2021年09月25日

猫町フェス2021(2021年9月20日 @ 吉祥寺スターパインズカフェ)【ライブ後記・前日譚】

EOSR8552


混迷と分断とコロナ禍の時代に生きる現代人と天国帰りの猫が、そこに行けばどんな夢も叶うという「ユートピア=理想郷」を
探求するまだ誰も観たことのない喜びと幸福に満ちたステージ。魂を揺さぶる人生(&猫生)讃歌に乞うご期待!

この告知文言を書いたときに「猫町フェス2021」の内容は、ほぼ何も決まっていなかった、と言っていい。強いて言えば、猫町メンバーとスタッフのほとんどがスパイク・リーとデヴィッド・バーンの映画『アメリカン・ユートピア』を観て心酔していたので「あんなのやりたい」「踊るの楽しそう!」「近藤さんデヴィッド・バーンに似てるやん」という漠然としたLINEグループでのやりとりが交わされたくらい。もうひとつ決まっていたのは彫刻家はしもとみおさんの参加。今年の春に富山巣巣で僕とみおさんの弾くバイオリンとで初めてセッションをしたのだけど、みおさんに天から与えられたさらなる才能は特筆すべきもので、そこから猫町音楽隊参加への流れはごくごく自然なものだった。

スターパインズカフェから提示された公演スケジュールが吉祥寺美術館の「はしもとみお木彫展 いきものたちの交差点」会期中の9月20日だったのは今回の猫町フェス2021にとってとても重要な始点になった。みおさんはこの5月にお客さんのいない広島ふくやま美術館の展示スペースを贅沢に使ったライブ「月あかりのキャンプファイヤーソングス」を経験していたので(コロナ禍でイベント中止、閉館後の美術館で収録した)吉祥寺美術館の空間を使って面白いことがやりたいという思いがあって、ライブ会場と美術館をどうリンクさせるかということについてアイデアをぶつけ合うことになる。

<猫町ユートピア>という漠然としたキーワード。ユートピアといえば我々世代にとっては「ガンダーラ」である(どこかにあるユートピア)。峯村さんが大好きだったゴダイゴ、イトケンさんが初めて買ったLPがゴダイゴ、僕の初めて行ったコンサートは久留米市民会館のゴダイゴ、近藤さんが久留米市民会館で観たピンクレディーの記憶まで掘り起こされたのが8月の中旬。ということで「猫町ユートピア=アメリカン・ユートピア+西遊記」という裏テーマが完成。そこへ行けばどんな夢も叶うという理想郷探しの旅。近藤さんが描いたプロットには最初から「みおさん=三蔵法師」とメモされていた。そしてようやくデザイン担当吉積里枝(hoopline)により今年の猫町イメージロゴ画像が完成。七色の空と筋斗雲に乗って猫町音楽隊はどこへ向かうのか。想いはここではないどこかへ。

2021_猫町フェス吉祥寺_16x9_1

みおさんが三蔵法師として率いるのならばメンバーの衣装は揃いのツナギであるべき(普段はフワフワしたワンピースのイメージのみおさんだけれど作業中のみおさんは常にツナギを着ているのだ)と考えた僕はワークマンへ行って5着くらい様々なツナギを試着。ジッパーを首元まで上げると何だかスイッチが入るような感覚が。全員がネイビーのツナギをそれぞれ購入するも、むぎちゃんからは「むぎはツナギを着たら暑くて死んでしまいますので…」という苦虫を噛み潰すような返信とともにキュンとするようなオーバーオール姿の写真が届いてみんな歓喜。すごく可愛い。ネイビーとはもともと海軍の意味だけれど、雲のない晴れた空を連想させる色であることから、隠すもの(雲)のない、真実や純粋さ、知の光を意味するそう。

LINEグループで交わされた「踊ったら楽しそう!」という会話の流れから僕が「月あかりだよスイミング/リモートハイテク猫会議/愛のコロッケ/おつぼね様よ/猫町音頭でトイトイトイ」という七五調の歌詞を秒で書き上げると(「愛のコロッケ」はイノトモ代表曲、おつぼね様は峯村さんが怪演した大蔵卿局のこと)今度は近藤さんがあっという間にそれに曲をつけて完成したのが「猫町音頭」で、このあたりから「今年の猫町フェスヤバいなあ…」という感じになってきた。次に近藤さんが作ってみんなに送りつけてきたのがトライバルなビートが鮮烈な、トーキング・ヘッズ風のインスト曲で、みんな驚愕。さらに翌日ふらっと遊びにいったら近藤さんはスタジオに籠もってビートルズ『ABBY ROAD』のオープニング曲「COME TOGETHER」オマージュの超かっこいい曲を仕上げているところだった。ジョン・レノンが「シュッ」というところを、われわれは「シャ!」と威嚇する猫になる。近藤さん作のインスト曲に「Get Up and Dance」というコーラスがつき、むぎちゃんにダンスの振付が託された。あっという間にむぎちゃんは「野良猫を見つけて保護して愛でる」という内容の踊りを考案、レクチャー動画を送ってくれた。メンバーは新曲含むたくさんの楽曲を個人練習しつつ、ダンスも覚えるという、普段とはまったく違う筋肉をつかう数日間を経験した。

美術館での撮影を担当してくれたのは映像作家の北山大介さん。スピッツ作品等で活躍されている北山さんにはサトミツ&ザ・トイレッツMVでお世話になったのだけど、この6月に偶然か必然か豊岡市でみおさんの撮影を担当した北山さん。「なにかの縁だと思うので猫町フェスぜひ手伝わせてほしい」という嬉しいお言葉をいただいた。しかしライブ3日前の17日に撮影してライブ直前に映像完成という超タイトでしびれるスケジュール。信じられない納期に応えてくれた北山さんに心から感謝(全部完成したのはライブ当日の朝6時前)。撮影内容は近藤さんの詳細な台本に沿って。伊藤健太がきれいにPDFにまとめてくれた。大女優峯村リエの真骨頂にそこにいた全員が感服。絶対美術館の人に怒られると思ってたのに最後まで温かい目で見守ってくださった皆さんにも感謝。舞台裏側のみんなの表情はka-koさんがたくさんの写真に刻んでくれたのでまた改めて紹介できたら。ここに載せた写真はかくたみほさんが駆けつけて撮ってくれたもの。遅くまで撤収に時間がかかってコピスが閉まって出られなくなったのも思い出。ここまでがライブ前日譚、ライブの様子については後日。

とにかく多面的で、いろんな切り口があって、短かくダイジェストで語るのが困難な猫町フェス2021なのでぜひライブアーカイブでご覧いただけたら、と思います。9月26日(日)20時まで視聴チケットが購入できて、23時59分まで視聴可能。むぎちゃんツイキャスで26日(日)20時からみんなで一緒に観る企画もあります。僕も改めて観ようと思います。そして吉祥寺美術館での「はしもとみお木彫展いきものたちの交差点」も会期があと1週間となりました。こちらもあわせてぜひとも。


猫町音頭2021 配信チケットはこちらから(26日20時まで購入可/26日23:59まで視聴可)

むぎ(猫) ツイキャス「むぎ(猫)と猫町フェスアーカイブを観る会」26日20時頃から

吉祥寺美術館「はしもとみお木彫展 いきものたちの交差点」


EOSR8035

EOSR8541


Posted by monolog at 23:25│Comments(2)
この記事へのコメント
猫町フェス 初心者です
つい、立ち上がって見てしまいます。
何度も感動しています。
才能のある方々が多忙の時間の中、、、と不思議に思っている中、
山田さんが逸話を幾度となく放出してくださるので、その度に更に味わいが増しています。
この、猫町フェス2021、来年になっても、また、アチコチで拝見できますように〜✨🕊️💞
ロングランで全国公演して頂けたら〜
今日は、出演された皆さんの素晴らしさを母に解説しながら、言葉にする事で更に深く感動😻🥰🤗
そして、エ〜🥰😻嬉しい〜日曜の8時に全員集合⁉️✨👍
色々に至れり尽くせりの猫町の情熱の方々に感謝しています✨💖
Posted by チコリ at 2021年09月26日 15:17
メイキング〜本編までまとめて全てが「猫町ユートピア」という大作になっていますね!
Posted by ニケ at 2021年09月27日 00:28