染みのSPCスタッフ陣が迎えてくれて凱旋感がある。例によって時間ぎりぎりまで各所をチェックするのだけど、かつてあったようなピリピリした緊張感のようなものが薄まった気がしたのは、旅を経て僕が少しくたびれていたからだけではない、何かしらの気持ちの変化があったように思う。「虹とスニーカー」のツインリードギターのソロパートをどう演出するかに時間をかけて、お立ち台代わりの箱馬(平台)を仕込んだりゲラゲラ笑いながらのリハーサルを経て、開場。そして開演。2000年代の布陣である5人編成、今回は3公演のみだったけれど意義深い再合流だった。ライブが始まる前から僕は終わるのが寂しかった。「way back home」からライブはスタート。文字通り、夏休みはもうすぐ終わり。

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『mono』『omni』と時系列に沿って進んでいくステージ。「夜明けまで」の多幸感、「情熱スタンダード」のささやかな祈りのような切なさ。神にも楯突く「忘れな草」のスケール感はアッキーのギターなしでは醸し出せなかった。「愛すべき日々」もこの15年のうちで一番良い演奏だったと思う。音源よりテンポをあげた「20世紀の夏の終わり」をプレイするときのバンド内キーワードは “アリーナロック” でした。『omni』って個人的にはフォーカスの甘い、とっ散らかった印象のアルバムだったけど、今回のツアーで見直したというか、ようやく僕自身がその真意を再発見した感覚がありました。「そばにあるすべて」なんて歌うたびに心が震えるし、15年前には「carolina」がこんなにぴょんぴょん飛び跳ねたくなる歌だなんて思えなかった。「運命」なんていう大袈裟な言葉さえもようやっと、誇らしげに、てらいもなく吐き出せるようになった、そんな気がしたのです。

今回のツアーのセットリスト、濃厚な『00-ism』楽曲のなかで『SONG LIMBO』のパートはふっと深呼吸して背伸びをするような時間だった。「虹とスニーカー」のギターソロではついにお立ち台に立ってギターヒーロー的に歓声を浴びる(弾けてたかどうかわからない…)。アウトロではアッキーと背中合わせ、そして今度は須藤さんがお立ち台に登ってなんだかよくわからないことになって、おまけに僕はギターの弦を切ってしまう。もうめちゃめちゃだったけど心から笑ったし楽しくて仕方なかった。ステージ上でこれだけ“ほどけた”GOMES THE HITMANは多分今までなかった。堀越メンバーがボーカルを担当する「東京の空の下から」、この日は特に声がすっとよく通って、どんどん良い楽曲になっていくのを感じた。MCにおけるけっちゃんのケレン味のない的確なつっこみも恒例になってきた感がある。のびのびと楽しんで作ったツアーCD『SONG LIMBO REMIXES』も振り返ったときにとても重要な作品になるはず。

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一転、『ripple』楽曲を演奏するときのわれわれの集中力とひたむきさはどういうことなのだろうか。最新オリジナルアルバムにして代表作と言えるこの作品収録の、10分近い長尺曲「ドライブ」は静かさと騒々しさ、冷たさと熱さを一緒に孕んで進んでゆく。「Have a good day / Have a good night」は言い換えれば「暮らしはどう?」ということなのだな。「手と手、影と影」は意思疎通の難しさに向き合った歌だけど、この日のステージ上はひとつの塊になっていたと思う。「星に輪ゴムを」はジャクソン・ブラウンの「The Road」を下敷きにした曲で、それを2018年にジャクソン・ブラウンと同じMartinのエレキギターで奏でているのが面白い。「サテライト」もやっぱり5人で演奏する醍醐味がある曲。スタジオでああでもないこうでもないと試行錯誤した当時を思い出す。本編の最後を締めくくるのは「明日は今日と同じ未来」。僕が体をこわして療養しているときに書いた心許ない心境を綴った曲が、14年後に希望の歌になるなんて、年を重ねるのも悪くない。

アンコールは公演ごとに内容が変わったシーン。東京ファイナル公演、この日は9月1日だけど土曜日で、いわば夏休みのロスタイム。この夏を締めくくる歌を、と思って「長期休暇の夜」をセレクト。そしてリクエストの多かった「饒舌スタッカート」、僕らは当初この歌をセットリストに取り上げないことにしていたんだけど、ツアーを回って考えが変わった。「こんな楽しい歌、やったほうがいいよね」ということになったのだ。そして本当のラスト曲は「雨の夜と月の光」、客席はオールスタンディング状態になり、ミラーボールが回った。ずっとこの時間が続けばいいのになあと思うようなキラキラした時間でした。バンドとスタッフ、スターパインズカフェ(祝!21周年)、そしてご来場のお客さんと一緒に作り上げた奇跡みたいな時間と空間でした。アッキー、またどこかで合流しましょう。

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GOMES THE HITMAN 00-ism 2018ツアーの感想ツイートはここにまとまっています。
photo thanks to Yuriko Misu

Posted by monolog at 09:26│Comments(0)