2019年05月09日

GOMES THE HITMAN presents SOLO SOLO SESSIONーそろそろ始める未来の話 vol.2(2019年5月3日 @ 下北沢 風知空知)【ライブ後記】

メジャーデビュー20周年の今年から始めたSOLO SOLO SESSION、1月の初回に続いて2回目の開催。今回は山田稔明 VS 須藤俊明という、どうなるかわからない対バン企画。連日レコーディングで顔を合わせているのだけど、この日の内容についてはみんな話を避ける、という妙な緊張感がありました。5月の休日、素晴らしい天気の下北沢。風知空知にはひとつ先の季節の風が吹いていました。黄昏時の窓からの眺めも素晴らしかった。立ち見も出る盛況のなか開場から開演まではキーボード堀越による選曲、そして自作EDMの披露などで盛り立て、イベントは僕の弾き語りからスタート。

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元旦に書いた新曲「new sensation」、そして数日前に書いた「明け方のミー」と続けて、この日のコンセプトは“まだみんなが聴いたことのない曲”。「de la poet」というのは1990年代に書いた、GOMES THE HITMANでも演奏したことのない古い曲。フィッシュマンズのファンクラブ会報に「DE LA POET」というコーナーがあったことに起因する曲、という記憶があるけれどもうそのへんはぼんやりしている。「night and day」は2000年代、バンドが活動していない頃に書いた曲で、自分でも存在を忘れていたのだけど、今この季節に歌ってみるととてもしっくりきたのだ(その数日後にバンドで録音することになるとは)。

この日のゲストはPLECTRUMの高田タイスケ(タイちゃん)。彼とは新しい作品のために共同作業をしているので来てもらった。同世代で同郷、20年近い盟友であり、気の置けない友だち。佐賀県あるあるの方言トークのあとThe La's「There She Goes」のカバーを。言うなれば平成を代表した歌と言えるかもしれない。そして新曲「houston」をふたりで。この曲はいつかタイちゃん含めてバーンとライブハウスのビッグサウンドで演奏したい。「歩いても歩いても」は先日メジャーデビューを発表した立花綾香とデモを録った思い出深い曲。書いたのは2008年頃か。偶然昨日、映画『歩いても歩いても』をWOWOWでやってたんだけど、その映画タイトルだけで発想を膨らませて書いた、ような記憶がある。そして堀越DJの転換を挟んで須藤俊明ソロへ。

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須藤さんは今回ほとんど書き下ろしの曲で、さらにそれをCDRの音楽作品『May Album』に仕上げてくるというサプライズをぶち込んできた。バックトラックにあわせてギター演奏という、普通なら味気なくなってしまうようなことを、楽曲の巧妙さと自分自身の演奏の重なりが織りなすグルーヴで唯一無二なものにしていた。僕は須藤さんと1992年から知り合いで、大学時代はThe Smithsのコピーバンド、「アーバンベース」というメンバーが数十人がすべてベーシストというバンドとか、いろんなことを一緒にやってきたが、GOMES THE HITMANからベーシストが抜けたときに共通の知り合いにベースを頼もうと須藤さんに連絡先を尋ねたとき「おれが弾こうか?おれが弾くほうがいいと思うけど」と言ってくれたことが今に繋がっている。特に昨年の『SONG LIMBO』の録音とミックス、『00-ism』のマスタリング、僕が今月出す『pilgrim/home sweet home』のマスタリング、さらには年内に出るGOMES THE HITMAN新譜も須藤さんに頼りっぱなしである。底知れないミュージシャンシップを見た気がしました。

GOMES THE HITMAN全員でステージへ。途端に大学時代みたいな雰囲気になって、正確に言うと時計が巻き戻るというのとも違う。もしかして今みたいな空気感はこれまでになかったかもしれないなと感じるし、20年というアニバーサリーイヤーにそこにたどり着いたことに意味があるような気がする。「光と水の関係」「スティーブンダフィ的スクラップブック」「down the river to the sea」「何もない人」と20年モノのワインみたいなキラキラ。新曲「baby driver」が点と点を繋いだらいいなと思う。再びゲストのタイちゃんを呼び込む。このとき彼はカーディガンを肩からかけてプロデューサー的風格をまとっていた。

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タイちゃんのもたらした化学反応、「夢の終わりまで」と「魔法があれば」はどちらも10数年前に書いた曲だけど、GOMES THE HITMAN最新型にアップデートされていくのが面白い。今月はいよいよGOMES THE HITMANとタイちゃんとでレコーディングだ。「ブックエンドのテーマ」は僕が同窓会に参加したことがきっかけでできた曲だけど、PLECTRUMの「BOOKEND」も同じテーマの曲。この日の「手と手」は突き抜け方がいつもと違った。「memoria」ではみんなにコーラスパートを歌ってもらってそれを録音。長丁場だったけれど充実したSOLO SOLO SESSIONになりました。

アンコールではPLECTRUM「BOOKEND」をセッション、そして「雨の夜と月の光」で大団円。終演後は須藤さんの『May Album』が売り切れるという盛況ぶり。たくさんのご来場ありがとうございました。また夏か秋に第三回を。次は山田稔明 VS 高橋結子。

Posted by monolog at 12:30│Comments(1)
この記事へのコメント
須藤さんの「May Album」欲しかったです(T^T)
Posted by rito at 2019年05月09日 12:42