2019年04月21日

GOMES THE HITMAN「雨の夜と月の光」リリースから今日で20年

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20年前の今日4月21日はGOMES THE HITMANが「雨の夜と月の光」をリリースした日だ。3曲入りのマキシシングル、カップリング2曲をアルバムには収録しなかったのは、作詞作曲家として1曲でも多く世に発表したいという僕の意地だったかもしれない。いろんな過去のアーカイブスを紐解いていて思い出したけれど、もともと「雨の夜と月の光」の原型となる曲はギターのカッティングで始まる至極ギターポップマナーに沿った曲だった。ドラムのバスドラも四分打ちのディスコ的なものではないので今聴くととても新鮮。この曲がピアノが引っ張っていくアレンジになったのはロジャー・ニコルズが書いてジュディス・ダーハムが歌った「I Wish I Knew」という曲を知ったからだった。「こういうふうな曲にしたい」と堀越に頼んで印象的なイントロができあがった。ソリッドなエレキを弾いてくれた、初期のバンドをサポートしてくださったギタリストのGOさんにはもう会えなくなってしまってさびしい。

この曲を書き上げたときの興奮をよく憶えているし、スタッフみんなも同じように盛り上がった。しかしその歌にはまだタイトルがなかったのだ。便宜上「rain song」と仮タイトルで呼ばれていたから『rain song ep』というマキシシングルの名称は決まっていたけど、もっと相応しい名前があるはずだと議論が重ねられた。今日思い立って当時の手帳を引っ張り出してみたら、そこに書きつけられたタイトル案の数々…。「月の雫」というのが有力だった記憶があるけれど数年後に柴咲コウさんが「月のしずく」という歌をヒットさせたから被らなくてよかった。「都市生活者のための雨の歌」とか「ムーンドロップス・メランコリア」とか、やたら気取って頭でっかちなアイデアを踏みとどまって本当によかった。もうこの曲は「雨の夜と月の光」でしかない。僕らは「アメツキ」と略すけれど去年GOMES THE HITMANのファンになった知り合いはこの曲を「アメヨル」と呼んだ。そこはかとない違和感よ。やっぱり20年経つと略称は「アメツキ」以外のなにものでもないのだ。

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カップリング2曲とも僕の大好きな歌。「スティーブン・ダフィ的スクラップブック」は最近でも猫をテーマにしたライブの時に歌うことが多いし、「down the river to the sea」は僕の故郷を舞台にしたトムソーヤー的な冒険小説である。山と川と田んぼの町で海に憧れる歌。20年経って改めて3曲を通して聴いてみて、もう二度と書けない青春を閉じ込めた歌だと感じた。25歳だった僕はどんな思いでこのCDが世に出るのを眺めただろうか。大ヒットを期待しただろうか。20年経って思うのは僕は(僕らは)「雨の夜と月の光」を胸を張って死ぬまで歌っていきたいなということで、この20年という時間の蓄積を誇りに思う。サブスクなどでPCでもスマホでも簡単にお聴きいただけますので、ぜひ20年目の「rain song ep」に耳を傾けていただけたら嬉しいです。

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Posted by monolog at 21:54│Comments(0)