2018年11月02日

7年目の『Christmas Songs』|ゆっくり長いクリスマスフェアのはじまり



11月になりました。ハロウィンが終わり、街は一気にクリスマスムードに。2012年にリリースした『Christmas Songs - standards and transferes』は7年目の冬を迎えます。誰もが知っているクリスマススタンダードをギター、マンドリン、バンジョー、鍵盤ハーモニカ、そして弾けないバイオリンまでをあれこれ駆使して山田稔明がひとりきりで作り上げたあたたかなクリスマスアルバム、ジャケットは『新しい青の時代』と同じく福田利之さんによる描き下ろし。今年もどうぞよろしくお願いします。

本日よりクリスマス特典として、注文分にはポストカードやステッカーや、クリスマスギフトをいろいろおまけして発送します。お持ちでない方、この機会をぜひお見逃しなく。そしてすでにお持ちの方もプレゼントにとてもいいアイテムだと思いますのでもう一枚ぜひ。ひとりきりで作り上げた、と前述しましたが、相棒ポチが手伝ってくれたことを忘れてはいけません。彼女の声がたくさん聞けるという意味でもこれは自分にとってとても大切なレコードです。ぜひみなさんの冬のBGMに。


『Christmas Songs -standards and transfers/山田稔明』
(全12曲入り/2,000円税別/2012年発表 2013年全国流通/GTHC-0003)


“Christmas Songs 〜standards and transfers”
山田稔明、キャリア初めてのクリスマス・アルバム
フォーキーなサウンドで織り成す全12曲

<全曲解説>

1. somebody’s coming(introduction)
誰かが寒い冬に突然訪ねてきたときに穏やかなコーヒータイムのBGMになるようなレコードにしたいなと思いました。クリスマスの始まりです。オルゴールと鈴が180度のサウンドスケープで。

2. joy to the world
ご存知クリスマス・キャロル「もろびとこぞりて」を笛や鍵盤ハーモニカ、ウクレレとたくさんの声を重ねて。2009年の冬に録音し2012年にリミックスしました。

3. jingle bells
左右に踊るアコースティックギターに導かれて手拍子と足踏みを。「ジングルベル」は記憶の底にある子どもの頃を撹拌する魔法の杖のようなメロディです。2008年に録音したものの素材を録り直しビートを足してリミックスを施しました。

4. oh my darling, clementine
「雪山賛歌」として知られるアメリカ民謡、歌の内容はゴールドラッシュに沸く西部開拓時代の物語でクリスマスと関連のない曲なれど中国では新年を祝うお正月ソングだそう。2010年に録音したものにシンセをダビング、ホーリー感増しました。

5. wish you a merry christmas
クリスマスのライブで配布するために2005年に誰にも頼まれずにひとりで多重録音したスタンダード曲。このクリスマスCDのきっかけとなった1曲です。ステレオ感が増したサウンドに変身。

6. greensleeves
郷愁をそそるメロディは冬の帰り道を想起させます。「御使いうたいて」の歌詞を伴ってクリスマス・キャロルになりますが僕はスキャットでメロディをなぞりました。2010年に録音したものをリミックス。

7. when the saints go marching in
底抜けに明るいメロディと「聖者の行進」というタイトルからクリスマス曲と思われがちなこの歌、実は黒人霊歌をルーツとする葬送曲。僕はギターをかき鳴らし賑やかな賛美の歌に。今年新録した楽曲です。

8. the first noel
「牧人ひつじを」というタイトルで知られるこの歌、起源は13世紀まで遡るそうです。クリスチャンではない僕でも神聖な気持ちになるとても美しいメロディ、たくさんのハーモニーを添えました。このCDのための2012年新録曲

9. symphony no.9(ode to joy)
年末になると街中で奏でられるベートーベンの「交響曲第9番」第4楽章に日本語詞をつけて歌いました。旅の門出に立って力強く宣言するような歌になりました。2009年の録音。「旅路」「家路」のテーマの上にあります。

10. amazing grace
18世紀から歌われている賛美歌をフォーキーに。中古で買ったバイオリンを下手くそに弾いているのは僕。後半からは「グロリア(荒野の果てに)」と年末の街のざわめきが溶け合います。2007年に録音したものですがボーカルを録り直し、後半のコーラスをすべてダブルトラックに。

11. silent night
2005年録音の「きよしこの夜」。鉄琴の音が氷の窓を叩くノックのよう。クライマックスで愛猫ポチが歌い出しますのでビックリしないでくださいね。

12. o christmas tree
「もみの木」として知られるメロディに日本語詞をのせました。2006年の冬の始まり頃の録音ですが録り終わると夜が明けていて鳥のさえずりが。窓を開けてそれを猫と眺めている風景でこのレコードはまた振り出しに戻ります。


arranged, performed and produced by Toshiaki Yamada

◎紙ジャケ仕様/ブックレット封入/帯付き
◎誰もが知っているクリスマススタンダードをフォーキーに織りなす季節感たっぷりの1枚です
◎全曲のアレンジ、演奏、歌、多重コーラス、録音とミックス、さらにはマスタリングまでの
全工程すべてを山田稔明が担当、まさにハンドメイドなあたたかいレコードです。
◎アートワークは『新しい青の時代』と同じく人気イラストレーター福田利之による描きおろし。

オフィシャル通販STOREで『Christmas Songs - standards and transfers』を購入


  

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2018年11月01日

30年とか25年とか20年とか|高橋徹也 吉祥寺スターパインズカフェ公演

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先週末のこと。自分のトラベラーズファクトリーでのライブが終わった後ですぐ吉祥寺に戻り、スターパインズカフェで高橋徹也の『夜に生きるもの/ベッドタウン』CDリイシューに伴うレコ発ライブを観にいった。こっちの都合も知っているであろうタカテツさんが何度か少なくない回数お誘いの連絡をくれたので「相当仕上がってるのだろうなあ…」と思ったし、圧倒的な楽曲群をキャリアハイとも言える今のバンド、ライブ体力で見せつけられるのだから嫉妬して落ち込むパターンのやつだな…と腹をくくって出かけたのだけど、隅から隅まで素晴らしくて、これは見逃したらダメなやつだったな、と震え感動した。

高橋徹也のライブを観ていると、音楽も佇まいも不穏だし、メロディはねじくれて気持ちのいい音符に落ち着いてくれないし、その詩世界は歪んでいて「この奇妙な歌のなかの住人にはなりたくないな」といつも思うのだけど、眉をしかめながら前のめりに惹き込まれている自分にも気づく。なんでこの人とこんなに仲良くなったんだろうな、と不思議になる。向こうもそう思ってるのかな。この数年はリリースの内容や方法など一番相談しあう相手がタカテツさんだ(あと、この人が自分と同じようにちょっとどうかしてるくらいレコードを買うところも信用してる)。今年ふたりともアナログ盤リリースに尽力して実現したことはずっと憶えている記憶になるだろう。20年とはとても長い長い時間。ともすれば忘れ去られてしまう空気の振動でしかない音楽を、会場満杯のファンとお祝いできた彼は幸せ者だ。

今年の夏に京都から帰ってくる車のなかで大きな音で一緒に聞いた「友よ、また会おう」という新曲を最後にやったのがよかった。ライブを観ていた友だちが「あれは山田のことを歌ってるんじゃない?」と言ってたけど、それは違うと思った。あれはすべての人に向けられた、照れたような、困ったような、しかしとても優しく友を鼓舞する笑顔のような歌である。彼のライブの翌日にソニーへ出向いて来年のGOMES THE HITMANアニバーサリーのための打ち合わせが始まった。自分のバンドが結成から25年とか来年でデビュー20年とかの節目を迎えようとしているこの頃、高橋徹也という人の活動はとても興味深い。  
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2018年10月31日

30年とか25年とか20年とか|デフ・レパード日本武道館公演

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先週のこと、日本武道館で行われたデフ・レパードの来日公演を観にいった。『ヒステリア』という1987年発表の名盤を全曲演奏するというライブだったのだけど、中2の僕はそのアルバムを隅から隅まで大好きだったのでどうしても観たかった。30年前のことだ。この『ヒステリア』は大ヒットしすぎてハードロック・ヘビーメタルという範疇から大きくはみ出したモンスターアルバム。満員の武道館は自分よりも年配の方が多かった。男性も女性も。みんな一様にワクワクして開演を待ち、「Woman」から始まる『ヒステリア』まるまるに大歓声があがった。

スタジアム級のバンドであるデフ・レパードに日本武道館はとても小さく感じた。目と鼻の先で30年前に夢中になった音楽が奏でられ、僕はきっと中学生みたいな顔で一緒にシンガロングしていただろう。喧騒を避けて一駅歩いてクールダウンしようと思ったけど、体の芯にはじわっと熱いものが残った夜でした。  
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2018年10月16日

b-flowerと10月の歌

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先週末の土曜日、高円寺でb-flowerのライブを観た。大学生の頃にCDを買って好きになって、数年前にまた出会い直して、ボーカルの八野英史さんとひょんなことから仲良くさせていただくようになったけど、バンドでの演奏を聴くのは初めてだった。25年のタイムスリップ、と呼ぶのがしっくりこないくらいに、大好きな歌「舟」ですべりだしたb-flowerは現在進行形のバンドだった。ノスタルジーの欠片もなく、揺るぎない普遍的な歌がステージでは鳴らされてハッと魅せられてしまう。八野さんは穏やかで優しいけれど、ステージに立つと胸の中に冷たい炎のようなものが灯っている人だ、と感じる。ニコニコ笑っているようで、その目は冷ややかに世界を見つめている。「つまらない大人になってしまった」も素晴らしかったし、八野さんが目に見えない毒をちょっとだけ音楽に盛る瞬間を目撃したような気がしました。バンドの演奏も素晴らしかった(皆さん優しかったな…)。b-flowerがもっと身近で、もっと大好きなバンドになりました。

まだ歌を聴き足りなかった僕は翌日、松陰神社前のタビラコで行われた細海魚さんと八野さん二人でのライブも観にいったのです。小さな空間にきゅっとみんなで集まってミツバチの羽音に耳を澄ます、そんな感じの素敵な時間。前日と曲かぶりはほとんどなく、季節柄聴きたかった「OCTOBER SONG」、「サトウカエデの下で」も聴けたし、魚さんのウーリッツアーの音がとても艶っぽくて、リラックスしてるのに緊張感がある雰囲気がとてもよかった。八野さんは「これ」とシャツをはだけてモリッシーのTシャツを見せてくれて、そこには8月に京都で一緒に歌ったTHE SMITHS「ASK」の歌い出し、「SHYNESS IS NICE(恥じらいって素敵だね)」と書いてあった。楽しくて幸せな一日でした。

いつかGOMES THE HITMANとb-flowerでライブができたらなあ、と妄想を。

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2018年10月15日

YO LA TENGOと『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』

YO LA TENGOといえば、何をおいても柴崎友香の小説「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」を思いだす。「高速道路のドライブは退屈だから嫌い」から始まる物語。

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 カーステレオからは、英語の、静かな男の歌が流れていた。
「なんや、この曲。寝起きに聞きたないような暗い曲やな。コロ助みたいな宅録オタクが作ってそうな曲やん。これ、コロ助の選曲か?」
欠伸しながらそう言ったぼくを、コロ助はくっくっくと声を殺して笑っている。伸びをして隣を見ると、ルリちゃんも笑っていた。
「これ、わたし用に作ってくれたテープ。この曲、今年のわたしのナンバーワンって感じに大好きな曲やねん。さすが、コロ助くんはようわかってるわ」
「あ、そうなん?」
「そう。歌詞なんかすごいええねんから。ほら、ここ。君が笑ったらぼくも笑ったような気分だ、君が泣いたらぼくは最悪な気分だ、って言うてるねんで。このよさがわかれへんかったら、わたしとは話、合えへんわ」
「そうなんや、そんなこと言うてるんや」
と言っても、急に歌詞なんて聞き取れなかった。
「そうかあ。そう言われると、ええ曲やなあ」
「うそばっかり」
「うそちゃうよ。なんか、この、落ち着いた感じがええやん。誰、誰?」
「ヨ・ラ・テンゴっていうアメリカのバンド」
「あっ、聞いたことある、その名前。うん、たぶん知ってるで。ほら、友だちのCD出したっていうてたやつが好きなバンドがそんな名前やった気がするなあ」
「もうええよ」
 ゆったりと、なんの苦もなく運転を続ける恵太は楽しそうに笑っていた。コロ助も笑って、それからルリちゃんも笑って、そのバンドの話をしてくれた。
ぼくもその曲が今年聴いた中でいちばんいい曲に思えた。


柴崎友香「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」(河出書房新社 2001)より引用


これはヨ・ラ・テンゴの2000年作『And Then Nothing Turned Itself Inside-Out』収録、トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』を下敷きに作られた「The Crying of Lot G」のことなのだけど、こういう、繰り返される静かなパンチラインがディスコグラフィーのいくつものカタログに渡って小さな儚い花を咲かせているような、そういう感じが彼ら独特の詩情であり魅力だと感じる。20年近く好きで聴いているこのバンドのライブを先週初めて生で体験した。なんで今まで行かなかったんだろうか。スケジュールとかタイミングの問題とか、わりと頻繁に来日してくれるからまた次の機会に、となっていたのか。とにかく今回の来日公演は新譜がとても良かったこともあってわりと早くチケットを押さえていたのだけど(ソールドアウト公演になっていた)もうすべてのシーンが素晴らしくて感動したし、楽しくて元気が出た。時間を遡りたいと思ったほど。こんなに心地いい静寂と爆音とノイズがあるだろうか。こういう瞬間や心の動きに気づかされるから音楽の持つ力は計り知れない。

このライブの2日後にメンバー3人がDJをするというので、夜中にクラブへ出かけた。ジェームズ、ジョージア、アイラの順に30分ずつ。こういう場所には本当に上手に可愛く踊る女の子たちがいて感心する。アナログレコードで流される音楽はどれも最高でiPhoneをかざして曲名を調べたり、ぎこちなくリズムを取ったりして楽しかった。人となりが滲みでるようなDJセットだった。ジョージアとすれ違うときにグラスを掲げたらニコッと笑って乾杯してくれて、背中をぽんぽんと叩いてくれて嬉しかったな。この10月という季節にヨ・ラ・テンゴを観ることができて本当に良かった。

君が笑ったらぼくも笑ったような気分だ、君が泣いたらぼくは最悪な気分だ。そのとおり。


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2018年09月27日

続・好きなものを好きでいつづけること

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今年の春に突如復活が告知されたストリートスライダーズのハリーと土屋公平(蘭丸)による“伝説”のユニット JOY POPS。ふたりが一緒に演奏するのはなんと18年ぶりとなる。これまでどれだけ頑張っても全然チケットが取れなかったのだけど、ようやっと手に入れた昨晩のビルボードライブ東京でのライブ、何ヶ月も前から楽しみにしていたのです。ハックルベリーフィンのさくちゃんとたけ兄と3人で並んで観ました。3人とも中学生みたいな顔してたんじゃないかな。ときおりアコースティックギターを手にするも、基本的にはふたりのエレキと歌だけのシンプルな演奏。しかし1曲目の「Bun Bun」から最後のストーンズ「Rip This Joint」風にアレンジされた「Boys Jump the Midnight」までずっと楽しくて一緒に歌った。歌詞も全部おぼえてた。声もギターもよく鳴って、想像以上によかったし、ノスタルジーのようなものをあんまり感じなかったのはスライダーズの楽曲が古くならないロックンロールだからだろうか。

僕が高1のときに初めて組んだバンドの名前は「Empty Heart」というんだけど、それはJOY POPSの曲名から取ったのです。からっぽの心。僕が特に好きな歌は「Angel Duster」とか「かえりみちのブルー」とか、ちょっと憂いがあるやつなので、この2人の編成で聴くとすごくグッとくる(もちろんスライダーズ編成でも聴きたいけど)。ふたりがニコニコ楽しそうなのが嬉しかった。MCも和気藹々としてて(信じられない!)「年を取るのも悪くない」という言葉が繰り返されて、僕もそう思いました。

終演後になんとサイン会がある!というのでたけ兄、さくちゃんと一緒にドキドキしながら時を待つ。ハリーは去年吉祥寺HMV record shopでインストアイベントがあったけど、サイン会にはなんとなく並べなかった。この日迷わず列に並べたのはステージ上の雰囲気がとても良かったからかもしれません。公平さんには3年前の秋にベースえびちゃんを介してお会いできて話をさせてもらっていたのだけど、そのときのことをちゃんと憶えていてくれて「よく来たね」ととても優しかった(そのときのブログ「好きなものを好きでいつづけること」)。ハリーも穏やかな笑顔、ハリーと握手できるなんて思いもしなかった。僕が持参していた1988年の5周年記念本を見てニヤリと笑った。興奮冷めやらぬまま外へ出ると土砂降りの雨だったけれど僕はふんふんと鼻歌を歌いながら、気分良く帰路を辿ったのでした。

帰宅してもハックル2人と感想を述べ合ったり、九州の旧友に報告したり。音楽はタイムマシンのようで、宝探しにも似ている。あなたが好きになったものはきっとあなたを裏切らない。

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バリ島といえばスライダーズの「風が強い日」なのです。夏休み中のバリでも耳の奥で何度も蘭丸のスライドギターが聞こえた気がした。ああ、だからおれバリ島に行く運命だったのかな、とか都合よく今日は考えている。今から30年前にバリ島で撮られたこの曲のMVのなかの風景は、こないだ行ったバリとほとんど同じでした。


  
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2018年07月29日

『mono』を回想する・後編【00-ism】

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前編に続けてお読みください。2002年リリースの『mono』を回想します。

『mono』に収められた楽曲のうちのいくつかは「饒舌スタッカート」をリードシングルとする“来たるべきニューアルバム”のために書かれたものだった。「夜明けまで」「笑う人」、そして「情熱スタンダード」はタイトルからして「饒舌スタッカート」と対になっている。「夜明けまで」に(情熱スタンダード vol.1)と副題がつけられたのもそのせいだった。次作に収録されることになる「20世紀の夏の終わり」ももう完成していたし、僕らが2001年にBMG JAPANからもう1枚アルバムを出していたらどうなっていたかな、と思う。「忘れな草」で歌われる「このままこのときがあと2年も続けばなあ」の “2年” はレーベルとの2年契約を更新したかった僕の心の叫びだったかもしれない。

しかし、そのラインナップに「目に見えないもの」や「別れの歌」といった淡々と情景と心情を歌う静かな歌が加わる。「百年の孤独」はMac & Wendysという課外活動バンド(メンバーは僕、PLECTRUM高田タイスケ、セロファンの高内シロウと溝渕ケンイチロウ、そしてライターの山田ゴメスさん)でのライブのために僕が書いた曲だった。ポール・オースターの小説とソフィ・カルという芸術家の著作『本当の話』をモチーフにして書いた「言葉の海に声を沈めて」はこれまでのGOMES THE HITMAN楽曲とは異なる雰囲気の歌になった。内なる声と発せられる声、と考えたときにSmall Circle of Friendsの東 里起さんをゲストに迎えたいと思って、渋谷クアトロでのライブを観たあと出待ちをして依頼したことを忘れない。

レコーディングはまずリズムとベーシックトラックを駒場東大前のスタジオで録った。緊張感のある現場だった。僕はニコリともしなかったんじゃないかなと思う。サポートギタリストのアッキーが緩衝材のようにみんなを和ませる、というのが『mono』から『ripple』まで続くことになる。アッキーには本当に苦労をかけたと思う。細かいダビングやボーカルレコーディングは中野富士見町にある小さなスタジオで録ったので、今でもそのあたりを車で走るとあの頃の記憶が蘇る。アルバム最後を飾る「表通り」はバンドでの演奏を放棄した曲だ。この曲を録る日はメンバーが揃わなかったはず。今聴くと口笛が聞こえるのだけど、僕は今も昔も口笛をうまく吹けない。これは誰の口笛だろうか?と思い出せないでいる。当時のディレクターかな。このあたりの記憶は混沌としたまま。

最後の最後に「6PM intro」ができた。僕がハードディスクレコーダーでひとりで作ったサウンドトラックが『mono』の始まりを告げる。旋律はR.E.M.の「Perfect Circle」を下敷きにしている。このアルバムに取りかかるタイミングで僕は池袋から武蔵野へと引っ越したのだけど、「6PM intro」の始まりに聞こえるのは吉祥寺の夕刻の鐘の音だ。本当は17時の鐘の音なので五回鳴ったのをコピーペーストで一回分増やしてある。雑踏、自転車のブレーキの音、誰かの声、それは2002年のある日にうちの近所でフィールドレコーディングした素材なのだけど、それまでもそれからも、そして今でも普遍的に毎日繰り返される暮らしの音であり、このレコードはそういう普遍的な風景から幕が開くのが相応しいと思ったのだ。

『mono』というタイトルは制作終盤に僕が決めた。なんでそれまで『mono』じゃなかったのかというくらいこの作品を言い得ていた。アルバムジャケットも象徴的で、オリジナル盤はビニールカバーでくるまれた他に類を見ない装丁に。とてもストイックなものを作ったという感覚があったのだけど、僕が想像していたよりもセールスは好調だったように思う。関東で7ヶ所、関西、中部でもインストアライブを重ね、レコ発ライブは渋谷クラブクアトロにて、東 里起さんをDJとゲストボーカルに迎え、アッキーを含む5人編成で演奏した(大阪はバナナホール、名古屋はメトロ館)。『mono』の好評を受けてライブ活動にも拍車がかかり、2002年はキャリア史上においてライブ元年と呼べる年だったなと振り返る。




  
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2018年06月26日

一本の音楽をいくつも束ねて

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昨日のこと、GOMES THE HITMANのリハーサルをお昼から夕方まで。今回13年ぶりの新録盤『SONG LIMBO』の先行発売ライブなので、そのなかからの楽曲が中心になるのだけど、せっかくだから“LIMBO=天国と地獄の間の辺土”をまだまださまよい続ける曲にも光と風を当てようということになり、結果としてレアすぎる内容になっている。「饒舌スタッカート」はもちろん、「手と手、影と影」も「夜明けまで」も「愛すべき日々」もやらない。お客さんのなかには1曲も知らない、という人もいるのではないだろうか。僕らもわくわくしている(そしてやりなれてないからヒーヒー言ってる)。

隣のスタジオでは村田和人バンドが7月2日から始まるレコ発ライブツアーのための練習をしていたので挨拶、そのまま僕はそちらの練習に参加した。ちょうど完成したばかりのCDをいただいた。村田さんが最期まで取りかかっていたアルバム『ド・ピーカン』は村田バンドと仲間たちの尽力でついにその全貌がもうすぐ明らかになる。7月2日発売。村田さんらしいビッグスマイルが嬉しい。このレコードにはこういうジャケットが似合う。村田さんの不在を感じると同時に、確実に“ここにいる”という感覚が共存していて、聴き入ってしまうのです。GOMES THE HITMANは2曲担当、村田さんにも褒めてもらえるような仕上がりになったと思います。吉祥寺スターパインズカフェでのライブはパンパンの満員ソールドアウトだそう。神戸と京都はまだチケットがあるかもしれません。僕はすべての公演に参加、スターパインズカフェではGOMES THE HITMANでの演奏になります。CDもライブもぜひに。




KAZUHITO MURATA & HIS FRIENDS
『ド・ピーカン』発売記念ライブ ツアー


2018年7月2日(月)@ 神戸 VARIT
2018年7月3日(火)京都 都雅都雅
2018年7月4日(水)東京 スターパインズカフェ【SOLD OUT!】


出演:村田バンド
member:山本圭右[Gt,Vo]、湯川トーベン[Ba,Vo]
向山テツ[Dr]、小板橋博司[Per,Vo]、友成好宏[key]

guest:杉真理[Vo,Gt]、村田彼方[Dr,Vo]、山田稔明[Vo,Gt]
(東京公演はGOMES THE HITMANでの出演)

全公演とも18:30開場 19:30開演
前売 5500円(+1drink)当日6000円+1drink(整理番号順入場・全自由)


チケット発売日:5月12日(土)
<配券情報>
VARIT:店頭販売 / ローソン(Lコード:57117) / e+ / チケットぴあ(Pコード:117-020)
都雅都雅:店頭販売 / ローソン(Lコード:51909) / e+ / チケットぴあ(Pコード:117-025)

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神戸 VARIT
〒650-0011 神戸市中央区下山手通り2-13-3建創ビルB1F
TEL:078-392-6655

京都 都雅都雅
〒600-8031 京都市下京区寺町通四条下ル貞安前之町613 火除天満宮B1F
TEL:075-744-1497

東京 吉祥寺 スターパインズカフェ
〒180-0004 武蔵野市吉祥寺本町1-20-16B1
TEL:0422-23-2251  
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2018年05月23日

音を刻む|『新しい青の時代』アナログカッティングを目撃

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昨日のこと、午前中から出かけて東洋化成の末広工場というところで、『新しい青の時代』アナログ盤の「カッティング」という作業に立ち会う。いよいよこの日がやってきたのだ。5年前にこのアルバムの全曲をミックスしてくれた手塚雅夫さん(その後の『the loved one』も『DOCUMENT』でもお世話になっています)が同行してくれたのでとても心強かったが、手塚さんも長いキャリアにおいてアナログカッティングは30年以上ぶりとのことで、僕同様にワクワクしていらっしゃったのが印象的でした。末広工場はおおよそ音楽とはなんの関係もないような無機質で派手なところが一切ない建物。僕らは緊張しながら足を踏み込んだ。

カッティングを担当してくれたのは西谷さんという10年のキャリアを持つ若々しいエンジニアさんでした。曲間の秒数なども改めて設定しなおした。2018年の気分を重視。僕も手塚さんも音については西谷さんにお任せする。僕は「魔法をかけてください」とすらお願いし、西谷さんは「わかりました」と笑顔。曇りひとつないラッカー盤に『新しい青の時代』の音をサファイアが刻んでいくのを不思議な気持ちで眺めていました。すべての行程が初めてなので僕は工場見学に来た子どものようだったかもしれません。

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刻んだ溝を顕微鏡で確認し、いよいよ試聴。最初に聴いたのは「月あかりのナイトスイミング」でしたが、その豊かな音に感動しました。CDとレコード、どっちがいいとかそういうことじゃなくて、改めて音楽とは空気の振動だなと、針が溝を擦る音に耳を澄ましながら思ったのです。あったかい音、というと使い古された言い方に聞こえるかもしれませんが、静かな熱を感じました。そしてA面についても同じ作業。オープニングトラック「どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと」は歌詞が違うバージョンに差し替えたので、改めて聴いてみると感慨深いものがありました。A面も通して試聴。もう何も言うことのない素晴らしいサウンドでした。インスタグラムにも写真や動画を投稿しています。この記事の写真は手塚さんが撮ってくれたもの。ふたりとも嬉しくて何度もシャッターを押したのです。

テストラッカー盤は僕が持ってかえっていいことになり、いわゆる普通のヴァイナルよりも重いその円盤をそっと胸に抱きしめる。手塚さんも「5年経ってるのに、今も最高に良いアルバム」と言ってくれました。3時間と少しくらいの作業だったでしょうか、夢のような時間。またここに来てカッティングしたいなと欲が出てきた。帰宅後、自分のオーディオで聴くラッカー盤『新しい青の時代』はまた違う表情を見せます。再生環境によって変わってくるのもレコードの面白いところです。近藤さんに連絡して近藤さんのスタジオでもレコード試聴をさせてもらっていたらあっという間に日付が変わりました。

『新しい青の時代』アナログ盤クラウドファンディングはじわじわと申込が増えて、現在111%と縁起のいい達成率、残り38日となりました。どれだけ興奮を書き連ねても、どれほど通じるかわかりませんが、とにかく生まれて初めて自分が作った音楽がレコードになった、長い長い一日でした。今日はジャケットの入稿日、皆さんにお披露目する日が刻一刻と近づいています。ぜひ楽しみにお待ち下さい。


TWIN MUSICサイトでクラウドファンディングに参加


山田稔明『新しい青の時代』アナログ盤

2018年7月25日 発売/GTHC-0014/価格 3500円(税込)


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1.どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと
2.一角獣と新しいホライズン
3.光と水の新しい関係
4.予感
5.平凡な毎日の暮らし

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1.月あかりのナイトスイミング
2.やまびこの詩
3.光の葡萄
4.日向の猫
5.ハミングバード


all songs written and
produced by Toshiaki Yamada
originally released on July 7, 2013
  
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2018年04月16日

コーチェラの日曜日



昨日のこと、カリフォルニアの砂漠で開催される恒例のコーチェラ・フェスティバルの生中継を観始めたらついつい見入ってしまって、やらないといけない仕事がたくさんあったのに全然手につかなくなって、First Aid Kitは麗しく、HAIMはカッコよくて面白くて、デヴィッド・バーンのステージも極めて先鋭的、X JAPANの狂騒も含めて眺めていたら夜になってしまった。そしてとにかく圧巻だったのはビヨンセのステージで、もうぐうの音も出ないくらい感動した。モニター越しでもものすごいものを観た、という印象。エンターテインメントの完成形だなあとしびれた。音楽って素晴らしいなあと改めて思った日曜日でした。

再開した録音作業の感覚がちょっと変わったような、そんな日曜日でした  
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2018年04月11日

中島愛 “Curiosity of Love”ツアーファイナル|ナイロン100℃『百年の秘密』

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先週末、レコーディングを夕方までやった後でお台場まで車を走らせて中島愛さんの復帰第一弾アルバム『CURIOSITY』発売記念ツアーのファイナル公演を観にいった。昨年の6月以来で目撃するライブでしたが素晴らしかったな。甲斐みのりさんとの共著『音楽が教えてくれたこと』で改めてまめぐちゃんの音楽に対する知識と愛情を再確認したあとでのステージだったのでなおさら、楽しそうに弾む姿が印象的でした。歌詞を書かせてもらった「最高の瞬間」、そして「金色〜君を好きになってよかった」はお客さんの掛け声、コール・アンド・レスポンス、フロアのペンライトの光でさらにスケールの大きなアンセムに昇華されていて、何度聴いても感動します。終演後まめぐちゃんに挨拶。会場で会ったラウンドテーブル北川くん(もう20年以上の付き合いになるなあ)、acane_madderさん、久しぶりにお会いした作詞家の岩里祐穂さんと記念写真。たまにライブにまめぐちゃんのファンの方が来てくれて「僕が(私が)言うのも変な話ですが…、いい歌詞をありがとうございました!」って言ってくれることがあってとても光栄。そんなこと他の作家仕事ではなかなかない。

昨日も夕方まで録音作業をしたあとで下北沢まで出かけて(南口がなくなった下北沢の違和感!)本多劇場でナイロン100℃『百年の秘密』を観劇。時間を行ったり来たりする大河ドラマは目まぐるしく展開して、休憩挟んでたっぷり3時間半もその長さを感じませんでした。だれか『ケラリーノ・サンドロヴィッチの頭の中』という映画を作って欲しい。作品を観るたびになんでこんなストーリーが思い浮かぶんだろうか、と思う。終演後KERAさんにお会いして『Punctual/Punk』を渡すことができて、「これ欲しかったんだよー」という笑顔がとても嬉しかった。いつも他愛ないメッセージのやりとりで僕の減らず口をバシッと叩き落としてくれる大好きな峯村リエさんもとても素敵でした。尾を引くような夢を見そうです。

先月末からずっと切れ目なくずっとレコーディング作業が続く日々なので、この2つの華麗な舞台を眺めて、大きく深呼吸をするような思いでした。  
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2018年03月18日

明日を強く希求する歌たち|エレファントカシマシを観た



エレファントカシマシのライブを初めて観た。それがデビュー30周年記念ツアーのファイナル、さいたまスーパーアリーナのソールドアウト公演だったことはとても幸運。エレカシがデビューしたのは多分僕がまだ中学生だった頃で、30年というのはそういう長い長い時間なのだ。冒頭2曲目でアリーナの天井から無数の風船が客席に降り注ぐのを見てとても感動。ストリングスとブラスを交えたロックンロールオーケストラ、ものすごいものを観たなあという気持ちのいい脱力感。歌も演奏もすごかった。どれだけ控えめに言っても“最高”のライブでした。

4人のメンバーだけで演奏した「悲しみの果て」、今年初めて眺めた桜吹雪、弾き語りの途中で宮本浩次がイヤモニを耳から引っこ抜いた瞬間、そして「四月の風」でのフィナーレ。エレカシの歌を聴いて心が震えるのは、過ぎた過去を振り返ることよりも、明日やその少し先の未来に向かって「さあ行こうぜ」と希求して手を伸ばす歌がたくさんあるからなのだなと思った。「おれも明日からまた頑張ろ」と勇気づけられたのです。3時間半近いステージが本当にあっという間だった。

素晴らしい夜でした。この機会をくれた友人に感謝。  
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2018年03月05日

毛玉/山田稔明(from CDR『CATS』)

HMVキチレコで売り切れてしまった2012年に作ったCDR作品『CATS』から「毛玉」を公開します。猫が毛玉を吐いたあとの気だるい感じを歌にしようと試みたものですが長い時間が経って聴き返してみるとThe Smithsマナーのとても洋楽的な、アルペジオがきれいな僕の好きなタイプの曲だなあと思いました。このCDR、久しぶりに聴き返してみると愛猫ポチの鳴き声がそこかしこに入っていて、忘れていたわけじゃないんだけど「ああ、ぽっちゃん。こんな声だったなあ」とブワッと涙が出てきてびっくりしました。みんなも猫と暮らしている人は鳴き声とか録音しておくといいですよ。写真も記憶を補完してくれるけど音声の威力のすごさを改めて感じました。




毛玉/山田稔明

なんて憂鬱な雨の日だ
まるで底なしの毛布の上
もう少しだけ待てば見えるだろう
君が投げた三日月のブーメラン
さあクロネコがきっと運んでくれるだろう

眠れ ねんねこ 眠れ ねんねこ
everyday is like sunday ah...

white light, blue beat and american pie
everything is dream
and you could throw yourself up now

白い光、青いビートとアメリカンパイ
すべては夢
今 君はすべてを吐き出せばいいさ


written, produced and all instruments by toshiaki yamada 2012  
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2018年02月19日

純粋なる喜劇|ファーザー・ジョン・ミスティ来日公演

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先週の木曜日、渋谷O-EASTでファーザー・ジョン・ミスティの来日公演を観た。2017年の『Pure Comedy』というアルバムを愛聴したのでとても楽しみにしていた。Youtubeなんかでライブの映像を観て期待が高まっていたわけだけど、実際のステージは本当に最初から最後まで圧巻。3枚のCDから満遍なく演奏されて、バンドも素晴らしくて「こういうのが観たかったの!」っていう感じで完璧だった。長身で四肢を翻して歌うジョシュ・ティルマンはジム・モリソンみたいなカリスマ性を持っていてぞくぞくした。その色気よ。トーマス・マンの小説『魔の山』を題材にした曲があって、僕はそれが大好きなのだけど、アンコールでそれが聴けてしみじみしたな。「ここに長くとどまればとどまるほど未来が失われていく/だから僕は魔の山で年老いていこう」。

ひとりで観にいったライブだったけど、終演後外に出てみると友人知人のミュージシャンたちがいっぱい観にきてて「やー、よかったねえ。完璧だったねえ」と語り合った。音楽っていいものだなあ…と折りに触れ感動して、そのたびに元気に生き返る自分は、結局音楽に救われているのだなあ、と思う。  
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2018年02月14日

song of the week|短い2月を駆け抜けて

2月も折り返し。普段英語の歌をCDに収録することは少ないのですが、この歌はとても気に入っていて
2016年にリリースしたアルバムに収めることができて嬉しかったです。今年も季節はもう今。
そして年頭に唱えた誓いをちょっと修正したり路線変更したりする年度末がやってきます。




my valentine

my valentine
would you hold me up when I fall down?
soak me in the chocolate sea
sprinkle me with a sugar breeze
love will find a way

oh, lay me down
on a cotton candy bed
I’m dreaming now, my valentine

roll me over the jelly beans
bury me into a melty cream
love will find a way

so hold my hand
what a sticky-sweet surprise!
I’m dreaming now, my valentine



僕の愛しい人よ
僕が崩れ落ちるときは受け止めてくれるかい?
チョコレートの海に沈んで 甘い潮風に吹かれて
愛がそこへ導くのなら

綿菓子のベッドに横たわって
僕は夢を見ているところ マイ・ヴァレンタイン

ジェリービーンズと溶けそうなクリームで僕を埋葬して
愛がそこへ導くのなら

僕の手をとって なんて素敵なサプライズ
僕は夢を見ているところ マイ・ヴァレンタイン





『pale/みずいろの時代』を通販STOREで購入


  
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2018年01月01日

2017年 個人的音楽10選

1月1日は振り返る日。2017年も良いレコードがたくさんありました。夏頃から毎日ずっと何回も、アンセムのようにHAIMの「I Want You Back」が鳴り続けていたのだけど、秋にThe Nationalの新作が出てからは取り憑かれたようにそればっかりになって、旧作まで全部集めてしまったほどです。なので、今年のベストはThe National『Sleep Well Beast』、2位がHAIM『Something to Tell You』となりました。それ以下の順位にはあまり差がありません。毎年そうだけど、トレンドと全然関係のない、アメリカの、好きなものばかりを集めた10選になりました。

Conor Oberstは2016年個人的ベスト作品だった『Ruminations』のバンド編成盤、大好きな音、抗えない音。Beach Fossilsは若いバンドで、この夏に涼風を吹かせてくれた。Weezerは前作に引き続く快作で僕を唸らせ、過ぎた夏を蘇らせたのです。フランキーコスモス(グレタ)のコーラスも麗しかったDent Mayはバリ島に行ったときのBGMとして素晴らしく作用し、Courtney BarnettとKurt Vileの手合わせは予想以上に充実したものでした。

フジロックで観て、Real Estateの自分のなかでの存在感を再確信。アルペジオの魔法を想いました。もしFarther John Mistyのステージを観ることができていたら、彼のこのレコードはもっと上位にランキングされていたかもしれない。そのフジロック2017での個人的ベストアクトだったThe Lemon Twigs『Do Hlooywood』、これは前年のリリースなので次点としました。新作シングルもよかったな。そして不意に出会ったEthan Gruskaの、震えるような音世界は長い夜によく似合っていて、今夜もそっと静かに響くのです。

邦楽では友人であり尊敬する高橋徹也、言葉の紡ぎ方が好みのシャムキャッツ、そして2017年に聴いた歌のなかで一番感動した「天国かもしれない」のむぎ(猫)の3枚を。2月ちよだ猫まつりでのむぎちゃんとの対バンが楽しみです。2018年もいい音楽を求めて宝探しは続きます。



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<2017年 良かった音楽10選>

1.The National 『Sleep Well Beast』
2.HAIM『Something to Tell You』
3.Conor Oberst『Salutations』
4.Beach Fossils『Somersault』
5.Weezer『Pacific Daydream』
6.Dent May『Across the Multiverse』
7.Courtney Barnett and Kurt Vile『Lotta Sea Lice』
8.Real Estate『In Mind』
9.Farther John Misty『Pure Comedy』
10.Ethan Gruska『Slowmotionary』
次点:The Lemon Twigs『Do Hollywood』


<邦楽3選>

高橋徹也『Style』
シャムキャッツ『Friends Again』
むぎ(猫)『天国かもしれない』




2017年は全然映画を観なかった年でした。『パターソン』と『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』くらい?忙しさを言い訳にしないで、2018年はもっとインプットを増やしたいなあと思っているところです。  
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2017年11月16日

5年目の『Christmas Songs -standards and transfers』



2012年に福田利之さんのイラストをまとって発売した『Chirstmas Songs - standards and transfers』が今年で5周年を迎えます。僕の活動の幅を広げ、いろんな意味でも僕を救ってくれた、自分にとってとても大切な作品です。愛猫ポチの声がたくさんつまった思い出のレコード(記録)です。今年もどうぞよろしくお願いします。オフィシャルサイト通販STOREでご購入できますし、僕の測り知らないところで毎年たくさんのご家庭に飛び立っていく不思議なCDでもあります。寒い季節にあたたかい音楽を。


『Christmas Songs -standards and transfers/山田稔明』
(全12曲入り/2,100円税込/2012年発売/GTHC-0003)


1.sombody's coming(introduction)
2.joy to the world(もろびとこぞりて)
3.jingle bells(ジングルベル)
4.oh my darling, clementine(雪山賛歌)
5.wish you a merry christmas
6.greensleeves
7.when the saints go marching in(聖者の行進)
8.the first noel(牧人ひつじを)
9.symphony no.9(ode to joy)
10.amazing grace
11.silent night(きよしこの夜)
12.o christmas tree(もみの木)

arranged, performed and produced by Toshiaki Yamada

◎全曲のアレンジ、演奏、歌、多重コーラス、録音とミックス、さらには
マスタリングまでの全工程すべて山田稔明が担当、まさにハンドメイドなあたたかいレコードです。
◎誰もが知っているクリスマススタンダードをフォーキーに織りなす季節感たっぷりの1枚です
◎アートワークは『新しい青の時代』と同じく人気イラストレーター福田利之による描きおろし。
◎紙ジャケ仕様、ブックレット封入、帯がつきます。


『Christmas Songs』を通販STOREで購入  
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2017年10月26日

ジャクソン・ブラウンと横書きのままの歌と言葉

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先日24日の広島公演でジャクソン・ブラウンの2年半ぶりの来日公演がすべて終了した。僕は東京の追加公演のチケットが取れて、幸運にも10列目という至近距離でジャクソンの歌を聴くことができた(2年半前は1階の最後列だった)。ジャクソンは観客のリクエストに応えるので毎晩セットリストが変わる。セットリストがSNSで流れてくるたびに「わああ」とか「えええ」とかため息をついたが、僕が行った日も一期一会の夜だったはずだ。聴きたい歌のいくつかが聴けて、叶わなかった曲はそれより多かったけれど、ジャクソン自身がドリームバンドと呼ぶプレイヤー陣の演奏も含めてとにかく至福の3時間。しびれた。

僕がジャクソン・ブラウンを初めて聴いたのはアクシデントのようなものだった。親類から段ボール数箱分もらった輸入レコードのなかに『孤独なランナー』が紛れていた。僕はその名前からファンキーでごきげんな音楽を想像してプレイヤーに乗せる(ジェイムス・ブラウンと勘違いしていたのだ)。聞こえてきたのはクセのない、憂いと陰りを湛えた真っ直ぐな歌、ギターとピアノとバンドサウンドだった。このレコードから受けた影響は計り知れない。「遅れてきた青春」も「星に輪ゴムを」もこのレコードがなければ生まれなかった。ライブツアーをしながら作られた変則的なアルバムで、僕はそのオリジナル・スタジオ・バージョンを探したのだけど、はなからオリジナル・バージョンが存在しないと知ったのは数年後のことだ。

さかのぼって聴いたレコードのなかに『Late for the Sky』があり、その表題曲は20世紀のアメリカン・ロックの代表曲。僕が目撃したコンサートでも演奏された。69歳になってもこの歌を歌うとき時間が巻き戻ってジャクソンは見目麗しい青年に変身する。この「Late for the Sky」というフレーズの真意を僕は中学生の頃からずっと理解できないでいる。今でもそうだ。正確に言うと、日本語にパラフレーズできない。「空に遅れる」とはどういうことか、それが朝なのか昼なのか夜なのか。横書きの歌を縦書きに変換するのはなかなか難しいが、この日の素晴らしい歌と演奏を前にしたらどうでもよくなった。2017年の長雨が続いた秋の夜に僕はこの「Late for the Sky」を言葉そのままに全身で受け止められたような気がする。

ライブが終わって興奮さめやらぬまま、ジャクソンが使っていたのと同じギターを勢いにまかせて買ってしまうというサブストーリーも付随して、忘れられないジャクソン・ブラウン来日公演となりました。「Load Out/Stay」で締めくくられるステージを観るまでまた何度でもコンサートへ出かけていきたいと思います。  
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2017年09月27日

ジャクソン・ブラウンと秋の夜長



一昨日のこと、武蔵野での打ち合わせが思ったより早く終わったので武蔵小山のアゲインまで音楽評論家 天辰保文さんのトークイベント「Talking Man」を聞きにいった。今回はジャクソン・ブラウン特集、来月の来日公演を控えて、天辰さんの解説つきのジャクソンの歌を聴きたかったのだ。月曜日の夜なのに会場はぎゅうぎゅうの満員でびっくりしたのだけど、きっとリアルタイムでジャクソンを熱心に愛聴してきたのであろう年配の(という言い方も失礼だけど)ファンの方が多くて音楽を好きでい続けることって素晴らしいなと思った。聞き手となったペットサウンズレコード森陽馬さんと僕は同い年だけど、我々が最年少だったのではないだろうか。

天辰さんの言葉でなるほどと膝を打ったのは、ジャクソン・ブラウンというのはロックンローラー然とした破天荒さやほころびがなく、均整の取れた真摯な音楽家だということ。個人的にはジェームズ・テイラーよりも断然言葉に比重を置く語り部だと感じる。なにか、一点を見つめながら熟考した歌を歌う人という印象をパラフレーズするならば「優れた観察者」とでも言えるだろうか。研ぎ澄まされた歌詞はとにかく美しいし、ビブラートしない声のおかげですっと心の奥のほうへ届く。

僕が中学生の頃、段ボール数箱分もらった親戚のレコードコレクションのなかから掘り当てたのがジャクソン・ブラウンの『孤独なランナー』という1977年の作品だった。ジェームズ・ブラウンと混同してファンキーな音を期待して針を落とすと、僕の耳に予想外の音楽が流れ入ってきたことを思い出す。それがジャクソン・ブラウンとの出会い。『孤独なランナー』はライブ音源を集めたアルバムだったので、僕はそのオリジナルバージョンを欲して過去のカタログを辿っていくわけだけど(結局『孤独なランナー』収録曲のスタジオ録音盤は存在しない)30年近く経っても僕にとって一番のジャクソンは『孤独なランナー』ということになるから、出会いというのはかくも決定的だ。天辰さんが選ぶジャクソンの1枚が『ファースト』なのも同じ理由だろう。

天辰保文さんはGOMES THE HITMANが2000年に『cobblestone』をリリースするときに文章を書いていただいた。自分が思春期から聴いてきた洋楽のレコード(の日本盤)みたいに差込みのライナーノーツをつけたかったのだ。天辰さんはTHE BANDの『Last Waltz』を目撃したり、1970年代からロックの変遷を見つめ続けてきた尊敬する音楽評論家だ。数々の名作のライナーノーツや、著作『ゴールド・ラッシュのあとで〜天辰保文のロック・スクラップブック』でその筆致を味わうことができる。久しぶりにお会いできて、来てよかったなあと思いました。イベントは23時近くまで続いた。ペットサウンズの皆さん、アゲインの石川さん、古い知り合い、村田和人さんファンのお客さん、元CDジャーナル編集長の藤本さん、丸山京子さんにご挨拶できたのも嬉しかった。写真は同じくお話を聞きにこられていた堀江博久さんと天辰さんと。来月の来日公演がとても楽しみ。

4年前にカバーした「These Days」、記事もあわせてぜひご一聴ください。




  
Posted by monolog at 10:22Comments(0)

2017年08月30日

晩夏のGOMES THE HITMAN(リハーサルDAY1)



大阪から帰京して落ち着く間もなく今日からGOMES THE HITMANモード。7月のライブ以来みんなと会うのは1ヶ月半ぶりだが、さしたる緊張もなければ感動もなく、まあこれがバンドというものだ。今回のスターパインズカフェ公演にはゲストギタリストとして橋本哲さんを迎えるが、哲さんは『cobblestone』「maybe someday」とレコーディング、そしてツアーをともにした盟友、吉祥寺在住であり、杉真理さん関連のイベントでもいつも顔を合わせるので、雰囲気はいたってリラックス。哲さんを含めた5人編成になると“あの頃”のことを体が思い出す。楽しいセッション。

4人だけで演奏するパートも用意した。季節がらセットから外せない曲として「遅れてきた青春」があるが、これは1994年の終わり頃、バンドの最初期に僕が21歳の頃に書いた曲。とにかく僕はこの歌が大好きだ。歌詞のどのフレーズをとってもお気に入りで、この曲を書き上げた若き自分をほめてあげたくなる。なんと名付けていいのかわからないような独特なコード、4人全員がコーラスをしていると“あの頃”よりももっと昔のことを懐かしく思う。21歳の僕が「遅れてきた青春」と描いたのは43歳の今の自分にとってはどんな季節なのだろうか。

GOMES THE HITMANのライブは来週末9月9日。新しい人も昔からの人もぜひみんなで吉祥寺までバンドを観にきてほしい。


2017年9月9日(土)@ 吉祥寺 Star Pine’s Cafe
SPC 20th Anniversary
GOMES THE HITMAN “kichijoji rhapsody”


17:00開場 18:00開演/前売4000円 当日4500円(ドリンク代別途)
*整理番号順入場・全自由
出演:GOMES THE HITMAN
[ 山田稔明、堀越和子、盒況觧辧⊃榮俊明 ]
with guest guitarist:橋本哲

スターパインズカフェ20周年をお祝いして、今年CDリリースから
20年を迎えるGOMES THE HITMANがステージをロックします。

一般販売:オフィシャル通販STORE、プレイガイド、店頭にて販売開始
通販STORE販売分→SPC店頭販売分→イープラス→ぴあ
という整理番号順になります。

オフィシャル通販STORE
イープラス
チケットぴあ
スターパインズカフェ店頭

吉祥寺 STAR PINE’S CAFE
info:0422-23-2251
〒180-0004 東京都武蔵野市本町1-20-16 B1


  
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2017年08月21日

ポチの夢を見た|『the loved one』から「small good things」を公開しました

昨日か、今朝方か夢のなかにポチが出てきた。いつもチミママが訪れるみたいな感じでポチ実が見ている窓の外にポチがいた。「わー!ぽっちゃん!」と僕は興奮して駆け寄るとポチはびっくりして少し後ずさりしたんだけど、同じように興奮するポチ実を抱いて「チミ、ぽっちゃん来たよ…」と高ぶる気持ちを抑えて眺めた。ポチは元気な頃の丸々と可愛いらしいポチで、こっちに近づいてきたところで夢から覚めた。ポチが夢に出てきたのをはっきり認識したのは初めてだったから、忘れないようにと急いでその夢の内容をメモして自分宛てにメールしたのです。嬉しかったなあ。

再プレスと販売再開を記念して、2015年のアルバム『the loved one』から「small good things」を公開します。ささやかだけど嬉しい出来事というのがあるのです。「small goo things」は10年前くらいに書いた曲。少し歌詞を手直ししたら眠れない夜にポチを想う歌になりました。iPhoneを握ったまま眠ってしまったりしたときにはいつもこの歌が脳裏に流れるのです。「夢で会えたら」という使い古された常套句だと思っていたフレーズは、大切なものを失って初めてその本当の意味を知るような気がします。


  
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2017年08月10日

新作ライブ盤『DOCUMENT』渋谷パイドパイパーハウスとペットサウンズレコードで販売開始|高橋徹也氏による寄稿文を公開

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発売から1ヶ月を経てなお山田稔明ニューアルバム『DOCUMENT』にたくさんの感想やご好評をいただいています。現在基本的にはライブ会場物販とオフィシャル通販と限られた販路でお求めいただいているCDですが、タワーレコード渋谷 5階のパイドパイパーハウス、そして武蔵小山の名店ペットサウンズ・レコードでも販売していただくことになり店頭に並んでいます。ぜひレコードショップにお立ち寄りの際はお手にとっていただけたら。なお、いくつかの懇意にしている店舗でも『DOCUMENT』を取り扱っていただいていて、東京は等々力の巣巣、経堂ギャラリー芝生、一両日中には福島三春in-kyoと兵庫加古川のチャッツワースでの取扱も始まります。どうぞお近くの方はお立ち寄りください。

本日は2枚組ライブアルバムのうち弾き語りで構成されたDISC1 “solo acoustic” のオープニングトラックである「blue moon skyline」を公開します。さらには、友人であり、尊敬するシンガーソングライター高橋徹也さんから『DOCUMENT』についての寄稿文をいただいたものを掲載します。今月末にはこのアルバムを携えて関西三都市、そして名古屋へと音楽の旅を。ソロ活動から10年の記念すべき2017年の夏はこの『DOCUMENT』をよろしくお願いします。

オフィシャル通販STOREにて『DOCUMENT』を購入






『DOCUMENT』に寄せて

実況録音盤。

誰も気に留めないだろうが、今時このフレーズを使う人もそういないのではないか。大切な友人であり、尊敬するシンガーソングライター、山田稔明くんから届いた、キャリア初となるライブ・アルバムの資料に記されていたフレーズだ。確かにこの二枚組に渡るライブを聴いていると、実況録音盤と書きたくなる気持ちがわかる。それはれっきとした2017年初夏の最新アルバムでありながら、1970年代に録音されていた幻の名盤と言われてもなんら不思議はない、どこか超然とした魅力を持つ作品に感じられるからだ。

考えてみれば山田くんと親しくなったのはここ五年くらいの話だろうか。それ以来、毎年こうして彼の新しいアルバムの為にコメントを書かされて、いや失礼(笑)、書かせてもらっていることに改めて驚かされる。こんな人、他にはいない。お互いにキャリア二十年余りを経て、一年に一枚というペースで新しい作品をリリースし続けることがどれほどタフなことか、身をもって感じているから。

山田くんの弾き語りライブを初めて観た時、なぜか海外アーティストのライブを観たような気持ちになったのをよく覚えている。大袈裟なヴォーカル表現や、これみよがしなギターテクニックをひけらかすことなく、徐々に熱を帯びて行くような心地良い演奏に強い衝撃を受けた。そう、それは全く過不足のない演奏。曲に必要な音が完璧にわかっている演奏だった。僕はこういう人のことを、本当に上手い歌手だと思うし最大限に尊敬している。

そんな山田くんの魅力が詰まった今回のライブ・アルバム。しかも弾き語りとバンドセットにセパレートされた二枚組となれば、これはもう選曲も含めて現時点でのベスト・アルバムと言えるであろう。スピーカーの向こう側で、彼が目を細めながらギターを弾き、歌っているかのような、クリアでナチュラルな臨場感を楽しもう。

最後に、録音も演奏も選曲も申し分ない実況録音盤『DOCUMENT』にひとつだけケチを付けるとするならば(悔しいから・笑)、実際のライブはさらに最高だぜ!ということではないだろうか。それは音楽家としてとても健全で贅沢すぎる欠点だと思う。

友人として、同じシンガーソングライターとして、このレコードを誇りに思います。リリースおめでとう!今年は俺の新作にもコメント書いてね。


高橋徹也(音楽家)
  
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2017年07月07日

初のライブ盤『DOCUMENT』から「my favorite things」を公開



本日は7月7日、七夕。毎年この日に新しいCDをリリースしてきて今年で5年となります。今年前半を費やして作ったキャリア初の2枚組ライブ盤『DOCUMENT』は、一般流通に頼らずライブ会場とオフィシャルサイトの通販のみで販売すること、レコ発ライブが7月15日であること、そしてさらには完成したCDが海外から船便で届くのが来週になることから、「7月7日発売」と銘打ちながら、まだ皆さんの手に、目にふれないままでいます。まるで七夕の夜の曇り空のなかで出会えない誰かと誰かのように。

来週末のライブ会場で手に入れることを楽しみにしていらっしゃる方、全国からたくさんの通販のお申込みもいただいています。どうかもう少し、もう1週間とちょっとだけお待ちいただきますよう、よろしくお願いします。今日は『DOCUMENT』のDISC2 <with the band>のなかから、バンド編成の賑やかさを象徴する「my favorite things」を公開します。来週あたりにはダイジェスト版予告編もお届けできたら。この作品が皆さんの暮らしに寄り添うお気に入りのレコードになりますように、と祈りつつ。


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山田稔明/DOCUMENT

(2017年7月7日発売:GTHC-0010/税別3,000円 税込3,240円)

収録曲

【 DISC1 -solo acoustic 】
1.blue moon skyline
2.太陽と満月
3.猫町オーケストラ
4.一角獣と新しいホライズン
5.夏の日の幻
6.brand new day, brand new song
7.ホウセンカ
8.memoria
9.小さな巣をつくるように暮らすこと
10.きみは三毛の子
11.calendar song
12.あさってくらいの未来

【 DISC2 -with the band 】
1.どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと
2.home sweet home
3.glenville
4.my favorite badge
5.平凡な毎日の暮らし
6.月あかりのナイトスイミング
7.些細なことのように
8.予感
9.my favorite things
10.ポチの子守唄
11.日向の猫
12.光の葡萄
13.hanalee
14.SING A SONG
15.ハミングバード



produced by 山田稔明

DISC1 mixed & mastered by 手塚雅夫(freewheel)
DISC2 mixed & mastered by 上野洋

Recorded live between February to May 2017

参加ミュージシャン:itoken、安宅浩司、海老沼崇史、五十嵐祐輔、
佐々木真里、立花綾香、上野洋、近藤研二


7月15日 恵比寿天窓switch「夜の科学 vol.52 -夏の記録と記憶」よりライブ会場にて販売
オフィシャル通販STOREでの予約受付を開始しました(7月17日以降のお届けとなります)


オフィシャル通販STOREで『DOCUMENT』を予約注文  
Posted by monolog at 10:49Comments(0)

2017年06月26日

山田稔明ニューアルバム『DOCUMENT』曲目詳細発表|オフィシャル通販STOREでの予約受付を開始しました

山田稔明の2017年新作はキャリア初の実況録音盤。未発表曲を含む、“ライブベスト”ともいえる作品になりました。収録楽曲を公開します。今年の2月から5月までのステージをライブ録音した音源のなかから、ソロ名義での代表楽曲はもちろん、村田和人さんへの歌詞提供曲「brand new day, brand new song」、新曲「きみは三毛の子」「小さな巣をつくるように暮らすこと」、カセットテープ作品『INOKASHIRA』から「my favorite badge」、さらには「memoria」「ホウセンカ」のGOMES THE HITMAN未発表曲を含む、ソロ弾き語りのDISC1とバンド編成でのDISC2、全27曲を収録。

着地点が見えないまま始めたライブ盤プロジェクトでしたが、言うなれば2007年からのソロ活動の10周年に相応しい“ライブベスト”が完成しました(本当は完成までもうちょっとだけど)。ライブ会場などで「初めて山田さんのCDを買うとしたらどれがお薦めですか?」と尋ねられたら「んー、『新しい青の時代』ですかね」と答えていましたが、7月からは胸を張って『DOCUMENT』を指差すことになります。今回のCDは初めてソロ作を出したときと同じようにライブ会場とオフィシャル通販STOREだけでの販売から始めたいと思います(初心に返ります)。ちょっとした“ひと手間”をかけて、山田稔明の『DOCUMENT』を手にしてもらえたら嬉しいです。

今回はライブ盤という性格上、歌詞カードやブックレットをつけません。代わりにハンドメイドZINE『MONOLOG - DOCUMENT edition』を作って、詳しく作品を紐解きたいと思います。CDにはMCは一切収録されませんが、MCだけを集めた音源などがあっても楽しいかもしれませんね。


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山田稔明/DOCUMENT

(2017年7月7日発売:GTHC-0010/税別3,000円 税込3,240円)

収録曲

【 DISC1 -solo acoustic 】
1.blue moon skyline
2.太陽と満月
3.猫町オーケストラ
4.一角獣と新しいホライズン
5.夏の日の幻
6.brand new day, brand new song
7.ホウセンカ
8.memoria
9.小さな巣をつくるように暮らすこと
10.きみは三毛の子
11.calendar song
12.あさってくらいの未来

【 DISC2 -with the band 】
1.どこへ向かうかを知らないならどの道を行っても同じこと
2.home sweet home
3.glenville
4.my favorite badge
5.平凡な毎日の暮らし
6.月あかりのナイトスイミング
7.些細なことのように
8.予感
9.my favorite things
10.ポチの子守唄
11.日向の猫
12.光の葡萄
13.hanalee
14.SING A SONG
15.ハミングバード



produced by 山田稔明

DISC1 mixed & mastered by 手塚雅夫(freewheel)
DISC2 mixed & mastered by 上野洋

Recorded live between February to May 2017

参加ミュージシャン:itoken、安宅浩司、海老沼崇史、五十嵐祐輔、
佐々木真理、立花綾香、上野洋、近藤研二


7月15日 恵比寿天窓switch「夜の科学 vol.52 -夏の記録と記憶」よりライブ会場にて販売
オフィシャル通販STOREでの予約受付を開始しました(7月17日以降のお届けとなります)


オフィシャル通販STOREで『DOCUMENT』を予約注文

  
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2017年06月15日

25年目のレモンヘッズ



一昨日のこと。打ち合わせから戻り自宅スタジオで作業しつつ、ふと手のひらのiPhoneでインスタグラムを眺めていたら「これからイヴァン・ダンドのライブ」という知り合いの投稿に目が点になる。は!?レモンヘッズのイヴァン・ダンドの来日公演!?全然知らなかった、そんなこと。調べてみるとその日の18時半開場、19時半スタートとウェブサイトに書いてある。時計を見たら19時15分、会場は渋谷区代官山。僕はコンピュータをシャットダウンし車に飛び乗り走り出していた。30分後には僕は当日券を買ってライブ会場のフロアにいた。最初の何曲かを見逃したけど、イヴァン・ダンドはずっと慣れ親しんだ歌を次から次に歌っていた。

1993年にレモンヘッズが来日したときのことを忘れない。大学2年生だった僕はなけなしのお金で買ったレモンヘッズとU2とプライマスのチケットが入った封筒を紛失するという失態をおかした。特に人気絶頂だったレモンヘッズを観れなかったのは悲しかった。レモンヘッズのTシャツにまつわる甘酸っぱい思い出も定期的に思い出す。GOMES THE HITMANは当初レモンヘッズのコピーバンドだったし、青春とレモンヘッズは切っても切れない関係だ。四六時中SNSの情報にアクセスできる時代にレモンヘッズ=イヴァン・ダンドの今回の来日公演の情報をどうして事前に手に入れられなかったのか不思議でならないが、とにかく僕は初めて彼の生の歌声を聴くことが叶って嬉しかった。

本当に次から次に、MCらしいMCもなく歌が溢れ出していく。レモンヘッズもソロも、全キャリアを惜しげもなく。「It's a shame about Ray」を早急なテンポで終わらせて、アコギからエレキへ持ち替えて歌われた「Into Your Arms」「Hanna &Gabbi」、またアコギに戻ってプラグを引き抜いて生音での演奏。聴けなかった「My Drug Buddy」と「Down About It」は最初のほうにやったのだろうな。奔放で好き放題、心の準備もできていなかったし、ゆったりと感傷に浸る余韻もすぐに次の曲が押し流していって、気がつけばあっという間の、1時間ちょっとのステージでした。

ソロ弾き語りでの演奏だったけど、バンド編成のレモンヘッズを観たくなったかというとまたそれは別の話で、きっとリズム隊を従えて大きな音で演奏しても、このルーズさや気まぐれさ、スリリングな不安定さは変わることがないのだろうなと感じたから、イヴァン・ダンドが思いのままに歌う歌が聴けてよかったなと思う。ライブへ行き帰りの車のなかでは自分にとっての最重要盤である『It's a shame about Ray』を何回も聴いた(30分にも満たないアルバムなので)。ここに封じ込められたきらめきはまったく色褪せない。気付けば25年が経っている。

ちょっとでも迷ったら行ったほうがいいな。ライブでも映画でもパーティーでも同窓会でも、なんでも。他の何かで埋め合わせることができないことを僕らはもう嫌というほど知っているし、次の機会はたいていやってこない。思いが強ければ瞬間移動に近いことができるということがわかった日でした。


  
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2017年06月11日

4時間続くポップスのパレード

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昨日のこと。ずっと自宅スタジオでライブ盤CDのための作業、30度にもなる快晴の窓の外を恨めしくにらんでいたのだけど、夕方から調子が乗ってきて「to do リスト」のある程度が完了。そそくさと出かけて中央線に乗って夕暮れの高円寺へ。以前にも何度か出演させてもらった“POPS Parade”というイベント(今月末の下北沢ラプソディでもお世話になる)に間に合った。ライブハウスに向かう途中で高円寺散策中の高野寛さんにばったり。高野さんは過去の記憶の中の高円寺との風景の相違に時の流れを感じていたけれど、僕もSALON/by marbletronというスペースがなくなってからは足を運ばなくなってしまった街なので新鮮。

会場には知り合いミュージシャンが多くてたくさんの挨拶を。黒沢秀樹さんに会うのは昨年秋以来か、「元気ですか?」「相変わらずさ」といつものように猫の話など。秀樹さんのステージはリズム隊を伴ったトリオ編成でとても音楽的で、その声とグッドメロディに惹き込まれた。エレキギターを抱えた高野寛さんを呼び込んでのセッションも素晴らしくて、いくつものディケイドを経て蘇るL⇔R楽曲にしびれました。

3月の蔵前以来で触れる高野さんの弾き語りは、天井の高いライブハウスの照明の下では神々しささえ感じられて、「夜の海を走って月を見た」は青い夜空を背景に歌が響きました。「風をあつめて」や「Coffee Milk Crazy」等、レアなカバーを交えながら、最後に歌われた「確かな光」に感動。約4時間、良質な音楽が流れ続ける良いイベントでした。

終演後、機材やガジェットの話で盛り上がる秀樹さんと高野さんを眺めながら、お二人とも尊敬する大先輩だけれど、永遠のロック少年の姿をそこに見た夜でした。  
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2017年06月05日

最高の瞬間はだいたい近未来|Megumi Nakajima Live 2017 “Love for you”



昨日のこと、ひと仕事終わらせて出かけて品川まで。中島愛さんのワンマンライブ「Love for you」を観にいった。昨年12月に歌手活動再開の報、今年2月にシングルリリース、そして昨日の3年ぶりのステージと、この半年の締めくくりのような祝祭ムードたっぷりのステラボール。活動再開第一弾の『ワタシノセカイ』のカップリング曲として作詞を担当した「最高の瞬間」をライブで目撃するのを楽しみにしていました。入場時に関係者に配られるセットリストに気づかないままワクワクしながら開演を待ったので、オープニング曲がその「最高の瞬間」だったときにわー!っと盛り上がって、鳥肌が立ったことをきっとしばらく僕は忘れない。

2012年に書いた「金色〜君を好きになってよかった」がライブを締めくくる曲だとしたら、ステージ序盤に「時は来た!」と高らかに歌えるような曲を、というリクエストを受けて書いた「最高の瞬間」だったので、半年後にこうやって実際にライブをキックスタートする役割りに加担している言葉たちが誇らしい。「フレー!」っという、この曲のデモを聴いたときに一番に浮かんだフレーズを会場を埋め尽くしたファンの皆さんが声を揃えるところでちょっと泣いて、フロアで波打つペンライトやサイリュームの光が滲んだのでした。まめぐちゃんは本当に楽しそうに歌っていて、歌も抜群によくて、すっと声が突き抜けていて素晴らしかった。自身のキャリアを総括するようなセットリストも再始動宣誓という感じでよかった。良い曲ばかり。昨日のライブを一番楽しんでいたのはまめぐちゃんだったのではないでしょうか。

最初のアンコールを締めくくったのは「金色〜君を好きになってよかった」。この曲の歌詞を書いたのはもう随分昔のこと。作曲者である菅野よう子さんの頭のなかではすでに「金色」という言葉とメロディが確定していて、僕はそれを青春の光の色だと感じて言葉を連ねたのです。昨日のライブではこの歌が始まると客席フロアは一面に金色の光が。まるで芳醇な麦畑に涼風が吹いているように見えました。「君を好きになってよかった」というフレーズにクロスする箇所をお客さんたちが合唱してサポートするところでまた感涙。作詞家としてこの上ない幸せでした。もはや照明担当とも呼べる、抑揚の効いた素晴らしいお客さんたちも昨日のライブ大成功の立役者だったと思います。

最高の瞬間はまだまだこんなものじゃなくて、もっとすごいやつが少し先の未来に待ち構えている、というのが「最高の瞬間」なわけで、昨日のステージを見て中島愛さんの新しく始まった物語のこれからがとても楽しみになりました。まめぐちゃん、お誕生日おめでとうございます。「フレー!」と声援を送り続けたいと思います。


  
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2017年06月03日

PLECTRUM レコ発ライブ @ 下北沢 CLUB Que|13年ぶりのアルバムリリースに寄せて



昨日のこと。安宅くんと綾香との作業を終えて下北沢へ急ぐ。盟友PLECTRUMのレコ発ライブ。最初の数曲を聴き逃したが(僕の好きな「BUFFALO」はそこでやったのかな)、2時間半におよぶライブをたっぷり楽しんだ。2000年に知り合って、切磋琢磨して励ましあい意識しあってきた仲間たちがどうにかこうにか足踏みをやめないで、時間をかけて足を一歩先に踏み出すシーンを目のあたりにするのは本当に嬉しいことだ。PLECTRUMにはカフェライブが似合わない。ライブハウスが一番いい。

ボーカルのタイちゃんはいつの間にかパワーポップ界の重鎮と呼ばれるようになりプロデュースや諸々の活動の幅を広げて、GOMES THE HITMANの一番タフな時期をギターで支えてくれたアッキーは八面六臂のスタープレイヤーになった。海千山千、百戦錬磨、経験とキャリアを積んで十余年歩いてきたはずの彼らなのに、バンドとしてステージに登ると昔と変わらずに混沌としたり、わちゃわちゃしたり、空回りしたりするのが面白かった。バンドってそうだよなあ、と感動する。良い意味で成熟しないのだ。ニコニコしてしまった。嬉しくなった。素晴らしい夜でした。13年ぶりのアルバム発売おめでとう。また対バンしたいな。

先月、5月25日下北沢leteでのカバー&提供楽曲ナイトで歌ったPLECTRUMカバー「BOOKEND」ライブ音源を公開、そして彼らのニューアルバム『The Life Romantic』発売に寄せたコメントを下記に転載します。





PLECTRUM『The Life Romantic』に寄せて

PLECTRUMは盟友でありライバルだ、とずっと思っている。
思い悩んで停滞しているときには背中を叩いてはっぱをかけるし、
調子に乗ったすごいライブを目撃した夜にはやっぱり嫉妬してしまう。
かれこれ15年くらいずっとそうやって、付かず離れず刺激し合ってきた彼らが
満を持して気持ち良いくらい突き抜けた素晴らしいアルバムを届けてくれて、
もはや嫉妬を超えて自分のことのように嬉しく思っている2017年初夏の日。
どっちが長く続けられるか競争しよう。いつまでも自分たちらしく。

山田稔明(GOMES THE HITMAN)


  
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2017年05月19日

アルバム『home sweet home』リリースから今日で7年|未発表デモを公開しました

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あっという間に時間が経ってしまうものです。あるいは、気が遠くなるような時間が経ったと思ってもまだそんなものか…と戸惑ってしまうこともあります。2010年の今日、5月19日は2ndソロアルバム『home sweet home』の発売日でした。今日で7年。まだ7年か、と感じてしまうのは、このアルバムは2007年くらいから制作が始まって完成までにとても時間のかかったレコードだからかもしれない。『home sweet home』は“10年前の自分”という印象があります(上の写真は2010年当時の写真です)。ひとりで作り始めて、そこにイトケンさん、安宅くん、真里さんが音を足してくれて、五十嵐くんも1曲ギターを弾いてくれました。そして共同プロデューサーのYAMACHIさんとエンジニア手塚さんが最後までまとめてくれてようやく完成した2枚目のソロアルバムは自分のキャリアにとってなくてはならない通過点でした。

こないだ久しぶりにバンド編成で『home sweet home』楽曲を演奏して、自分の音楽の雛形だなあと感慨深く思ったところだったので、この7年という時間にいろいろ思いを馳せているところです。たまに物販にデッドストックが並んだりしますが、現在入手しにくい盤になってしまって申し訳なく思っています。近いうちにどうにかしたい。リリースから7年を記念して、未発表デモテイクを公開します。すべて2007年に僕一人で録ったデモ、10年モノですね。「home sweet home」はこのデモのボーカルテイクが本番でも採用されました。何度トライしてもこのうら寂しい雰囲気が再現できなかったのです。「hanalee」はウクレレを買って練習し始めて、それがきっかけできた歌なのでウクレレから始まります。線が細くて頼りないですが、当時の自分の心境が蘇る好きなテイクです。「glenville」もこのまま出してもいいと思うくらい気に入っていた2007年デモ。1分27秒くらいのところでポチの声が聞こえますね。ここに安宅くんのペダルスティールが加わって、イトケンさんのドラムが塗り替えてくれました。とにかくこの頃は鍵盤ハーモニカばっかり吹いていました。

あわせて、リリースの2年前2008年に「歓びの歌」を加古川チャッツワースで初披露したときの音源も。皆さんの『home sweet home』思い出話も聞かせてもらえたらうれしいです。












山田稔明/home sweet home(楽天ブックス)
山田稔明/home sweet home(Amazon)
  
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2017年05月11日

毒蝮三太夫とデヴェンデラ・バンハート



連休明けの月曜日のこと。地元にあるココナッツディスク吉祥寺に毒蝮三太夫さんが来る!ということで、勇んで出かけた。TBSラジオの朝の定番『ミュージックプレゼント』はコーナー開始から48年となる長寿番組。前回マムシさんを観に武蔵境のドラッグストアへ行ったのは前の家に住んでいたときだからもう6年も前になるが、齢80を越えてももまむしさんは元気でおしゃれ、機知に富んで快活、気持ちいいくらいまむしさんだった。いつものココ吉の風景のなかに老若男女が集う様子はとても不思議で面白かった。リハーサルをスタッフの人が盛り上げて、本番を爆笑のなかで駆け抜けて、オンエアが終わった後も何十分もおしゃべりと客いじりをするまむしさん。それはまるでインストアライブみたいなだったな。最初から最後まで名言至言しかなかった。力をもらいました。

昨日は夜になってビルボードライブ東京まで出かけてデヴェンドラ・バンハートのライブを初めて観た。ずいぶん昔から彼のレコードを聴いているが、夢のような迷路のような、目くらましの煙幕のような不可思議なベールがぱっと晴れて、とてもリアルに肉感的に歌が響いてきて感動した。小さな音ですべての楽器の音が粒立ったバンドも素晴らしかった。英米の雰囲気とはちょっと違う、独特のエスニシティがあり、アーランド・オイエなんかに近い印象があった。もっと遡ってティラノザウルス・レックスみたいな祝祭ムードも感じて、ステージを体験した後で帰り道にカーステレオで聴いたCD音源が全然違うふうに聞こえてびっくりしました。

まむしさんとデヴェンドラ・バンハートを目撃して思うのは、やっぱりライブって最高だな、ということだ。  
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2017年05月09日

佐賀県基山町PRソングを作りました|「言葉に感情を、心に感動を」

故郷である佐賀県基山町(出生地である「鳥栖」の隣町です)のPRソングを作りました。昨年夏に依頼を受けて、秋の帰郷ライブで初披露した曲を、この春にレコーディングしました。キーボードの佐々木真里さんに鍵盤と編曲を手伝ってもらって、エンジニアの手塚雅夫さんにミックスしていただき、素晴らしい仕上がりになったと思います。「ただいま」「おかえり」などのいくつかのキーワードの他にはなんの制約もなく、CMソングやノベルティソングのような歌ではなくて、あくまでも「山田稔明」的な楽曲を、という嬉しいリクエストがあり、伸び伸びと楽しんで制作することができました。

基山町という町は観光地があるわけでもなく、福岡や久留米、鳥栖のベッドタウンとして知られる人口1万7千人ほどの小さな町です。昨年の春に新しい図書館ができたときに開館記念イベントとして漫画『キングダム』作者の原泰久さん(高校の2つ後輩なのです)とトークショーに呼ばれたときも嬉しかったけど、今回このように生業である音楽で貢献することができてとても光栄。音楽がやりたくて18歳で抜け出した町に、こんなふうに音楽を持って帰れることが感慨深いです。

「言葉に感情を、心に感動を」というタイトルを付けました。故郷のことを思って作ったので少し照れくさい言葉も素直に綴れたような気がして、自分でも気に入っています。この完成音源を聴いた担当氏は心から感動して喜んでくれて、さっそく写真のスライドショーを作って動画公開するくらいに盛り上がってくれました(音源完成したの3日前なのに!)。昨年秋の基山でのライブ風景も収められています。今後この歌に僕の同級生が映像をつけたりするそうで、いろんなところでささやかに響く歌になって、たくさんの人に共有されたらいいなと思います。また基山へも歌いにいきたいな。7月にはまず福岡でのライブが決定しているので近いうちにお知らせできるかと。新緑の季節に似合う歌、ぜひ聴いてみてください。



*楽曲使用に関しては 基山フューチャーセンターラボ(info@kiyamalab.jp)まで許諾申請をおこなって下さい

  
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2017年05月06日

2017年のポール・マッカートニー

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これも1週間と少し前のこと、東京ドームにポール・マッカートニー来日公演『ONE ON ONE』を観にいった。僕は12月8日生まれなので、その日に死んでしまったジョンの音楽を運命的なものだと思って思春期に真剣に聴きこんだし、どちらかというとジョン派を気取っていたから、ポールが何度来日しても「まあ、そりゃ観にいったら感動するに決まってるけどさー」と一度も足を運んだことがなかった。それなのに今回、昨年大晦日の紅白でのポール来日の報を受けて「観てみたい」という気持ちが湧き上がったのはなぜだったのだろうか。とにかく初めてポール・マッカートニーを観にいく決意をした。

僕が真っ先に連絡したのは杉真理さんだった。僕にとってビートルズといえば杉さんなのだ。「今回のはどうするか迷ってたけど、山田くんが観にいくって聞いて僕も観たくなっちゃったな」と一緒にチケットを取ってくださった。果たして僕は初めてのポール・マッカートニーを杉さんと並んで観ることになったのでした。一昨年テイラー・スウィフトを観た以来の東京ドーム。会場付近の熱気よ。様々なコスプレのファンの姿も微笑ましく、やっぱりスタジアムライブは特別な高揚感がある。僕もどんどん中学生の頃の自分に戻っていく。90分テープのA面に『REVOLVER』、B面に『HELP!』をダビングしたテープは今でも手の届くところにある。

ステージ中央、10列目という素晴らしい場所から目撃したポール・マッカートニーはまさに音楽の歴史だった。「ハード・デイズ・ナイト」から始まって39曲、僕は一度も椅子に座ることなく2時間45分を夢中で過ごした。観客側にもそれぞれの想いと思い出とドラマがあって、それぞれの楽しみ方で音楽を浴びている。自分より年上の観客、おじさんおばさんたちがロックンロールに熱狂する姿を見るのはなんだか嬉しい(僕の席の周辺は自分が最年少のように感じた)。小さな頃から慣れ親しんだビートルズナンバーにあわせて歌いながら(次の日のライブに影響のないように…)ふと隣を見ると杉さんもシンガロングしていて、その風景も含めて、大げさではなくて、一生の思い出に残る音楽体験だなあと感動しました。観にいってよかったな。

ポールは僕の父親と同い年。超人のようなポールの勇姿を観て、まだまだ親父もロックできるやろ!と思いました。


  
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2017年04月05日

天使たちの嵐のあと|吉祥寺でHARRYインストアライブを観た



先々週だったか、HMV record shop吉祥寺コピスのオープン前の内覧会に参加させてもらって、そのときに僕の目を釘付けにしたのは店内に貼られた「HARRY インストアライブ決定!」の文字だった。僕が高1のときに初めて組んだバンドはストリート・スライダーズのコピーバンドだったから、その名は僕の脳裏からは消えることがない。僕らが組んだバンドの名は「Empty Heart」、これもスライダーズの(正確にはHARRYと蘭丸のJOY POPSの)曲名からの引用だった。知り合いのHMVスタッフの方に「本当にHARRYが吉祥寺で歌うんですか!」と問い詰めると「こないだ渋谷HMVでもやったんですが、HARRYがスライダーズを4曲歌ったんですよ…」と息を飲んで言うのだ。わなわなと震える僕。

そしてHMV record shopコピス吉祥寺はオープンし、HARRYインストアライブの日がついにやってきた。その日僕は南青山ビリケンギャラリーでのライブだったのだけど、万難を排して開始時間にお店へ。びっくりするくらいたくさんのお客さん。やっぱりHARRYの歌を三多摩地区で聴くというのは特別な体験なのだ。僕が最後にスライダーズのライブに行ったのは中学生、高校1年のころだっただろうか。30年近くぶりということになる。ステージの方向へ進むと知った顔、は!元フィッシュマンズのギタリスト小嶋さんだ。こないだ西荻ラバーズフェスに続いてここでもばったり。「来てると思ったよ」と言われた理由は、小嶋さんと一緒になったイベントで僕がスライダーズの「Angel Duster」を歌って会場内が大合唱になってスライダーズ話で盛り上がったからだ。小嶋さんと並んでHARRYの登場を待つ。小嶋さんに「佐藤さんもスライダーズ好きだったんですか?」と訊くと「一緒にコピーバンドやってたよ。あいつはドラムだった」と胸が熱くなるエピソード。

そしてついにHARRYが登場。昼の3時なのに第一声が「ドーモ、コンバンワー」で最高。「ありったけのコイン」が始まって泣きそうになる。うっすらと至るところからシンガロングが聞こえる。全部歌えるよね。続いて「PANORAMA」、これは僕のなかでは後期スライダーズの範疇の、意外な選曲だった。そして続く「Midnight Sun」は僕がフォローアップできていないHARRYソロの楽曲だったのだけど、これがとても良かった。大人のブルースだった。本編最後は「BUN BUN」、1986年『天使たち』のなかの軽快なロックチューン。僕にとって最初のスライダーズ体験はこの『天使たち』というアルバムだったから、アンコールで「嵐のあと」を聴いてしみじみと感慨にふけったのでした。4曲30分、現在と過去を行き来するような不思議な時間だった。

興奮冷めやらぬ熱を冷ますために小嶋さんと賑わう吉祥寺のカフェでお茶。僕ら(僕と当時の同級生たち)はスライダーズを相当背伸びして聴いていたのかもしれないなあとリアルタイム世代の思い出話を聞きながら30年前を振り返った。2年前蘭丸(土屋公平さん)にお会いすることができて、そのときはブルブル震えながらサインをいただいた。この日HARRYのサイン会に並ぶことができなかったのはきっと僕が中学生みたいな爪先立った気分になったからだ。スライダーズの歌を聴いていつも思い出すのは、初めて組んだバンドでオリジナル曲を作ろうという話になったときのことで、ボーカリストが(そのバンドで僕はギタリストだった)「外は雨/オレは風/ブラックジーンズを履いてる」という歌い出しを書いてきて、そのHARRY文法を模倣したフレーズをみんなでバカにして笑った放課後のこと。小嶋さんが「あの頃ペイズリー柄のシャツは基本」「HARRYが履いてるようなブラックジーンズなんて田舎じゃ売ってなかったよ」と言ったときに、またこの「外は雨/オレは風/ブラックジーンズを履いてる」を思い出した。きっと忘れることはないだろうな。

その日からずっと家でスライダーズを一日一枚ずつ聴いている。  
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2017年03月19日

Frankie Cosmos、その調和の取れた宇宙



楽しみにしていたフランキーコスモスの来日公演、下北沢BASEMENT BARと渋谷O-nestの2公演を観た。昨年偶然SNSで存在を知って(中心人物グレタ・クラインの透き通るような容姿に惹かれたのだ)『Zentropy』というCD作品に触れた。愛犬JOEJOEが亡くなった翌日に書かれた曲を中心に構成されたというそのアルバムは全10曲で17分。その後すぐに出た新作『Next Thing』も素晴らしく、その年の個人的ベスト3に入るレコードになった。そんなふうに好きになったインディペンデントで活動するバンドを東京で観ることができるなんてすごいことだ。彼女たちを招聘したりお世話をしたりしたスタッフや仲間たちのおかげだ。心から感謝したい。

フランキーコスモスのステージはとにかく楽しい時間だった。初日の下北沢では共演のワイズリー・ブラザーズをプロデュースしている片寄さんにも会えて嬉しかった。共演者も多かったのにフランキーコスモスは新曲を含むたくさんの曲を演奏してくれて驚いたのだけど、関西から戻ってきて渋谷ではさらに曲数が増えて(30曲くらいか?)多分ありったけの持ち曲を鳴らして来日ツアーを終えた。バンドの演奏もグレタの歌も素晴らしく、いわゆる「ヘタウマ」みたいなものでは全然ない。抑揚が効いて、絶妙のバランスで調和の取れたパーフェクトなバンドでした。物販をメンバー自らやっていたり、サインや写真にも気さくに応えて、インディーポップの鑑のようで、ますます好きになった。丸坊主になっても可憐なグレタの顔の小ささと透明感に何度も溜息をつきました。

  
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2017年03月09日

「ひそやかな魔法」から6年

2011年の東日本大震災からもうすぐ6年になるが、僕の「ひそやかな魔法」という曲がiTunesはじめとする音楽配信サイトでリリースされたのが6年前の今日だ。これはささやかな映画のエンディングテーマだったのが、震災の影響で映画公開が短期間で終了してしまいプロモーションも尻すぼみになった不遇な1曲で、いろんな意味で忘れられない歌になった。もともとは「星降る街」を映画で使用したいという提案があったのだけど、紆余曲折あって書き下ろすことになって、個人的には「星降る街 part 2」を作るつもりで書いた。

この「ひそやかな魔法」はその後「あさってくらいの未来」へと昇華することになり、なかなかこの歌を演奏する機会は少ないのだけど、あらためて時が経って聴いてみると、心のこもった良い曲だなあと感じる。歌詞も丁寧に書けているし、この当時で一番いいサウンドプロダクションを経て完成しているなあ、と思いました。節電で真っ暗な東京の街とか、計画停電とか、いろんなことを思い出します。6周年記念で歌詞とともにここに。

iTunes store等で購入できます




ひそやかな魔法 / 山田稔明


あかり取りの窓から手を伸ばす
その先になにがあるのだろう
君は知らない 僕にも見えない
誰にもつかめない流れ星

青い鳥は僕らの目の前で
いつになれば歌を歌うんだろう
何も知らない子供のままで
笑っていられたら

そして僕らは合い言葉を決めて
最終電車で待ち合わせて
真っ暗闇を手のなるほうへ
ふたつの影が柔らかに溶けてゆく
星降る夜の ひそやかな魔法


朝がくれば夢が覚めることも
春になれば花が芽吹くのも
僕は知ってる 君にもわかってる
この愛すべき日々

やがて僕らはありふれた理由で
会いたいときに会えなくなって
物語巻き戻すように
思いのたけを ひとつずつ並べてく
神様、僕に 最後の魔法


そして僕らは合い言葉を決めて
指切りして鍵をかけて
そっと答えを確かめるように
曇る窓に 街の灯が溶けてゆく
星降る夜の ひそやかな魔法


toshiaki yamada 2011.03.09  
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2017年02月16日

続・私とR.E.M.|ICE STATION公演を観終えて



ICE STATION公演から1週間が経った。去年からずっと楽しみにしていていたイベントだったから終わってしまって一抹の寂しさもあるけれど、まるで夢みたいな3日間をずっとふわふわニヤニヤしながら過ごすことができて、その余韻がまだ続いている。京都公演の次の日、青山タンバリンギャラリーでのパーティーでR.E.M.のマイク・ミルズとピーター・バックに会うことが叶った。2005年の来日公演、名古屋で出待ちしたときは「すぐそばで見た!」という感覚だったけれど、今回は目を見て(興奮してあわあわしちゃったけど)話すことができたのです。そして実に12年越しでついに僕はR.E.M.の3人との2ショット写真をコンプリート(2005年のマイケルと撮った写真はずっと僕のTwitterのアイコンになっている)。

いろんな映像とかエピソードから“饒舌だけどクール”という勝手な印象を抱いていたピーターは、実際はとてもジェントルで穏やかで話をちゃんと聞いてくれて、これまで以上に大好きになったし、ピーターが関わっている音源(ソロも含めて)をもっとちゃんと聴こうと思いました。自分のCD『新しい青の時代』を渡しながら「New Blue Periodという意味です」と説明したら「うんうん」と頷いてくれた。ピーターが演奏に参加していない「Nightswimming」にインスパイアされた「月あかりのナイトスイミング」を、いつか聴いてくれる日がくるだろうか。

マイクは思ったとおりのマイクだった。朗らかで優しくて大きい。僕は「最初に謝らないといけないことが…」と前置きして、R.E.M.1988年の『GREEN』というアルバムのアートワークを完璧にコピーした“オマージュ”である『緑の時代』を渡すと、大笑いしてウケてくれて「トシアキ、トシアキ」と何度も僕の名前を呼んでくれた(ジャケットに書いてあるから、TOSHIAKI YAMADAって)。隣にいたピーターに「これ、見てみー、最高だよ」みたいな感じでブックレットを指差して二人が仲良く話す姿も見れて感無量だったな。ちゃんと最大級の感謝も伝えられました。



1987年からずっと、今年で30年ずっと自分のアイドルである彼らとこんなふうに時間を共有できたことがものすごく嬉しかったし、2人に会って、おかしな話だけど、マイケル・スタイプの不在、あるいは逆説的な存在感みたいなものがムクムクと膨らんでいった。R.E.M.には簡単に再結成やライブはして欲しくないと思っていたけれど、ピーターの演奏中のしおらしい姿を見て思いを新たにしたのは(マイクはリラックスして楽しそうだったけど)またいつの日かR.E.M.で大きなステージをロックして駆け回ってほしいなということだった。2日間のステージを観終えて、これから先の未来のことを考え始めている。

それぞれのキャリアの代表曲、連綿と続くパワーポップの系譜を感じさせるカバーをはじめ、MINUS5、THE BASEBALL PROJECTというサイドプロジェクトの楽曲の魅力も再発見させられたライブでしたが、やっぱり「SUPERMAN」「(DON'T GO BACK TO)ROCKVILLE」とR.E.M.のレパートリーが演奏されたときはいっそう心が弾んだ。このときめきが音楽の力なのだと確信しました。

きっとみんなに呆れられるくらい、3日間でサインをたくさんもらって、一緒にいっぱい写真も撮ってもらった。こんなに笑ってる自分の写真はあんまり見たことがない。本当に中学生に戻ったみたいな感覚でした。アメリカオルタナ重鎮の音楽家たちはみんな揃って優しかったな。YOUNG FRESH FELLOWS、MINUS5、そしてR.E.M.を支えるサブメンバーであるスコット・マッコーイはこのスペシャルバンドをまとめる要として陽性のオーラをまとっていたし、FASTBACKSのカート・ブロックは観る者すべてを笑顔にさせたのではないでしょうか。DREAM SYNDICATEのスティーブ・ウィンは歌もギターも力漲ってそのコンスタントな活動の充実ぶりを見せつけ、紅一点リンダ・ピットモンのドラムとコーラスはとても可憐で力強かった。今回初めて知ったグリーンランドのバンド「ナヌーク」もDEATH CAB FOR CUTIEとシガー・ロスをかけ合わせたようなサウンドでエモーショナルで見応えがあったし、こういう貴重な公演を堪能することができて本当に幸せでした。

マイクとピーターと一緒に撮った写真では(ライターの和田さんが撮ってくれた)僕は言うなればマイケル・スタイプの位置に立っているわけで、もう気持ちが高まりすぎて顔がくしゃくしゃだ。マイクがピーターを呼んで「これ見てみー」と僕の『緑の時代』のブックレットを広げて笑っていて、『新しい青の時代』を持ったピーターが「やっちゃったな!You did it!」と言っている瞬間。1987年に出会って以来R.E.M.が一番好きなバンドだったけど30年経ってもっと好きになるなんてな。あれから1週間、僕はほぼ毎日レコード屋通いをして、またせっせと関連するレコードを集めまくっているところです。好きなものを好きでい続けると良いこととか嬉しいことばかりが返ってくる。これからも「好き」を続けたいと思う。音楽って本当に素晴らしいものですね。

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2005年にマイケル・スタイプと撮った写真。また歌う姿を観たいと思った2017年の春。

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2017年01月08日

有頂天 LIVE NIETZSCHE’S POP|六本木の夜景とカフカとニーチェ



昨日のこと、夜になって出かけてビルボードライブ東京で有頂天のライブを観た。昨年末に出た2枚組のアルバム『カフカズ・ロック/ニーチェズ・ポップ』がとても良くて、そのディスク1とディスク2を分けた1stセットと2ndセットのどちらに行くか悩んだのだけど、個人的に好きな歌の多かった“ニーチェ”サイドの夜遅い部を選んだ。全員揃いの衣装、髪の毛を立てたKERAさんがステージに現れたときはやはり「わああ」とテンションが上った。KERAさんの姿はTHE CUREのロバスミを彷彿とさせるレジェンド感があったけど、演奏が始まるとドタバタと荒々しくやんちゃで尖っていて、ニューウェーブというのは良い意味で成熟しないジャンルなのだなと思った。昔は苦手だったTALKING HEADSの音楽が歳を取るにつれてどんどん耳に馴染んで楽しめるようになった僕には2017年に有頂天がステージで鳴らす歌が極めてポップに響きました。

有頂天を初めて聴いたのは小学生の終わりの頃だ。死ね死ね団というバンドと同じカセットに入れて聴いていた。「インディーズ」といういうものを初めて認識(その正誤はどうあれ)した時であり、「東京」ではこういうのが流行っていると遠い彼の地に憧れ始めるタイミングだったかもしれない。昨晩は最後の曲でステージ後方の幕が開いて六本木の夜景やスケートリンクを背景に有頂天を聴いた。こんな夜が30年後に待っているなんて小学生だったトシアキ少年は夢にも思わなかっただろう。

  
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2017年01月01日

2016年ベストいろいろ

あけましておめでとうございます。本当なら昨日までに2016年のことをいろいろ締めくくりたかったのですがライブ後記などいろいろ追いついていないものがあるので、今日中に全部書いてしまいたいと思います。2016年は良いことも悪いこともたくさんあって、それでも自分にとっては良いことのほうが多い充実した年でした。音楽と猫を中心に2016年も明けて暮れました(2015年もそうだったし2017年もそうなるのでしょう)。ご近所の近藤研二さん宅での恒例の紅白鍋、年越しをして今朝は抜けるような青空で気持ちがいいです。





2016年もたくさんの素晴らしい音楽に刺激を受けました。10選を選ぶのが難しい。デヴィッド・ボウイ、WILCO、ポール・サイモン、メタリカなど選からもれても愛聴したものがたくさんあった。第一位と僅差で第二位はFrankie Cosmosでした。その拙さと可愛らしさの虜に。今年のベストニューカマー。3位から10位は順不同です。Weezerの新譜にはキャリアを積んでもファーストアルバムのようなフレッシュさがあり夏のBGMになりました。イギー・ポップの新譜は巨星が次々に堕ちていくなかで希望の光のような力強さでした。オッカーヴィル・リヴァーの新作にも感動した。闇の中から光を掬い取るような歌がそこにあった。

そして個人的今年のベストディスク第一位はコナー・オバーストの『RUMINATIONS』。ここ10年で間違いなく僕が一番熱心に聴いている詩人の新作は弾き語り一発録りの極めてシンプルなアルバムでしたが、今作もその詩世界に唸りながら浸った。折に触れて何度でも言うが21世紀のボブ・ディランは彼である。

<2016年良かった音楽10選>

Conor Oberst『RUMINATIONS』
Frankie Cosmos『Next Thing』
Okkervil River『AWAY』
Weezer『Weezer (White Album)』
Andy Shauf『THE PARTY』
Iggy Pop『POST POP DEPRESSION』
Lisa Hannigan『At Swim』
John Cunningham『Fell』
Goon Sax『Up to Anything』
O.S.T『SING STREET』



今年は映画館で観る機会が少なくて残念だった。劇場まで行って観た映画は全部良かったが、特に良かったのは『この世界の片隅に』と『シング・ストリート』(『シング・ストリート』はサントラも最高)。『オデッセイ』も『シン・ゴジラ』ももちろん楽しかったが、なぜか妙に印象的に脳裏に残るのは1月に見た『ひつじ村の兄弟』という静かなアイスランド映画のこと。

小林聡美さんが出た舞台『あの大鴉、さえも』は不思議な不条理劇で今でも爪痕のようなものが胸に消えない。ケラリーノ・サンドロヴィッチ台本演出の『キネマと恋人』は自分のなかの“演劇革命”が起きる衝撃、2回観にいったがもう一回見たいほど。2017年もたくさんのエンターテインメントに出会いたい。去年よりもっと今年よ面白くなれ、と願います。  
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2016年09月24日

高橋徹也を観て、わからなくなってきました



宮沢章夫氏の著作に『わからなくなってきました』という本がある。例えば9回裏4点負けているチームが二死満塁の状態になったりするときに実況アナウンサーが言う「これはわからなくなってきました!」の「わからなくなってきました」とは、何だ?と考察するのが表題エッセイだが、高橋徹也の昨日の20周年ライブを観ていて、その歌のなかで主人公や登場人物は何度も「わからなくなって」しまう。何度も、何度も。そして観ているこちら側も同じ視点と感覚に立って現在位置がわからなくなる。2時間強のステージの間ずっと僕はここがどこだか、それが何のことだか、この人は何を言っているのかがわからなくなっていき、しかしその彷徨はとても開放的で気持ちよく、一言で言えば最高な音楽体験だった。

僕は作家として自分のことを我慢強い観察者だと思っているが、高橋徹也は僕が知るなかで一番のストーリーテラーだ。「ますますあなたのことがわからなくなってきました」と彼に告げれば「シュー(Sure=当然だ)」と、あの歌の冒頭のように不穏に答えるだろう。

デビュー20周年おめでとうございます。どんどん面白くなってください。




2016年10月23日(日)@ 下北沢 mona records 2F おんがく食堂
aalto coffee × mona records 「コーヒーと音楽」

18:30開場 19:15開演/前売¥3000 当日¥3500+1drink(¥500)
出演:山田稔明、高橋徹也
*モナレコードにて予約を受付中、残席わずかです!
ご予約はこちら

mona records(http://www.mona-records.com/
〒155-0031世田谷区北沢2-13-5 伊奈ビル2F&3F
TEL: 03-5787-3326  
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2016年08月03日

同い年の渋谷PARCOが|昭和の混沌と楽しいナンセンス、No Lie-Sense公演



昨日のこと、高野さんのライブの刺激がまだ残っていて、夕方までずっとソングライティング作業。新しい言葉は新しいメロディを呼ぶ。夕方から出かけて渋谷へ。渋谷PARCOが建替えのために今月閉館するのにあわせて行なわれている「SHIBUYA, Last Dance_」を見る。渋谷PARCOができたのは1973年、僕と同い年だ。個人的にも渋谷のランドマークであり、車で出かけるときはいつもPARCOの駐車場に停めることになっているから、これから2019年のリニューアルまでこの場所が「ない」ということがあまり想像できない。展示では小沢健二氏の文章が掲げられていて、そのなかで「渋谷PARCOにある手相と占いの店」のことが触れられていた。愛猫ポチが死んでしまった夏、ふらふらと幽霊のように渋谷をさまよい、気付いたらまさしくその占いのブースで占い師の話を聞いていたことを思い出す(そこで告げられた不思議な啓示については改めて文章にしたいと思っています)。街は変わっていくが変わらないものも「ある」。

そのあと、鈴木慶一さんとKERAさんのNo Lie-Senseのライブを観た。ドラムはイトケンさん。渋谷PARCOの43年の風景のことを考えた後で聴くその音楽は奇しくもそれより10余年さかのぼった昭和をモチーフにした、喧騒、高揚感と楽しいナンセンスが詰まったお芝居のようなステージだった。高度経済成長を音であらわしたような混沌。「人間なんてラララ生まれて死ぬだけさ」と始まったアンコール、「ALWAYS LOOK ON THE BRIGHT SIDE OF LIFE」日本語カバー。渋谷までの電車のなかでの佐野洋子さんの『死ぬ気まんまん』について(小林聡美さんの『読まされ図書館』のなかの章)読んで思ったことと通じるところがあって、とても印象に残った。終演後、KERAさんに猫のおもちゃを渡せて感無量。

とても「渋谷」な一日。会場で会った近藤研二さんと猫の話をしながら帰宅。  
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2016年08月02日

みずいろの音楽 - selected by toshiakiyamada



昨晩、というか今朝早くにJFN系全国31局で放送の「Memories & Discoveries」のなかで僕が選曲した30分間のプレイリストがオンエアされました。リアルタイムで聴きたかったんだけど気付いたら朝の6時だった。“みずいろの音楽” というテーマで選びました。宵っ張りな人、眠れなかった人、早起きな誰かが偶然聴いてリズムを取ってくれたりしていたら嬉しいな。学生時代に好んで聴いていた曲が多く含まれる青春サウンドトラック。あわせて僕のコメントとディレクターさんセレクトで『pale/みずいろの時代』から「セレナーデ」が流れました。WEB上再現を下記に。


“みずいろの音楽”

1.There She Goes/The La's
2.Cemetry Gates/The Smiths
3.He Doesn't Love You Like I Do/Nick Heyward
4.The Girl Who Waves At Trains/The Lilac Time
5.Sea Horses/Blueboy
6.My Motorhome/Blissful
7.Pale Blue Eyes/The Velvet Underground
8.A Whiter Shade of Pale/Procol Harum



8月31日の下北沢lete公演はチケット完売となりました。ありがとうございました。  
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2016年08月01日

高野寛 “new songs” LIVEを目撃



昨日のこと。投票を済ませてから、高野寛さんのライブ「new songs」を観に原宿まで出かけた。前日が緒川たまきさんとのイベント、そして高野さんのライブ、夢見心地のソリトンSIDE-B的な週末でした。高野さんがこの春からクリエイターサイト「note」で始めた「MEMORANDUM」という名の音のメモ帳で発表した“新曲”を中心にしたライブ。“新曲”とカッコつきで書いたのは思い返されたり発掘されたりした「過去に書かれた未発表曲たち」を2016年に洗いだしたものだからで、これは僕が7月に出した『pale/みずいろの時代』と通ずる性質を持つ。3月に蔵前NAOTで共演したときに交わした会話のなかで、過去の自分が作ったものを今の自分が手をつけることに関して、高野さんは「今の自分が歌えばそれは新曲」とポジティブに肯定し、僕の意識もそれを機にシフトして『pale/みずいろの時代』はあるべき形に昇華した、と思っている。「美しい星」のなかでも歌われるが「三年も経たないで全部生まれ変わる」われわれの体の細胞のことを考えたら過去の自分と現在の自分は確実に、違う。

会場のVACANTは満員で盛況。高野さんのフルサイズのライブを観るのはとても久しぶりで(日本橋三井ホール以来)、シンプルな弾き語り、声の艶やかさや伸びが印象的だった。新曲で構成されるがゆえの緊張感もほどよく緩急があり、曲解説も丁寧で興味深い。PCでバックトラックを流して歌うシーンでは先週観たWILCOのパット・サンソンにも似た風情、雰囲気があった。気づけばあっという間のステージ、自分も新しい曲を書きたくてうずうずするような感覚があって、降ってきたいくつかの言葉をiPhoneのメモに書き記して帰路、早速カーステレオで鳴らした会場限定発売の『MEMORANDUM #1』は風通しのいいバラエティに富んだCDでした。

往路では代々木公園にスマートフォンを眺める人たちが群れをなしているのを「わああ…」と眺め、終演直後には東京都知事選挙のワンサイドゲームな結果を知る。いろいろ思うところあって「8月末の下北沢lete公演をいくつかの新曲発表の場にしよう」と決めました(これから作るんだけど)。有言不実行にならないようにこれから数週間の夏の景色と心象を書き留めたいと思います。

  
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2016年07月29日

アウトプットとインプット|Pat SansoneとSING STREET



先週末を今年最後の夏休みと宣言したものの、ここ数日いろんなところに出かけていっているから「遊んでるじゃん」と突っ込まれがちだが、苗場から帰ってきてからずっと旧知の友人とのプロジェクトで作詞作業で朝から根詰めて仕事をして夜になったら出かけるという、アウトプットしてインプットしにいくという日々だ。

火曜日はパット・サンソンのライブを観に下北沢へ出かけた。週末に苗場の一番大きなステージで観たWILCOのメンバー、この日は同じくWILCOのジョンとのバンド加入前からのプロジェクト「The Autumn Defence(オータム・ディフェンス)」のパットによるソロ、と呼んだほうがしっくりくるかもしれない。ラカーニャでオータム・ディフェンスを観たのは2013年の春だったが、同じく今回も親密な空間で彼の歌を聴いて感動した。シンプルなギター弾き語りは彼のボーカリストとしての素晴らしさを引き立てて、PCからのバックトラックとの演奏も効果的に楽曲の世界観をひろげたが、一番グッときたのは静と動のコントラストが印象的なピアノでの弾き語りでした。終演後に握手とサインをいただき、フジロックとこの日のステージの素晴らしさを伝えた。「そのTシャツいいね、何のTシャツ?」「R.E.M.のやつ」「Oh!」というやりとりが嬉しかった。相変わらずの色男だった(ライブを観にきていたジェリーフィッシュのジェイソン・フォークナーも然り)。

翌日水曜日は映画へ。ずっと観たかったジョン・カーニー監督作品『シング・ストリート 未来への歌』の招待券を友人が「これ好きなやつでしょ?」とプレゼントしてくれたのだ。ジョン・カーニーの描く物語は『ONCE ダブリンの街角で』にせよ『はじまりのうた』にせよ音楽好きにはたまらない視点がある。レディースデイということもあって映画館は大盛況だったが、映画も予想以上に素敵なものだった。僕は高校生の頃からバンドを組んで今も音楽を作っているが、誰かと一緒に作詞作曲をするという作業をあまり経験していない(ひとり篭って曲ができてからメンバーに聞かせるから)ので映画の中の少年たちが刺激し合い呼応しあって歌が完成していく様を見て羨ましく思った。僕が体験したかったもうひとつの青春はこんな感じだったのかもしれない。泣いた。サウンドトラックもパンフレットも全部欲しくなる類の映画が年にいくつかあるけれど、『シング・ストリート』はまさにそういう一本だった。

アウトプットとインプット、なにかをリリースしたらなにかを取り込むのが摂理である。

  
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2016年07月25日

ホコリと光のすごいごちそう|フィッシュマンズ “LONG SEASON 2016”(2016年7月14日 @ ZEPP TOKYO)



フジロック・フェスティバル2016を2日間ただただ堪能してきたのだけど、それよりも先に振り返っておかないといけないのが先々週観たフィッシュマンズの11年ぶりのツアー初日の東京公演だ。1990年代中盤、アルバムで言うと『ORANGE』の頃から東京でフィッシュマンズがライブをするときは可能な限り出かけていって、フィッシュマンズがどんどん得体の知れない大きなアイコンになっていくのをリアルタイムで体験した。先月末に1996年12月26日に赤坂ブリッツで収録されたライブが2枚組で発売されたばかりだが、フィッシュマンズの思い出が詰まりまくった僕のスクラップブック(宝物)のなかの観にいったライブチケットの半券を眺めていたら、チケットセゾンで買ったその日の公演のチケットと一緒にバックステージパスを見つけた。ちょうど僕が大学を卒業して映像制作の仕事をしている頃で、僕の仕事場のまわりにはフィッシュマンズの現場でカメラを回している人がいっぱいいて(しかも映像監督の川村ケンスケさんは僕と同じ東京外国語大学英米語卒の大先輩だった)大ファンである僕に誰かがパスをくれたことを憶えている。でも終演後、僕は緊張しすぎて「や、やっぱり帰ります」と楽屋挨拶に行かず逃げ出したことも思い出した。

僕がフィッシュマンズのライブを観るのは1999年、佐藤さんが亡くなった後の夏の「フィッシュマンズ的組合」と題されたライブ以来だった、と気付いて驚いた。青春時代の象徴になってしまったフィッシュマンズの、佐藤さんがいなくなった後の新しいカタチから無意識に(あるいは意識的に)目をそむけていたのかもしれない。それが今年、11年ぶりにフィッシュマンズがツアーをすると聞いたときに心から「観たい」と思ったのはなぜか。それは「2016年がそういう巡り合わせの年だから」というのが、漠然としながらも他に言いようのない僕の答えだ。5月と6月に小沢健二を観て7月にフィッシュマンズを観た年。

ゲリラ豪雨みたいな外の天気も功を奏して、ZEPP TOKYOの熱気はすごかった。僕は2階席から観たのでステージ全景とうねるオーディエンスが視野に。暗転して原始的胎動のようなイントロダクションから始まって、最初の「Go Go Round This World」からそのポジティブなヴァイブレーションに痺れてしまった。照明も素晴らしい。ステージが生き物みたいに見えた。誰も同意してくれないと思ったから口にしなかったけど、映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に登場するイモータン・ジョー率いる軍団のなかの、戦闘高揚のために火を噴くギターを弾く男が先導する巨大スピーカーと太鼓を叩くウォーボーイズの乗った楽隊車、あれみたいだ…と感じて(“悪の象徴”ではなくポジティブな楽団。火吹きギタリストはもちろん木暮さんだ)かっこよくて笑いがこみあげてくる。それからなんと3時間半、そこには懐かしさとかセンチメンタルとかを超えた見たことのない最新型のフィッシュマンズがいたのだけど、同時に「あああ、こんな感じだった!」とも思う瞬間がいくつもあった。

選曲もすべての時期から選ばれていて、『Neo Yankee's Holiday』から「エブリデイエブリナイト」を郁子さんが丁寧に歌うのもすごくよくて、最後みんなでシンガロングするシーンなんて初めてで新鮮で感動した。『ORANGE』から「気分」が聴けたのも嬉しかったし、バンド誕生黎明期の「Blue Summer」が聴けたのもその心意気が胸に響く。「Weather Report」では春の嵐が吹いて、2時間過ぎてもまだこれから「ナイトクルージング」と「LONG SEASON」が待っていると思うとクラクラして、ああ僕らはなんて幸せなんだ、と感じた。本編最後が「新しい人」だったのもメッセージ、思い入れ過多の僕は残さず受け止めた。流れるミュージック、暗いメロディ、音楽がいつも心ふるわす人や手紙を待つ人に届きますように。アンコールの「いかれたBaby」で佐藤さんの声が聞こえてきたとき僕はどんな顔をしていただろうか。最後が「チャンス」だったのもよかった。この日カメラを撮影していた知り合い伝てに当初の予定では「感謝(驚)」だったという噂も耳にしたが、「チャンス」で終わるのが相応しいライブでした。「未来のことも明日のことも/そんなもんなんにもわかりゃしないよ/ねえ教えて今あなたのこと/急いでよ ねえ/だって今は恋の予感だよ」と最後まで僕は大きな声で歌って、次の日朝からラジオの生放送で歌わないといけなかったのに声が少し枯れちゃってて、でもそのノドの感じが今観た3時間半の証明みたいな気がして嬉しかったのです。こんな2016年夏を迎えることなんて90年代には予想もできなかった。

終演後、一緒にステージを目撃した高橋徹也さんに繋いでもらって茂木欣一さんとお話することができた。16年前の2000年にガチガチに緊張して挨拶をした僕のことをちゃんと憶えていてくれて「ゴメスの山田くんだよねえ?」とニコニコ笑顔で接していただいて泣きそうになりました。この日のことを忘れないだろうし、次にフィッシュマンズのライブを観るときは「感謝(驚)」を絶対聴きたいなと未来のことを考えている。とにかく圧倒的で素晴らしいライブでした。驚きと感謝込めて。


  
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2016年06月29日

予感



新作『pale/みずいろの時代』がもうすぐ発売になるのでここ最近は車を運転したり、事務仕事をするときを自分がこれまで出した作品を客観的に聴き返す時間にしている。こないだ渋滞する環状八号線を走りながら2013年の『新しい青の時代』を聴いていたら、本当に1曲目からずっと良くって、「どこへ向かうか」の溢れる言葉、「一角獣」の疾走感、「光と水の新しい関係」の力強さ、なんなのこの完璧な流れ、と思ったところで「予感」が始まった。雨上がりの夕焼けがとても美しくて、なんというか、とても感動してしまった。

この「予感」は2012年『レンタネコ』という映画を観た夜に「救われない悲しみがこの世界には溢れてる」という歌い出しの歌詞を書いた。東日本大震災以降の心持ちが綴った歌だ。当時のレコーディング日記を読み返すと僕とイトケンさんとエンジニア手塚さんでリズムトラックを録音し、tico moonの吉野友加さんにアイリッシュ・ハープをお願いした。管楽器が入れたくなってクラリネットを持っている安宅くんにうちに来てもらって一日かけてああだこうだとトライ&エラーしたあと、訳あってしばらく疎遠になっていた上野洋くんに数年ぶりに連絡してフルートの演奏をお願いした。そこに佐々木真里さんがグロッケンを重ねて、この室内楽のように美しい「予感」は完成したのだ。

そういう一連の繋がり、流れをいっぺんに思い出すような、黄昏時の環八での「予感」でした。音楽はタイムマシンのように記憶を再生させる。新しい作品を作るとこれまでの作品が古くなるわけではなく、むしろその実像がより色濃くにじみ出てくるから不思議だ。僕は時間が経っても古びない歌を作りたいと思ってこれまでやってきたし、ようやく自分自身の作品を穏やかな気持で振り返られるようになってきた。あれもこれも、どれも愛すべきレコードだ。  
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2016年06月01日

ステイ・ザ・村田 〜村田和人トリビュート・ライブ(2016年5月31日 @ 吉祥寺スターパインズカフェ)



昨日のこと。2月に亡くなった村田和人さん、彼の音楽をずっと支えた村田バンドによるトリビュートライブがスターパインズカフェで行なわれる日。村田さんの人柄を象徴するような、たくさんの素晴らしいミュージシャンが集まって村田さんの歌に息を吹き込む感動的な夜だった。オールスタンディングでパンパンの会場。杉真理さん、斎藤誠さんというGOMES THE HITMANがお世話になったお二人をはじめ、伊藤銀次さん、杉山清貴さん、スターダスト・レビュー根本要さん、斉藤哲夫さん、センチメタルシティロマンスの中野督夫さんと細井豊さん、佐橋佳幸さんをはじめたくさんの諸先輩たち、そして村田さんの一人息子彼方くん、トーベンさんや山本圭右さんら村田バンドの面々。歓声と笑顔がはじけるステージ。村田さんの声と同期して演奏された「ビートルズを聴いてはいけません」も素晴らしかった。

何日か前に村田バンドの湯川トーベンさんから「アンコールで『一本の音楽』をみんなでやるから山田くんも遊びにくるなら一緒に歌ってよ」とメールが来たのがとても嬉しくて、ステージの端っこから錚々たる皆さんの演奏を近くで見られることを楽しみにしていたのだけど、ふたを開けてみると真ん中のマイクでメインボーカルをとるのは僕、ということになっていて(もちろん辞退することはできなくて)開演直前の一度きりのリハーサルでガチガチに緊張して歌う僕を見ていたずらっ子のように笑うトーベンさん、きっと村田さんも「ぜーんぜん大丈夫ー!」と笑いながら見下ろしていたかもしれません。本番はその「一本の音楽」で大団円、声のかたまりが聞こえました。メインボーカルはステージと会場を埋め尽くした村田さんを愛した全員だったはずです。誠さんとも久しぶりに会えて、杉さんと3人で写真を撮りましたがそこには村田さんもこっそり映りこんでいる気がしました。村田さんの数々の歌を手がけた作詞家の安藤芳彦さんともついにお会いできた。村田さんが旅立って3ヶ月経ちましたが新しい出会いと再会がいくつもあります。

村田さんが作った懐の深い空間、ずっと忘れられない夜になります。ありがとうございました。
  
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2016年05月13日

7月7日発売『pale/みずいろの時代』からアウトテイク1曲を公開しました

CDリリース前の6月10日下北沢lete公演で『pale/みずいろの時代』の選からもれた曲たちにスポットライトを当てるコーナーを、といろいろセレクトしています。その中から2012年春に愛猫ポチが毛玉を吐いてくたびれてアンニュイな感じになっているのを眺めながら書いた「毛玉」という曲を。1993年に書いた「スミス」という曲がありますが、もう一度The Smiths的なサウンドを、と実験した曲で、個人的にはとても気に入ってるんだけどアルバムのなかに居場所を見つけられませんでした。下北沢leteでのライブチケット申し込みは本日21時から受付。他にもいろいろレア曲ありますので、ぜひご来場ください。

*チケット受付はこちらから(5月13日21時受付スタート)



毛玉/山田稔明

なんて憂鬱な雨の日だ
まるで底なしの毛布の上
もう少しだけ待てば見えるだろう
君が投げた三日月のブーメラン
さあクロネコがきっと運んでくれるだろう

眠れ ねんねこ、眠れ ねんねこ
Everyday is like sunday

white light, blue beat and american pie
everything is dream and you could
throw yourself up now

ー白い光、青いビートとアメリカンパイ
すべては夢 今 君はすべてを吐き出せばいいさ  
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2016年05月12日

お気に入りのシャツを着て靴ひも結んだなら|巻き戻る二十余年



先月末、Twitterがきっかけで思い立ってとても久しぶりにb-flowerというバンドの「ペニーアーケードの年」という歌を聴いた。GOMES THE HITMANを結成した1993年くらいの頃、SarahレーベルやLa-Di-Daレーベル(ああ、僕はDEAD FAMOUS PEOPLEというバンドが大好きだったのだよ、とレコード棚を探す今)といった小さなレーベルのバンドと同じような感覚でネロリーズやb-flowerを聴いていたのだけど、一気にその頃の熱が再燃した。それでネットをいろいろ見てみるとb-flowerが活動を再開しているということを知る。Youtubeで見つけた「つまらない大人になってしまった」という2年前に発表された“新しい”曲を初めて聴いて、その老成した歌声にまず驚いて、しかし、曲が終わるころにはその独特のロマンティシズムが何にも変わっていないことに感動すら憶えて、それ以来何回も繰り返して聴いている。

Twitterでのやりとりを経て、ボーカルの八野英史さんとお互いのレコードを交換する機会を得た。八野さんは僕のCDを絶賛してくれてとても嬉しく、僕も現在進行形のb-flowerの歌に触れてその言葉の瑞々しさにとても感化された。奇しくも僕が今作っている新作『pale/みずいろの時代』に収録するのは、古くは1993年自分で歌うために初めて作った英語詞の「スミス」(なんといってもタイトルが「スミス」なのだ)をはじめ、ここ20数年の間に書き散らして手のひらからこぼれ落ちた“未発表曲”たちなので、作業しながら「あの頃はああだった、こうだった」と振り返ることも多い。「ペニーアーケードの年」を聴き自分が19歳だった頃を目を細めて思い出しながら、2016年にそれらの思い出に対峙して新しいレコードを紡いでいるというのが、なんだか面白い。

きっかけをくださったファンの方に御礼を言いたい。言葉にしてくれて、ありがとうございました。

  
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2016年05月09日

5月の休み明けには…|山田稔明『pale/みずいろの時代』から新曲を公開



いよいよ5月、新作『pale/みずいろの時代』制作も最終段階になって収録曲目などが決定しました。当初の予定から紆余曲折を経て1990年代前半に書かれた青春期の曲をはじめ今年書いた“新曲”2曲を含んだ全10曲となりそうです。未発表曲集第一弾となった『緑の時代』との一番の違いは殆どの曲が録りおろしの新録音だということで、過去の自分とあれやこれや相談しながら幻のアルバムを作っているような不思議な感覚があります。当時具現化したかったサウンドを徹底的に追求したトラックもあれば、ガラリと姿を変えた歌もあります。『the loved one』に続き今回もエンジニア手塚雅夫さんや鍵盤奏者佐々木真里さんをはじめ、たくさんの仲間からの力強いサポートなしには実現しなかった、充実した内容になっています(『緑の時代』は録音から演奏、マスタリングまですべて一人で行ったのでそのコントラストも明確です)。

まだ寒い春の頃に高野寛さんと話して「今の自分が演奏すれば過去の曲も“新曲”」という言葉を聞いたのは自分にとって大きな導きとなりました。高橋徹也さんの『REST OF THE WORLD』『太平洋』という“幻の作品”たちにも背中を押された。そしてなにより、うら若く青白く、不安で悩める山田稔明が脇目もふらず書き散らした、LIMBO(=天国と地獄の間の辺土)をさまよう歌たちをこの世界に繋ぎとめることができて僕は今とても嬉しいのです。思っていたよりも100倍くらい良い作品になりそうです。自信を持ってこの夏、皆さまにお届けします。この淡青色の作品を完成させたらいよいよ自分にとっての『ホワイト・アルバム』へと着手できそうな気がします。

今年の1月、東京と奈良で開催した「山田稔明 カレンダー展 2011-2016」のために書き下ろした「calendar song」を公開します。カレンダーをプロモーションするためのとびきりポップなCMソングを、と思って書いた“ノベルティ・ソング”です。一曲のなかで春夏秋冬が一回りする曲が僕は大好きで(「ねじを巻く」とか「bon voyage - 終わりなき旅の流浪者」とか)これはその仲間のひとつとなります。「4月になれば彼女は/また新しい恋に落ちて/5月の休み明けには/“こんなはずじゃなかった”と電話をかけてくる」と始まりますので今の季節、現在位置再確認して新しい日々をまた歩き出しましょう。僕が1997年に初めて出したレコードのオープニングトラックへのアンサーソング?いや、まだまだ答えの出ない人生の途中経過のようなものです。曲中の掛け合いのコーラスは九州の大きな地震の翌日福岡ジョイトリップカフェで行なわれたライブに来てくれたお客さんたちの声を束ねたので僕はあの数日間のことを決して忘れることはないでしょう。楽しく聴いてください。オフィシャルサイトでは予約特典付きのプレオーダーを受け付けています。全貌お披露目まで今しばらくお待ち下さい。




山田稔明/みずいろの時代
(GTHC-0008/税別2,500円)2016年7月7日発売


これまで正式にCDとして発表されなかった楽曲のなかからセレクトして
2016年の山田稔明が磨き上げました。自分で歌うために初めて19歳のときに書いた歌や
大学時代にがむしゃらに奏でた歌、憂鬱な季節を切り取った歌などを含むこの作品は、
色で言うと青春の青白さ。まさに儚いペイル・ブルーのようだと感じました。
このレコードが皆さんの記憶にもきっとあるはずの“pale=みずいろ”の時代を
“再発見”するきっかけとなれば嬉しいです。

収録予定曲
「pale blue」「ナイトライフ」「スミス」「気分」「my valentine」「モノクローム」
「セレナーデ」「calendar song」「幸せの風が吹くさ」「Qui La Laの夏物語」 全10曲収録予定
☆ジャケットや収録内容等が変更になる可能性がありますことをご了承ください

pale_sample_C1



<山田稔明 NEW ALBUM『水色の時代』発売記念ライブ>
“夜の科学 vol.49ーpale blue days”

2016年7月2日(土)@ 恵比寿 天窓 switch
出演:山田稔明 with 夜の科学オーケストラ
*詳細は後日発表します


<オフィシャル通販プレオーダー受付開始!>
豪華特典付き、送料無料、一般発売日よりも早く発送するプレオーダー受付を
4月1日より受け付けます→オフィシャル通販STORE




  
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2016年04月21日

カセットテープは音楽体験の原点である|中目黒 waltz 探訪



昨日のこと。1週間休みなく続いた波乱万丈、忙しくも充実した日々の切れ目、天気も良かったので思い切って一日スイッチをオフにして出かけた。向かったのは中目黒から少し離れた閑静な住宅街にあるカセットテープ専門店waltz、その存在を知ってからずっと行ってみたかったお店。辿り着いたのは、取り扱うマニアックなモノたちとは相反して、とてもスタイリッシュな、明るくて気軽に入りやすい間口の広いお店でした。

元々WEBの記事でその存在を知り、そこに掲載されたお店のプロモ動画のようなもののなかに僕にとって最愛のバンドであるR.E.M.のテープがたくさんあるのを見つけたのがこのお店に行ってみたい一番の理由だったのだけど、足を踏み入れるとそこは音楽好きにとっては天国のような場所で、アルファベットAの棚からずっと指を差しながら眺めて「わあ、こんなのも」「こんなものまで!」の連続で、きっとそのときの僕は口をパカっと開けて半笑いで呆けてるみたいに見えただろう。結局僕は「買い占めみたいになっちゃってごめんなさい。中2の頃からの大ファンなので…」とお詫びをしながらR.E.M.のIRS時代のカセットテープをまとめて購入したのでした。



実は最近、郊外にあるハードオフで妙にかっこいい再生機器を衝動買いして、自分の中でのカセットテープ熱が高まっていたこともあり、ここwaltz探訪は必然的なものだった。中学生の頃聴いていたビートルズ(A面が『REVOLVER』でB面が『HELP』、修学旅行で南九州をまわった風景が蘇る音)、高校時代にエアチェックしたラジオ番組、大学時代に作ったGOMES THE HITMANのデモテープやライブ音源などたくさんのテープを物置から引っ張りだして再生すると、音楽が記憶を伴ってちょっと日焼けした感じで立ち上がって甘酸っぱい。やっぱりカセットテープは僕にとって音楽体験の原点なのだ。コートニー・バーネットの新譜はカセットテープでもリリースされたのでつい先日レーベルの直販で購入したばかり。相対性理論の新作もカセットテープでのリリースが予定されているとのこと。手のひらのなかでプラスティックのケースを触っていると「音楽には形がある」という感じがしてくる。



店長さんと少しお話をさせてもらったが、ご自身のコレクションの一部をお店に並べていらっしゃるということだった。「一度集めはじめると全部そろえたくなるんですよね」という言葉を聞いて似た者同士だと思った。店内にはラジカセやウォークマン、古い雑誌等も並び、お店の一角にはプレイヤーが置いてあってカセットはすべて試聴できる。気持ちのいい空間と楽しい時間でした。今売っているアンドプレミアムにもお店の記事が載っていました。ぜひ興味のある方、音楽好きの方、ガジェット好きな人も足を運んでみてください。

waltz
〒153-0061
目黒区 中目黒4丁目15-5  
Posted by monolog at 11:49Comments(2)TrackBack(0)