2020年05月05日

猫町わらしべ長者

とにかく家と、家から一番近いスーパーくらいしか出かける用事がないから運動不足解消のために毎日1時間歩いている。もう近所に通ったことのない道はなくなってきたところだ。買い物帰りに遠回りして道を選んで歩いていたら、花壇を世話しているおばあちゃんがいたので、その花を眺めながら歩いたところ、「この花は育ちすぎて間引いてるの」と話しかけられた。「きれいですね」と返すと「お兄ちゃん、花持っていきなさい。これはカキツバタ、これはアイリス、これは…」とあれよあれよという間に向こうの見えないくらいの花束を抱えていた。「よくうちの花を盗むばあさんがいてね。たくさんあるからいいんだけどさ。でも癪じゃない?そのばあさんが今日松葉杖で歩いてたのよ。罰が当たったのかしらねえ」とニコニコしてて、僕もつられて笑った。またこの道を通って花を眺めてみようと思った。

さすがに花の数が多すぎるので、お隣のお母さんにお裾分けしようと思って呼び鈴を鳴らした。いつも卵とか春菊とかお米とかさやえんどうとか、いろんなものをくれるお隣さん。「わあ、きれい!」ととても喜んでくれて、「あなた、ちょっと待ってて。今日タケノコご飯炊いたの持っていきなさい」とジップロックにいっぱい詰めてくれた。少しくさくさしていた夕方だったけど、なんなのこの町の穏やかさは。優しさは。よくないこともあるけれど、素敵なことも確かに、ある。

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Posted by monolog at 23:49│Comments(0)