2017年06月26日

山田稔明ニューアルバム『DOCUMENT』曲目詳細発表|オフィシャル通販STOREでの予約受付を開始しました

山田稔明の2017年新作はキャリア初の実況録音盤。未発表曲を含む、“ライブベスト”ともいえる作品になりました。収録楽曲を公開します。今年の2月から5月までのステージをライブ録音した音源のなかから、ソロ名義での代表楽曲はもちろん、村田和人さんへの歌詞提供曲「brand new day, brand new song」、新曲「きみは三毛の子」「小さな巣をつくるように暮らすこと」、カセットテープ作品『INOKASHIRA』から「my favorite badge」、さらには「memoria」「ホウセンカ」のGOMES THE HITMAN未発表曲を含む、ソロ弾き語りのDISC1とバンド編成でのDISC2、全27曲を収録。

着地点が見えないまま始めたライブ盤プロジェクトでしたが、言うなれば2007年からのソロ活動の10周年に相応しい“ライブベスト”が完成しました(本当は完成までもうちょっとだけど)。ライブ会場などで「初めて山田さんのCDを買うとしたらどれがお薦めですか?」と尋ねられたら「んー、『新しい青の時代』ですかね」と答えていましたが、7月からは胸を張って『DOCUMENT』を指差すことになります。今回のCDは初めてソロ作を出したときと同じようにライブ会場とオフィシャル通販STOREだけでの販売から始めたいと思います(初心に返ります)。ちょっとした“ひと手間”をかけて、山田稔明の『DOCUMENT』を手にしてもらえたら嬉しいです。

今回はライブ盤という性格上、歌詞カードやブックレットをつけません。代わりにハンドメイドZINE『MONOLOG - DOCUMENT edition』を作って、詳しく作品を紐解きたいと思います。CDにはMCは一切収録されませんが、MCだけを集めた音源などがあっても楽しいかもしれませんね。


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山田稔明/DOCUMENT

(2017年7月7日発売:GTHC-0010/税別3,000円 税込3,240円)

収録曲

【 DISC1 -solo acoustic 】
1.blue moon skyline
2.太陽と満月
3.猫町オーケストラ
4.一角獣と新しいホライズン
5.夏の日の幻
6.brand new day, brand new song
7.ホウセンカ
8.memoria
9.小さな巣をつくるように暮らすこと
10.きみは三毛の子
11.calendar song
12.あさってくらいの未来

【 DISC2 -with the band 】
1.どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと
2.home sweet home
3.glenville
4.my favorite badge
5.平凡な毎日の暮らし
6.月あかりのナイトスイミング
7.些細なことのように
8.予感
9.my favorite things
10.ポチの子守唄
11.日向の猫
12.光の葡萄
13.hanalee
14.SING A SONG
15.ハミングバード



produced by 山田稔明

DISC1 mixed & mastered by 手塚雅夫(freewheel)
DISC2 mixed & mastered by 上野洋

Recorded live between February to May 2017

参加ミュージシャン:itoken、安宅浩司、海老沼崇史、五十嵐祐輔、
佐々木真理、立花綾香、上野洋、近藤研二


7月15日 恵比寿天窓switch「夜の科学 vol.52 -夏の記録と記憶」よりライブ会場にて販売
オフィシャル通販STOREでの予約受付を開始しました(7月17日以降のお届けとなります)


オフィシャル通販STOREで『DOCUMENT』を予約注文

  

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2017年06月15日

25年目のレモンヘッズ



一昨日のこと。打ち合わせから戻り自宅スタジオで作業しつつ、ふと手のひらのiPhoneでインスタグラムを眺めていたら「これからイヴァン・ダンドのライブ」という知り合いの投稿に目が点になる。は!?レモンヘッズのイヴァン・ダンドの来日公演!?全然知らなかった、そんなこと。調べてみるとその日の18時半開場、19時半スタートとウェブサイトに書いてある。時計を見たら19時15分、会場は渋谷区代官山。僕はコンピュータをシャットダウンし車に飛び乗り走り出していた。30分後には僕は当日券を買ってライブ会場のフロアにいた。最初の何曲かを見逃したけど、イヴァン・ダンドはずっと慣れ親しんだ歌を次から次に歌っていた。

1993年にレモンヘッズが来日したときのことを忘れない。大学2年生だった僕はなけなしのお金で買ったレモンヘッズとU2とプライマスのチケットが入った封筒を紛失するという失態をおかした。特に人気絶頂だったレモンヘッズを観れなかったのは悲しかった。レモンヘッズのTシャツにまつわる甘酸っぱい思い出も定期的に思い出す。GOMES THE HITMANは当初レモンヘッズのコピーバンドだったし、青春とレモンヘッズは切っても切れない関係だ。四六時中SNSの情報にアクセスできる時代にレモンヘッズ=イヴァン・ダンドの今回の来日公演の情報をどうして事前に手に入れられなかったのか不思議でならないが、とにかく僕は初めて彼の生の歌声を聴くことが叶って嬉しかった。

本当に次から次に、MCらしいMCもなく歌が溢れ出していく。レモンヘッズもソロも、全キャリアを惜しげもなく。「It's a shame about Ray」を早急なテンポで終わらせて、アコギからエレキへ持ち替えて歌われた「Into Your Arms」「Hanna &Gabbi」、またアコギに戻ってプラグを引き抜いて生音での演奏。聴けなかった「My Drug Buddy」と「Down About It」は最初のほうにやったのだろうな。奔放で好き放題、心の準備もできていなかったし、ゆったりと感傷に浸る余韻もすぐに次の曲が押し流していって、気がつけばあっという間の、1時間ちょっとのステージでした。

ソロ弾き語りでの演奏だったけど、バンド編成のレモンヘッズを観たくなったかというとまたそれは別の話で、きっとリズム隊を従えて大きな音で演奏しても、このルーズさや気まぐれさ、スリリングな不安定さは変わることがないのだろうなと感じたから、イヴァン・ダンドが思いのままに歌う歌が聴けてよかったなと思う。ライブへ行き帰りの車のなかでは自分にとっての最重要盤である『It's a shame about Ray』を何回も聴いた(30分にも満たないアルバムなので)。ここに封じ込められたきらめきはまったく色褪せない。気付けば25年が経っている。

ちょっとでも迷ったら行ったほうがいいな。ライブでも映画でもパーティーでも同窓会でも、なんでも。他の何かで埋め合わせることができないことを僕らはもう嫌というほど知っているし、次の機会はたいていやってこない。思いが強ければ瞬間移動に近いことができるということがわかった日でした。


  
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2017年06月11日

4時間続くポップスのパレード

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昨日のこと。ずっと自宅スタジオでライブ盤CDのための作業、30度にもなる快晴の窓の外を恨めしくにらんでいたのだけど、夕方から調子が乗ってきて「to do リスト」のある程度が完了。そそくさと出かけて中央線に乗って夕暮れの高円寺へ。以前にも何度か出演させてもらった“POPS Parade”というイベント(今月末の下北沢ラプソディでもお世話になる)に間に合った。ライブハウスに向かう途中で高円寺散策中の高野寛さんにばったり。高野さんは過去の記憶の中の高円寺との風景の相違に時の流れを感じていたけれど、僕もSALON/by marbletronというスペースがなくなってからは足を運ばなくなってしまった街なので新鮮。

会場には知り合いミュージシャンが多くてたくさんの挨拶を。黒沢秀樹さんに会うのは昨年秋以来か、「元気ですか?」「相変わらずさ」といつものように猫の話など。秀樹さんのステージはリズム隊を伴ったトリオ編成でとても音楽的で、その声とグッドメロディに惹き込まれた。エレキギターを抱えた高野寛さんを呼び込んでのセッションも素晴らしくて、いくつものディケイドを経て蘇るL⇔R楽曲にしびれました。

3月の蔵前以来で触れる高野さんの弾き語りは、天井の高いライブハウスの照明の下では神々しささえ感じられて、「夜の海を走って月を見た」は青い夜空を背景に歌が響きました。「風をあつめて」や「Coffee Milk Crazy」等、レアなカバーを交えながら、最後に歌われた「確かな光」に感動。約4時間、良質な音楽が流れ続ける良いイベントでした。

終演後、機材やガジェットの話で盛り上がる秀樹さんと高野さんを眺めながら、お二人とも尊敬する大先輩だけれど、永遠のロック少年の姿をそこに見た夜でした。  
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2017年06月05日

最高の瞬間はだいたい近未来|Megumi Nakajima Live 2017 “Love for you”



昨日のこと、ひと仕事終わらせて出かけて品川まで。中島愛さんのワンマンライブ「Love for you」を観にいった。昨年12月に歌手活動再開の報、今年2月にシングルリリース、そして昨日の3年ぶりのステージと、この半年の締めくくりのような祝祭ムードたっぷりのステラボール。活動再開第一弾の『ワタシノセカイ』のカップリング曲として作詞を担当した「最高の瞬間」をライブで目撃するのを楽しみにしていました。入場時に関係者に配られるセットリストに気づかないままワクワクしながら開演を待ったので、オープニング曲がその「最高の瞬間」だったときにわー!っと盛り上がって、鳥肌が立ったことをきっとしばらく僕は忘れない。

2012年に書いた「金色〜君を好きになってよかった」がライブを締めくくる曲だとしたら、ステージ序盤に「時は来た!」と高らかに歌えるような曲を、というリクエストを受けて書いた「最高の瞬間」だったので、半年後にこうやって実際にライブをキックスタートする役割りに加担している言葉たちが誇らしい。「フレー!」っという、この曲のデモを聴いたときに一番に浮かんだフレーズを会場を埋め尽くしたファンの皆さんが声を揃えるところでちょっと泣いて、フロアで波打つペンライトやサイリュームの光が滲んだのでした。まめぐちゃんは本当に楽しそうに歌っていて、歌も抜群によくて、すっと声が突き抜けていて素晴らしかった。自身のキャリアを総括するようなセットリストも再始動宣誓という感じでよかった。良い曲ばかり。昨日のライブを一番楽しんでいたのはまめぐちゃんだったのではないでしょうか。

最初のアンコールを締めくくったのは「金色〜君を好きになってよかった」。この曲の歌詞を書いたのはもう随分昔のこと。作曲者である菅野よう子さんの頭のなかではすでに「金色」という言葉とメロディが確定していて、僕はそれを青春の光の色だと感じて言葉を連ねたのです。昨日のライブではこの歌が始まると客席フロアは一面に金色の光が。まるで芳醇な麦畑に涼風が吹いているように見えました。「君を好きになってよかった」というフレーズにクロスする箇所をお客さんたちが合唱してサポートするところでまた感涙。作詞家としてこの上ない幸せでした。もはや照明担当とも呼べる、抑揚の効いた素晴らしいお客さんたちも昨日のライブ大成功の立役者だったと思います。

最高の瞬間はまだまだこんなものじゃなくて、もっとすごいやつが少し先の未来に待ち構えている、というのが「最高の瞬間」なわけで、昨日のステージを見て中島愛さんの新しく始まった物語のこれからがとても楽しみになりました。まめぐちゃん、お誕生日おめでとうございます。「フレー!」と声援を送り続けたいと思います。


  
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2017年06月03日

PLECTRUM レコ発ライブ @ 下北沢 CLUB Que|13年ぶりのアルバムリリースに寄せて



昨日のこと。安宅くんと綾香との作業を終えて下北沢へ急ぐ。盟友PLECTRUMのレコ発ライブ。最初の数曲を聴き逃したが(僕の好きな「BUFFALO」はそこでやったのかな)、2時間半におよぶライブをたっぷり楽しんだ。2000年に知り合って、切磋琢磨して励ましあい意識しあってきた仲間たちがどうにかこうにか足踏みをやめないで、時間をかけて足を一歩先に踏み出すシーンを目のあたりにするのは本当に嬉しいことだ。PLECTRUMにはカフェライブが似合わない。ライブハウスが一番いい。

ボーカルのタイちゃんはいつの間にかパワーポップ界の重鎮と呼ばれるようになりプロデュースや諸々の活動の幅を広げて、GOMES THE HITMANの一番タフな時期をギターで支えてくれたアッキーは八面六臂のスタープレイヤーになった。海千山千、百戦錬磨、経験とキャリアを積んで十余年歩いてきたはずの彼らなのに、バンドとしてステージに登ると昔と変わらずに混沌としたり、わちゃわちゃしたり、空回りしたりするのが面白かった。バンドってそうだよなあ、と感動する。良い意味で成熟しないのだ。ニコニコしてしまった。嬉しくなった。素晴らしい夜でした。13年ぶりのアルバム発売おめでとう。また対バンしたいな。

先月、5月25日下北沢leteでのカバー&提供楽曲ナイトで歌ったPLECTRUMカバー「BOOKEND」ライブ音源を公開、そして彼らのニューアルバム『The Life Romantic』発売に寄せたコメントを下記に転載します。





PLECTRUM『The Life Romantic』に寄せて

PLECTRUMは盟友でありライバルだ、とずっと思っている。
思い悩んで停滞しているときには背中を叩いてはっぱをかけるし、
調子に乗ったすごいライブを目撃した夜にはやっぱり嫉妬してしまう。
かれこれ15年くらいずっとそうやって、付かず離れず刺激し合ってきた彼らが
満を持して気持ち良いくらい突き抜けた素晴らしいアルバムを届けてくれて、
もはや嫉妬を超えて自分のことのように嬉しく思っている2017年初夏の日。
どっちが長く続けられるか競争しよう。いつまでも自分たちらしく。

山田稔明(GOMES THE HITMAN)


  
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2017年05月19日

アルバム『home sweet home』リリースから今日で7年|未発表デモを公開しました

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あっという間に時間が経ってしまうものです。あるいは、気が遠くなるような時間が経ったと思ってもまだそんなものか…と戸惑ってしまうこともあります。2010年の今日、5月19日は2ndソロアルバム『home sweet home』の発売日でした。今日で7年。まだ7年か、と感じてしまうのは、このアルバムは2007年くらいから制作が始まって完成までにとても時間のかかったレコードだからかもしれない。『home sweet home』は“10年前の自分”という印象があります(上の写真は2010年当時の写真です)。ひとりで作り始めて、そこにイトケンさん、安宅くん、真里さんが音を足してくれて、五十嵐くんも1曲ギターを弾いてくれました。そして共同プロデューサーのYAMACHIさんとエンジニア手塚さんが最後までまとめてくれてようやく完成した2枚目のソロアルバムは自分のキャリアにとってなくてはならない通過点でした。

こないだ久しぶりにバンド編成で『home sweet home』楽曲を演奏して、自分の音楽の雛形だなあと感慨深く思ったところだったので、この7年という時間にいろいろ思いを馳せているところです。たまに物販にデッドストックが並んだりしますが、現在入手しにくい盤になってしまって申し訳なく思っています。近いうちにどうにかしたい。リリースから7年を記念して、未発表デモテイクを公開します。すべて2007年に僕一人で録ったデモ、10年モノですね。「home sweet home」はこのデモのボーカルテイクが本番でも採用されました。何度トライしてもこのうら寂しい雰囲気が再現できなかったのです。「hanalee」はウクレレを買って練習し始めて、それがきっかけできた歌なのでウクレレから始まります。線が細くて頼りないですが、当時の自分の心境が蘇る好きなテイクです。「glenville」もこのまま出してもいいと思うくらい気に入っていた2007年デモ。1分27秒くらいのところでポチの声が聞こえますね。ここに安宅くんのペダルスティールが加わって、イトケンさんのドラムが塗り替えてくれました。とにかくこの頃は鍵盤ハーモニカばっかり吹いていました。

あわせて、リリースの2年前2008年に「歓びの歌」を加古川チャッツワースで初披露したときの音源も。皆さんの『home sweet home』思い出話も聞かせてもらえたらうれしいです。












山田稔明/home sweet home(楽天ブックス)
山田稔明/home sweet home(Amazon)
  
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2017年05月11日

毒蝮三太夫とデヴェンデラ・バンハート



連休明けの月曜日のこと。地元にあるココナッツディスク吉祥寺に毒蝮三太夫さんが来る!ということで、勇んで出かけた。TBSラジオの朝の定番『ミュージックプレゼント』はコーナー開始から48年となる長寿番組。前回マムシさんを観に武蔵境のドラッグストアへ行ったのは前の家に住んでいたときだからもう6年も前になるが、齢80を越えてももまむしさんは元気でおしゃれ、機知に富んで快活、気持ちいいくらいまむしさんだった。いつものココ吉の風景のなかに老若男女が集う様子はとても不思議で面白かった。リハーサルをスタッフの人が盛り上げて、本番を爆笑のなかで駆け抜けて、オンエアが終わった後も何十分もおしゃべりと客いじりをするまむしさん。それはまるでインストアライブみたいなだったな。最初から最後まで名言至言しかなかった。力をもらいました。

昨日は夜になってビルボードライブ東京まで出かけてデヴェンドラ・バンハートのライブを初めて観た。ずいぶん昔から彼のレコードを聴いているが、夢のような迷路のような、目くらましの煙幕のような不可思議なベールがぱっと晴れて、とてもリアルに肉感的に歌が響いてきて感動した。小さな音ですべての楽器の音が粒立ったバンドも素晴らしかった。英米の雰囲気とはちょっと違う、独特のエスニシティがあり、アーランド・オイエなんかに近い印象があった。もっと遡ってティラノザウルス・レックスみたいな祝祭ムードも感じて、ステージを体験した後で帰り道にカーステレオで聴いたCD音源が全然違うふうに聞こえてびっくりしました。

まむしさんとデヴェンドラ・バンハートを目撃して思うのは、やっぱりライブって最高だな、ということだ。  
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2017年05月09日

佐賀県基山町PRソングを作りました|「言葉に感情を、心に感動を」

故郷である佐賀県基山町(出生地である「鳥栖」の隣町です)のPRソングを作りました。昨年夏に依頼を受けて、秋の帰郷ライブで初披露した曲を、この春にレコーディングしました。キーボードの佐々木真里さんに鍵盤と編曲を手伝ってもらって、エンジニアの手塚雅夫さんにミックスしていただき、素晴らしい仕上がりになったと思います。「ただいま」「おかえり」などのいくつかのキーワードの他にはなんの制約もなく、CMソングやノベルティソングのような歌ではなくて、あくまでも「山田稔明」的な楽曲を、という嬉しいリクエストがあり、伸び伸びと楽しんで制作することができました。

基山町という町は観光地があるわけでもなく、福岡や久留米、鳥栖のベッドタウンとして知られる人口1万7千人ほどの小さな町です。昨年の春に新しい図書館ができたときに開館記念イベントとして漫画『キングダム』作者の原泰久さん(高校の2つ後輩なのです)とトークショーに呼ばれたときも嬉しかったけど、今回このように生業である音楽で貢献することができてとても光栄。音楽がやりたくて18歳で抜け出した町に、こんなふうに音楽を持って帰れることが感慨深いです。

「言葉に感情を、心に感動を」というタイトルを付けました。故郷のことを思って作ったので少し照れくさい言葉も素直に綴れたような気がして、自分でも気に入っています。この完成音源を聴いた担当氏は心から感動して喜んでくれて、さっそく写真のスライドショーを作って動画公開するくらいに盛り上がってくれました(音源完成したの3日前なのに!)。昨年秋の基山でのライブ風景も収められています。今後この歌に僕の同級生が映像をつけたりするそうで、いろんなところでささやかに響く歌になって、たくさんの人に共有されたらいいなと思います。また基山へも歌いにいきたいな。7月にはまず福岡でのライブが決定しているので近いうちにお知らせできるかと。新緑の季節に似合う歌、ぜひ聴いてみてください。



*楽曲使用に関しては 基山フューチャーセンターラボ(info@kiyamalab.jp)まで許諾申請をおこなって下さい

  
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2017年05月06日

2017年のポール・マッカートニー

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これも1週間と少し前のこと、東京ドームにポール・マッカートニー来日公演『ONE ON ONE』を観にいった。僕は12月8日生まれなので、その日に死んでしまったジョンの音楽を運命的なものだと思って思春期に真剣に聴きこんだし、どちらかというとジョン派を気取っていたから、ポールが何度来日しても「まあ、そりゃ観にいったら感動するに決まってるけどさー」と一度も足を運んだことがなかった。それなのに今回、昨年大晦日の紅白でのポール来日の報を受けて「観てみたい」という気持ちが湧き上がったのはなぜだったのだろうか。とにかく初めてポール・マッカートニーを観にいく決意をした。

僕が真っ先に連絡したのは杉真理さんだった。僕にとってビートルズといえば杉さんなのだ。「今回のはどうするか迷ってたけど、山田くんが観にいくって聞いて僕も観たくなっちゃったな」と一緒にチケットを取ってくださった。果たして僕は初めてのポール・マッカートニーを杉さんと並んで観ることになったのでした。一昨年テイラー・スウィフトを観た以来の東京ドーム。会場付近の熱気よ。様々なコスプレのファンの姿も微笑ましく、やっぱりスタジアムライブは特別な高揚感がある。僕もどんどん中学生の頃の自分に戻っていく。90分テープのA面に『REVOLVER』、B面に『HELP!』をダビングしたテープは今でも手の届くところにある。

ステージ中央、10列目という素晴らしい場所から目撃したポール・マッカートニーはまさに音楽の歴史だった。「ハード・デイズ・ナイト」から始まって39曲、僕は一度も椅子に座ることなく2時間45分を夢中で過ごした。観客側にもそれぞれの想いと思い出とドラマがあって、それぞれの楽しみ方で音楽を浴びている。自分より年上の観客、おじさんおばさんたちがロックンロールに熱狂する姿を見るのはなんだか嬉しい(僕の席の周辺は自分が最年少のように感じた)。小さな頃から慣れ親しんだビートルズナンバーにあわせて歌いながら(次の日のライブに影響のないように…)ふと隣を見ると杉さんもシンガロングしていて、その風景も含めて、大げさではなくて、一生の思い出に残る音楽体験だなあと感動しました。観にいってよかったな。

ポールは僕の父親と同い年。超人のようなポールの勇姿を観て、まだまだ親父もロックできるやろ!と思いました。


  
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2017年04月05日

天使たちの嵐のあと|吉祥寺でHARRYインストアライブを観た



先々週だったか、HMV record shop吉祥寺コピスのオープン前の内覧会に参加させてもらって、そのときに僕の目を釘付けにしたのは店内に貼られた「HARRY インストアライブ決定!」の文字だった。僕が高1のときに初めて組んだバンドはストリート・スライダーズのコピーバンドだったから、その名は僕の脳裏からは消えることがない。僕らが組んだバンドの名は「Empty Heart」、これもスライダーズの(正確にはHARRYと蘭丸のJOY POPSの)曲名からの引用だった。知り合いのHMVスタッフの方に「本当にHARRYが吉祥寺で歌うんですか!」と問い詰めると「こないだ渋谷HMVでもやったんですが、HARRYがスライダーズを4曲歌ったんですよ…」と息を飲んで言うのだ。わなわなと震える僕。

そしてHMV record shopコピス吉祥寺はオープンし、HARRYインストアライブの日がついにやってきた。その日僕は南青山ビリケンギャラリーでのライブだったのだけど、万難を排して開始時間にお店へ。びっくりするくらいたくさんのお客さん。やっぱりHARRYの歌を三多摩地区で聴くというのは特別な体験なのだ。僕が最後にスライダーズのライブに行ったのは中学生、高校1年のころだっただろうか。30年近くぶりということになる。ステージの方向へ進むと知った顔、は!元フィッシュマンズのギタリスト小嶋さんだ。こないだ西荻ラバーズフェスに続いてここでもばったり。「来てると思ったよ」と言われた理由は、小嶋さんと一緒になったイベントで僕がスライダーズの「Angel Duster」を歌って会場内が大合唱になってスライダーズ話で盛り上がったからだ。小嶋さんと並んでHARRYの登場を待つ。小嶋さんに「佐藤さんもスライダーズ好きだったんですか?」と訊くと「一緒にコピーバンドやってたよ。あいつはドラムだった」と胸が熱くなるエピソード。

そしてついにHARRYが登場。昼の3時なのに第一声が「ドーモ、コンバンワー」で最高。「ありったけのコイン」が始まって泣きそうになる。うっすらと至るところからシンガロングが聞こえる。全部歌えるよね。続いて「PANORAMA」、これは僕のなかでは後期スライダーズの範疇の、意外な選曲だった。そして続く「Midnight Sun」は僕がフォローアップできていないHARRYソロの楽曲だったのだけど、これがとても良かった。大人のブルースだった。本編最後は「BUN BUN」、1986年『天使たち』のなかの軽快なロックチューン。僕にとって最初のスライダーズ体験はこの『天使たち』というアルバムだったから、アンコールで「嵐のあと」を聴いてしみじみと感慨にふけったのでした。4曲30分、現在と過去を行き来するような不思議な時間だった。

興奮冷めやらぬ熱を冷ますために小嶋さんと賑わう吉祥寺のカフェでお茶。僕ら(僕と当時の同級生たち)はスライダーズを相当背伸びして聴いていたのかもしれないなあとリアルタイム世代の思い出話を聞きながら30年前を振り返った。2年前蘭丸(土屋公平さん)にお会いすることができて、そのときはブルブル震えながらサインをいただいた。この日HARRYのサイン会に並ぶことができなかったのはきっと僕が中学生みたいな爪先立った気分になったからだ。スライダーズの歌を聴いていつも思い出すのは、初めて組んだバンドでオリジナル曲を作ろうという話になったときのことで、ボーカリストが(そのバンドで僕はギタリストだった)「外は雨/オレは風/ブラックジーンズを履いてる」という歌い出しを書いてきて、そのHARRY文法を模倣したフレーズをみんなでバカにして笑った放課後のこと。小嶋さんが「あの頃ペイズリー柄のシャツは基本」「HARRYが履いてるようなブラックジーンズなんて田舎じゃ売ってなかったよ」と言ったときに、またこの「外は雨/オレは風/ブラックジーンズを履いてる」を思い出した。きっと忘れることはないだろうな。

その日からずっと家でスライダーズを一日一枚ずつ聴いている。  
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2017年03月19日

Frankie Cosmos、その調和の取れた宇宙



楽しみにしていたフランキーコスモスの来日公演、下北沢BASEMENT BARと渋谷O-nestの2公演を観た。昨年偶然SNSで存在を知って(中心人物グレタ・クラインの透き通るような容姿に惹かれたのだ)『Zentropy』というCD作品に触れた。愛犬JOEJOEが亡くなった翌日に書かれた曲を中心に構成されたというそのアルバムは全10曲で17分。その後すぐに出た新作『Next Thing』も素晴らしく、その年の個人的ベスト3に入るレコードになった。そんなふうに好きになったインディペンデントで活動するバンドを東京で観ることができるなんてすごいことだ。彼女たちを招聘したりお世話をしたりしたスタッフや仲間たちのおかげだ。心から感謝したい。

フランキーコスモスのステージはとにかく楽しい時間だった。初日の下北沢では共演のワイズリー・ブラザーズをプロデュースしている片寄さんにも会えて嬉しかった。共演者も多かったのにフランキーコスモスは新曲を含むたくさんの曲を演奏してくれて驚いたのだけど、関西から戻ってきて渋谷ではさらに曲数が増えて(30曲くらいか?)多分ありったけの持ち曲を鳴らして来日ツアーを終えた。バンドの演奏もグレタの歌も素晴らしく、いわゆる「ヘタウマ」みたいなものでは全然ない。抑揚が効いて、絶妙のバランスで調和の取れたパーフェクトなバンドでした。物販をメンバー自らやっていたり、サインや写真にも気さくに応えて、インディーポップの鑑のようで、ますます好きになった。丸坊主になっても可憐なグレタの顔の小ささと透明感に何度も溜息をつきました。

  
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2017年03月09日

「ひそやかな魔法」から6年

2011年の東日本大震災からもうすぐ6年になるが、僕の「ひそやかな魔法」という曲がiTunesはじめとする音楽配信サイトでリリースされたのが6年前の今日だ。これはささやかな映画のエンディングテーマだったのが、震災の影響で映画公開が短期間で終了してしまいプロモーションも尻すぼみになった不遇な1曲で、いろんな意味で忘れられない歌になった。もともとは「星降る街」を映画で使用したいという提案があったのだけど、紆余曲折あって書き下ろすことになって、個人的には「星降る街 part 2」を作るつもりで書いた。

この「ひそやかな魔法」はその後「あさってくらいの未来」へと昇華することになり、なかなかこの歌を演奏する機会は少ないのだけど、あらためて時が経って聴いてみると、心のこもった良い曲だなあと感じる。歌詞も丁寧に書けているし、この当時で一番いいサウンドプロダクションを経て完成しているなあ、と思いました。節電で真っ暗な東京の街とか、計画停電とか、いろんなことを思い出します。6周年記念で歌詞とともにここに。

iTunes store等で購入できます




ひそやかな魔法 / 山田稔明


あかり取りの窓から手を伸ばす
その先になにがあるのだろう
君は知らない 僕にも見えない
誰にもつかめない流れ星

青い鳥は僕らの目の前で
いつになれば歌を歌うんだろう
何も知らない子供のままで
笑っていられたら

そして僕らは合い言葉を決めて
最終電車で待ち合わせて
真っ暗闇を手のなるほうへ
ふたつの影が柔らかに溶けてゆく
星降る夜の ひそやかな魔法


朝がくれば夢が覚めることも
春になれば花が芽吹くのも
僕は知ってる 君にもわかってる
この愛すべき日々

やがて僕らはありふれた理由で
会いたいときに会えなくなって
物語巻き戻すように
思いのたけを ひとつずつ並べてく
神様、僕に 最後の魔法


そして僕らは合い言葉を決めて
指切りして鍵をかけて
そっと答えを確かめるように
曇る窓に 街の灯が溶けてゆく
星降る夜の ひそやかな魔法


toshiaki yamada 2011.03.09  
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2017年02月16日

続・私とR.E.M.|ICE STATION公演を観終えて



ICE STATION公演から1週間が経った。去年からずっと楽しみにしていていたイベントだったから終わってしまって一抹の寂しさもあるけれど、まるで夢みたいな3日間をずっとふわふわニヤニヤしながら過ごすことができて、その余韻がまだ続いている。京都公演の次の日、青山タンバリンギャラリーでのパーティーでR.E.M.のマイク・ミルズとピーター・バックに会うことが叶った。2005年の来日公演、名古屋で出待ちしたときは「すぐそばで見た!」という感覚だったけれど、今回は目を見て(興奮してあわあわしちゃったけど)話すことができたのです。そして実に12年越しでついに僕はR.E.M.の3人との2ショット写真をコンプリート(2005年のマイケルと撮った写真はずっと僕のTwitterのアイコンになっている)。

いろんな映像とかエピソードから“饒舌だけどクール”という勝手な印象を抱いていたピーターは、実際はとてもジェントルで穏やかで話をちゃんと聞いてくれて、これまで以上に大好きになったし、ピーターが関わっている音源(ソロも含めて)をもっとちゃんと聴こうと思いました。自分のCD『新しい青の時代』を渡しながら「New Blue Periodという意味です」と説明したら「うんうん」と頷いてくれた。ピーターが演奏に参加していない「Nightswimming」にインスパイアされた「月あかりのナイトスイミング」を、いつか聴いてくれる日がくるだろうか。

マイクは思ったとおりのマイクだった。朗らかで優しくて大きい。僕は「最初に謝らないといけないことが…」と前置きして、R.E.M.1988年の『GREEN』というアルバムのアートワークを完璧にコピーした“オマージュ”である『緑の時代』を渡すと、大笑いしてウケてくれて「トシアキ、トシアキ」と何度も僕の名前を呼んでくれた(ジャケットに書いてあるから、TOSHIAKI YAMADAって)。隣にいたピーターに「これ、見てみー、最高だよ」みたいな感じでブックレットを指差して二人が仲良く話す姿も見れて感無量だったな。ちゃんと最大級の感謝も伝えられました。



1987年からずっと、今年で30年ずっと自分のアイドルである彼らとこんなふうに時間を共有できたことがものすごく嬉しかったし、2人に会って、おかしな話だけど、マイケル・スタイプの不在、あるいは逆説的な存在感みたいなものがムクムクと膨らんでいった。R.E.M.には簡単に再結成やライブはして欲しくないと思っていたけれど、ピーターの演奏中のしおらしい姿を見て思いを新たにしたのは(マイクはリラックスして楽しそうだったけど)またいつの日かR.E.M.で大きなステージをロックして駆け回ってほしいなということだった。2日間のステージを観終えて、これから先の未来のことを考え始めている。

それぞれのキャリアの代表曲、連綿と続くパワーポップの系譜を感じさせるカバーをはじめ、MINUS5、THE BASEBALL PROJECTというサイドプロジェクトの楽曲の魅力も再発見させられたライブでしたが、やっぱり「SUPERMAN」「(DON'T GO BACK TO)ROCKVILLE」とR.E.M.のレパートリーが演奏されたときはいっそう心が弾んだ。このときめきが音楽の力なのだと確信しました。

きっとみんなに呆れられるくらい、3日間でサインをたくさんもらって、一緒にいっぱい写真も撮ってもらった。こんなに笑ってる自分の写真はあんまり見たことがない。本当に中学生に戻ったみたいな感覚でした。アメリカオルタナ重鎮の音楽家たちはみんな揃って優しかったな。YOUNG FRESH FELLOWS、MINUS5、そしてR.E.M.を支えるサブメンバーであるスコット・マッコーイはこのスペシャルバンドをまとめる要として陽性のオーラをまとっていたし、FASTBACKSのカート・ブロックは観る者すべてを笑顔にさせたのではないでしょうか。DREAM SYNDICATEのスティーブ・ウィンは歌もギターも力漲ってそのコンスタントな活動の充実ぶりを見せつけ、紅一点リンダ・ピットモンのドラムとコーラスはとても可憐で力強かった。今回初めて知ったグリーンランドのバンド「ナヌーク」もDEATH CAB FOR CUTIEとシガー・ロスをかけ合わせたようなサウンドでエモーショナルで見応えがあったし、こういう貴重な公演を堪能することができて本当に幸せでした。

マイクとピーターと一緒に撮った写真では(ライターの和田さんが撮ってくれた)僕は言うなればマイケル・スタイプの位置に立っているわけで、もう気持ちが高まりすぎて顔がくしゃくしゃだ。マイクがピーターを呼んで「これ見てみー」と僕の『緑の時代』のブックレットを広げて笑っていて、『新しい青の時代』を持ったピーターが「やっちゃったな!You did it!」と言っている瞬間。1987年に出会って以来R.E.M.が一番好きなバンドだったけど30年経ってもっと好きになるなんてな。あれから1週間、僕はほぼ毎日レコード屋通いをして、またせっせと関連するレコードを集めまくっているところです。好きなものを好きでい続けると良いこととか嬉しいことばかりが返ってくる。これからも「好き」を続けたいと思う。音楽って本当に素晴らしいものですね。

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2005年にマイケル・スタイプと撮った写真。また歌う姿を観たいと思った2017年の春。

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2017年01月08日

有頂天 LIVE NIETZSCHE’S POP|六本木の夜景とカフカとニーチェ



昨日のこと、夜になって出かけてビルボードライブ東京で有頂天のライブを観た。昨年末に出た2枚組のアルバム『カフカズ・ロック/ニーチェズ・ポップ』がとても良くて、そのディスク1とディスク2を分けた1stセットと2ndセットのどちらに行くか悩んだのだけど、個人的に好きな歌の多かった“ニーチェ”サイドの夜遅い部を選んだ。全員揃いの衣装、髪の毛を立てたKERAさんがステージに現れたときはやはり「わああ」とテンションが上った。KERAさんの姿はTHE CUREのロバスミを彷彿とさせるレジェンド感があったけど、演奏が始まるとドタバタと荒々しくやんちゃで尖っていて、ニューウェーブというのは良い意味で成熟しないジャンルなのだなと思った。昔は苦手だったTALKING HEADSの音楽が歳を取るにつれてどんどん耳に馴染んで楽しめるようになった僕には2017年に有頂天がステージで鳴らす歌が極めてポップに響きました。

有頂天を初めて聴いたのは小学生の終わりの頃だ。死ね死ね団というバンドと同じカセットに入れて聴いていた。「インディーズ」といういうものを初めて認識(その正誤はどうあれ)した時であり、「東京」ではこういうのが流行っていると遠い彼の地に憧れ始めるタイミングだったかもしれない。昨晩は最後の曲でステージ後方の幕が開いて六本木の夜景やスケートリンクを背景に有頂天を聴いた。こんな夜が30年後に待っているなんて小学生だったトシアキ少年は夢にも思わなかっただろう。

  
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2017年01月01日

2016年ベストいろいろ

あけましておめでとうございます。本当なら昨日までに2016年のことをいろいろ締めくくりたかったのですがライブ後記などいろいろ追いついていないものがあるので、今日中に全部書いてしまいたいと思います。2016年は良いことも悪いこともたくさんあって、それでも自分にとっては良いことのほうが多い充実した年でした。音楽と猫を中心に2016年も明けて暮れました(2015年もそうだったし2017年もそうなるのでしょう)。ご近所の近藤研二さん宅での恒例の紅白鍋、年越しをして今朝は抜けるような青空で気持ちがいいです。





2016年もたくさんの素晴らしい音楽に刺激を受けました。10選を選ぶのが難しい。デヴィッド・ボウイ、WILCO、ポール・サイモン、メタリカなど選からもれても愛聴したものがたくさんあった。第一位と僅差で第二位はFrankie Cosmosでした。その拙さと可愛らしさの虜に。今年のベストニューカマー。3位から10位は順不同です。Weezerの新譜にはキャリアを積んでもファーストアルバムのようなフレッシュさがあり夏のBGMになりました。イギー・ポップの新譜は巨星が次々に堕ちていくなかで希望の光のような力強さでした。オッカーヴィル・リヴァーの新作にも感動した。闇の中から光を掬い取るような歌がそこにあった。

そして個人的今年のベストディスク第一位はコナー・オバーストの『RUMINATIONS』。ここ10年で間違いなく僕が一番熱心に聴いている詩人の新作は弾き語り一発録りの極めてシンプルなアルバムでしたが、今作もその詩世界に唸りながら浸った。折に触れて何度でも言うが21世紀のボブ・ディランは彼である。

<2016年良かった音楽10選>

Conor Oberst『RUMINATIONS』
Frankie Cosmos『Next Thing』
Okkervil River『AWAY』
Weezer『Weezer (White Album)』
Andy Shauf『THE PARTY』
Iggy Pop『POST POP DEPRESSION』
Lisa Hannigan『At Swim』
John Cunningham『Fell』
Goon Sax『Up to Anything』
O.S.T『SING STREET』



今年は映画館で観る機会が少なくて残念だった。劇場まで行って観た映画は全部良かったが、特に良かったのは『この世界の片隅に』と『シング・ストリート』(『シング・ストリート』はサントラも最高)。『オデッセイ』も『シン・ゴジラ』ももちろん楽しかったが、なぜか妙に印象的に脳裏に残るのは1月に見た『ひつじ村の兄弟』という静かなアイスランド映画のこと。

小林聡美さんが出た舞台『あの大鴉、さえも』は不思議な不条理劇で今でも爪痕のようなものが胸に消えない。ケラリーノ・サンドロヴィッチ台本演出の『キネマと恋人』は自分のなかの“演劇革命”が起きる衝撃、2回観にいったがもう一回見たいほど。2017年もたくさんのエンターテインメントに出会いたい。去年よりもっと今年よ面白くなれ、と願います。  
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2016年09月24日

高橋徹也を観て、わからなくなってきました



宮沢章夫氏の著作に『わからなくなってきました』という本がある。例えば9回裏4点負けているチームが二死満塁の状態になったりするときに実況アナウンサーが言う「これはわからなくなってきました!」の「わからなくなってきました」とは、何だ?と考察するのが表題エッセイだが、高橋徹也の昨日の20周年ライブを観ていて、その歌のなかで主人公や登場人物は何度も「わからなくなって」しまう。何度も、何度も。そして観ているこちら側も同じ視点と感覚に立って現在位置がわからなくなる。2時間強のステージの間ずっと僕はここがどこだか、それが何のことだか、この人は何を言っているのかがわからなくなっていき、しかしその彷徨はとても開放的で気持ちよく、一言で言えば最高な音楽体験だった。

僕は作家として自分のことを我慢強い観察者だと思っているが、高橋徹也は僕が知るなかで一番のストーリーテラーだ。「ますますあなたのことがわからなくなってきました」と彼に告げれば「シュー(Sure=当然だ)」と、あの歌の冒頭のように不穏に答えるだろう。

デビュー20周年おめでとうございます。どんどん面白くなってください。




2016年10月23日(日)@ 下北沢 mona records 2F おんがく食堂
aalto coffee × mona records 「コーヒーと音楽」

18:30開場 19:15開演/前売¥3000 当日¥3500+1drink(¥500)
出演:山田稔明、高橋徹也
*モナレコードにて予約を受付中、残席わずかです!
ご予約はこちら

mona records(http://www.mona-records.com/
〒155-0031世田谷区北沢2-13-5 伊奈ビル2F&3F
TEL: 03-5787-3326  
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2016年08月03日

同い年の渋谷PARCOが|昭和の混沌と楽しいナンセンス、No Lie-Sense公演



昨日のこと、高野さんのライブの刺激がまだ残っていて、夕方までずっとソングライティング作業。新しい言葉は新しいメロディを呼ぶ。夕方から出かけて渋谷へ。渋谷PARCOが建替えのために今月閉館するのにあわせて行なわれている「SHIBUYA, Last Dance_」を見る。渋谷PARCOができたのは1973年、僕と同い年だ。個人的にも渋谷のランドマークであり、車で出かけるときはいつもPARCOの駐車場に停めることになっているから、これから2019年のリニューアルまでこの場所が「ない」ということがあまり想像できない。展示では小沢健二氏の文章が掲げられていて、そのなかで「渋谷PARCOにある手相と占いの店」のことが触れられていた。愛猫ポチが死んでしまった夏、ふらふらと幽霊のように渋谷をさまよい、気付いたらまさしくその占いのブースで占い師の話を聞いていたことを思い出す(そこで告げられた不思議な啓示については改めて文章にしたいと思っています)。街は変わっていくが変わらないものも「ある」。

そのあと、鈴木慶一さんとKERAさんのNo Lie-Senseのライブを観た。ドラムはイトケンさん。渋谷PARCOの43年の風景のことを考えた後で聴くその音楽は奇しくもそれより10余年さかのぼった昭和をモチーフにした、喧騒、高揚感と楽しいナンセンスが詰まったお芝居のようなステージだった。高度経済成長を音であらわしたような混沌。「人間なんてラララ生まれて死ぬだけさ」と始まったアンコール、「ALWAYS LOOK ON THE BRIGHT SIDE OF LIFE」日本語カバー。渋谷までの電車のなかでの佐野洋子さんの『死ぬ気まんまん』について(小林聡美さんの『読まされ図書館』のなかの章)読んで思ったことと通じるところがあって、とても印象に残った。終演後、KERAさんに猫のおもちゃを渡せて感無量。

とても「渋谷」な一日。会場で会った近藤研二さんと猫の話をしながら帰宅。  
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2016年08月02日

みずいろの音楽 - selected by toshiakiyamada



昨晩、というか今朝早くにJFN系全国31局で放送の「Memories & Discoveries」のなかで僕が選曲した30分間のプレイリストがオンエアされました。リアルタイムで聴きたかったんだけど気付いたら朝の6時だった。“みずいろの音楽” というテーマで選びました。宵っ張りな人、眠れなかった人、早起きな誰かが偶然聴いてリズムを取ってくれたりしていたら嬉しいな。学生時代に好んで聴いていた曲が多く含まれる青春サウンドトラック。あわせて僕のコメントとディレクターさんセレクトで『pale/みずいろの時代』から「セレナーデ」が流れました。WEB上再現を下記に。


“みずいろの音楽”

1.There She Goes/The La's
2.Cemetry Gates/The Smiths
3.He Doesn't Love You Like I Do/Nick Heyward
4.The Girl Who Waves At Trains/The Lilac Time
5.Sea Horses/Blueboy
6.My Motorhome/Blissful
7.Pale Blue Eyes/The Velvet Underground
8.A Whiter Shade of Pale/Procol Harum



8月31日の下北沢lete公演はチケット完売となりました。ありがとうございました。  
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2016年08月01日

高野寛 “new songs” LIVEを目撃



昨日のこと。投票を済ませてから、高野寛さんのライブ「new songs」を観に原宿まで出かけた。前日が緒川たまきさんとのイベント、そして高野さんのライブ、夢見心地のソリトンSIDE-B的な週末でした。高野さんがこの春からクリエイターサイト「note」で始めた「MEMORANDUM」という名の音のメモ帳で発表した“新曲”を中心にしたライブ。“新曲”とカッコつきで書いたのは思い返されたり発掘されたりした「過去に書かれた未発表曲たち」を2016年に洗いだしたものだからで、これは僕が7月に出した『pale/みずいろの時代』と通ずる性質を持つ。3月に蔵前NAOTで共演したときに交わした会話のなかで、過去の自分が作ったものを今の自分が手をつけることに関して、高野さんは「今の自分が歌えばそれは新曲」とポジティブに肯定し、僕の意識もそれを機にシフトして『pale/みずいろの時代』はあるべき形に昇華した、と思っている。「美しい星」のなかでも歌われるが「三年も経たないで全部生まれ変わる」われわれの体の細胞のことを考えたら過去の自分と現在の自分は確実に、違う。

会場のVACANTは満員で盛況。高野さんのフルサイズのライブを観るのはとても久しぶりで(日本橋三井ホール以来)、シンプルな弾き語り、声の艶やかさや伸びが印象的だった。新曲で構成されるがゆえの緊張感もほどよく緩急があり、曲解説も丁寧で興味深い。PCでバックトラックを流して歌うシーンでは先週観たWILCOのパット・サンソンにも似た風情、雰囲気があった。気づけばあっという間のステージ、自分も新しい曲を書きたくてうずうずするような感覚があって、降ってきたいくつかの言葉をiPhoneのメモに書き記して帰路、早速カーステレオで鳴らした会場限定発売の『MEMORANDUM #1』は風通しのいいバラエティに富んだCDでした。

往路では代々木公園にスマートフォンを眺める人たちが群れをなしているのを「わああ…」と眺め、終演直後には東京都知事選挙のワンサイドゲームな結果を知る。いろいろ思うところあって「8月末の下北沢lete公演をいくつかの新曲発表の場にしよう」と決めました(これから作るんだけど)。有言不実行にならないようにこれから数週間の夏の景色と心象を書き留めたいと思います。

  
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2016年07月29日

アウトプットとインプット|Pat SansoneとSING STREET



先週末を今年最後の夏休みと宣言したものの、ここ数日いろんなところに出かけていっているから「遊んでるじゃん」と突っ込まれがちだが、苗場から帰ってきてからずっと旧知の友人とのプロジェクトで作詞作業で朝から根詰めて仕事をして夜になったら出かけるという、アウトプットしてインプットしにいくという日々だ。

火曜日はパット・サンソンのライブを観に下北沢へ出かけた。週末に苗場の一番大きなステージで観たWILCOのメンバー、この日は同じくWILCOのジョンとのバンド加入前からのプロジェクト「The Autumn Defence(オータム・ディフェンス)」のパットによるソロ、と呼んだほうがしっくりくるかもしれない。ラカーニャでオータム・ディフェンスを観たのは2013年の春だったが、同じく今回も親密な空間で彼の歌を聴いて感動した。シンプルなギター弾き語りは彼のボーカリストとしての素晴らしさを引き立てて、PCからのバックトラックとの演奏も効果的に楽曲の世界観をひろげたが、一番グッときたのは静と動のコントラストが印象的なピアノでの弾き語りでした。終演後に握手とサインをいただき、フジロックとこの日のステージの素晴らしさを伝えた。「そのTシャツいいね、何のTシャツ?」「R.E.M.のやつ」「Oh!」というやりとりが嬉しかった。相変わらずの色男だった(ライブを観にきていたジェリーフィッシュのジェイソン・フォークナーも然り)。

翌日水曜日は映画へ。ずっと観たかったジョン・カーニー監督作品『シング・ストリート 未来への歌』の招待券を友人が「これ好きなやつでしょ?」とプレゼントしてくれたのだ。ジョン・カーニーの描く物語は『ONCE ダブリンの街角で』にせよ『はじまりのうた』にせよ音楽好きにはたまらない視点がある。レディースデイということもあって映画館は大盛況だったが、映画も予想以上に素敵なものだった。僕は高校生の頃からバンドを組んで今も音楽を作っているが、誰かと一緒に作詞作曲をするという作業をあまり経験していない(ひとり篭って曲ができてからメンバーに聞かせるから)ので映画の中の少年たちが刺激し合い呼応しあって歌が完成していく様を見て羨ましく思った。僕が体験したかったもうひとつの青春はこんな感じだったのかもしれない。泣いた。サウンドトラックもパンフレットも全部欲しくなる類の映画が年にいくつかあるけれど、『シング・ストリート』はまさにそういう一本だった。

アウトプットとインプット、なにかをリリースしたらなにかを取り込むのが摂理である。

  
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2016年07月25日

ホコリと光のすごいごちそう|フィッシュマンズ “LONG SEASON 2016”(2016年7月14日 @ ZEPP TOKYO)



フジロック・フェスティバル2016を2日間ただただ堪能してきたのだけど、それよりも先に振り返っておかないといけないのが先々週観たフィッシュマンズの11年ぶりのツアー初日の東京公演だ。1990年代中盤、アルバムで言うと『ORANGE』の頃から東京でフィッシュマンズがライブをするときは可能な限り出かけていって、フィッシュマンズがどんどん得体の知れない大きなアイコンになっていくのをリアルタイムで体験した。先月末に1996年12月26日に赤坂ブリッツで収録されたライブが2枚組で発売されたばかりだが、フィッシュマンズの思い出が詰まりまくった僕のスクラップブック(宝物)のなかの観にいったライブチケットの半券を眺めていたら、チケットセゾンで買ったその日の公演のチケットと一緒にバックステージパスを見つけた。ちょうど僕が大学を卒業して映像制作の仕事をしている頃で、僕の仕事場のまわりにはフィッシュマンズの現場でカメラを回している人がいっぱいいて(しかも映像監督の川村ケンスケさんは僕と同じ東京外国語大学英米語卒の大先輩だった)大ファンである僕に誰かがパスをくれたことを憶えている。でも終演後、僕は緊張しすぎて「や、やっぱり帰ります」と楽屋挨拶に行かず逃げ出したことも思い出した。

僕がフィッシュマンズのライブを観るのは1999年、佐藤さんが亡くなった後の夏の「フィッシュマンズ的組合」と題されたライブ以来だった、と気付いて驚いた。青春時代の象徴になってしまったフィッシュマンズの、佐藤さんがいなくなった後の新しいカタチから無意識に(あるいは意識的に)目をそむけていたのかもしれない。それが今年、11年ぶりにフィッシュマンズがツアーをすると聞いたときに心から「観たい」と思ったのはなぜか。それは「2016年がそういう巡り合わせの年だから」というのが、漠然としながらも他に言いようのない僕の答えだ。5月と6月に小沢健二を観て7月にフィッシュマンズを観た年。

ゲリラ豪雨みたいな外の天気も功を奏して、ZEPP TOKYOの熱気はすごかった。僕は2階席から観たのでステージ全景とうねるオーディエンスが視野に。暗転して原始的胎動のようなイントロダクションから始まって、最初の「Go Go Round This World」からそのポジティブなヴァイブレーションに痺れてしまった。照明も素晴らしい。ステージが生き物みたいに見えた。誰も同意してくれないと思ったから口にしなかったけど、映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に登場するイモータン・ジョー率いる軍団のなかの、戦闘高揚のために火を噴くギターを弾く男が先導する巨大スピーカーと太鼓を叩くウォーボーイズの乗った楽隊車、あれみたいだ…と感じて(“悪の象徴”ではなくポジティブな楽団。火吹きギタリストはもちろん木暮さんだ)かっこよくて笑いがこみあげてくる。それからなんと3時間半、そこには懐かしさとかセンチメンタルとかを超えた見たことのない最新型のフィッシュマンズがいたのだけど、同時に「あああ、こんな感じだった!」とも思う瞬間がいくつもあった。

選曲もすべての時期から選ばれていて、『Neo Yankee's Holiday』から「エブリデイエブリナイト」を郁子さんが丁寧に歌うのもすごくよくて、最後みんなでシンガロングするシーンなんて初めてで新鮮で感動した。『ORANGE』から「気分」が聴けたのも嬉しかったし、バンド誕生黎明期の「Blue Summer」が聴けたのもその心意気が胸に響く。「Weather Report」では春の嵐が吹いて、2時間過ぎてもまだこれから「ナイトクルージング」と「LONG SEASON」が待っていると思うとクラクラして、ああ僕らはなんて幸せなんだ、と感じた。本編最後が「新しい人」だったのもメッセージ、思い入れ過多の僕は残さず受け止めた。流れるミュージック、暗いメロディ、音楽がいつも心ふるわす人や手紙を待つ人に届きますように。アンコールの「いかれたBaby」で佐藤さんの声が聞こえてきたとき僕はどんな顔をしていただろうか。最後が「チャンス」だったのもよかった。この日カメラを撮影していた知り合い伝てに当初の予定では「感謝(驚)」だったという噂も耳にしたが、「チャンス」で終わるのが相応しいライブでした。「未来のことも明日のことも/そんなもんなんにもわかりゃしないよ/ねえ教えて今あなたのこと/急いでよ ねえ/だって今は恋の予感だよ」と最後まで僕は大きな声で歌って、次の日朝からラジオの生放送で歌わないといけなかったのに声が少し枯れちゃってて、でもそのノドの感じが今観た3時間半の証明みたいな気がして嬉しかったのです。こんな2016年夏を迎えることなんて90年代には予想もできなかった。

終演後、一緒にステージを目撃した高橋徹也さんに繋いでもらって茂木欣一さんとお話することができた。16年前の2000年にガチガチに緊張して挨拶をした僕のことをちゃんと憶えていてくれて「ゴメスの山田くんだよねえ?」とニコニコ笑顔で接していただいて泣きそうになりました。この日のことを忘れないだろうし、次にフィッシュマンズのライブを観るときは「感謝(驚)」を絶対聴きたいなと未来のことを考えている。とにかく圧倒的で素晴らしいライブでした。驚きと感謝込めて。


  
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2016年06月29日

予感



新作『pale/みずいろの時代』がもうすぐ発売になるのでここ最近は車を運転したり、事務仕事をするときを自分がこれまで出した作品を客観的に聴き返す時間にしている。こないだ渋滞する環状八号線を走りながら2013年の『新しい青の時代』を聴いていたら、本当に1曲目からずっと良くって、「どこへ向かうか」の溢れる言葉、「一角獣」の疾走感、「光と水の新しい関係」の力強さ、なんなのこの完璧な流れ、と思ったところで「予感」が始まった。雨上がりの夕焼けがとても美しくて、なんというか、とても感動してしまった。

この「予感」は2012年『レンタネコ』という映画を観た夜に「救われない悲しみがこの世界には溢れてる」という歌い出しの歌詞を書いた。東日本大震災以降の心持ちが綴った歌だ。当時のレコーディング日記を読み返すと僕とイトケンさんとエンジニア手塚さんでリズムトラックを録音し、tico moonの吉野友加さんにアイリッシュ・ハープをお願いした。管楽器が入れたくなってクラリネットを持っている安宅くんにうちに来てもらって一日かけてああだこうだとトライ&エラーしたあと、訳あってしばらく疎遠になっていた上野洋くんに数年ぶりに連絡してフルートの演奏をお願いした。そこに佐々木真里さんがグロッケンを重ねて、この室内楽のように美しい「予感」は完成したのだ。

そういう一連の繋がり、流れをいっぺんに思い出すような、黄昏時の環八での「予感」でした。音楽はタイムマシンのように記憶を再生させる。新しい作品を作るとこれまでの作品が古くなるわけではなく、むしろその実像がより色濃くにじみ出てくるから不思議だ。僕は時間が経っても古びない歌を作りたいと思ってこれまでやってきたし、ようやく自分自身の作品を穏やかな気持で振り返られるようになってきた。あれもこれも、どれも愛すべきレコードだ。  
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2016年06月01日

ステイ・ザ・村田 〜村田和人トリビュート・ライブ(2016年5月31日 @ 吉祥寺スターパインズカフェ)



昨日のこと。2月に亡くなった村田和人さん、彼の音楽をずっと支えた村田バンドによるトリビュートライブがスターパインズカフェで行なわれる日。村田さんの人柄を象徴するような、たくさんの素晴らしいミュージシャンが集まって村田さんの歌に息を吹き込む感動的な夜だった。オールスタンディングでパンパンの会場。杉真理さん、斎藤誠さんというGOMES THE HITMANがお世話になったお二人をはじめ、伊藤銀次さん、杉山清貴さん、スターダスト・レビュー根本要さん、斉藤哲夫さん、センチメタルシティロマンスの中野督夫さんと細井豊さん、佐橋佳幸さんをはじめたくさんの諸先輩たち、そして村田さんの一人息子彼方くん、トーベンさんや山本圭右さんら村田バンドの面々。歓声と笑顔がはじけるステージ。村田さんの声と同期して演奏された「ビートルズを聴いてはいけません」も素晴らしかった。

何日か前に村田バンドの湯川トーベンさんから「アンコールで『一本の音楽』をみんなでやるから山田くんも遊びにくるなら一緒に歌ってよ」とメールが来たのがとても嬉しくて、ステージの端っこから錚々たる皆さんの演奏を近くで見られることを楽しみにしていたのだけど、ふたを開けてみると真ん中のマイクでメインボーカルをとるのは僕、ということになっていて(もちろん辞退することはできなくて)開演直前の一度きりのリハーサルでガチガチに緊張して歌う僕を見ていたずらっ子のように笑うトーベンさん、きっと村田さんも「ぜーんぜん大丈夫ー!」と笑いながら見下ろしていたかもしれません。本番はその「一本の音楽」で大団円、声のかたまりが聞こえました。メインボーカルはステージと会場を埋め尽くした村田さんを愛した全員だったはずです。誠さんとも久しぶりに会えて、杉さんと3人で写真を撮りましたがそこには村田さんもこっそり映りこんでいる気がしました。村田さんの数々の歌を手がけた作詞家の安藤芳彦さんともついにお会いできた。村田さんが旅立って3ヶ月経ちましたが新しい出会いと再会がいくつもあります。

村田さんが作った懐の深い空間、ずっと忘れられない夜になります。ありがとうございました。
  
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2016年05月13日

7月7日発売『pale/みずいろの時代』からアウトテイク1曲を公開しました

CDリリース前の6月10日下北沢lete公演で『pale/みずいろの時代』の選からもれた曲たちにスポットライトを当てるコーナーを、といろいろセレクトしています。その中から2012年春に愛猫ポチが毛玉を吐いてくたびれてアンニュイな感じになっているのを眺めながら書いた「毛玉」という曲を。1993年に書いた「スミス」という曲がありますが、もう一度The Smiths的なサウンドを、と実験した曲で、個人的にはとても気に入ってるんだけどアルバムのなかに居場所を見つけられませんでした。下北沢leteでのライブチケット申し込みは本日21時から受付。他にもいろいろレア曲ありますので、ぜひご来場ください。

*チケット受付はこちらから(5月13日21時受付スタート)



毛玉/山田稔明

なんて憂鬱な雨の日だ
まるで底なしの毛布の上
もう少しだけ待てば見えるだろう
君が投げた三日月のブーメラン
さあクロネコがきっと運んでくれるだろう

眠れ ねんねこ、眠れ ねんねこ
Everyday is like sunday

white light, blue beat and american pie
everything is dream and you could
throw yourself up now

ー白い光、青いビートとアメリカンパイ
すべては夢 今 君はすべてを吐き出せばいいさ  
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2016年05月12日

お気に入りのシャツを着て靴ひも結んだなら|巻き戻る二十余年



先月末、Twitterがきっかけで思い立ってとても久しぶりにb-flowerというバンドの「ペニーアーケードの年」という歌を聴いた。GOMES THE HITMANを結成した1993年くらいの頃、SarahレーベルやLa-Di-Daレーベル(ああ、僕はDEAD FAMOUS PEOPLEというバンドが大好きだったのだよ、とレコード棚を探す今)といった小さなレーベルのバンドと同じような感覚でネロリーズやb-flowerを聴いていたのだけど、一気にその頃の熱が再燃した。それでネットをいろいろ見てみるとb-flowerが活動を再開しているということを知る。Youtubeで見つけた「つまらない大人になってしまった」という2年前に発表された“新しい”曲を初めて聴いて、その老成した歌声にまず驚いて、しかし、曲が終わるころにはその独特のロマンティシズムが何にも変わっていないことに感動すら憶えて、それ以来何回も繰り返して聴いている。

Twitterでのやりとりを経て、ボーカルの八野英史さんとお互いのレコードを交換する機会を得た。八野さんは僕のCDを絶賛してくれてとても嬉しく、僕も現在進行形のb-flowerの歌に触れてその言葉の瑞々しさにとても感化された。奇しくも僕が今作っている新作『pale/みずいろの時代』に収録するのは、古くは1993年自分で歌うために初めて作った英語詞の「スミス」(なんといってもタイトルが「スミス」なのだ)をはじめ、ここ20数年の間に書き散らして手のひらからこぼれ落ちた“未発表曲”たちなので、作業しながら「あの頃はああだった、こうだった」と振り返ることも多い。「ペニーアーケードの年」を聴き自分が19歳だった頃を目を細めて思い出しながら、2016年にそれらの思い出に対峙して新しいレコードを紡いでいるというのが、なんだか面白い。

きっかけをくださったファンの方に御礼を言いたい。言葉にしてくれて、ありがとうございました。

  
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2016年05月09日

5月の休み明けには…|山田稔明『pale/みずいろの時代』から新曲を公開



いよいよ5月、新作『pale/みずいろの時代』制作も最終段階になって収録曲目などが決定しました。当初の予定から紆余曲折を経て1990年代前半に書かれた青春期の曲をはじめ今年書いた“新曲”2曲を含んだ全10曲となりそうです。未発表曲集第一弾となった『緑の時代』との一番の違いは殆どの曲が録りおろしの新録音だということで、過去の自分とあれやこれや相談しながら幻のアルバムを作っているような不思議な感覚があります。当時具現化したかったサウンドを徹底的に追求したトラックもあれば、ガラリと姿を変えた歌もあります。『the loved one』に続き今回もエンジニア手塚雅夫さんや鍵盤奏者佐々木真里さんをはじめ、たくさんの仲間からの力強いサポートなしには実現しなかった、充実した内容になっています(『緑の時代』は録音から演奏、マスタリングまですべて一人で行ったのでそのコントラストも明確です)。

まだ寒い春の頃に高野寛さんと話して「今の自分が演奏すれば過去の曲も“新曲”」という言葉を聞いたのは自分にとって大きな導きとなりました。高橋徹也さんの『REST OF THE WORLD』『太平洋』という“幻の作品”たちにも背中を押された。そしてなにより、うら若く青白く、不安で悩める山田稔明が脇目もふらず書き散らした、LIMBO(=天国と地獄の間の辺土)をさまよう歌たちをこの世界に繋ぎとめることができて僕は今とても嬉しいのです。思っていたよりも100倍くらい良い作品になりそうです。自信を持ってこの夏、皆さまにお届けします。この淡青色の作品を完成させたらいよいよ自分にとっての『ホワイト・アルバム』へと着手できそうな気がします。

今年の1月、東京と奈良で開催した「山田稔明 カレンダー展 2011-2016」のために書き下ろした「calendar song」を公開します。カレンダーをプロモーションするためのとびきりポップなCMソングを、と思って書いた“ノベルティ・ソング”です。一曲のなかで春夏秋冬が一回りする曲が僕は大好きで(「ねじを巻く」とか「bon voyage - 終わりなき旅の流浪者」とか)これはその仲間のひとつとなります。「4月になれば彼女は/また新しい恋に落ちて/5月の休み明けには/“こんなはずじゃなかった”と電話をかけてくる」と始まりますので今の季節、現在位置再確認して新しい日々をまた歩き出しましょう。僕が1997年に初めて出したレコードのオープニングトラックへのアンサーソング?いや、まだまだ答えの出ない人生の途中経過のようなものです。曲中の掛け合いのコーラスは九州の大きな地震の翌日福岡ジョイトリップカフェで行なわれたライブに来てくれたお客さんたちの声を束ねたので僕はあの数日間のことを決して忘れることはないでしょう。楽しく聴いてください。オフィシャルサイトでは予約特典付きのプレオーダーを受け付けています。全貌お披露目まで今しばらくお待ち下さい。




山田稔明/みずいろの時代
(GTHC-0008/税別2,500円)2016年7月7日発売


これまで正式にCDとして発表されなかった楽曲のなかからセレクトして
2016年の山田稔明が磨き上げました。自分で歌うために初めて19歳のときに書いた歌や
大学時代にがむしゃらに奏でた歌、憂鬱な季節を切り取った歌などを含むこの作品は、
色で言うと青春の青白さ。まさに儚いペイル・ブルーのようだと感じました。
このレコードが皆さんの記憶にもきっとあるはずの“pale=みずいろ”の時代を
“再発見”するきっかけとなれば嬉しいです。

収録予定曲
「pale blue」「ナイトライフ」「スミス」「気分」「my valentine」「モノクローム」
「セレナーデ」「calendar song」「幸せの風が吹くさ」「Qui La Laの夏物語」 全10曲収録予定
☆ジャケットや収録内容等が変更になる可能性がありますことをご了承ください

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<山田稔明 NEW ALBUM『水色の時代』発売記念ライブ>
“夜の科学 vol.49ーpale blue days”

2016年7月2日(土)@ 恵比寿 天窓 switch
出演:山田稔明 with 夜の科学オーケストラ
*詳細は後日発表します


<オフィシャル通販プレオーダー受付開始!>
豪華特典付き、送料無料、一般発売日よりも早く発送するプレオーダー受付を
4月1日より受け付けます→オフィシャル通販STORE




  
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2016年04月21日

カセットテープは音楽体験の原点である|中目黒 waltz 探訪



昨日のこと。1週間休みなく続いた波乱万丈、忙しくも充実した日々の切れ目、天気も良かったので思い切って一日スイッチをオフにして出かけた。向かったのは中目黒から少し離れた閑静な住宅街にあるカセットテープ専門店waltz、その存在を知ってからずっと行ってみたかったお店。辿り着いたのは、取り扱うマニアックなモノたちとは相反して、とてもスタイリッシュな、明るくて気軽に入りやすい間口の広いお店でした。

元々WEBの記事でその存在を知り、そこに掲載されたお店のプロモ動画のようなもののなかに僕にとって最愛のバンドであるR.E.M.のテープがたくさんあるのを見つけたのがこのお店に行ってみたい一番の理由だったのだけど、足を踏み入れるとそこは音楽好きにとっては天国のような場所で、アルファベットAの棚からずっと指を差しながら眺めて「わあ、こんなのも」「こんなものまで!」の連続で、きっとそのときの僕は口をパカっと開けて半笑いで呆けてるみたいに見えただろう。結局僕は「買い占めみたいになっちゃってごめんなさい。中2の頃からの大ファンなので…」とお詫びをしながらR.E.M.のIRS時代のカセットテープをまとめて購入したのでした。



実は最近、郊外にあるハードオフで妙にかっこいい再生機器を衝動買いして、自分の中でのカセットテープ熱が高まっていたこともあり、ここwaltz探訪は必然的なものだった。中学生の頃聴いていたビートルズ(A面が『REVOLVER』でB面が『HELP』、修学旅行で南九州をまわった風景が蘇る音)、高校時代にエアチェックしたラジオ番組、大学時代に作ったGOMES THE HITMANのデモテープやライブ音源などたくさんのテープを物置から引っ張りだして再生すると、音楽が記憶を伴ってちょっと日焼けした感じで立ち上がって甘酸っぱい。やっぱりカセットテープは僕にとって音楽体験の原点なのだ。コートニー・バーネットの新譜はカセットテープでもリリースされたのでつい先日レーベルの直販で購入したばかり。相対性理論の新作もカセットテープでのリリースが予定されているとのこと。手のひらのなかでプラスティックのケースを触っていると「音楽には形がある」という感じがしてくる。



店長さんと少しお話をさせてもらったが、ご自身のコレクションの一部をお店に並べていらっしゃるということだった。「一度集めはじめると全部そろえたくなるんですよね」という言葉を聞いて似た者同士だと思った。店内にはラジカセやウォークマン、古い雑誌等も並び、お店の一角にはプレイヤーが置いてあってカセットはすべて試聴できる。気持ちのいい空間と楽しい時間でした。今売っているアンドプレミアムにもお店の記事が載っていました。ぜひ興味のある方、音楽好きの方、ガジェット好きな人も足を運んでみてください。

waltz
〒153-0061
目黒区 中目黒4丁目15-5  
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2016年04月08日

気分|高橋徹也 × So Many Tears

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僕の部屋のCD棚にある高橋徹也のシングル『愛の言葉』は僕が1999年まで勤めた映像制作会社の倉庫の片隅に積み上がっていたサンプル盤の中からこっそり持って帰ったものだ。PVの撮影現場で1997年に知ったそのシンガーソングライターの、およそシングル曲とは思えないとっつきにくい曲、フィッシュマンズの茂木欣一さんがドラムを叩いていた。季節は僕にとってGOMES THE HITMANでデビューしたばかりの春で、高橋徹也氏(以下タカテツさん)にとってはこのシングルが結果的にメジャーでの最後のリリースだったはずだ。

先週タカテツさんはうちに遊びにきたのだけど、カバンから布にくるまれた何かを取り出したので僕はなんだか美味しいものでも入ったお重か何かか?と覗きこむとそれは彼のMacBookで、「初めてパソコン持って外出した。なんか、かっこいいね、パソコンって」と話しだすので、やっぱりこの人どうかしている。結局僕らはイギー・ポップの最新ライブなどをYoutubeで観て、あまりにかっこいいので僕は唸り、タカテツさんは「おれ、最終的にはこういうふうになりたい」と画面に見入った。その日の会食中、下北沢CLUB QueでのSo Many Tearsとの共演で合同セッションがあると聞いてとてもワクワクした。

果たしてそのライブ当日、下北沢のステージ上の高橋徹也にはイギー・ポップの精神が憑依していた、と僕が思うのは数日前のそのやりとりがあったからかもしれないが、ペダルスティールギターを加えたバンドセットでの演奏は強靭で、そしてとにかく彼の歌は本当に素晴らしく、こんな優れた音楽家と同胞意識を共有していることを光栄だと感じた。タカテツさんのステージが終わって、ふと後ろを向くとそこに元フィッシュマンズの小嶋謙介さんがいらっしゃって「高橋くん、すごいよかったね」と言葉を交わした。小嶋さんとはプロレス関連のイベントで偶然初めてお会いした後、渋谷の小さなDJバーで小嶋さん作のフィッシュマンズ「あの娘が眠ってる」を本人を目の前にして歌う機会があったりして、仲良くしていただいている。

フィッシュマンズの茂木さんと柏原さん、スカパラ加藤さんのSo Many Tearsを観るのは初めてだったのだけど、なんだか走馬灯のようにいろんな記憶が巡った。僕が初めてフィッシュマンズを観たのは『ORANGE』というアルバムが出た後の1994年の冬で、ギター小嶋さんはもう脱退していてカスタネッツ小宮山さんがギターをサポートしていた。場所は千葉、市川CLUB GIOという今はもうないハコで、それが僕が一番狭い空間と至近距離で観たフィッシュマンズのライブだった。それから20年以上経って、この日はやっぱり茂木さんと柏原さんのリズム隊をCLUB Queで体感しているということに痺れた。タカテツさんと加藤さんの青春もしかり、いろいろなメモリーズがクロスオーバーしていたはずだ。とにかくSo Many Tearsはとてもかっこいいバンドだった。

アンコールのセッション、16年前に僕がこっそり会社から持ち帰ったCD「愛の言葉」を初めて生演奏で聴いた。僕は夜に打ち合わせの約束があったのだけどセッションが続いて待ち合わせ時間を過ぎても途中で会場を抜けることができなかった。そして最後の合奏はフィッシュマンズ『ORANGE』のオープニングナンバー「気分」。この曲を選んだのはタカテツさんだ。「学生気分も抜けて髪も伸びたね」と20年以上の時間が経ってもそらで歌える。最初から最後まで僕も客席で一緒に歌った。高橋 “イギー・ポップ” 徹也が歌う「気分」は掛け値なしに素晴らしかった。感動した。

終演、急いで飛びでて打ち合わせ場所に走ったがメンバーの半分が終電の都合で帰っていて悪いことをした。ごめんなさい。「いやあ、ライブが素晴らしくてさあ…」とため息をつくと「知らんがな」と呆れられたが、とても良い夜だった。さんざん無理して手に入れたこの歌は世界の果てが見えても止まりはしないさ、と僕らはずっと思っているのだ。  
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2016年04月05日

Toad the Wet Sprocketのこと|グレン・フィリップスのこと



下北沢leteでのライブではToad the Wet Sprocketという、おそらく会場にいた人全員にとって未知のバンドの「Don't Go Away」をカバーした。1990年にリリースされた『Pale』という作品のなかの、シングルカットもされていない歌。ペイルブルーをテーマにした新作『みずいろの時代』を紹介する流れで自分が歌いたいから歌ったカバーで、正直お客さんの反応も微妙、と感じた(自分ではそう思った)。開演前も終演後もその『Pale』をBGMに流していたのですが、ライブから数日後に思いもよらない嬉しい連絡があった。

Toad the Wet Sprocketのボーカリストであるグレン・フィリップスがこの4月に5度目のソロ来日公演を行うのだけど、その主催の方から「山田さんのライブでToadとグレンに興味を持ったという方が予約してくれて本当に嬉しかった」という旨のメールをいただいたのだ。グレンが最初に来日したのはちょうど10年前の2006年4月で、その後2008年にも素晴らしいライブを見せてくれた。2011年秋の来日では自分のライブと関東公演のスケジュールが被って断念したのが大きな後悔になって、2014年4度目のときには唯一日程のあった愛媛松山の小さなバーまで小旅行を兼ねたライブ遠征をした。なんと今年は来日行程すべて都合がつかず(長時間リハーサルと九州とHARCOの春フェスだ)とても残念な気分でいたから、その報告はなおさら僕を明るい気持ちにさせてくれました。

2006年 グレン・フィリップス @ 下北沢 ラ・カーニャ
2006年 グレン・フィリップス @ 鎌倉 Cafe Goatee
2008年 グレン・フィリップス @ 下北沢 ラ・カーニャ
2014年 グレン・フィリップス @ 松山 bar TAXI

高校生の頃は「この国でToad the Wet Sprocketというバンドのファンは自分しかいないのではないか」と思っていました。東京へ行けば誰かが・・・と上京してもToadのことを知っているのは留学経験のある一部の人たちくらいで、僕はこのバンド名「トード・ザ・ウェット・スプロケット」を発語したことすらなかったかもしれない(最近はToadを熱く語れる知人が数人できた!)。時が経つとそれが自分だけの宝物のように思えてもっと愛しくなってくるから不思議なのだけど、自分が愛してやまないものが誰かのアンテナにキャッチされたり、「好き」とか「気になる」のチューニングがあったりするのは嬉しい。

もし興味を持った方がいらっしゃったらぜひ今月のグレン・フィリップスの来日公演へ出かけてみてください。素晴らしい歌とギター、言葉とメロディ。思春期から今までずっと僕を魅了し音楽を作るときに立ち返らせる素晴らしい音楽家です。ライブ詳細はこちら。これまでのグレン公演についての日記を転載。ああ、身体がふたつあったなら。



追記:グレンの長髪時代 「Come Back Down」from『Pale』(1990)  
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2016年03月31日

TWEEDYを観た



昨日のこと。バタバタと予定をこなしたあと、恵比寿リキッドルームでTWEEDYを観た。WILCOのジェフ・トゥイーディが息子のスペンサーと組んだ親子バンド、と少し甘く見ていたかもしれない。予想を越える素晴らしいライブで無理して観にいってよかったなあと思った。ジェフの友人とスペンサーの友人からなるバンドの演奏はとてもリラックスしていて、WILCOの緊張感とは違う楽しさがあった(スペンサーくんのドラムもよかった!)。

途中バンドが引っ込みジェフの弾き語り、これも溜息がでるほど。WILCOの名曲群をギター一本で、フロアから大きなシンガロングや手拍子が響く一幕もあった。僕がWILCOを初めて聴いたのは1999年、21世紀に入ってからのWILCOはある種のリスナー/ミュージシャンにとっては最重要バンドとなった。ジェフ・トゥイーディの歌をリキッドルームくらいのスペースで(頑張って前で観たのでオペラグラスいらずだった)堪能できる幸せを噛み締める。ジェフのもう一人の息子サミーが出てきてビッグスターの「Thirteen」を歌ったのが個人的ハイライト、彼にとって二度目のステージだったそうだ。アンコールでは予想してた通りジム・オルークが登場してルースファーの楽曲で盛り上がった。

一緒に観たハックルベリーフィンのさくちゃんと吉祥寺まで戻って一杯飲んで「いやあ、良い日だったねえ」と締めくくり。毎日が特別な日だ。  
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2016年03月27日

ケルアック、サリンジャー、カスタネダ|molnの貸し切り図書館30冊目(Chocolat & Akito)



昨日のこと、朝から夕方まで作業してからバタバタと鎌倉へ。週末の道はやたらと混み合って、しかし逗子海岸まわりで走ったら素晴らしい夕陽と海の風景に出会えた。molnでChocolat & Akitoのライブということで楽しみにしていた夜、開演時間ぎりぎりに会場に着くと入り口でショコラさんとばったり。ステージには片寄さんが一人でサウンドチェック中で、期せずしてGREAT3の「Oh Baby」が聴けて時間が巻き戻った。今僕は『リッチモンド・ハイ』を聴いているところ。

2012年に出たChocolat & Akitoの『Duet』というアルバムに僕は感銘を受け、翌年自分の『新しい青の時代』をリリースするときに片寄さんにお願いしてコメントを書いていただいたり、以降いろいろ良くしていただいているのだけど、新作『Chocolat & Akito meets The Mattson 2』も予想を遥かに上回る素晴らしい作品だった。moln名物の“貸し切り図書館”ということで好きな本を紹介しながらのライブ、片寄さんの紹介する本は自分の読書遍歴と共通するところもあり興味深い。なかでも片寄さんが19歳当時、すでに廃版になって手に入らなかったジャック・ケルアックの『地下街の人びと』を国会図書館に通いつめてすべてコピーを取り(1日10ページしかコピーできないゆえ)丁寧に製本したという一冊がすごかった。若さゆえの情熱、青春の形見のような重みがあった。カルロス・カスタネダの本もネイティブアメリアン好きには避けて通れない本、あらためて読み返してみたいと思いました。

一方ショコラさんの選ぶ本はどれも直感的、感覚的な感じがしてショコラさんらしいと思わせる本たちであった(今日は思い立ってサリンジャーの「フラニーとズーイ」を本棚に探しました)。“暮らし家”に憧れるという話を聞いて、僕も最終的には“暮らし家”になりたいなと思いました。片寄さんとショコラさんおふたりの会話は本の内容から転じて死生観さえ垣間見えるような貴重な話に展開していき、たくさん刺激をもらいました。ライブ演奏も素晴らしく、新作からも旧譜からの曲もたくさんあって聴き応えのある2時間。久しぶりに観たC&Aでしたが、面白くて可愛くカッコよく、感動的でした。

終演後はmoln綾ちゃん、五十嵐くんとご飯、ゆっくり話をしたのはいつぶりか。愛猫ミルクにも会えていい一日だった。  
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2016年03月19日

リオ・デ・ジャネイロ “ヴァリアス・アイズ”|Rio Tokio



昨日のこと、夜になって池袋の東京芸術劇場へ。開催中の写真展「リオ・デ・ジャネイロ “ヴァリアス・アイズ”」関連イベントとして高野寛さんのトーク&ライブ「Rio Tokio」を観るために。ここへ来るのは2年ぶり、2年前も「Moving Distance:2579枚の写真と11通の手紙」のプログラムのひとつとして行われた高野さんのライブだった(その日の日記)。「Moving Distance」は東日本大震災の津波後の瓦礫の中から回収、洗浄をされた無数の写真のインスタレーションをテーマとした祈りのような即興演奏がメインだったが、この日はブラジルの活気や魅力を高野さんの視点を通じて共有するようなワクワクする話と演奏だった。

対話形式のトークかと思っていたら高野さんの独り語りで、しかしそれはある意味自分史を語るようなとても興味深い内容だった。ブラジルと高野さんを結びつけた、無期限歌手活動停止を宣言した宮沢和史さんの話もたくさん。宮沢さんと共作した「HABATAKE(GANGA ZUMBA)」と「形(MIYA)」を高野さんの声で。盟友への思いのこもった演奏だと感じました。この日高野さんは全編ナイロン弦のガットギターでその響きがピアノにも似て聴き慣れた曲も新鮮に響いた。この日のために作られた“新曲”も素晴らしかった。とても刺激的で、自分のなかのスイッチがなにかパチっとオンになった感覚を感じました。

思えば2年前の東京芸術劇場での「Moving Distance」の直後に高野さんはリオにレコーディングに旅立った(「気をつけて行ってきてください」と挨拶したのを憶えている)。2年とはかくも濃密な時間なのだな。  
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2016年03月05日

Dear BEATLES 2016|彼は本当のNOWHERE MAN?



昨日のこと、三軒茶屋の昭和女子大学人見記念講堂で行なわれた「Dear BEATLES 2016」を観に出かけた。杉真理さん、アルフィーの坂崎幸之助さん、REVOLVERのRICKYさん、チューリップの上田雅利さん、伊豆田洋之さんらビートルズを愛する音楽家たちが集いビートルズ楽曲を演奏するコンサート、今年で14回目。本当なら村田和人さんも出演する予定だった(村田和人さんのこと)。僕は2013年以来2回目の「Dear BEATLES」で、前回観たときは1966年の『REVOLVER』完全再現ライブだった。そして今回は、昨年リリースされて話題になったTHE BEATLES『1』全曲を演奏するという内容。これだけのキャリアのある出演者にも関わらずビートルズ楽曲以外は演奏しない。

老若男女(いや、若者は多くなかったかな...)で大盛況の会場が暗転して始まったのは、しかし「The Long and Winding Road」だった。『1』を頭から順番にやってもつまらないから最後の曲から遡る、という意表をつくセットリストでした。いきなりグッとくる歌が続いて、村田さんへのレクイエムにも聞こえた。「Let It Be」のギターソロは杉真理さん。杉さんがこんなにキュンキュンとソロを弾くようになったのは村田さんと二人で回る還暦ツアーがきっかけだったはずで、真剣な眼差しで弦をかき鳴らすその姿を村田さんはにやにや笑いながら見ていたのではないかな。『1』に収められたのはすべて全米ナンバー1になった曲たちなので全部よく知っている定番曲なはずなのに、コード進行やドラムのパターンやフィルイン、ハーモニー、いたるところに新しい発見があるから不思議だ。

ゲストの新山詩織さんが凛とした声で歌った「Across the Universe」がとてもよかった。先月僕が村田さんの新作『ド・ピーカン』のために書いた歌詞の一節と共通するフレーズを見つけてハッとした。最後の最後、アンコールでステージ中央に村田さんの写真とヴァイオリンベース(代役のBOX小室和之さんが弾いた)が置かれて、初めて村田さんの話。ジョンが遺したデモを完成させた「Real Love」と、「In My Life」が捧げられた。「Some are dead and some are living/In my life, I've loved them all」。旅立った者も生きている者も繋がっている。音楽が媒介する。

大団円して終演後にスピーカーから流れてきたのは村田さんが歌った「NOWHERE MAN」だった。「ひとりぼっちのあいつ」という邦題で知られるこの曲は意訳すると「どこにもいない男」、しかし「NOWHERE」を「NOW」と「HERE」に別けて読むと「今、ここにいる男」になる。先月村田さんのために書いて送ったもうひとつの曲(村田さんの感想が聞けないままの歌詞だ)に僕が「EVERYWHERE MAN」というタイトルをつけたのは偶然か必然か。当然「どこにもいない男」の反対の「どこにでも現れる男」という意味をこめた。杉さんに「山田くん、村田が歌う『NOWHERE MAN』聴いたことある?すっごい良いんだよー」と聞かされていたその歌を、僕は椅子に座ったまま耳をすまして聴いた。とても感動した。終演後のロビーには村田さんのいきいきとした写真が飾られていました。

帰ってきてからもビートルズを何枚も聴いている。


  
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2016年02月25日

村田和人さんのこと

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シンガーソングライターの村田和人さんが2月22日にお亡くなりになりました。いつも笑顔で真夏の太陽のような存在でした。感謝の言葉しかありません。GOMES THE HITMAN1999年リリースの『new atlas ep』楽曲でコーラスアレンジをお願いし、そのとき初めて村田さんにお会いしました。前作『weekend』というアルバムの歌入れに苦戦し自己嫌悪し心身ともに疲れ果てスタジオ恐怖症になっていた僕の緊張やこわばりを村田さんのあたたかさが溶かしてくれた。翌2000年には「緑の車」という曲のサウンドプロデュースもお願いしました。僕にとって実際に出会うまでの村田さんはNHK教育テレビ「趣味講座ベストサウンド」で見た“先生”でしたが、スタジオで一緒にトライ&エラーを繰り返しながらハーモニーやサウンドを考えていくうちにとても身近で優しくていつも元気をくれるポップスサークルの先輩となったのです。

村田さんの弾き語りライブを初めて観たときには驚愕した。足元にはルーパーやボーカルハーモナイザーが並び、ギターの5、6弦にベースの弦を張って、まさに一人オーケストラ。そのステージではノスタルジーを越えた最先端の歌が鳴っていた。ライブが終わって「なんですか!この年甲斐もないやんちゃで散らかった足元は!」とステージを覗きこむ僕に「これ面白いんだよー、貸してあげるから山田くんも試してみなよ〜」と機材談義になったり、その姿は音楽好き、ガジェット好きな永遠の少年そのままでした。いつも新しいなにかに挑戦している印象がありました。

会うと、いつもパーにした両手を胸の前で振りながら笑顔を見せてくれる村田さんのことが僕は大好きでした。村田さんを知るみんなも同じ笑顔が浮かぶでしょう。2014年には初めて「Brand New Day / Brand New Song」という曲の歌詞を書かせていただいて、その歌はカラフルなハンカチやタオルが客席に舞う歌になったという噂を聞き、実際ライブの風景を目撃したときには村田さんとファンの皆さんのコミュニケーションの結晶だなあと感激しました。ここ数年はたびたび共演させていただいたし、今年の杉まつりでは杉さんと村田さんに挟まれて「Brand New Day」のコーラスができたことが本当に嬉しかった。

お正月休みが終わってすぐ(杉まつりの数日後に)村田さんから「テーマはドピーカンね!」という言葉とともに数曲分のデモが送られてきました。前作『P-KAN』に続くアルバムのためにまた歌詞を依頼されたことがとても嬉しかった。「残り時間が少ないかもしれないから全速力でよろしくね!」というメールが来たのがつい先日、先週のはじめのこと。急いでアップテンポ曲から書き上げて送ると「バッチリ!曲が生まれ変わったくらいよくなった!!」と村田さんは返事をくれました。「サビ前のリフレインが気持よくて、お客さんも何回も何回も聴きたくなるはず!」とファンのことを思うところが村田さんらしいなと思いました。翌日もうひとつミドルテンポ曲の歌詞を「ちょっとセンチメンタル過多ですか?」と伺いをたてながら送ったのだけど、その歌詞への感想はまだ聞けないままです。あまりにも急な旅立ちに今でもぼんやりと途方に暮れていますが、きっと村田さんは最後の最後までレコーディングしていたはずで、僕はその最新アルバム『ドピーカン』が聴ける日を村田さんを愛した皆さんと一緒に待ち望みます。

ありがとうございました。ゆっくりお休みください。  
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2015年12月31日

2015年ベスト音楽



個人的レコード・オブ・ザ・イヤー、圧倒的 2 TOPはコートニー・バーネットとスリーター・キニー。この2枚は本当によく聴いたし、原稿書きや諸制作作業の日々に僕を鼓舞してくれた。同率三位はその2作の間に溶け込んできた、心を鎮めてくれる2枚。2015年はサブスクリプション(定額制音楽配信)の年だったが、コートニー・バーネットは4枚、スリーター・キニーは3枚、SufjanとJTもCD、アナログともに購入という枚数がそのままベスト3に反映された。レコード屋さんに行って大好きな音楽を胸に抱えて歩く帰路というのはいつだって音楽好きの特権である。

とにかくこのBEST3の4枚が圧倒的で、今年買った他のレコードを聴く時間が少なかったような気がして、ここ数日で自分のインスタグラムの「#買ったレコード」というハッシュタグを見ながらいろいろ聴き返したのだけど、やっぱり今年も良い音楽がたくさんあって時間が足りないが、それは音楽好きとしてはこの上ない幸せだ。BEST3の他にざっと10枚選んでみた(重要作が抜け落ちているかもしれないが)。邦楽では親しい友人のレコードがちゃんと素晴らしくて嬉しかった。シャムキャッツは言葉選びが気持よく、コンパクトなサイズ感もよくて何回もリピートした。

今年一番最初に買ったのははっぴいえんどボックスだった。杉祭りで杉真理さんからいただいた「お年玉」で買ったのだった。そして手前味噌だが1月1日に書いた曲がオープニングトラックを飾る『the loved one』という、今年僕が作り得るベストな作品が残せたことも忘れられない。来年もたくさん良い音楽に出会えますように。僕も皆さんも。

*あとで加筆、微調整するかもしれません


<BEST 3>
#1. Courtney Barnett『sometimes I sit and think, and sometimes I just sit
#2. Sleater-Kinney『Cities to Love
#3. Sufjan Stevens『Carrie & Lowell
#3. James Taylor『Before This World

<よく聴いた10枚(順不同)>
Martin Courtney『Many Moons』
Steve Martin & Edie Brickell『So Familiar』
Indigo Girls『One Lost Day』
The Decemberists『What a Terrible World, What a Beautiful World』
Lianne La Havas『Blood』
Ryan Adams『1989』
Kurt Vile『b'lieve i'm goin down』
Death Cab for Cutie『Kintsugi』
Wilco『Star Wars』
Brian Wilson『No Pier Pressure』

<邦楽>
シャムキャッツ『Take Care』
高橋徹也『The Endless Summer』
itoken『Speaker』
近藤研二『子猫のロンド』

<良かったライブ>
Sharon Van Etten @ ビルボードライブ東京
Taylor Swift @ 東京ドーム
Ryan Adams @ FUJI ROCK FESTIVAL 2015
Courtney Barnett @ 恵比寿 リキッドルーム  
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2015年11月20日

よせて|寄稿文を3つ

秋からずっと『猫と五つ目の季節』へのコメントばっかりいただいていたが、ここ数週間の間に友人の作品に寄稿文を3つ書かせていただきました。どれも素晴らしい力作、お世辞抜きにお薦めできる素晴らしいレコード。すべての作品が個人レーベルからのリリースというのも興味深いし、僕自身の音楽活動に関わってくれたり刺激を与えてくれる人たちです。感謝とお返しの気持ちもこめて。


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高橋徹也『The Endless Summer』
2015.10.21 release
TETSUYA TAKAHASHI
official site


『the endless summer』によせて

高橋徹也のフェイヴァリット・アーティストがデヴィッド・ボウイだと知ったとき、
R.E.M.のマイケル・スタイプがNo.1アイドルである僕は妙な親近感を抱いたものだ。
「え?」と聞き返してしまうくらい直接的音楽的な影響が感じられないボウイの名が
最初にあがるところが信用できる、と思ったのだ(同様に僕のソングライティングに
R.E.M.の音楽的影響はほぼ皆無である)。

実際、高橋徹也の音楽にはその源流のようなものを見出すのが難しい。
ロックもポップスもブルースもラテン音楽も正統派もアヴァンも飲み込んで、
彼は華奢に見えて雑食、吐き出したメロディに奇妙で美しい言葉を乗せる。

彼は最新作『the endless summer』を、再発見されるまで人知れず埋もれていた
傑作AORアルバムであるかのように作ったのではないか(そのアートワークも含めて)。
同じ時間を生きて、同じ空気を吸っても、それぞれの瞳がフォーカスした風景を
思い思いの額縁に飾る過程で個性と独創性が生まれる。
誰にも似ていない、これまでの高橋徹也とも違うレコードを受け取って、
僕はその得体の知れないマグマのような熱量にまた魅了されて
新しい季節を迎えているところだ。

デヴィッド・ボウイもマイケル・スタイプも、ともに両性具有的なアーティスト。
もしかしたら彼も僕も“自分とは違う人間”に思い焦がれて妄想する夢追い人かもしれない。
目指す先はきっと“ここではないどこか”だろう。『終わらない夏』を想って。

山田稔明



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Tommy & Sammy『Tommy & Sammy』
2015.11.19 release
Bonny Cat Records
official site



Tommy & Sammy ファーストアルバムによせて

「Tommy & Sammy」のファーストアルバムを受け取った。
プレイボタンを押して、小気味の良い演奏に導かれて歌い出した声を聴いた瞬間、
マリア・マルダーの「真夜中のオアシス」にも似た、
風景をパッと変えるような感覚があった。

Sammyこと伊沢麻未のソロ時代の音楽性からR&B色のある作品を予想していたので、
土臭く、ときにレイドバックする楽曲たちに驚かされたが、
Tommyことsugarbeansの持ち味であるストーリー性豊かな世界観と交わって、
ふたりの感性の解放がなされたように感じる。
「わたしたちが好きな音楽」を誰にも邪魔をさせないで
奔放に鳴らす二人の姿が浮かんで、嬉しくなる。

Sammyのナチュラル・ボーン・シンガーぶりも痛快だが、
その歌を支えるのは数々のミュージシャンから
信頼されているTommyの手腕、そして彼の指揮による
気のおけない仲間とのアンサンブルだ。

ずっと昔の、古き良き時代からずっとそこにあったような歌たち。
今の時代にこそ大きな音で響くべきレコードだと思います。

アルバム完成おめでとう!

山田稔明




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近藤研二『子猫のロンド』
2015.12.19 release
m+m records
official site



「子猫のロンド」によせて

その30年近い音楽キャリアの数々の作品において近藤研二はいくつもの顔を見せてきた。
僕が初めて触れたのは渋谷系で賑わう’90年代のハイポジ、ギラギラと眩しく見えた。
2000年代には「ピタゴラスイッチ」や「ダースベイダーのテーマ」など軽妙なアンサンブルの中で揺れる姿、
世界的評価を得たアニメーション映画「つみきのいえ」では名作曲家としての威厳も加わる。

そして新しい季節を迎えた2015年、彼が完成させた初ソロ作は自身の音楽的バックボーンに
真摯に向き合ったシンプルかつ芳醇な作品となりました。名刺代わりのこのレコードを近藤さんは
人懐っこくニコッと笑いながら全国のファンに届けてまわるのだろうな。

近藤さんの旅の始まりを僕は心から祝福したいと思う。

山田稔明



  
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2015年10月31日

コートニー・バーネットを観た!|Courtney Barnett @ LIQUID ROOM(2015.10.30)



昨日のこと、夏にチケットを取ってからずーっと楽しみにしていたライブ、オーストラリアのシンガーソングライターCourtney Barnett(コートニー・バーネット)のステージを観た。彼女の1stアルバム『Sometimes I Sit and Think, and Sometimes I Just Sit』は今年後半の僕の日々で鳴らされない日がなかったと言っても過言ではないくらい暮らしのBGMとなっていた、2015年ベスト3ディスクの1枚。もうなんだかいろいろ楽しみ過ぎて年甲斐もなく最前列でかぶりついて観た。

ギター、ベース、ドラムの3人編成はおそらくロックバンドとして理想の「単位」である。僕はきっと過度の期待をしてのぞんだはずだが、予想以上のロックコンサートは90分間ずっと楽しくてこのまま永遠に終わらなければいいなあと何度も思った。コートニー・バーネット、最初に買ったCDがNIRVANAの『Nevermind』、ペイヴメントやウィルコが好きだそうで(レモンヘッズのカバーなんかもやってる)、その少しルーズでささくれたバンドサウンドからは90年代を想起するような懐かしさもあるが、2015年にしか響き得ない新鮮さも兼ね備えている。躍動的なパフォーマンスも素晴らしかったが(バンドの演奏もよかった)、その魅力は歌詞にある、と感じる。ステレオで歌を流しているときに「ん?」と言葉の端っこに意識が引っかかって「今のところ、何って歌ってるの?」と歌詞カードを熟読しながら聴いたのはこのレコードが久しぶりだった(コナー・オバーストの去年の作品以来)。そのリリシズムに圧倒されたのは「Depreston」という曲で、この歌は僕の今年のナンバーワンソングになる予定。

終演後、幸運にもサインをもらうことができた。いつも「あ」っと目を引くTシャツを着ているコートニーにポチの顔イラストのBELL THE CATのTシャツをあげたらとても喜んでくれた。このライブを楽しみにして執筆とか推敲とかいろいろな雑務を乗り切ってきたところきたがあるので今は少し“ロス状態”なのだけど、とにかく音楽って素晴らしいなと思う夜。コートニー・バーネットにさら惚れ込んでしまいました。今日14時からタワーレコード渋谷でサイン会が行なわれるそうなのだけど僕はこれから新潟へ向かうので行けなくて残念。かわりに皆さんハロウィーンの渋谷へ出かけて言ってみてください。


  
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2015年08月25日

30年目のラジオ|杉真理 “LIVE 2015 『SYMPHONY#10』30th Anniversary”

昨日のこと、夕方から出かけて渋谷へ。杉真理さんが1985年にリリースした『SYMPHONY#10』の30周年記念ライブ。僕は「風街レジェンド2015」を目撃できなかったので、会場で会う知人たちからその奇跡のような素晴らしさを伝え聞いていろいろ妄想した。杉さんもMCで風街の話をたくさん聞かせてくださった。初日の公演が終わって楽器や機材もないので電車で渋谷からの帰路、橋本哲さん(春の“まちづくり三部作”再現ライブでギターを弾いてくれた哲さん)と「あそこすごかったねー」「あの曲もよかった!」と興奮冷めやらず電車に揺られていたら隣の席の人が風街SONG BOOKを読んでいて…という話が面白かった。奇しくも僕は哲さんの横で昨日のライブを観ていたのでなおさら。

僕はリアルタイムで杉さんの音楽を聴いていないので、30周年を迎えた『SYMPHONY#10』をとても新鮮な気持ちで受け取った。いつだったか、仕事帰りの車のラジオから「Key Station」という曲が流れてきて(そのとき初めて聴く曲だった)その歌詞に心震え、すぐに杉さんにメールをしたことを憶えている。「ラジオ」をテーマに作られた作品はそのまま「音楽」への愛に直結し、さらには「コミュニケーション」をも包括している。総立ちで盛り上がる会場を眺めながら、お客さんたちの青春に対しても杉さんは責任を持って歌い続けるのだなと感動した。素晴らしかった。

すべての楽曲が演奏された後、名残惜しそうに杉さんが大瀧さんのことを話し始めて、僕の隣でライブを観ていた息子の未来くんがいつの間にかいなくなっていたので「なんだよ、みーくん。お父さんがいい話してるのに」と思った次の瞬間に彼はステージに呼び込まれ、「君は天然色」のカウントを始めた。去年、今年と杉祭りでも演奏した永遠のクラシックはこの日もカラフルに乱反射していました。良い夜だった。20年先を行く優しき大先輩の背中を見失わないように僕も歌を鳴らし続けたいなと思いました。


  
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2015年07月10日

一之輔、マッドマックス、「風街」と「海街」



先週の土曜日に友人に誘われて初めて落語を観にいった。春風亭一之輔「らくごde全国ツアーvol.3」のよみうりホール公演。去年からどきどきキャンプの佐藤満春さんやラブレターズ塚本さんなどお笑いを仕事にしている人と仲良くなる機会があって、コントライブなども数度出かけていったけれども、落語が寄席というのはまったくの未経験。とても新鮮な舞台だった。安宅くんからは「落語見ると影響受けると思うよ」と聞いていたのだけど、演目を「歌」、まくらを「MC」だとするならば、なるほどその流れはコンサートのようだった。春風亭一之輔さんは僕にとってはTBSラジオの「たまむすび」に月に一回で登場する人という認識だったのだけど、噺を始めるときの迫力と色気がすごかった。ゲストの笑福亭鶴瓶さんの圧倒的な話芸にも感服した。ものすごく豊かな文化だなあ、と感動しました。この日以来ずっと鰻が食べたくてしかたない。

日曜日には映画館へ。レイトショーで「マッドマックス 怒りのデスロード」を観た。もうこれは最初から最後までずっと面白くてドキドキして、今までにない映画体験だった。スクリーンに飲み込まれるような感覚があり、もう一度冷静に最後列から観直したいとすら思う。善悪が明確に別れたそのストーリーは僕に西部劇のインディアンとカウボーイの戦いを思わせる(勝敗はあまり関係ない)。車は駆け抜ける馬、いつの時代も女性はたくましく描かれる。自宅のテレビの画面では絶対に味わえないようなエンターテイメントでした。

奇しくも先週杉真理さんのラジオにお呼びいただいて長門芳郎さんや牧村憲一さんというジャパニーズポップス界の歴史を作った方々にお会いした日の帰り道に購入した『松本隆作詞活動45周年トリビュート 風街であいませう』をじっくり聴いた。個人的には「風街でよむ」と題されたポエトリーリーディングCDに期待していたのだが、本編の「風街でうたう」もすべからく素晴らしかった。往年の名曲たちは言葉とメロディの幸せな結婚そのものだ。「友よ、答えは風のなかにある」とボブ・ディランが歌い、それならば「風をあつめて」と綴った松本隆氏が敷いたレールや轍の上で自分が歌詞を書いているのだな、と再確認したところ。

そして昨日はまた映画館へ出かけ、是枝裕和監督作品「海街diary」をついに観た。ふと「海街」とは「風街」を出発して辿り着く街なのではないだろうか、と考えた。2時間どの瞬間も素晴らしく、このまま終わらなければいいのにとさえ思った。是枝監督の前作「そして父になる」は血縁か過ごした時間かという命題を持つ作品だったけれども、この映画のなかで描かれたのは「連帯と共有」ではなかったか。「あれ」で通じるテレパシーを持つ共同体はかくもたくましい。一人っ子の僕は4姉妹の関係が羨ましく、なぜかずっと涙目。極楽寺よ、桜のトンネルよ、生シラス丼よ(こないだ食べたばかりだ)。僕はまた何度でも鎌倉へ出かけていきたいと思いました。今年観た映画のなかで一番。

  
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2015年06月24日

今宵必要なのは愛と慈悲|映画「ラブ&マーシー 終わらないメロディ」」



昨日のこと。8月1日から公開される映画「ラブ&マーシー 終わらないメロディ」を一足早く試写で観させていただいた。ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンの60年代と80年代をパラレルに描くライフストーリー。映画の中で繰り広げられるのは歴史や伝説に追いつこうとして様々な本をむさぼるように読んだ音楽ファン(僕のような)にはよく知られた事実たちだけれども、そこにリアルな映像と芳醇なステレオサウンドが絡むとまるで第三の眼となり時空を軽々と越えていく感覚があった。1960年代のブライアンを演じたポール・ダノはとにかくブライアンにそっくりで才気溢れ、いっぽう80年代を担ったジョン・キューザック(!)からにじむ混乱と葛藤は隠遁時代のブライアンの姿を想像させた。そしてもうひとつ、書籍「ビーチ・ボーイズとカリフォルニア文化」を読んで想像するしかなかった精神科医ユージン・ランディの姿がとても印象的だった(彼が70年代に編纂した「アメリカ俗語辞典」のことも触れられて興味深かった。英語が好きな僕に、と中学生のころ親戚から譲り受けた辞書なのである)。

僕は《グッド・ヴァイブレーション・ボックス》《ペット・サウンズ・セッション》でビーチ・ボーイズを“発見”した世代のリスナーだが、想像の範囲を越えた風景を補完するのにあまりある内容で、映画を観ているそばから早く家のステレオでビーチ・ボーイズを聴きたいと思ったし、熱心に聴いていないブライアンのソロ作にも改めて触れてみようという気持ちになった。実際1988年リリースの初のソロアルバム『BRIAN WILSON』をターンテーブルに乗せるこれまでと違う印象で響き、孤独と暴力、テレビのニュースに落胆して「今夜僕らに必要なのは愛と慈悲だ」と歌う「Love and Mercy」のガラス細工のような美しさに感動した。あと何回か暑い夏の日に映画館で観たい。


ビーチ・ボーイズ関連テキスト
monolog:ビーチボーイズとアメリカ・インディアン」
monolog:英雄と悪漢(2012年のなつやすみ)


  
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2015年05月07日

TAYLOR SWIFT『THE1989 World Tour』日本公演



去年早々にチケットを手に入れてずっと楽しみにしていたテイラー・スウィフトのライブ。昨年6月のさいたまスーパーアリーナ以来短いスパンで2度もスタジアムライブを観ることができるというのはとても幸せ。まだポチが元気だったころのことなのでずいぶん昔のことに感じるが。新作『1989』リリースに付随する世界ツアーの初日、日本から始まるということで内容もまったく初披露だったわけですが予想を軽く越えていくエンターテイメント性あふれるステージでした。圧倒的、テイラーおそるべし。

午後になって水道橋まで出かけると東京ドーム前の物販テントにはものすごい列。このお祭りには身を委ねる覚悟だった僕は幸運にも1時間ほど並んでTシャツを買えました(去年は売り切れた)。Swiftiesとかテイラー女子と呼ばれる女の子たちが様々なコスプレをしていて目に鮮やかで楽しい。「あ、あれはPVのシーンの」「チアリーダー」「電飾服!」「ジミー・ファロンとのコントのときの格好!」とかかなりマニアック。サインボードやテイラーへのメッセージを抱えて、好きなアーティストに100%の「好き」を示すその姿がとても美しいと思いました。

かく言う僕も会場入りしたらどんどん興奮してきて、開演直前にはすぐ目の前にテイラーのパパとママがやってきたのでちぎれんばかりに手を振ったりして。開演してから2時間はあっという間。入場者に配られたLEDのリストバンドはコンピュータ制御されて曲によって点灯の仕方を変えて5万人以上の会場が光の粒となってうねる。こんなに広い会場でも上昇下降、360度回転するランウェイでテイラー・スウィフトをすぐ近くに感じられました。オペラグラスのなかでも可憐な姿だったなあ。これまでのヒット曲を大胆にアレンジを変えるところに現在進行形のアーティスト気質を見た。ギター(Fender ジャガーがクール)を弾く曲もあって大満足。とても刺激的。

中高生の頃に洋楽に目覚めた僕は九州の田舎にいたので簡単には来日コンサートに出かけられなかったから若いテイラーファンの女の子たちが一生懸命英語を勉強してMCを聞き取ろうとしたりメッセージを送ろうとする姿に羨ましい気持ちを抱く。奇しくも開演直前の場内BGMで流れていたティファニーを福岡で観たのが僕の洋楽ライブ初体験。その後高校1年のときに学校を休んで行ったU2の大阪城ホール公演、そこで共演者として強烈なギターを聞かせてくれた生きる伝説BBキング、あれからずいぶん長い時間が経ったのだなと感じるが、それでもまだまだ音楽はマジックを呼ぶし、見たことのない景色を見せてくれるから、僕は音楽を好きでいることをやめられない。

配布されたLEDリストバンドは最終的には手を叩くと光る仕組みになって、家に持ち帰ってもまだなにかの拍子に赤青黄色と色を変えて点滅する。そのたびにしばらくはこの日の夜のことを僕は思い出すのだろう。  
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2015年04月17日

欲しいものは手に入る|ジミー・クリフ来日公演



昨日のこと、ビルボードライブ東京でジャマイカの伝説的レゲエシンガー、ジミー・クリフの来日公演を観にいった。オープニングのアフリカっぽさもスカもラバーズロックもメロウなバラードも全部入りのエンターテイメントショーだった。67歳には見えない。僕が初めてレゲエを聴いたのは中2の頃?確かU2のボノがライブで「WITH OR WITHOUT YOU」の中間部でボブ・マーリーの「EXODUS」を引用していたことがきっかけだった。その「EXODUS」はカーティス・メイフィールドの「People Get Ready」と同じ心のフォルダに入れられていまでも時折アップデートされる。一緒に行った安宅くんはキース・リチャーズ経由でジミー・クリフの歌を愛聴したそうだ。僕は彼の熱心なリスナーではなかったが、『The Harder They Come』というレコードをよく聴いたのでこの日のライブもワクワクして「本物だあ…」と思いながら、気づけば身体が揺れていた。アーランド・オイエのライブのときも感じたがこのリズムには否応なしにまず足腰が反応する。

ポジティヴな言葉がたくさん響いた夜だった。「YOU CAN GET IT IF YOU REALLY WANT」、本当に欲しいものは手に入れられる(君が一生懸命トライすればだけどな)。楽しみにしていた「遥かなる河」を聴くことは叶わなかったが、ここ最近ライブに対してもレコーディングに対しても難しく考えて思い込むことが多かった自分の性分を少し反省した。楽しい演者と楽しいステージは楽しいフロアと直結している。今日はGOMES THE HITMANリハーサルDAY2、変な動きでニコニコ笑いながらやってみようか。週末のレコーディングも同様に。「I CAN SEE CREALY NOW」よろしく、いろんなもやもやがぱっと晴れるような爽快さでした。

会場でソウル・フラワー・ユニオンの高木克さん(「饒舌スタッカート」でギターを弾いてくれたり当時サポートでお世話になった)に、そして久しぶりに井上富雄さん(「拍手手拍子」と「ねじを巻く」のプロデュースでお世話になった)とばったり遭遇して嬉しかった。そうか、マキシシングル「饒舌スタッカート」から来年で15年になるのか。

  
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2015年03月14日

春のオペラグラス|ジャクソン・ブラウン来日公演

昨日のこと、ジャクソン・ブラウンの東京公演最終日をオーチャードホールで観てきた。チケットを取ってなかったのだけど「何で観にいかないの?観にいかない理由があるのか?」と友だちに言われて「そうだよな。なんでオレはジャクソンを観にいかないのか…」と自問自答して次の瞬間にはインターネットの海でチケットという魚を釣り上げていました。中学生のときに親戚から譲り受けたレコードのなかに『孤独なランナー(Running on Empty)』と『NO NUKES』(1979年3月に起きたスリーマイル島の原発事故のあとにジャクソン・ブラウンやジョン・ホールらが中心になって企画したコンサートのライブ盤)があって、中二病真っ只中の僕は辞書を引きながら耳をすまして、『孤独なランナー』のなかの「The Road」という曲をモチーフに僕はその後「遅れてきた青春」と「星に輪ゴムを」を書くことになります(その曲が実はダニー・オキーフのカバーだということを後で知るのですがダニー・オキーフのバージョンでは中学生の僕の心には響かなかったでしょう)。



オーチャードホールは一昨年のKIRINJI以来だが、心地の良いホール。年齢層はやっぱり高い。ジャクソン自身が66歳(うちの母親と同世代)だから客層のメインは50歳代?女性コーラス2名含む8人でのステージ。とにかく音が良くてびっくりした。ジャクソンのアコギ、グレッグ・リースのスライド、ヴァル・マッカラムのテレキャスターの音のアンサンブルよ…。歌声も素晴らしい。年季の入ったヴィンテージの陶器みたいだ。前半の個人的ハイライトは時を越えて共鳴する「The Long Way Around」と「青春の日々」の並びでした。

客席からの怒号のようなリクエストに積極的に応えて進むステージ、「キーはなんだったっけ?」と確認しつつ完璧に演奏するのがすごい。来日公演のセットリストを見て諦めていた「Late for the Sky」が始まったときは息を飲んだ。ピアノに座っているジャクソンはその角度によるのか急に若く見えて『孤独のランナー』のブックレットのなかのジャクソンみたいだ。コンサートはギミックなく圧倒的に“音楽”でしかなくて、これが本物だ、と背筋の伸びるような思いでした。去年出た新作からたくさん(10曲中8曲!)演奏したのが印象的で、「Doctor My Eyes」も「Take it Easy」も「Running on Empty」ももちろんよかったんだけど、最新作『Standing in the Breach』に初めて正規録音として収録された、ジャクソンが若かりし18歳のときに書いたという「The Birds of St. Marks」が瑞々しくて一番グッときました。中学生のトシアキ少年に教えたい。「おま、大人になったらジャクソン・ブラウン、生で観るばい」と伝えにいきたい。

ところで、オペラグラスを持っていくとコンサートが何倍も楽しくなる。軽くて小さくて明るく見えるやつがいいからAmazonじゃなくて実店舗で買うのがいい。カフェライブでは必要ないけど、少しサイズの大きな会場では武器になる。ギターリストの手元も見えるし、暗がりのボブ・ディランの表情も見えるし、さいたまスーパーアリーナみたいなところでもテイラー・スイフトの額の汗まで見えるのだから。昨日もどきどきしながら覗き込んオペラグラスのなかにはジャクソン・ブラウンと僕しかいなかった。感動した。春のオペラグラスで胸の奥を覗けばいつもより素直な僕がいました。僕がカバーしたジャクソン・ブラウンの「青春の日々」はここで聴けます。




  
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ピースフル・メガネ|アーランド・オイエ & ザ・レインボウズ来日公演



一昨日、3月12日のこと。ノールウェーのアーランド・オイエの来日公演に行ってきた。去年出たソロ作はとても陽性のポップスで、なにかとBGMになることが多かった。僕はKings of ConvenienceもWHITEST BOY ALIVEも一度も観たことがなかったので早々にチケットを取って楽しみにしていたのだけど、ホーン・セクション含む7人編成の演奏は予想をはるかに越えて素晴らしく、メンバーがフィンランド、アイスランド、イタリアという多国籍な構成だったこともあって、MCの英語も聞き取りやすくて会場の雰囲気もハッピーであっという間の時間が過ぎていった。

長身のアーランドは体を折り曲げて踊り、その姿がとても可愛らしくて印象的。高く構えたギターからは繊細な音がした。1曲づつ披露されたKOCとWHITEST BOYのレパートリーも嬉しかったが、このバンドで録音した『Legao』というレコードからのナンバーのレゲエやソウルっぽいフィールがとにかく気持ちよく、終盤の人力EDMとでも呼べそうな高揚感が個人的にはハイライトでした。

あんなにみんながニコニコしている空間にはなかなか遭遇しないのではないかな。静謐で洒脱なKings of Convienienceともクールで研ぎ澄まされたWHITEST BOY ALIVEとも違うピースフルな彼のモードをステージ最前の至近距離で目撃することができてよかった。音楽ってすごいなあと思いました。ポジティヴなヴァイブレーションを受け取った。


  
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2015年02月24日

哀しみのシャロン|Sharon Van Etten 来日公演



昨日のこと、アメリカニュージャージー州出身のシンガーソングライター、シャロン・ヴァン・エッテンのライブを観てきた。日本ではビルボードライブ東京での一夜限りのステージだったので弾き語りか小編成だと思っていたら、オーストラリアへ行く前のワールドツアーの行程、Youtubeなどでよく観た5人編成のバンドでの演奏で、個人的な予想をはるかに上回る素晴らしさだった。数年前に『Tramp』というアルバムをジャケ買いして(アナログ盤のサイズがいい)その深淵を覗きこませるような雰囲気が妙に気になって、ターンテーブルにのせる機会も多かったのでとても楽しみにしていた来日。

シャロン本人が自分の音楽を「Sad Prairie Folk Music(悲しい大草原のフォーク音楽)」と説明するように、演奏される静謐な曲にも激しい曲にも弾き語りにも滲みだす憂いと哀しみがあるが、彼女がステージに登場したときに僕の口をついて出たのは「か、かわいい…」という感想で、その可憐な佇まいを眺めながら聴く歌はレコードよりも何倍も心に響いた。曲間のMCで見せる子供っぽさや真摯に感謝を述べる姿、オムニコードを魔法のように操ったり、フェンダージャガーをカリンカリンと鳴らす姿は「メランコリックなアコースティックシンガー」以上の何者かであった。素晴らしい時間を過ごした。心底感動した。

偶然同席した音楽ライターの赤尾美香さんから3月に公開される映画「ブルックリンの恋人たち」にシャロン・ヴァン・エッテンのライブシーンが登場すると聞き俄然興味がわいた。僕が数年ずっと熱心に観ている「ウォーキング・デッド」(ゾンビのやつね)のシーズン4のキャロルがチームを離れる別れのシーンで不意に彼女の歌が流れてきたときは世紀末のサウンドトラックのようで息が止まるかと思うほどハッとしたし、そのモノトーンの雰囲気は映像作品とも相性がいいのかもしれない。雨降りで光の粒が乱反射していつもより近未来的に見える東京ミッドタウンで“Sad Prairie Folk Music”に打ちのめされたが、帰り道ではきれいな下弦の月が見えて気分がよかった。世界は悲しみのうえで成り立っているということか。


  
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2015年02月01日

R.E.M. / REMTV(2014)






2014年末にファンへのホリデイギフトのようにリリースされたR.E.M.6枚組のDVDボックスはR.E.M.がデビューから2011年の解散に至るまで彼らがMTVチャンネルに残した映像をまとめたファン垂涎のアーカイブ集だった。その膨大な量、僕はまだ半分しか観ていないが「REMTV(R.E.M. by MTV)」という2時間のドキュメンタリーだけをピックアップして日本盤がリリースされることになった。R.E.M.の映像作品を日本語字幕で観ることができるのはレアなのでとても嬉しい。

真夜中過ぎになんとなく観始めたそのドキュメンタリーに僕は始まりから終わりまで見入ってしまった。R.E.M.が80年代以降のアメリカ音楽シーンにおいてどういう存在だったかを存分に知らしめる非常に素晴らしいものでした。時間軸に添って進む物語とメンバーの容姿の変遷、初期衝動、迷走、大躍進、葛藤、政治との関わりなど大筋では理解していても映像と本人たちの言葉で語られるその歴史は圧倒的なものだった。R.E.M.を好きでよかったなあと思ったし、R.E.M.をあらためて好きになりました。

僕は中二の14歳のときにR.E.M.と出会って(インディーズ最後の『DOCUMENT』というアルバムだった)「マイケル・スタイプの歌はもごもごしていて英語がネイティブな人間にも理解ができないのだ」という記事を読んで、それなら英語のわからない僕も同じように聴けるはずとむさぼるように心酔し、R.E.M.が政治や環境問題を語れば僕も「そうだ、そうだ」「酸性雨だ」「投票だ」と頷いてにわか勉強をした。その中二病の熱、火種が25年以上経っても消えないのがすごい。

マイケル・スタイプの話す声は僕にはマントラのように聴こえるから、その意味を理解するよりも先にその響きに聴き入ってきた。『DOCUMENT』『GREEN』『OUT OF TIME』『Automatic for the People』はすべての曲をそらで歌えるがその意味を考えたことはあまりなかった。音楽的に直接影響を受けたこともなかったと思う(「月あかりのナイトスイミング」は別にして)。それなのになぜ今でも変わらずR.E.M.が自分のなかでナンバーワンの存在なのかの答えが、このドキュメンタリーを観てわかったような気がしました。このバンドはとにかく得体が知れないのです。意味深で不可解で暗くて、しかし優しく可笑しく誠実なのですよ。

僕はこれからの人生のなかで、そして老後の楽しみとしてもう一度歌詞をじっくりと読みながらR.E.M.のレコードを何回も聴こうと思います。持ってないレコードがあれば値段も見ないで買うしブートレッグだって例外ではない。本ドキュメンタリーの最後のほう、ロックの殿堂入りの式典でパール・ジャムのエディ・ヴェダーが語るのがとても愛あるコメントでいつ聞いても楽しい(その日本語訳がCDジャーナル2011年10月号に掲載されて、この特集号には僕もたくさん寄稿しています)。そしてマイケル・スタイプのスピーチで披露した、彼のおばあちゃんが晩年彼の手を握って語った言葉も素晴らしい。「私にとってはR.E.M.の頭文字は“Remember Every Moment(すべての瞬間を忘れない)”なのよ」。僕もR.E.M.から受け取ったすべてのものをずっと憶えておく。

僕が「最初の1枚はこれ」とか「ベストなのはこれ」とか言うよりも、このDVDを観るのが一番いい。
それであなたや彼や彼女がR.E.M.に興味がわかないのならもう聴く必要はないのかもしれない。「REMTV」はそんな作品です。


  
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2014年12月24日

Merry Christmas!





  
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2014年11月03日

高橋徹也 ツアーファイナル“REST OF THE WORLD1999-2014”



昨日のこと。朝から夜まで録音編集作業をやってから高橋徹也さんのツアーファイナル公演を下北沢CLUB Queに観にいった。GOMES THE HITMANの7年ぶりのライブを観にきてくれたタカテツ氏が終演後すぐにメールで「良いインスピレーションもらって、ライブ観てるうちに自分のワンマンのセットリストが閃いて帰り道のスタバでメモとってる」という熱い感想をいただいたうえでのこの日だったので否が応でも目撃したかった。この日お披露目された高橋徹也Tシャツを手がけたのがわがGTHCOMデザイン班で、その出来と評判も確かめたかったのでした。

GOMES THE HITMANのライブは「雨の夜と月の光」を1曲目に演奏したのだけど、タカテツさんが選んだオープニング曲はふっと力の抜けた軽やかな「マイ・フェイヴァリット・ガール」で、2時間半のステージの物語を眺めて、彼が僕に伝えてくれた“良いインスピレーション”がどういうことかわかったような気がした。ライブの内容は言うまでもなく最高に刺激的で(去年から昨日まで刺激的ではない高橋徹也のステージはなかった)sugarくんも鹿島さんも脇山さんも、最後に加わったホーン・セクションもバックミュージシャンではなくバンド然としていて爽快でした。

タカテツさんは僕の2つ上で、自分の少し先を歩いている人。彼がこのまま45歳になって、50歳になって、さらには「ついに還暦ですよ、まったく」と照れながらもどんな歌を歌っていくのか楽しみだなあと思うようなライブでした。言葉とメロディがねじくれて結婚したようなこんな音楽は他にあまりなくて、できれば誰にも教えないで自分だけでこそこそ楽しみたいと思うのだけど、昨日のQueをぎゅうぎゅうに埋めた観客たちの熱い歓声は僕らの共犯意識をくすぐる地響きのようで、良いお客さんが素晴らしいシンガーソングライターを支えていると感動しました。わーオレもガンバロ!と思った。



その刺激を受けて今日は鎌倉molnでイベントです。手をワナワナさせるタカテツアクションを取り入れてトークしたいと思います。ご来場の皆さんに抽選で本のプレゼントも。ライブでは今日しか歌わない歌をいくつも。雨が降るはずだった連休最後の天気を晴れにした晴れ男は僕です。当日券ありますのでハイシーズンの鎌倉へぜひお越しください。ひなたのねこ展、とても好評です。


2014年11月3日(月・祝)貸し切り図書館12冊目 「ひなたのねこ」特別編
18:30開場/19:00開演/料金 2,500円(アアルトコーヒーのドリップコーヒー付き)

山田稔明(GOMES THE HITMAN)×庄野雄治(アアルトコーヒー)
恒例の「貸し切り図書館」は山田稔明とアアルトコーヒー庄野雄治氏による
「ひなたのねこ」特別編。演奏はもちろん、山田と庄野さんが厳選した動物に
まつわる本についてのトークも

鎌倉 moln(http://cloud-moln.petit.cc/
鎌倉市御成町13-32 2F 
0467-38-6336  
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2014年09月01日

20/20/15



昨日のこと、朝から夕方まで頑張って下北沢leteライブの準備。新しい季節のセットリストで新鮮だが久しぶりに歌う歌が多いので緊張する。夕方から鎌倉へ。4月末以来、夏を通りすぎてしまった。10月から「ひなたのねこ」展でお世話になる雑貨店molnで展示スペースなどを打ち合わせ。ギャラリー芝生とも巣巣とも違う良い空間になりそうな気がしました。molnが親しくしている作家さんも加わってまた新しい出会いがありそうです。展示期間中のお花をお願いするフラワーアーティストのCHAJINさんにも期せずしてお会いすることができた。猫が招き猫が繋ぐ縁が楽しみです。

そしてカフェ・ヴィヴモン・ディモンシュで毎年夏恒例のヒックスヴィルのライブ。今年はヒックスヴィル結成20年とディモンシュの開店から20周年ということで「20/20」と銘打ったお祭り。お客さんもたくさんで立ち見も出る大盛況でした。夏のヒックスヴィルを鎌倉で観るのはこれで3年目か。4月に観たライブがレア楽曲のみを演奏するものだったので、久々に全開のヒックスヴィルサウンドを堪能しました。名サントラ『FOLLOW ME』収録の「Through Spray Colored Glasses」の日本語カバー「夏の終わりに」もまさにばっちりのタイミングで聴くことができました。年内のアルバムリリースが名言されて嬉しかった!レコ発ライブは11月末とのこと。

この日は奇しくも小沢健二『LIFE』というひとつの歴史を作った超名盤リリースからちょうど20年という記念日で、ライブのMCのなかでもそのことについて触れられていましたが、僕が渋谷公会堂で初めて観たライブ “DISCO TO GO”はリリース前の『LIFE』楽曲をひたすら演奏するライブで、木暮さんと真城さん、そして真城さんの妹さんもコーラスとして参加されていた。そのときのヒックスヴィルは結成1年目だったということになる。20年前僕は二十歳で、GOMES THE HITMANを組んだ翌年。日本語でオリジナル曲を書き始めたころだった。初めて書いたのは「プロポーズ大作戦」という曲で、そこにある照れ隠しのような多幸感は確実に『LIFE』の影響下にある。

今度ヒックスヴィルは福岡cafe Teco(僕もずっとお世話になっているお店です)でライブをやるのだけど、それが15年ぶりの福岡ライブになるらしい。僕が初めてヒックスヴィル先輩たちにお会いしたのはその15年前の福岡での夜だった。僕は『weekend』のレコ発ツアー中で福岡公演が終わった後、ヒックスヴィルも天神のどこかで打ち上げパーティーをしているという情報を得てそのお店に忍び込んだのだ。お酒の勢いもあってものすごい熱量で“好き”を表明して気持ち悪がられたことを憶えている。あれから時間がたくさん過ぎた。20年、15年。

ディモンシュ堀内さんは愛猫ポチのことについて気にかけてくださっていてお偲びの言葉にまた泣きそうになった。打ち上げにも混ぜてもらって美味しいプレートをいただく。畠山美由紀さんも遊びにこられていたので『高野寛ソングブック』の「確かな光」の斬新カバーで驚かされたことを直接伝えることができた。真城さんともうるうるしながら犬猫の話を。きれいな花を持ってポチのお通夜にきてくれた中森さんにもようやっと香典返しのMONOLOGポチ号とバッジを渡せました。たくさん笑ってうるうるした、とても素晴らしい夏の終わりの夜でした。

そして怒涛の8月が過ぎ、今日から9月。まず下北沢leteでの定期演奏会から新しい季節のセットリストをスタートさせます。

  
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2014年08月27日

THE ALARM(マイク・ピーターズ)宣言



一昨日のこと、ビルボードライブトーキョーでTHE ALARMのボーカリスト、マイク・ピーターズのライブを観た。THE ALARMといえば80年代の徒花的な、髪を立てて襟足を伸ばしたマレットヘッドの代表格のようなバンドでしたが、25年くらい前の中学生の僕の心にとても良く響いた至極まっとうなギターバンド。中学生当時『ELECTRIC FOLKLORE LIVE』という、ベスト的選曲のライブ盤をよく聴いたのです。“フォークローレ”なのに“エレクトリック”というそのタイトルは、人懐っこいメロディと空間的なエレクトリックギターを得意とする彼らの音楽を実に端的に表現した言葉だったように思います。

僕が思い出す最近のTHE ALARMのニュースは10年ほど前、名前を伏せて(新人バンドのように偽名をつかって、PVも若者に演奏させる手の凝りようで)シングルをリリースしてビッグヒットさせたあとに正体を明かし「THE ALARMは80年代の遺物」という世間の認識に抗ったこと(まさに“アラーム宣言”だ)。1984年の『Declaration(邦題「アラーム宣言」)』リリースから30周年ということで、そのアルバム楽曲の演奏をメインに、アンコールでは僕の好きな「Rain in the Summertime」も聴けた。「68Guns」や「Where Were You Hiding When The Storm Broke」など、その風化しないグッドメロディはいろんな記憶を呼び覚ますタイムマシンのよう。今回はソロでの来日公演だったのでシンプルな弾き語りを予想していたら全然違った。ルーパー/サンプラーを駆使しして、足元のバスドラムも踏んで、ボーカルをディレイで飛ばして、と充実のパフォーマンス、“ELECTRIC FOLKLORE”はキープオンされていました。

1990年初頭のバンド解散後、マイク・ピーターズは癌やリンパ腫といった大病と戦いながら音楽活動を続けてきたそうで、バンドを定期的にリユニオンさせたり、なんとビッグ・カントリーに参加したりもしている。MCでもU2の『WAR』ツアーをサポートしてアメリカを回った思い出話やウディ・ガスリーの影響を語っていたが、その立ち止まることを知らない全身全霊の歌を聴いていると自然と手拍子をしたりシンガロングしたり、彼の熱量に取り込まれている自分に気づく。一番聴きたかった「Blaze of Glory」はハイライト、歌詞も全部憶えていた僕は連日のライブで枯れた声ながらしっかりと一緒に歌いました。“音楽を続けていく”ことについて勇気をもらうような素晴らしい夜を堪能しました。



  
Posted by monolog at 08:19Comments(0)TrackBack(0)