この映画は2020年からのコロナ禍3年間と、サニーデイ・サービス結成の1992年からの30年を走馬灯のように映し出す。この3年間もあっという間だったのか長い長い時間だったのかわからないが、30年というのも同じだ。3年も30年も壮絶。僕自身もバンドを30年前に結成したからいろんなことを振り返るが、憶えていることも忘れたことも、続いていることも終わってしまったことも含めて全部が“今”に続く過程であり、なくてはならなかったものなのだ、と感じる。
映画終盤、瀬戸内の青い空と海と大橋を背した島フェスでの演奏がすごかった。ひと夏の出来事を歌う大好きな曲だ。コロナ禍にブルーバックを背景に配信するのと真逆のリアリティ。エンドロールが終わったら、すぐにバンドがやりたくなった。ライブがやりたいと思った。多分みんなそう思うんじゃないかな。もう1回観にいきたい。
追記:個人的には大学時代からの歴史を知る新井さんの語るサニーデイ・サービスが興味深かった。サニーデイは1992年結成で、僕はその年に九州から大学進学のために上京した。立教大学は池袋で僕の大学も巣鴨だったので飲んだり遊んだりする場所は池袋だったし、福しんのラーメン定食とか食べてたかなあとか、多分曽我部さんたちと同じレコードショップでレコードを買っていたんだろうと考えると少しずつすれ違う毎日暮らしを思わずにいられない。あと、昨年広島で出演させていただいた清水浩司さんとカミガキヒロフミさんのラジオ「ホントーボーイズの文化系クリエーター会議」(これ本当にたのしいおしゃべりができたラジオだった)に曽我部さんが出演されたときの発言がいくつもフィーチャーされていたのも「あ!」ってなりました。
