

事前に募ったリクエスト曲を眺めていて、思いついたのは『新しい青の時代』を曲順通りに演奏することでした。東京ではバンド編成で夏に再現ライブをしましたが、ギター一本でアルバム一枚演奏したのはもしかしたら初めてだったかもしれません。グルッグとの5年の付き合いというのは『新しい青の時代』をリリースしてからの5年と重なる。あっという間でもあり、長い長い時間でもあるのです。あらためて、「どこへ向かうか」から「ハミングバード」まで通して、完璧なアルバムだなと思いました。僕は自分の人生においてこの作品を世に出せたことを誇りに思います。
さらにリクエストに応えて「blue moon skyline」は、店内の灯りを全部消して歌うことにしました。最後のライブで初めての試みです。群青、残像、夢から目覚めて。いくつかのクリスマスオーナメントとツリーの電球だけを残して、真っ暗になった会場に窓からのオレンジの光と歌に呼応するように電車が通り過ぎていきました。暗さに目が慣れてきて「星降る街」も素晴らしい時間だった。僕はあのとき客席側にいたかった。「memoria」もリクエスト曲だったけど、僕自身もこの歌を歌いたい気分だったし、みんなの「tu tu tu...」というコーラスを聴きながら、この日のライブは今年の弾き語りでベストワンのステージだなと思いました。すべての瞬間から瞬間が必然的に連綿と導かれる感覚がたまにあるのですが、それがこの日だった。



近藤研二さんと作った出来立てほやほやの「Coffee Christmas」、「sweet december」でみんなで重ねたコーラス、ハレルヤとは歓喜や感謝をあらわす言葉。「小さなハートブレイク」も「セラヴィとレリビー」もこの日は讃美歌みたいな響きがあったような。とにかく、2018年の12月、平成最後の師走のことを僕はずっと忘れないだろうなと思いました。アンコールは「my favorite things」ではみんなが手拍子。グルッグ和田さんの好きなものであふれた空間がまた来年新しいどこかで新しく始まるのを前祝いする手拍子でした。そして「あさってくらいの未来」を最後に。「うれしい」や「かなしい」、「愛しい」や「恋しい」を越えてゆく心よ。
2018年関西での最後のライブでした。今年は個人的に大阪に用事が多くて、かれこれ10回以上往復した。自分にとってとても思い入れの深い、とても近い街になりました。また来年も何度でも大阪で歌いたいと思います。バンドでも。たくさんのご来場ありがとうございました。関西の皆さん、次は3月にお会いしましょう。