2020年02月19日

GOMES THE HITMAN『memori』感想コメント from 近藤研二

ちよだ猫まつりが今年も盛況のうちに終わった。近藤さんと2016年からずっと参加しているお祭り。近藤研二さんと猫を通じて知り合ったのが2014年の秋、当時近藤さんは栗コーダーカルテットのメンバーであり、愛猫マルオくんを亡くして間もなく、まだモイもウニもいなかった。僕が鳥栖で近藤さんが久留米、故郷が隣町という偶然もあり、同じ町内に住んでいるからそれこそ親戚みたいな関係になった。話すときは九州弁だし。モイが来た日もウニが来た日も、病めるときも健やかなるときもいつも一番早く駆けつけて、近くにいるし、いろんなことを最初に報告する関係になった。ぼんやり近所を散歩していたら公園でばったり鉢合わせたりもするのだけど、下の写真は数週間前、気づいたらほぼ同じ格好をして兄弟みたいだったときの写真。僕は一人っ子なので、そう、近藤さんは兄ちゃんみたいなものかもな、と思う。そういうわけで僕は近藤さんの言うことをかなり信用するし頼っていて、GOMES THE HITMAN『memori』が途中でどうにも自分の思うようにならなかった去年の夏の終わり頃に相談したりもした。この忌憚のないコメントは昨年末に受け取ったもの、それをそのまま記載します。

近藤さんとは猫町フェスで4月に沖縄へ。夏には札幌へでも?と予定を立てているところです。いつも(いろんな意味で)そばにいてくれて、感謝しています。

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昔のゴメスを知らずに山田ソロから入った口で、しかも山田バンドでここのところギターを弾かせてもらっている立場からコメントします。

ゴメスでもすべてのソングライティングを山田くんがしてるようなので、彼のソロ名義での活動との違いは、表面的には演奏メンバーが違うだけということになり、どうしてもアレンジに耳がいってしまうのだけれども、一聴してその違いが分かる。なんだか若い。10数年ぶりにアルバムをリリースした中堅バンドとは思えないほどの初々しさ。文字通りエバーグリーンを音にしたような。

夏の終わり頃、既に曲順通りに並べられた全曲のラフミックスを聴かせてもらい「忌憚のない意見を」と聞かれたので、いくつか率直な感想を言いました。「歌が大きすぎるんじゃない?」「バンドとの距離をちょっと感じるかな」など。そして完成したものは、ぎりぎりまで歌が抑えられているようで、バンドのグルーブが前に出ていて、僕は好みだったけれど、あくまで過去のゴメスのことは知らなかったし、山田ソロとの違いってなんだろう、バンドってなんなんだろうと僕なりの希望と解釈が入った意見だったかもしれない。かき鳴らされるギターの音は彼の体型に似てシュッとして少しせっかちに疾走し、ゲスト陣のプロデュースもあってギターポップのお手本になるほどカッコいいなと思ったけれど、その日はあまり褒めないでおいた。

それから、今年のグッドデザイン賞をとるんじゃないかと思うほどジャケットまわりのアートワークが秀逸で、デザイナーの里枝さんに開口一番「腰、痛かったでしょう!?」と言ってしまった。物撮りのディテールよ。山田くんの好きなアメリカの乾いたロックの風が吹いてるし、かと言ってオルタナシーンのジャケほど抽象的過ぎず、しっかりポップで、ちゃんと猫まで出てきて。

今、これを書きながら考えついたのは、山田ソロとの差別化を図るために、あえて今作はポップに振り切ったのかなあと読むこともできる? ただ二足のわらじを履くには今の山田くんは忙しすぎて、2つの活動が渾然一体となっていることは否めないのかなあと思いました。いや、同じ人がやってるんだから渾然一体でいい、むしろそれが面白いのかもしれないけれど、少なくとも、ソロ名義のライブで「こんにちは、ゴメス・ザ・ヒットマンです」と間違って自己紹介したり、ゴメスのライブで「山田稔明と愉快な仲間です」って言うのやめた方がいいと思う。結ちゃん、堀越さん、須藤さん、みんな優しいね。それに尽きる。こうやって時を経てバンドとして音が出せてるの。

ここにひとつのメモリを刻んだことで、GOMES THE HITMANの次のステップに期待したい。身体はひとつなんだから大事にね。

僕の好きなトラックは『ブックエンドのテーマ』『memoria』です。

近藤研二(音楽家)


Posted by monolog at 09:33│Comments(2)
この記事へのコメント
なんですか!この双子コーデは!まるで仲良し女子高生のようです。

理路整然としていて面白くて温かみのあるコメント。こんなコメントを寄せてくれる近藤さんがそばにいて山田さんは幸せ者ですね。
Posted by ニケ at 2020年02月19日 23:00
近藤さんの柔らかい話し方や声を想像しながら読みました。

これまでたくさんの方々のコメントを読んで、ひとつのアルバムでこんなにも様々な賛美の仕方があるんだなぁ…と思ったのと同時に、山田さんとの関係性も垣間見ることが出来てとても興味深かったですが、近藤さんのそれはやはり一番温かさを感じました。身内感!!なんだかとても羨ましいです。
Posted by taeko at 2020年02月20日 01:50