2018年04月03日

猫騒動 8thシーズン(1)鳴り終わらない猫町ラプソディ|エッセイ集発売から1周年

新しい季節が来ました。わが庭の梅の花がいつもより早めに咲いて散って、そして斜向かいのおうちの大きな桜の木が満開になり、昨日からは雨のような花吹雪が降り続けている。ポチ実は庭で、窓際で、ベランダで、その花びらを目で追って見つめていて、4回目の春の季節をどんな気分で過ごしているのでしょうか。チミママは毎日ご飯を食べにやってきて、健康的で丸々としています。向かいの屋根の上で気持ちよさそうに毛づくろいをしている姿は自由で優雅。ポチ実はお隣のノアちゃんとリルくんとも相変わらずフェンス越しに仲良くやっています。今が猫たちにとっても一番気持ちがいい季節かもしれません。

桜の写真と一緒にポチ実を掲げて写真を撮っていたら「ポチ実ちゃん大きくなったわねええ!」とお隣から驚き呆れられ、毎日何かしら猫たちが起こす愉快な騒動があって(人に言えることも言えないことも)、ご近所の近藤家もモイもウニも頑張ってて、お向かいのマコちゃんは実は男の子だったと判明したあとも変わらず日向の窓際にいてどんどん大きくなっていく。ここ“猫町”での猫騒動はずっと賑やかに続いている。2014年から書き綴ってきた猫騒動日記も第8シーズンのスタート、大河ドラマの様相を呈してきました。

この4月でエッセイ集『猫町ラプソディ』が完成してから1周年となります。猫についての文章ばかり20篇の書き下ろし文章からなる本、ポチもポチ実もチミママもみんな登場する愛すべき一冊です。ぜひ未読の方は手にとってお読みいただきたい。活字のなかから季節を駆け踊る猫たちの姿が浮かんでくるはずです。今日は1周年を記念して『猫町ラプソディ』の冒頭に掲載した「はじめに」という章を下記に転載したいと思います。もともとネコパブリッシング刊行の雑誌『ねこ』2016年2月号のために書き下ろした文章に少し手を加えたもので、この本のイントロダクションに相応しいかと思います。全国書店でご購入できますし、オフィシャル通販STOREでは特典ポストカードとサインを描き入れたものをお送りしています。

1歳になった『猫町ラプソディ』をよろしくお願いします。この町の狂詩曲は今日も鳴り止まないのです。


オフィシャル通販STOREで『猫町ラプソディ』を購入


猫町ラプソディ_cover_04_2-1


はじめに

 我が家の愛猫ポチ実との朝は忙しい。いきなりお腹の上にどんと飛び乗ってきて、濡れた鼻を顔に押し付けて僕を起こし、「アタシを陽当たりのいいベランダへ出せ! にゃーにゃー」とねだる。逆に僕のほうが早く起きたときは、忍び足で眠るポチ実に近付いて驚かして、起き抜けの三回のあくび――いつも決まって三回なのだ――を携帯電話のカメラで激写するグラビア撮影の時間。
 うちの猫になって三回目の春を迎えようとするこの頃は、わが家の小さな庭の梅の木に咲いた花をついばむ鳥たちを見つめて、どうにかして捕まえられないものかと匍匐前進する姿が微笑ましい。猫と暮らす日々には、毎日些細な変化がある。昨日と今日が同じようでいて少しずつ違う、というのがいい。

 二〇一四年の夏に、十三年間一緒に暮らした三毛猫ポチを腎不全で亡くした。ポチは僕の相棒、宝物、やわらかな宝石だった。今まで生きてきたなかで一番大きく深い悲しみを味わい、身体が痛くなるほど落ち込んで、ありったけの水分は涙になって失われてカラカラに干からびた。
 そんな僕の打ちひしがれた姿を見かねたのだろうか、ポチは二ヶ月半たった秋の始まりに、魔法をかけて奇跡を起こす。ポチの生まれ変わりとしか思えない三毛の仔猫が庭にひょっこりと現れた瞬間、時間が止まったままだった僕のモノクロームの世界が、総天然色に変わった。一週間かけて仲よくなって、満月の夜に保護したその仔猫が、今朝も僕の足元にまとわり付いて「退屈だから楽しませろにゃー」とせがむポチ実だ。
 猫と暮らしている人には満場一致で同意していただけると思うのだけど、僕らは猫の可愛らしさに〈慣れる〉ということがない。外出から戻ったときに玄関先で迎える猫の姿を「嗚呼、可愛いな」と思うし、日向の窓際でうとうとと舟を漕ぐ姿は言うまでもなく微笑ましい。庭先で洗濯物を干しながらふと見上げたベランダから顔を出して、僕を見下ろすポチ実は身悶えするほど愛くるしくて、手を伸ばして何度も名前を呼んでしまう。猫との生活では、こういう〈可愛い〉が日めくりカレンダーのように続くのだ。
 ある時期から僕の猫への溺愛ぶりは歌詞やCDジャケット――僕の生業はシンガーソングライターだ――、さらにブログやSNSを通じてとくとくと溢れ出していった。「もう山田は音楽家っていう以前に、完全に〈猫の人〉だよなあ」と友だちに呆れられるほど。
 しかし猫をきっかけに繋がる縁や出会いというものがたくさん生まれて、〈媒体=メディア〉としての猫の持つ魅力、威力にはいつも驚かされる。普通ならいくつかの段階を経て築くような友好関係を、猫好き同士なら一瞬で結ぶことができたり、初めて会う人と猫のことで泣き笑いすることも少なくない。ポチの訃報を心から悲しみ、ポチ実の登場を手を叩いて祝福してくれた人たちが、携帯電話やパソコンの画面の向こう側にもたくさんいた。それは僕にとって、予期せぬ救いであり喜びだった。

 二〇一五年の秋に、初めての本を上梓した。猫にまつわるあれやこれやを書いたら、自分の半生を振り返る私小説になった。そのなかで主人公の〈僕〉は「人間には、猫と暮らす人生と猫と暮らさない人生、その二つしかない」とつぶやくのだけど、これは僕自身の心の声に他ならない。猫と暮らすにはペット飼育可能な住居や、それなりの出費が必要だ。お気に入りの絨毯には毛玉を吐かれるし、長い旅行はできない。人間よりも早く歳を取るから先に逝くことを覚悟しないといけないし、旅立ちを見送るのはつらく悲しい。
 それでも猫がいると一日に何回も笑って、他愛ない会話を交わし――言葉は絶対に通じる!――、日々楽しくて、毎日が面白い。だから僕は猫のいる暮らしを選択するし、「猫と暮らしてみたいんだけど」と迷っている人がいればその背中をそっと、しかし力強く押すようにしている。
 猫と人間は、お互いに惹かれ合ってパートナーになる。一方通行の意思ではその関係が成り立たないことを、猫と暮らす僕たちは知っている。ときにクールに見えるけれど、猫は純粋で無邪気で、正直に生きる美しい生き物だ。その真っすぐな瞳を覗き込むときに、僕らは全身全霊を捧げたありったけの愛で、その可愛らしさに最後まで対抗しなければならないという宿命を負うのだ。
 好きなものを好きだと宣言することに、僕はもはや何の躊躇もない。もちろん一番可愛いのは我が家の愛猫なのは譲れないけれど、世界中すべての猫が幸せでありますように、と今心から思えるのは、SNSに端を発する猫好き同士の連帯感から生まれた賜物かもしれない。

 冬毛でモフモフのポチ実のおなかに顔を埋めて、深呼吸するのが最近の日課だ。「おまえ、ちょっと太った?」と問うと面倒くさそうに立ち上がって伸びをして、しゃなりしゃなりと日向の窓際まで移動して、時間をかけて毛繕いをする。その姿を、僕は今日もぼんやりと眺めて幸せな気分になる。愛猫との、親子のような、恋人同士のような、かけがえのない時間がずっと続けばいいな、と毎日願っている。

 僕は猫が好き。猫と暮らす人生は、かくも素晴らしい。


山田稔明『猫町ラプソディ』(mille books)より転載
  

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2017年06月30日

山田稔明『猫町ラプソディ』SNSでの感想文&写真募集企画は本日まで

『猫町ラプソディ』発売から二ヶ月半が過ぎましたが、引き続き嬉しい言葉や予想外の反応をいただいています。先日峯村リエさんにエッセイのなかから「ノミの記憶」と「PとKの記憶」を朗読してもらって、また再読してみたくなったという声も多かったです。「猫」という美しい生き物を介してさまざまな繋がりが広がっていくのを実感するここ数年、この本はその総まとめのような一冊です。猫好きに、これから猫を好きになる人にもぜひ読んでいただけますように。

ポチとポチ実の生写真がもらえるSNS企画は本日いっぱいの受付となります。6月は個人的にも特別な紫陽花の一ヶ月でした。来るべき夏に向けて気持ちも新たにしたいと思います。オフィシャル通販STOREではサインとポストカード、気まぐれにおまけも封入して発送しています。明日にも読みたい!というスピード重視の方はお近くの書店へ問い合わせるか、AmazonなどのWEBストアでご購入ください。引き続き『猫町ラプソディ』をよろしくお願いします。




<『猫町ラプソディ』感想文&写真を募集します >

山田稔明初のエッセイ集『猫町ラプソディ』発売から間もなく1ヶ月、ツイッターやインスタグラム等SNSで早速たくさんのご感想をいただきありがとうございます。もっと皆さんの感想を共有したく、感想文と写真を募集します。著者の山田稔明さんにお願いして、素敵なプレゼントを用意いたしました。本の主人公である山田稔明の愛猫「ポチ」or「ポチ実」の生写真に、山田稔明さんの直筆サインを入れて、参加者全員にプレゼントします。写真はたくさんの種類を用意しますので、どんなものが来るかは届いた時のお楽しみで。

<応募は下記の要領でお願いします>

*ツイッター、インスタグラムで募集します。
*『猫町ラプソディ』を読んだご感想を投稿お願いします。
*投稿の際、必ず書き込みに【#猫町ラプソディ】というハッシュタグを付けてください。
*非公開にしている場合はハッシュタグを付けても書き込みが表示されませんのでご注意ください。
*インスタグラムでの投稿の際、『猫町ラプソディ』の写真をアップお願いします。
猫、犬、家族や大切な人、大切なものなど、愛すべきものと本を一緒に撮影した写真も大歓迎です。
*投稿いただいた感想や写真は、山田稔明さんのHPやライブ等で紹介させていただく場合もあります。*転載NGの方は書き込みの際にその旨をご記載ください。
*募集期間は2017年6月30日までとさせていただきます。

★感想を投稿した後、参加者全プレ「ポチ」or「ポチ実」生写真(山田稔明さんサイン入り)の
郵送先を下記までメールでご連絡ください。
millebooks@outlook.jp(ミルブックス)

件名に【猫町ラプソディ全プレ】、本文に【お名前、郵便番号、住所、SNS上でのアカウント名】をご記入の上、6月30日までに送信ください。
◎感想を投稿してくれた方が対象となりますので、メールいただいたアカウント名で感想文の投稿がない場合は送付いたしません。
◎2017年7月下旬の郵送を予定しております。

皆様のご参加お待ちしております。一言でもいいので、気軽に投稿してください。


よろしくお願いします。  
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2017年06月01日

紫陽花の季節|『猫町ラプソディ』感想コメント5



6月になった。ポチが旅立った紫陽花の水無月。午前中から出かけたら雨が降ってきて、“らしい”スタートとなった今月、この雨の洞窟を抜けたらまた新しい季節だ。井の頭線沿線の紫陽花も咲き始めていました。用事を済ませて帰ってきて、吉祥寺をふらふら歩いていたら、画家で人形作家の片岡まみこさんにばったり遭遇した。お会いするのは初めてだったが、ライブに訪ねてこられたギャラリーの方経由で繋がって、SNSでやりとりをしたところだったので、お互い「わあ」と驚きつつ、すぐに気がついた。これも「猫」が招いた縁。片岡さんは今月吉祥寺で個展を開かれるらしいので、またすぐにゆっくりお会いでるだろう。片岡さんが綴ってくれた『猫町ラプソディ』感想コメントを下記に転載します。



猫が迷子になって捜したときの不安な気持ち、おひさまの光でキラキラ輝く被毛を眺める幸福感、病気の子に皮下注射を自分でしたときの辛さ、最期を看取るときは本当にやるせなく苦しいけれど、それでも猫と暮らてないよりずっと幸せ。皆知ってるし、全部わかる。いろんなところで共感して、ポチが亡くなるところでは、やっぱり涙、涙…。

私も子供の頃から猫と暮らしてきたけれど、愛猫を息子や娘と思ったことは一度もなくて、姉、弟、親友、恋人が混ざったような、あるいはもっと別の特別な存在。ただただ愛しくて、1日何度見ても可愛くて飽きない…と、この本を読み再確認し、今日も宝物の猫をぎゅっと抱きしめました。

片岡まみこ(画家、人形作家)

  
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2017年05月30日

『猫町ラプソディ』感想文&写真を募集します

4月の発売以来、好評をいただいている『猫町ラプソディ』ですが、『猫と五つ目の季節』『ひなたのねこ』に引き続き感想&写真コンテストが開催されることになりました。AmazonのレビューやSNSなどでもたくさん嬉しい言葉を眺めていますが、ぜひもっともっと皆さんの暮らしにこの本がどう作用したかを教えてください。出版元ミルブックスからの募集要領を下記に転載します。6月いっぱい募集しますのでたくさんのご参加をお待ちしております。




<『猫町ラプソディ』感想文&写真を募集します >

山田稔明初のエッセイ集『猫町ラプソディ』発売から間もなく1ヶ月、ツイッターやインスタグラム等SNSで早速たくさんのご感想をいただきありがとうございます。もっと皆さんの感想を共有したく、感想文と写真を募集します。著者の山田稔明さんにお願いして、素敵なプレゼントを用意いたしました。本の主人公である山田稔明の愛猫「ポチ」or「ポチ実」の生写真に、山田稔明さんの直筆サインを入れて、参加者全員にプレゼントします。写真はたくさんの種類を用意しますので、どんなものが来るかは届いた時のお楽しみで。

<応募は下記の要領でお願いします>

*ツイッター、インスタグラムで募集します。
*『猫町ラプソディ』を読んだご感想を投稿お願いします。
*投稿の際、必ず書き込みに【#猫町ラプソディ】というハッシュタグを付けてください。
*非公開にしている場合はハッシュタグを付けても書き込みが表示されませんのでご注意ください。
*インスタグラムでの投稿の際、『猫町ラプソディ』の写真をアップお願いします。
猫、犬、家族や大切な人、大切なものなど、愛すべきものと本を一緒に撮影した写真も大歓迎です。
*投稿いただいた感想や写真は、山田稔明さんのHPやライブ等で紹介させていただく場合もあります。*転載NGの方は書き込みの際にその旨をご記載ください。
*募集期間は2017年6月30日までとさせていただきます。

★感想を投稿した後、参加者全プレ「ポチ」or「ポチ実」生写真(山田稔明さんサイン入り)の
郵送先を下記までメールでご連絡ください。
millebooks@outlook.jp(ミルブックス)

件名に【猫町ラプソディ全プレ】、本文に【お名前、郵便番号、住所、SNS上でのアカウント名】をご記入の上、6月30日までに送信ください。
◎感想を投稿してくれた方が対象となりますので、メールいただいたアカウント名で感想文の投稿がない場合は送付いたしません。
◎2017年7月下旬の郵送を予定しております。

皆様のご参加お待ちしております。一言でもいいので、気軽に投稿してください。


よろしくお願いします。  
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2017年05月23日

発売から1ヶ月が経ちました|『猫町ラプソディ』感想コメント4

発売から1ヶ月、『猫町ラプソディ』に寄せられた感想コメント、パート4を紹介します。





猫が愛らしいのは決して揺がぬ事実ですが、猫に接する人までが不思議と無性に愛らしく見えてしまう現象。つまり山田さんの愛らしさが炸裂しているエッセイでした。中でも「奇跡の七日間」は、その経緯を知ってはいたにも関わらず、自分の保護猫経験と重なり胸を焦がして読みました。これはまさに恋。

山田さんによる挿絵もかわいらしく個人的にはチミちゃんのトイレの絵が好き。「こんなに可憐な女の子なのに、」には思わず声出して笑いました。嬉しいも楽しいも悲しいもあるけれど、猫いいですよ。うん、猫いいですね。

——坂本千明(イラストレーター/紙版画家)



シンガーソングライター山田稔明さん著書のエッセイ集。前作『猫と五つ目の季節』がミュージシャン山田稔明をモデルに書かれたものであれば、今作は、正真正銘、山田さん自身の、なんの迷いもない猫への愛の本。山田さんの住む「猫町」とそこからごく自然に繋がってゆく猫や人々のありふれているようで奇跡のような日々が綴られています。山田さんの類い稀なる文章力(と、猫への愛!)のおかげでポチやチミちゃんの姿形やその表情、そしてその時の景色や色、風の匂いまでもが鮮明に浮かび上がるようで、ちょっと猫町に迷い込んでしまった隣人ような心持ちで読み終えました。

そしてやっぱり泣かされました(同じくらい笑いもしました)。何かわからないものに感謝したい気持ちになることがありますが、おもいは奇跡につながり、今は未来にちゃんとつながっているのですね。ポチ、チミちゃん、山田さんに出会えてよかったね。愛するものと暮らす人、愛するものをなくした人、愛するものにこれから出会う人きっとたくさんの人々の心に響く1冊なのだと思います。

愛するものは、きっと目の前にある、です。それにしてもやっぱりすごいなぁ!猫って。

——ませしょうこ(ハルカゼ舎 店主)



山田さんの新刊。その行間から溢れ出る猫への強い愛。シンガーソングライター山田稔明は猫なくしては存在しえないなとあらためて思いました。猫への(特に自分の飼い猫への)偏愛だけれども、それが、日々の山田さんの暮らしを楽しくしていて、その楽しい、愛しいという気持ちが波紋のように、周りの私達にも伝わっているんだなあ。

世界中のすべての猫も犬も、人も金魚も幸せでありますようにと祈ろう。

——岩崎朋子(巣巣 店主/草とten shoes リーダー)



山田くんは文章もメジャーキーだね。
シリアスな場面も軽やかに流れてる。
これは猫の皆さんを通じた命のお話。
猫賛歌であり人間賛歌だと思ったよ。

——高橋徹也(音楽家)



僕は子どもの頃から猫が近くにいなかった。ピアノ教室の3人息子でチャランピロンワーワーと音に溢れたウチだったから、もし猫がいたらニャーが足されもっと賑やかだったろうな。この本を読みながらそんな空想に耽ってニヤニヤ。ここはニャーニャーかな?そんな軽い気持ちで読み始めたのだが読み進めていくうちに山田くんの出来事があたかも自分の身に降りかかったかのように感じてきた。

同じ佐賀県出身のミュージシャンで年齢もほぼ同じ、音楽の指向性も共感するとこが多い。僕らの違いは猫を飼ってるか飼ってないか。流石にそれは言い過ぎだが、18年来の友であることは間違いないので、章毎に、これはあの時の話だな〜、あれは大変だったなぁ、これは知らんやったぁ、となる。

お気に入りのソファでポテチをコーラで流しながら読み進めてるといつの間にかポテチがポチやポチ美に変わってた。きっと僕はこの先も猫は飼わないだろう。でもゴメスや山田君の歌は聴き続けるし、山田本も読むと思う。その中で一瞬の幻でも僕のものだった2匹の猫を思い出しまたニヤっとするのだ。ここはやはりニャーっとするのが正しいのかニャ。

——タカタタイスケ(音楽家/PLECTRUM
  
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2017年05月18日

『猫町ラプソディ』発売から1ヶ月

初めてのエッセイ集『猫町ラプソディ』、発売記念イベントで初お目見えしてから1ヶ月が過ぎました。たくさんの本が皆さんのところへ飛び立っていって、その反響もやまびこのように返ってきて、この本を作ってよかったなあとしみじみ思っているところですが、『猫町ラプソディ』を携えてまだ東京以外の街へ行けていないのが心苦しく、夏に新しいCDができたら北から南までいろんなところに荷物を抱えて(本は本当に重いのです)出かけていきたいと思っています。全国の本屋さんで表紙が見えるように売り場に平置きしていただいたり、ウェブサイトで特集を組んでいただいたり(Cat Press - 猫好きミュージシャン山田稔明さんの新刊「猫町ラプソディ」)、ファンの人たちの草の根活動も嬉しく、感謝しています。

本のいいところは再生装置がいらないところです。いつでもページをめくって楽しむことができます。1冊を2時間で駆け抜けることもできるし、2週間かけて堪能することもできる。面白い本を引き当てると時間があっという間に過ぎるし、難しくてタフな読書のときはどれだけ文字を見つめても時間が滞ってしまうときもある。「最近本読んでないなあ」という台詞と「もう何年もCD買ってないなあ」というつぶやきほど無粋なものはない、というのは個人的な考えですが、忙しさにかまけることなく、いろんなものに手を伸ばしたいな、と僕自身が感じている2017年の初夏です。最近読んでいるのはオークションで全10巻を買った漫画『TO-Y』、30年ぶりという時間の味わい深さよ。

オフィシャル通販STOREではサインとポストカードが付きます。『猫町ラプソディ』が良かった人はぜひ『猫と五つ目の季節』も。Amazonでは「や・ら・わ行の著者ランキング」というのを見るのがいつも楽しみです。さっき見たら155位でしたが、どうかすると6位とか、ベスト3に迫るときもあったりして。皆さんの街の本屋さんで注文してご購入いただくのもとても嬉しいです。猫本のコーナーにあったり、音楽のコーナーに置いてあることも多いかもしれません(僕が音楽家なので)。見当たらなくても店員さんに訊いてみてください。たいていの本屋さんにはコンピュータや端末があって、『猫町ラプソディ』という名前を伝えると探してくれたり、取り寄せてくれると思います。齢一ヶ月の『猫町ラプソディ』を引き続きよろしくお願いします。

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2017年05月12日

発売から3週間が経ちました|『猫町ラプソディ』感想コメント3

『猫町ラプソディ』に寄せられた感想コメント、パート3を紹介します。





猫と暮らし始めるにあたって山田氏から背中を強く押されたひとりとして、猫の先輩である彼が手がけた猫エッセイ集となれば正座して拝読せねばなるまい、と手に取りました。

いざ読み始めると、猫への愛情が伝わるユーモア溢れる筆致に冒頭から「わかる、わかる」と共感し、数々の事件簿には大笑いし(ノミの描写のぞわぞわ感よ!)、ポチとの別れに泣きながら、最後まで止めることができずにするすると、それこそ途中一度も本を閉じることなく一気に読み進めました。

読後には傍の我が愛猫ミルクをぎゅっと抱きながら「おいミル坊、この猫先輩の本、最高なんだよ!」とその面白さを伝えてしまった私です(ミル坊は「にゃんだ?」という顔をされていましたが)。

「猫の可愛さには慣れることがない」という文言は後世に残したい至言でありましょう。これを読んで猫と暮らし始める猫後輩たちが増えるかもしれません。本棚の猫本を置くコーナーにまた宝物が1冊加わりました。今夜も本書のページをめくりつつ、猫見酒と洒落込もうかしら。

——五十嵐祐輔(fishing with john



前作では、猫のこととあわせて山田さんのミュージシャンとしての半生が描かれていたのだけど、今作では音楽にはあまり触れられず、猫一本勝負の本になっている。ポチやポチ実の仕草やご機嫌に一喜一憂する姿は、ミュージシャンというより、吉祥寺の猫好きおじさん( あ、お兄さんでしたね)といった様子で、その分、猫との暮らしの喜びや幸せがいっぱい詰まっている。ポチの最期やポチ実との奇跡的な出会いは、猫に特別な思い入れがなかった僕も涙がでるほど感動的で、猫との暮らしをよりいっそう夢見るようになった。

僕は山田さんのリズム感のある文章が好きなのだけど、リズムにのって歌うように語りかけてくる文章を読みながら、音楽にあまり触れられていなくても、音楽を感じられるのがうれしかった。読み終わった後に、山田さんのCDを聴くと、よりいっそう心に響いてきますよ。

——飯島淳彦(TRAVELER'S FACTORY



猫には猫の数だけ物語があって、寡黙な彼らの口からは決して語られることのないそれを、観察と発見と想像によって言葉にするのが、猫の隣人である私たちの役割だと思うのです。稀代のシンガーソングライター・山田稔明さんが「猫の人」として、この本でそれに応えてくれました! 読後、私も「猫語り」したくなってしまった。うちの猫のこと、近所の野良猫たちのこと、これまでの人生で関わってきた猫のことを。

——人気ブログ「ミルキク.net」管理人 mik



前作を補完するような形で新たに上梓された『猫町ラプソディ』を読むと、猫ネットワークで繋がるその町の温かさ、人と人、猫と猫、そして人と猫の絆の力強さに驚き、改めて感嘆する。次々と繋がっていくその輪は、間違いなく人と猫による「大家族」の物語だ。猫との共生は、はからずも新しい交流を生み出し、愛らしいラプソディ溢れる季節に移行しているのではと、改めて思わされる。どんな時代でも「家族」が一番大切だ。そう感じたのだ。

——志田十穂(DJ/雑文家)



ものごころついたときからいつも家には犬がいた。
妻の実家にも犬がいた。
娘が3歳のとき犬を飼いたいと言いだし飼いだした犬が今も家にいる。
6年前に越してきた町内にはたくさんの猫がいる。
毎朝犬の散歩をしていると、黒猫の親子、豊満な白い猫、三毛猫、何匹もの猫に会う。
猫は犬に目を剥くが犬は知らん顔だ。
きっと猫と暮らす生活をすることは無いだろう。
だけど猫と暮らした気分になれかたらもういいや、今世は。
そんなことを思いながら本を置き、犬の頭を撫でている。
愛するものと暮らす日々はかけがえがないものなんだよね、山田さん。

——庄野雄治(aalto coffee and the rooster



面白くて、あっという間に読んでしまった!
インスタでちらりと見ていた出来事が、愛のこもった文章によって
しっかりと、心に残りました。私も猫町に住みたいです。

——木下綾乃(イラストレーター)
  
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2017年05月11日

発売から3週間が経ちました|『猫町ラプソディ』感想コメント2

『猫町ラプソディ』に寄せられた感想コメント、パート2を紹介します。




山田さんはインスタグラムに日に何度も写真をアップする。ブログだって毎日更新する。
だから私は山田家の猫たちのエピソードはたいがい把握している(好きすぎて
猫町オールスターズをモデルにしたフェルト猫たちを作ってしまったほどだ)。

それにもかかわらず、『猫町ラプソディ』をはじめから終わりまで新鮮な気持ちで読んだ。
初出のエピソードにはドキドキしながら、既知の出来事にもふふっと笑いうんうんとうなずき、
ときに緊迫したシーンに息をのみながら。

山田さんの文章からはそこにどんな風が吹いたか、どんな光がなにを照らしたかを、
その場に立ち会ったかのように感じることができる。その感覚が心地よく、
知っているはずのエピソードを山田さんの言葉で繰り返し体験すること自体が幸せな時間なのだ。
大好きな曲をくり返し聴いてしまうように。

もし我が家の猫が言葉を理解できたら、添い寝をしながらこのエッセイを読み聞かせる。
「今日はどこがいい?」と聞いたら猫は「ポチ実ちゃんが来たところ!」と答えるだろう。
私は「えーまたー?」と言いつつまんざらでもない気持ちでそのページをめくる。
そんな妄想をしながらまたはじめから読み返している。

——猫ラボ(フェルト猫作家)


「人は猫と暮らす人生、猫と暮らさない人生、そのふたつしかない」や
「うちの猫は日本で一番目か二番目にかわいい」という山田さんの言葉に、
猫と暮らす人生が始まったばかりのころの私にはピンとこなかったのですが、
猫との暮らしが長くなるにつれて、今では共感しまくっています。

でも「猫=自分が大切にしている大好きなもの」と思い浮かべながら読むと、
猫と暮らす人生、猫と暮らさない人生、どちらを送っていても
猫に向けられた山田さんの言葉にきっと共感しまくってしまうはず。
縁あって猫と暮らす人生が始まったことで、

たくさんの猫友達ができたことへの感謝の気持ちもこめて、
これからも山田さんをはじめ、猫友達と会うときは猫正装で参ります!

——イナキヨシコ(イラストレーター)



山田さんは猫でできているのではないか!? そんな風に思えてきました。
それくらい猫たちへの愛情溢れる言葉に、じんわり優しい気持ちになりました。
幸せは身近なところから。
山田さんの暮らしの中で紡がれる歌と同じように、愛に溢れた一冊です。

——宮川 敦(NAOT

  
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2017年05月10日

発売から3週間が経ちました|『猫町ラプソディ』感想コメント1

エッセイ集『猫町ラプソディ』発売から3週間が経ちました(いろんなことがあったからもう何ヶ月も経ったみたいな気がするけど)。今回の本、音楽コーナーではなく一般書籍や、それこそ「猫」のコーナーに置かれることも多くなり、特に吉祥寺に住んでいる者としてはブックスルーエの、入ってすぐの話題本のところに面置きされてるのを目撃したときは本当に嬉しかったです。インスタグラム等SNSの「#猫町ラプソディ」ハッシュタグでもたくさんの感想を読ませていただきました。Amazonにレビューを書いてくれた人にも感謝。その反応を受け取って、CDを出すのと同じくらいの充実感を味わっています。友人知人からもたくさんの感想コメントをいただいています(まだ募集中ですよ!)。数回にわけてご紹介させてください。

山田稔明『猫町ラプソディ』、オフィシャル通販STOREではサインとポストカード、なんやかんやとおまけを放り込んで毎日発送しています。今すぐ読みたい!という方はぜひ本屋さんへ(初回入荷店舗リスト)。本屋へ行く時間がないけど明日受け取りたい!というかたはAmazonなどウェブショップをご利用ください。ライブ会場でも販売しています。どこでご購入いただいた本でもライブ会場へお持ちいただければサインしますので。どうぞ引き続き『猫町ラプソディ』をよろしくお願いします。





まるでドラマか映画でも見ているように
本の世界にどっぷりと浸かって一気に読んでしまいました。
陽だまりのように穏やかな日もあれば、笑ったり、困ったり。
胸が締め付けられるほどの苦しみや悲しみを味わう日も。
ポチやポチ実、チミママ。
彼女たちが過ごす日常に思いを巡らせながら翻弄されている自分がいて。
山田さんと彼女たちの日々を綴った、なんとなんと色鮮やかな1冊なのでしょう。

——長谷川ちえ(エッセイスト / 「in-kyo」店主)



 休日の昼下がり、私のかたわらでうたた寝をする愛猫ミルクの背中を撫でながら、『猫町ラプソディ』を読んだ。

 我が愛猫への偏愛はさることながら、ノラ猫から地域猫、ご近所猫や友人の猫まで、すべての猫が幸せに暮らせるように愛を注ぐ山田さん。一匹の猫が、世界中の猫とつながっているかのような感覚だった。猫のいる人生は、泣いたり笑ったり、時には怒ったり、毎日が忙しい。しかし、猫がいるだけでずっと心豊かな時間が過ごせる。そんな単純だけれど、とても大切なことをこの本は教えてくれている。
 いろんな感情と共に読み進めていったのだけれど、読み終わった後、この本は山田さんの生み出す音楽そのものだと気がついた。山田さんの曲を聴いて、ふとした瞬間に涙が溢れることがある。きっと、愛猫とのおだやかな日常が、歌の中から溢れ出ているからなんだろうな。
 心地良い日向をみつけてお昼寝をして、美しい毛並みを丁寧に毛繕いして整え、気持ち良さそうにゴロゴロ喉を鳴らす猫は、この世界からのんびりした気持ちや純粋な遊び心、穏やかに続く日常の気持ち良さを忘れないように存在する、守り神なのかもしれない。神様が猫という生き物を作った理由はなんだろう、と時々考えてしまうのだけど、その答えをこの本の中に見つけることができた。

——佐々木綾(「moln」店主 / 「草とten shoes」ボーカル)




「この本の中に猫っていくつ書いてあるんだろう??」
ニヤニヤしながらそう思いついて、1ページ目でもう数えるのをやめてしまった。
そんなことを数えることがバカバカしくて諦めたくなるほど「猫」への愛に満ちた文章の数々でした。
その愛情と山田さんの叙情的な文章とで読んでいるうちに自分自身が猫を飼っているかのような、
はたまた猫そのものになったかのような錯覚に陥りました。

僕にとって山田さんは猫そのもので、つまり今作は猫が猫について猫愛を語った文章である。
「こいつ何言ってるんだ?」と思われそうな感想であるが、読み終わったらすぐ納得していただけるだろう。
ポチもチミちゃんも、山田さんに出会えて本当に幸せだと思う。
そんな猫(というか妹か恋人か家族かもしくは本人か)への愛情を横からニヤニヤ体感できる一冊。

早く山田さんに会って感想を伝えたいけど
100倍くらいの猫トークでうちかえされるんだろうなあ。(笑)

——佐藤満春(どきどきキャンプ / サトミツ&ザ・トイレッツ)
  
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2017年04月23日

いよいよ本日発売日になりました|エッセイ集『猫町ラプソディ』をよろしくお願いします



いよいよ本日4月23日、『猫町ラプソディ』全国発売日となりました。あらためて、どうぞよろしくお願いします。オフィシャル通販STOREの送料無料での申し込みは本日いっぱいとなります(もれなくサインとポストカードがつきます)。母親から名入れリクエストのリストが山ほど届いて、またたくさんサインを描いているよく晴れた朝。今日は本と花を贈り合う「サン・ジョルディの日」であり「子ども読書の日」と本にちなんだ記念日かいろいろ。さらには地ビールの日でもあるそうです。夜には下北沢の本屋B&Bで本とビールで乾杯しましょう。当日券については直接お店にお問い合わせください。


2017年4月23日(日)@ 下北沢 B&B
山田稔明「猫と暮らす人生は、かくも素晴らしい」
『猫町ラプソディ』(ミルブックス)刊行記念

18:30開場 19:00開演/1500円(1オーダー別途)
出演:山田稔明/ゲスト:桑原奈津子(料理研究家)

下北沢 B&B(http://bookandbeer.com/
世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F


この1週間のこと。月曜日からひたすら本の発送、毎日切れ間なく。水曜日は渋谷クアトロへドラマー/コンポーザーの矢部浩志さんのプロジェクト MUSEMENTのライブを観にいった。奔放なメロディと緻密なアレンジメント、濃厚なステージでした。カーネーションのリユニオンに熱くなった。豪華ゲストのなかでレースカーテンのような透明感を醸し出していた元レーベルメイトであり地元の後輩であるLocul Busの野未山さんのすっとした歌が印象的で今度福岡で歌う時は一緒に何かできたらな、と思う。それにしても矢部さんは優秀なソングライターだ。坂田学さんのソロアルバムも素晴らしかったし、ドラマーが書くメロディはなにか特別な魔法がかかるのか。盟友溝渕健一郎の新譜にも感心した(コメントを寄せました)。

金曜日、絵を飾るフレームが必要になって探しに。IKEAに行ったのはいつ以来だろうか。季節柄、自分が上京したての学生で新しい暮らしを始めることを妄想するのになかなか楽しい空間。今週から、中断していたある楽曲のレコーディングが再開。ギターとハーモニカ、そして昨日はメインボーカルを録って今日はこれからコーラスを録音する。5月に入ったら完成か。昨日はレコードストアデイだったので夜になってレコ屋めぐりをしたが、つまるところ自分にとってはほぼ毎日がレコードストアデイなのだよな、と改めて思った。


  
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