2019年03月16日

サンカンシオンと呟いた春のセオリー

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先日青木慶則くんのレコ発ツアーファイナルを吉祥寺スターパインズカフェで観た。HARCOとGOMES THE HITMANは同世代を生き抜いてきた盟友だと思っているから、過去の楽曲の演奏を封印してまで覚悟を決めて、改名して再出発した青木くんの活動は気になる。セルフタイトルのアルバムを携えたツアーの締めくくりはグランドピアノと歌だけのシンプルでギミックのない、力強いステージだった。刺激を受けました。先月HMVキチレコでの僕と近藤研二さんと青木くんの共演がきっかけとなってHARCO楽曲が解禁になったのはとても嬉しいハプニング。この日も自身のキャリアを辿るコーナーがあって、積み重ねた時間が垣間見えた。

2016年に僕とHARCOで共作した「春のセオリー」を演奏する前のMCで僕の名前が出てハッとした。「山田くんにHARCO名義での活動を終了することを報告する電話をしたとき、『あ、へええ』と素っ気ない反応だったから拍子抜けした」というような内容だった。普段HARCOから改まって電話がかかってくるなんて珍しいことなので、僕は咄嗟に思ったのだ。わ!なにかとても良くない、穏やかでない、不穏なことを告白される…!と。瞬時に想像を巡らせてたどり着いたのは「離婚か…」ということだった。ミッコちゃん(Quinka, with a Yawn)も青木くんも昔からよく知ってるし、順風満帆そうなのに、あんなに素敵なおしどり夫婦なのになぜ…と身構えた後での「山田くん、実は僕、HARCOとしての活動を…」だったので、「なーんだそんなことなの(あーよかった!)え?へええ…」という流れだったわけです。

この話を青木くんにしたのは最近のことだったんだけど、数ある代表曲を封印して新しい名前でアーティスト活動を再起動するのはとにかく苦しみの伴うことだっただろうと思う。去年の春は青木くんが歌わないから、と僕が「春のセオリー」を何度か歌ったけど、今年は彼の歌う「春のセオリー」を聴くことができてよかった。大好きな歌なので僕ももう何回か歌わせてもらおうと思う。スターパインズカフェの階上から眺めて歌を聴きながら思い出していた。僕は今からちょうど15年前の春に肺気胸という病気で伏せてしまって、HARCOとQuinkaの結婚パーティーに参加できなかったのだな。ついこないだのようにも思うけど長い長い時間にも感じる。巻き戻す時間のなかにはいろんなシーンがあるものだ。

Posted by monolog at 08:37│Comments(0)