2021年08月05日

2014年作品『緑の時代』各サブスクリプションサービスでの配信がスタート

ソロ作品のサブスク配信に関してはいろいろ思うところあって、これまで『新しい青の時代』『the loved one』『chirstmas songs』とシングル2つだけだったのを、コロナ禍で時間ができたので2014年7月にリリースした『緑の時代』をサブスクという大海原に放流することにしました。この作品は3年かけて身を粉にして作り上げた2013年『新しい青の時代』の翌年にリリースした作品で、演奏歌唱、録音、ミックス、さらにはマスタリングまで見様見真似で一人で作ったから妙に愛着がある(追記:「夢のなかの音楽」だけコンピレーション参加のために手塚雅夫氏にミックスをお願いした)。ほぼすべての作業を一人でやったついでに、今回の配信リリース手続きも自分でやってみた。ジャケットは愛猫、先代のポチ。2014年に撮った写真なので『饒舌スタッカート』とのコントラストも面白い。ポチはこのアルバムのリリースの前月に天国へ旅立ったので、このレコードはポチの記憶と深いところで結びついている。

今あらためて聴くととにかくポップでまっすぐな歌が多い。「点と線」「夢のなかの音楽」「ココロ/コトバ」「猫のいる暮らし」あたりは2000年代前半に書いた曲でソロ名義で歌うことを強く意識した曲だったが、実際ソロのキャリアがスタートするのはそれから何年も経った後。「僕たちの旅ー終わりなき旅の流浪者」「high tide」「サニーレタス」は1990年代に書かれた古い歌。「新世界のジオラマ」は東日本大震災後の放心のあとおそるおそる初めて書いた歌。「BON VOYAGE」と「カフェの厨房から」はギター一本持って全国を旅するようになってから生まれた歌。とりとめもなく並べた楽曲群は、しかし、全体的に共通の空気感があって、その空気感が「緑の時代」というタイトルを導いたのでした。

ぜひおうちで外で、眠る前の枕元で、スマホでPCでこの『緑の時代』を気軽に聴いていただけたら嬉しいです。ぜひお気に入りに登録(ハートマークを押してください)したり、端末にダウンロードしたり、友だちに教えて広めたり、皆さんの心強いサポートをよろしくお願いします。こちらから各サブスクサービスでお聴きください。

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山田稔明『緑の時代』

<2014年リリース時に書いた全曲解説>

1.点と線
2002年頃に作られ、山田自身がソロ活動を初めて意識した
曲として近年も折に触れ演奏される曲。バンド編成にこだわらず組み上
げられた奔放なメロディが気持ちいい。2014年新録バージョンで収録。

2.夢のなかの音楽
2010年に初めて演奏された曲だが、サビのない短いデモが2002年頃には
存在した。3分半のポップスに魔法を詰め込む思いを描き2013年にリリー
スされたV.A.『猫と音楽の蜜月』に収録。ミックスは手塚雅夫氏による。

3.新世界のジオラマ
2010年にメロディを書き、2011年に歌詞を書いた楽曲。意気消沈した震
災後、福島あんざい果樹園での安斎一家との交流での「フロンティアスピ
リット」に背中を押されて作った世界が切り替わった後の最初の歌。初出。

4.ココロ/コトバ
ココロ/コトバ・・・ソロ名義でのバンド“kickingbirds”、ソロでもループ
マシンを使って頻繁に演奏される本曲はレゲエ・スタイルでの伴奏が新鮮。
2004年に作られたキーの高い初期デモの素材で構成、30歳の山田稔明の姿。

5.カフェの厨房から
チャッツワース、アアルトコーヒー、お菓子作家のダンラナチュールらとの
交流から生まれた小曲で、シチュエーションに従い頻繁に歌詞が変更、付加
される。小さなお店の厨房の奥にいる主人の気分で描かれた歌。

6.bon voyage〜終わりなき旅の流浪者
「SING A SONG」「sweet home comfort」などでトライしたラップ調の曲
をもうひとつ、と作られた楽曲。いくつもの声を重ねて宅録世代の本領発揮、
季節の変わり目を描く。神戸空港へ向かう車のシャッフル再生で再発見した。

7.僕たちの旅〜自己嫌悪'97
文字通り1997年に書かれた初期楽曲だがGTHで演奏されることはなくCDR
「early days」シリーズのために録音された。歌い出しの歌詞は中村雅俊の
「俺たちの旅」へのオマージュ、副題が付くのはおそらく「北の国から」の
タイトルからの影響か。20代の悩み多き季節が書かせた佳曲です。

8.high tide
「early days」シリーズのために過去のネタ帳からサルベーションされ、歌詞
を加筆して完成した楽曲。20世紀に書かれたメモの断片が航海地図になった
ような感覚。サラ・レーベル的な英国的音像が新鮮に響きます。

9.夜のカーテン
小学生の頃に書いて新聞に掲載された「夜のカーテンが降りてくる」と始まる詩
に時を越えてインスパイアされて書かれた楽曲。プラネタリウム公演でも重要な
意味を担う歌として演奏された。ウクレレでの演奏が印象的。

10.サニーレタス
学生時代に書かれた曲を「early days」シリーズのために10余年を越えて録音、
歌詞も当時のまま。意味深、あるいは意味のないフレーズを何回も繰り返すと
聴く者の想像力を掻き立てるという好例。なんて素敵な響きだろう。

11.猫のいる暮らし
『weekend』収録の「猫のいた暮らし」の後日談として、ポチと暮らし始めた
2002年に書かれた猫の歌。駆け出すような疾走感が猫の待つ家へ急ぐ主人公の
鼓動と同期する。2014年4月にレコーディングした新バージョンで収録。


Posted by monolog at 23:46│Comments(0)