会場は満員、とても嬉しい。年功序列で年下の僕からスタート。前週の牧野元さんとのライブはふたりともずっと舞台にいるスタイルだったので、病気療養から復帰して初めて一人で立つステージ。GOMES THE HITMAN30周年という今年を意識して「アップダイク追記」「何もない人」と初期作品からの選曲で歌いだし、こないだ延期にしてしまった「ゴメスの名はゴメス」公演でやるはずだった「情熱スタンダード」「サテライト」と続ける。MCに対するあたたかい反応なんかも心地よくて、なんだかとてもリラックスして歌うことができて、ほっとした。左目のカメラが登場する「毎日のポートフォリオ」も下北沢に続いて歌いました。この歌がどんどん好きになってきた。


タカテツさんとのドライブ旅の話をしたあとに「glenville」、“友だち” になるきっかけとなった10年前の作品『新しい青の時代』から「光と水の新しい関係」「光の葡萄」も声がどこまでも伸びていく感覚が戻ってきて気持ちよかったな。雲州堂は天井が高いからそのせいもあるのだろう。新曲を歌うか迷って、なんとなくこの日は二十余年前、気分が沈んだ季節に書いた「夜明けまで」を新しい気分で歌った。やがて来る朝を待つ未来へ。
タカテツさんのステージを久しぶりにゆっくり観た。雲州堂は2階に楽屋があって、そこから見下ろす特等席で。いつもの狂気を感じるような演奏ではなく、この日はたおやかでリラックスして優しさすら感じるような演奏だ、と思ったのは僕だけかな。タカテツさんは僕が入院したときもすぐにお見舞いに来たがって(コロナのあれで来れなかったけど)めちゃくちゃ心配してくれたし、今回の旅も僕の負担が軽くなるようにととても気を使ってくれた。その優しさが歌に降りてきたのかもしれない。

ふたりのセッションは冗談と本気が半分半分のトークから始まり、僕の「幸せの風が吹くさ」にタカテツさんのハーモニーとギターが乗って盛り上がる。僕にとって高橋徹也との出会いの歌「真夜中のドライブイン」では逆に僕がエレキギターとコーラスを添える。The Smithsのカバーはドライブ旅の風景から興が乗った鼻歌のよう。共作曲「君と僕とカップとソーサー」は奇跡的バランスで完成した歌だなと思う。いつか録音したいですね。「my favorite things」と「友よまた会おう」で大団円。それぞれ1時間のソロステージとセッション30分というお腹いっぱいな夜になりました。
終演後、たくさんのサインを。ご来場の皆さん、ありがとうございました。大阪の皆さんお待たせしてごめんなさいね。スタッフ陣のサポートにも心から感謝。ははの気まぐれ川本くん家族が遊びにきてくれてお見舞いにレコードをプレゼントしてくれた。最初のレコード会社でお世話になった肥塚さん、シカゴキカクの早田くんと遅くまで打ち上げ。とても楽しい夜になりました。翌日はお昼すぎまでタカテツさんと大阪散策して東京までまたドライブ。帰り道は行きより早い?と思ったけどやっぱり渋滞して夜遅くに帰京。次はタカテツさんとどこへ行こうかね。

