僕が初めて意識してブルース・スプリングスティーンを聴いたのは1987年だったと思う。大きなスタジアムで旗が揺れるなかで血管を浮かせて「BORN IN THE USA」歌うボスのミュージックビデオを観て興奮した。僕は中学2年生だった。映画の主人公ジャベドは1971年生まれだから僕とふたつしか違わない。同じアルバムを聴き、同じMTVを観たはずだ。人生を変えた音楽、彼にとってはスプリングスティーンで、僕にとってはR.E.M.だった。音楽で世界はなかなか変えられないが、こんなふうにひとりの人間の心を簡単に変えてしまう。きっと誰もが早かれ遅かれ経験すること。共感しかない、最高の映画だった。もう一回観たいな。