2023年08月30日

ゴメスの名はゴメス vol.3 “we built this city /成長”(2023年8月27日 @ 吉祥寺 スターパインズカフェ)【ライブ後記】

結成当時のメンバーを迎えての第一回、オールスタンディングの客席と一体になった『weekend』を中心とした第二回に続き、“まちづくり三部作”としてリリースされた3枚のCDをすべて演奏する第三回目の「ゴメスの名はゴメス」、結成30周年とは自分たちの歩んできた道をもう一回再確認することなのかもしれない。長時間のリハーサルを3日間重ね、あわせてそれぞれが自分のパートを見つめ直して迎えた本番。夏休みの最後の日曜日。

また開場ギリギリまでリハーサルをしてしまう。長いことバンドやっててもこれはホント治らないクセ。もうちょっとゆとりを持ちたいなといつも思うのだけど。今回のライブのタイトルは「we built this city/成長」。“まちづくり”にかけてスターシップ1985年のヒット曲「シスコはロックシティ(原題:We Built This City)」をかけて、オープニングの出囃子にもそのフレーズを忍ばせた。衣装のコンセプトは「学生風」だったんだけど、僕のTシャツの胸には「SAN FRANCISCO」と書いてありました。こういう自己満足の忍ばせは楽しいね。

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静かなオープニング「自転車で追い越した季節」から目の覚めるような「言葉はうそつき」。今回サポートギターで参加してくれた橋本哲さんは当時のレコーディングとツアーにも参加してくれた人なので、フレーズも本物。いつも4人で演奏している歌たちがぐっと立体的に、画像数が増す感じがたまらない。「new atlas ep」に戻って「僕たちのニューアトラス」「街をゆく」と続けて。この日は本当にハイライトやクライマックスがたくさんあるステージだったけど、「街をゆく」のイントロなんて堪りませんでしたね。これ!これ!って感じ。季節をかけぬけていくセットリストは冬へ。この日も30度を超える猛暑だったけど。「北風ロック」「北風オーケストラ」「夜に静かな独り言」と歌っていくうちに冬の寒さを少しだけ思い出せたような気がした。季節を進めて「春のスケッチ」「午後の窓から」で一旦まちづくり休憩。

今年書いた新曲を初めてサポートゲストを迎えて演奏する機会。「余韻」は哲さんがワウペダルを踏んでくれて僕が思い描いたイメージにさらに近づいた。「レモンティーと手紙」ももう一人ギターが入ることで僕と堀越のツインリードという、今まで想像もできなかったことができるようになるのな。さて、今年3曲目の新曲を演奏する前に僕が日本語で初めて歌詞を書いた「プロポーズ大作戦」を。まさに30年前に作ったオリジナル。それまで英語でもごもごと何を歌ってるかわからない曲を作っていたのが、日本語詞に切り替えた最初の習作、わざと甘ったるい愛の歌を作って照れ隠ししたけれど、30年経って歌うとやっぱり言葉の意味も更新されていて感慨深い。新曲「新しい朝のワルツ」は「プロポーズ大作戦」の後日譚を想って作りました。「おはよう」の挨拶を英語で言うときに「It's time to rise and shine」という表現があって、このフレーズの由来には諸説あるなかで「起床して靴を磨いてピカピカにする」という軍隊のかけ声から生まれた、という説が僕は気に入って歌詞に折り込んだ。「Time to rise and shine/How I'm feeling fine」目覚めのいい朝を迎える歌。僕はマンドリンを弾きながら歌った。レコーディングでは録音したことがあったけど、バンドで演奏したのは初めてでした。

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斎藤誠さんと杉真理さんにお祝いメッセージをいただいたのを客席の皆さんと一緒にステージで聴いて、“まちづくり三部作”を進めていく。このメッセージ、今週末のラジオで改めて紹介させてもらっていますのでぜひお聞きください。杉さんはちゃんと村田和人さんのことも話してくれた。本当にこのお三方のおかげで僕らは“成長”できたのです。この流れで演奏した「7th avenue」のポップさと「太陽オーケストラ」のロック的激しさはすごかった。間違いなくハイライトのひとつでした。

長時間に渡るステージ、「シネマ」では僕の左手がつってしまって焦った。何年バンドをやってても本番になってみないとわからない未知数な部分がたくさんある。「シネマ」の後半の怒涛の音の重なり、ずっと終わらないアウトロならいいのにと思った。「keep on rockin'」は明るいメロディが印象的な歌だけど、僕はいつも歌いながら泣きそうになってしまう。本編を締め括る「僕らの暮らし」、たどり着いた目的地は23年前に思っていた場所とは違うかもしれないけれど、後悔したりはしていない。今が一番良い「今」ならいいな。

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ライブ直前になってマキシシングル「饒舌スタッカート」から「ねじを巻く」と「拍手手拍子」をこの日演奏したい、ということをメンバーに伝えたのは、その2曲が確実に“まちづくり”の延長線上にあったから(「饒舌」はちょっと違う)。「ねじを巻く」は特に、結成30周年のテーマ曲になり得る歌だなあと思った。この日初代ドラマーの山田くん(ちーやまくん)は妹と甥っ子を連れて遊びにきてくれていた。つい先日31年ぶりに再会した高校の同級生“どん底”宮下も何も言わずにライブを観にきてくれてびっくりしたり、止まった時計のねじが巻き戻る感覚。

“まちづくり”のエピローグ、「maybe someday」で大団円、のはずが拍手鳴り止まず、最後はみんな総立ちで「雨の夜と月の光」。感謝しかない、ご褒美みたいな。ミラーボールが回って光の粒が降り注ぐのがとてもきれいで、本当にこの夏は暑くてしんどくて、東京は雨も少なかったけれど、火照った心を静めるような月の雫に思えて感動しました。メンバー、哲さん、スターパインズカフェの皆さん、スタッフ全員、そして友人知人、最後まで付き合ってくれてありがとう。またここで会いましょう。

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Posted by monolog at 09:15│Comments(1)
この記事へのコメント
夏休みも夏のお出かけもなかった今年、2回もゴメスのLiveに行けたことが最高の夏の思い出。爽やかな音色と熱いステージは猛暑のご褒美。ありがとうございました😊
Posted by みやぞう at 2023年08月30日 18:26