6月からずっと(もっと言えば3月からか)断続的にライブが続いてて、アウトプットとインプットのバランスがシーソーゲームみたいになっている日々。以前なら一日オフがあったら買い物に行ったりレコード屋めぐりをしたりというのが常だったのが、最近は時間が空いたら映画館に行くようになった。一晩に20曲くらい自作曲を歌ったり、どうしても自分のことばっかりべらべらしゃべることが多くなってしまうから、自分じゃない誰かの物語に身を浸す時間が心地いい。吉祥寺はオデオンとアップリンクにたくさんスクリーンがあるから、ちょっと調べると興味深い作品がすぐ見つかる。先日『スワンソング』という映画を観にいった。
アメリカの田舎の話、もうそれだけでなんでもいいっていう趣向が自分にはあるのだけど、この映画もオハイオ州のサンダスキーという町が舞台。五大湖のほとり、サンダスキーっていう名前は「太陽と埃」なのかな、とか妄想しながら(実際は全然違った)シートに埋もれる。リタイアしたゲイのヘアドレッサーの話。途中からずっと泣いてたけど、それは悲しいからじゃなくて、どの登場人物からも優しさがじわじわ滲みでてくるから。老いと孤独、避けられないことに対して我々はどう向き合うのか。最近友だちともよく老後の話をする。互助会とか、共同アパートとか、村を作るとか、半分夢みたいな半分本気だったり。鍵になるのは優しさだ、とこの映画を観て思いました。