2010年02月20日

札幌トラベローグ;DAY3(2月15日)

札幌3日目の朝も太陽の日射しで目が覚めた。昨晩いつ寝入ったかも憶えていないのだが最近の
朝型にシフトした生活のせいか7時前に一回起きて、時間までだらだらするのが心地良いのだ。
この日は東京へのフライトを遅い時間にして、“のや”家族にいろいろお世話になり連れ回して
もらうことになりました。僕は声を枯らしたハミングバード、という感じでひどい声。昨夜の
打ち上げでどんだけ調子に乗ったかがよくわかる。

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ホテルまで“のや”親子が迎えにきてくれて札幌の街を大まわりしていろいろ見せてくれました。
雪祭りの雪がまだ山のように残る。のやマスターおすすめの散歩コースとして立ち寄ったのが
北海道神宮。雪の上、氷の上を歩くのが楽しい。真っ白く太陽を反射して僕はくしゃみばかりだ。
参拝した後は六花亭が無料で提供しているという休憩所でお茶と「判官さま」なるお餅をいただく。
九州出身の僕にとっては梅ケ枝餅を連想する焼いたお餅でとても美味しかった。

それからふたたびレストランのやの母屋ともいうべきプー横丁へ移動。ランチタイムで店内は盛況。
よほど僕が疲れてるように見えたのでしょうかね、おなかに優しそうな洋風おじやをご馳走になる。
とても居心地が良いお店で、コーヒーを飲みながらまったりしたり“のや”娘Sちゃんの小学校時代の
北国に育つ植物を調べた研究課題などを眺めているうちに数時間が経ってしまうほど。

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お店の皆さんにさよならをして“のや”家族の車で札幌を出発。のやマスターの話を聞いていると
北海道の音楽シーンの豊かさに感心させられる。フォーク、フォークロア、現代音楽とジャンルを
軽々と越えてゆく柔軟な土地柄と音楽と生活が密接している印象。少し高速道路を走って恵庭へ。

まず最初に「えこりん村」というところへ。雪のなか、羊がいたり牛の群れがいたりして目を見張る。
タイミングがよければアルパカさえ見れるらしいがこの日は残念。ここにも氷のオブジェが空へと
伸びる。風邪をひいてからしばらくコーヒーを絶っていたのであちこちで飲むコーヒーが美味しいこと。

次に連れていってもらったのは北広島の「森のゆ」というモール系天然温泉で、ここでも疲れた体を
これでもかと癒させてもらいました。さっき羊を見たばっかりなのにここで早めの夕飯にジンギスカン。
なにもかもが美味しいと思わせるのは、旅の途中という理由だけではない。満腹になって満足。

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飛行機の時間まで少しあったので空港の少し先のウトナイ湖、道の駅へ。真っ暗で何も見えないのだが
目が闇に慣れてくると空に星がたくさん見える。「home sweet home」みたいな風景でした。本当に
いろいろ手を尽くして面倒を見てくださった“のや”家族に感謝します。またすぐに戻ってきたいと思う
札幌での3日間でした。飛行機の窓から見おろした街は白くうっすらと輝いていてきれいだった。

便の遅れやなにやらで羽田からの家路は結局最終電車で、東京の街は雨に濡れて凍えたみたいだった。

いろいろお世話になりました。新しいアルバムを持ってまた新しい旅に出ることが楽しみです。  

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2010年02月19日

札幌トラベローグ;DAY2(2月14日)

朝、目覚めると太陽の日射し。ここ最近ほんとに地方遠征の時に天候に恵まれています。恐る恐る
声を出してみると全然大丈夫!な感じ。心底ほっとするも、用心して余計な外出をしないことにして
札幌駅付近で楽器屋さんを探したりするくらいにして早めにレストランのやへ。今日も景色は真っ白。

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昨日に引き続きライブ当日も熱心にリハーサル。東京以外ではなかなか披露できないスクリーンの映像も
ここレストランのやでは果敢にチャレンジしてくれる。石壁に投影される映像は味があってとても良い。
予想以上の入場申し込みに、前日に設営した椅子を急遽アレンジしなおしたり、PA松川くんのピアノとの
セッションを復習したりしながらあっという間に開場時間に。

お店の常連さんや家族連れ、老若男女のお客さんがここの特色と言えるでしょう。「ねじを巻く」から
始まったライブは手拍子やシンガロングを伴って軟石作りの蔵のなかで大きな音楽になっていきました。

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昔からのファン、新しいファン、初めて僕のライブを観た人、初めて僕の音楽に触れた人、たくさんの
サインをしてたくさんのチョコレートをいただきました。PA松川くんのピアノも本番が一番良かった。

僕の声もいつもと変わらない響きで前に向かって進んでいって、それが一番ほっとしました。また来て欲しい
とたくさんの言葉。のやの皆さん、プー横丁の皆さん、本当にありがとうございました。

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本番が終わって気分も良い僕らは、ライブ本番よりも長い時間をかけて打ち上げ。食べきれないほどの
美味しい料理とビール。歌い終えて調子に乗った僕は飲みすぎてしゃべりすぎて笑いすぎた。そこに
いるスタッフ皆さんが全員ニコニコしているのが嬉しくて、仲の良い親戚のうちに遊びにきたみたいで
酔っ払った僕は次の札幌ライブの日程まで軽々と約束してしまうほどでした(ちゃんと憶えています)。

のや奥さんから「山田さんが来てくれることでうちの家族やスタッフがいろんなことを考えて行動して、
楽しみと影響力を与えてくれます。みんなが満足気な顔をしてるのを見れることが嬉しい」との言葉。
気づけば夜中3時近く、2時間のライブを耐えた僕の声が打ち上げでまた枯れ果てたのでした。  
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札幌トラベローグ;DAY1(2月13日)

月曜日、下北沢QueでのDQSの後、久々に体調を崩し、数日寝て過ごしてもなかなか復調せず、
金曜日に注射、出発当日の土曜日にも羽田空港に向かう前にビタミン注射をしてもらって旅立ち
というなかなか厳しい始まりとなった今回の札幌ツアー。体がしんどいというよりもライブに来て
くれたお客さんの前で良い声で歌えなかったら…という不安のほうがストレス。気ばかり焦る。

ツイッターで「コンバースで札幌大丈夫かしら」とつぶやいたらNGとたくさんご指摘を受けて
ソールのしっかりした靴で挑みました。旅先での楽しい予感のことだけに思いを馳せて機上の人、
夕方新千歳空港到着。レストランのやのマスター一家が出迎えてくれました。感謝。


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札幌に向かう前に見せたい風景があるのだが…と、僕の体調を気遣いながら“のや”ファミリーが
躊躇するのを、寒さに対する覚悟ができた僕が「行きます!」と手をあげて、支笏湖で行われている
氷濤まつりを見物しにいくことに。車の窓から見えるのはなんとなく北欧的なランドスケープ。

エアコンが効いているから寒くはないが、確実に北国にいる、という気持ち。ご主人が運転席から
植物のこと、地形のこと、歴史的背景など教えてくれる。まつりもクライマックスの時期で道路も混む。

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辿りついた支笏湖、外に出ると言葉ではうまく伝えられない氷の造形物(支笏湖氷濤まつり)。
札幌雪祭りとはまた違う荒々しい氷の芸術。支笏湖の湖水をスプリンクラーで凍らせた様々な氷のオブジェ
氷の洞窟になっていたり、氷のリンクのうえで子どもたちが滑りまわっていたり。

心は躍るが手足の末端からどんどん体が冷えてくる。写真を撮ろうとiPhoneのカメラを操作するも手袋を
外さねばシャッターが切れずさらに指先の感覚がなくなっていきました。花火が打ち上げられてイベントは
クライマックスへと至るなか僕はどんどんぐずぐずになっていくという、修行のようなキリリとした観光。
この後食べた肉まんのあったかくて美味しかったことよ。




sapporo2010_day1_6支笏湖を発ち(ぼんやりしてしまった僕はこのあとしばらく「しこつこ」のことを「ちこつこ」と勘違いしてしまう)とっぷり日が暮れた道を札幌へと向かう。とたんに無口になってしまった僕のことを“のや”一家はさぞ心配したことだろう、と今振り返ると申し訳ない。この車中が体力的に一番しんどかったかもしれません。眠気とか。

札幌の道路は真っ白でつるつる。まず最初にレストランのやの母屋的お店プー横丁に挨拶、いつも店内で僕の歌が流れているようで店員さんみんながキラキラした笑顔で迎えてくれて嬉しい。こういうことで簡単に元気が出る。のやに到着すると会場スペースはすでにセッティング済み。温かくて美味しいご飯をいただきかなり復調しました。

会場のPAを担当する松川くん、前回のライブの時に「ピアノを弾いている」とのことだったので、せっかくだから今回セッションしようと約束していたのだ。本来は厨房にいるアマチュアの松川くんにとっては大きな緊張だっただろう。MP3とコード譜だけメールして練習は前夜のこの時間だけ。閉店後も夜遅くまでふたりで練習。気がつくと日付が変わっていました。

ホテルへ送ってもらって加湿器と浴槽全開でノドケアして、バンクーバー(モントリオールって間違えて
書いてしまった。訂正!)五輪の開会式の再放送を眺めつつ死んだように眠る札幌第一日目の夜更けでした。  
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2010年02月16日

夜の科学 in 札幌 ダイジェストムービー

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夜の科学 in 札幌〜white valentine's day

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2010年2月14日(日)@札幌レストランのや

1.ねじを巻く
2.手と手、影と影
3.clementine

4.思うことはいつも
5.寒い夜だよ
6. 三日月のフープ
7.夜に静かな独り言

8.毎日のポートフォリオ
9.長距離ランナー
10.大空と大地の中で(松山千春カバー)
11.天気読み(小沢健二カバー)

12.星降る街(with 松川くん on piano)
13.クレールとノアール
14.home sweet home
15.glenville

16.hanalee
17.sweet home comfort
18.歓びの歌

EN
19.SING A SONG(with 松川くん on piano)
20.1/6の夢旅人2002〜
  春のスケッチ(with 松川くん on piano)
21.hummingbird



真っ白な札幌、バレンタインデーのライブでした。
たくさんのご来場ありがとうございました。
そしてたくさんのチョコも!  
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2010年02月12日

週末は札幌で歌います

noya昨年9月末、約6年ぶりというインターバルにもかかわらず2日間盛り上がった札幌、MCでの公約どおり春が来る前の再訪となります。ここ数日ノースウェーブでもAIR-Gでも曲をかけていただいて、本当にありがたい(Twitterやってると自分の曲がオンエアされたことがすぐわかるんです)。

真冬の2月にライブイベントをやるのは気候の関係や交通の便とかで結構リスクが高いということだったのですが、僕としては久々の真冬の札幌を胸いっぱいに吸い込んでやる!という感じでわくわくしています。新旧含めて充実のセットリストを考慮中です。ぜひ遊びにきてください。

僕は明日の夕方には札幌に入り夜には会場のレストランのやでリハーサルをする予定です。写真は秋晴れ9月ののや。雪のなかでどんな風景になっているかとても楽しみです。


GOMES THE HITMAN.COM presents
“夜の科学 in 札幌〜white valentine's day
2010年2月14日(日)@札幌 レストランのや
料金3,000円(1drink別途)16:30open/17:00start
出演;山田稔明(GOMES THE HITMAN)


オフィシャルサイトRESERVEフォームにて予約を受け付けております。

※携帯電話からのお申し込みやメールフォームがうまく機能しない場合は
「お名前/フリガナ/E-mail/都道 府県/電話番号/人数」を明記の上、
題名を「2月14日レストランのや」として info@gomesthehitman.com
宛にメールでお申し込みください。

※電話でのご予約はレストランのや(011-210-5105)にて受け付けております。

レストランのや(011-210-5105)
札幌市中央区北二条東11-23-14
info→食べログ  
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2010年02月10日

夜の科学28 Thank You! Sold Out!

28soldout


たくさんのお申し込みありがとうございました。現在キャンセル待ちでのお申し込のみ受付中です。  
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2010年02月09日

本日21時から夜の科学28受付開始

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3月26日(金)恵比寿天窓switchで行われる「夜の科学vol.28〜one more step to go!」の
入場申し込み受付、本日21時から開始です。たくさんのお申し込みをお待ちしております。

特設メールフォーム  
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2010年02月08日

one more step to go!=あともう一歩!

毎日果てのない追い込み作業(終りがないように思える!)を続けていますが今週末はいよいよ札幌でのソロワンマンです。そして来月の後半には東京での、2009年度最後の“夜の科学”が決定しました。気象庁が今年から桜の開花予想撤退、くわえて新規参入の民間会社が増える、というニュースが話題ですが、どうやら東京でのライブの頃、桜がほころぶようなスケジュールで季節が動いているようです。たくさんの皆さんと春の始まりにいつもの場所で会えますように。

夜の科学28は明日9日21時からオフィシャルサイトにて受付を開始します。週末の“夜の科学 in 札幌”、聴きたい歌、リクエスト等あればコメントください。2月10日あたりにFM NORTWAVE20時からの「MUSIC GENERATION」にて僕のコメントなんかが流れる予定です。真冬の札幌、楽しみです。いろいろよろしくお願いします。

※画像はA4にプリントアウトすると告知フライヤーになります。情報伝達にもご協力ください!  
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2010年02月07日

“家路”の春直前、夜の科学28開催決定

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GOMES THE HITMAN.COM presents
夜の科学 vol.28〜one more step to go!
2010年3月26日(金)@恵比寿天窓switch
19:00開場/19:30開演
出演;山田稔明(GOMES THE HITMAN)

料金3,500円(1ドリンク代別途)
2月9日21時からオフィシャルサイトにて入場申込受付開始

春直前、“家路”までのラストステップ!新作ソロアルバムの全貌を
先行お披露目する“夜の科学”開催決定しました。発売詳細もいよいよ発表!
“旅路”は山を越え川を渡り“家路”に繋がります。

2月9日21時からオフィシャルサイト特設メールフォームより
お申し込みください。詳細はHPへアクセスの上ご確認ください。
特設メールフォーム
※本公演はご来場のお客様に着席してご覧いただけるよう限定人数での開催を予定しております。
定員数に達し次第申し込み受付を締め切らせていただきますことをご了承ください。

恵比寿天窓switch(HP
〒150-0013
渋谷区恵比寿3-28-4-B1F
TEL03-5795-1887  
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2010年02月05日

いよいよ来週、真冬の札幌公演

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GOMES THE HITMAN.COM presents
“夜の科学 in 札幌〜white valentine's day
2010年2月14日(日)@札幌 レストランのや
adv.3,000円(1drink別途)16:30open/17:00start
出演;山田稔明(GOMES THE HITMAN)

昨年秋以来、念願の真冬の札幌凱旋公演決定しました。
軟石造りの蔵に響く心あたたまる音楽とおしゃべりにご期待下さい。


オフィシャルサイトRESERVEフォームにて予約を受け付けております。
本公演に関しましては当日精算とさせていただき、整理番号は発行いたしません。
当日会場受付にてお名前をお伝えのうえ入場料金をお支払いください。
RESERVEフォーム

※携帯電話からのお申し込みやメールフォームがうまく機能しない場合は
「お名前/フリガナ/E-mail/都道 府県/電話番号/人数」を明記の上、
題名を「2月14日レストランのや」として info@gomesthehitman.com
宛にメールでお申し込みください。
※電話でのご予約はレストランのや(011-210-5105)にて受け付けております。

レストランのや(011-210-5105)
札幌市中央区北二条東11-23-14
info→食べログ

※札幌GTHC street teamの皆さんへ。画像はA4チラシとしてプリントアウトできます。
サポートよろしくお願いします!(GOMES THE HITMAN.COM)  
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2010年02月04日

口笛と爪弾き、踊るアンドリュー・バード

abirdソロではできないこともバンドでならできる、しかしバンドでしかできないことがソロではやれる、しかしひとりでできないことをバンドでなら・・・、という自問自答を繰り返していた去年のある時期に、Andrew Birdのパフォーマンスをネットで見て驚き開いた口がふさがらなかった。それから1週間のうちに手に入る音源をすべて手に入れて、さらに彼が使っている足元の機材(LINE6のDL4)まで購入してしまう。それ以降確実に違う気分で演奏している、と思う。

当然去年の個人的ベストアルバムはAndew Birdの『Noble Beast』だったのだが、それこそ雑踏で見つけた自分だけの宝物みたいに感じていたのです。そのアンドリュー・バードが来日するというのでわくわくしながら渋谷クアトロに出かけていきました。会場は盛況。

息を飲むような美しいキセルのオープニングアクトの後、アンドリュー・バード登場。ソロ、ドラムとデュオ、トリオ編成というパターンのパフォーマンスをネットで見かけていたので今回はどんなふうかと思ったら、完全に一人での多重演奏。ヴァイオリン、グロッケン、エレキギター、そしてハンドクラップと口笛と声。幾重にも重ねられていくヴァイオリンの音を聴いていて、変な話だが初めてソニック・ユースを中野サンプラザで観たとき窒息しそうなノイズに立ち尽くしたときの印象がデジャヴュ。

足元がよく見える位置からステージを観ていたのだが、フットスイッチをストンプする仕草がこの世界のどこにもないダンスのステップを踏んでいるみたいに見えて、これを生で体感できてよかったなーと思いました。神経質そうな立ち居振る舞いと音楽のスリリングさでライブ終了後はぐったり疲労してしまったのだが、なんかものすごいものを観た、という感じで一晩明けて僕の耳は改めてアンドリュー・バードを聴いていて、僕の足はループマシンをストンプするイメージトレーニングを繰り返しているのだ。  
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2010年02月03日

サリンジャー追記

salinger柴田元幸氏のサリンジャー追悼文が読みたくて出かけたのだけど、午前中の図書館は気合をいれて新聞を読む人が群れていて全然前日の朝刊がまわってこない。英字の新聞記事をいくつかコピーして、帰り道にあるニューススタンドで幸運にも探している朝刊を譲ってもらった。

「キャッチャー・イン・ザ・ライ」がサン・テグジュペリの「星の王子さま」や太宰の「人間失格」などと並んで、若かリし頃に人がしばし陥る(そして若さゆえ許容されるべき)“自分だけは純粋なんだ”という思いに強く訴える書であった、という記述に納得。サリンジャーは“はしか”のようなものだという僕の思いをさらに“翻訳”してもらえたように思いました。「生きる違和感」というものが実は普遍的なものである、という不思議な矛盾が面白い。

年を取らない(時とともに入れ替わっていく)多感な若者の代弁者としての重責に背を向けてサリンジャーはこの世から姿を消して生涯を終えたけれども、それは“書けなかった悲惨”というよりも“書かなかった栄光”だと称えることができるだろう、と追悼文は締めくくる。いつだってそうだ、“生きる違和感”に対する答えは提示されるものでなく、なにかをきっかけに深く思案するものなのである。

そして関心は、本当にこれからサリンジャーが隠遁生活の中で書きためてきた未発表の原稿が出版されるのかどうか、ということで(いくつかの長編も書き上がっているという噂もあるらしい)、40年分のタイプライターが打ち込んだ文字の連なりに21世紀の今日めぐり逢えたらそれは奇跡のような、素晴らしい再会だ。

大学でサリンジャーを専攻していたというのが青臭くて少し恥ずかしかったのだが(ビート文学の授業を受けていたことも同じだ)読解に対して答えを提示されることがないサリンジャーの文学には底無しの余白が残されていて、興味の尽きない対象だな、と今では強く思う。  
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2010年02月02日

プアホワイト、モホーク、そしてフローズン・リバー

frozenriverラジオから「ギリギリの経済状況に追い込まれ不法移民の密入国という危険な仕事に手を染ながら“母親愛”で苦境を乗り越えてゆく白人女性とモホーク族女性が繰り広げる感動ドラマ」というストーリーの映画があると聞いて、「そんな映画オレ以外に誰が観るのかよ」という思いで出かけた映画の日。「フローズン・リバー」という映画を観ました(お客さんは結構入っていました)。

その名の通り真冬の凍ったセントローレンス川を車で行き来する真っ白な映像がそのままこの日の東京の降雪と相まって印象的でした。先住民の保留地の様子や現代に生きるモホークの人たちの暮らしやホワイトトラッシュの貧困とか、アメリカの光と影、その“影”の部分に丁寧にフォーカスした優しい悲しい映画。演者もスタッフもすべてネイティブ・アメリカンで制作された「スモーク・シグナルズ」という映画に通じる空気感がある。

女性監督の感性の賜物か、とにかく繊細に揺れ動く心の機微のようなものがスクリーンから伝わってきて、僕はずっと体を前のめりにして2時間魅入ってしまいました。年頭の「アバター」をきっかけに、今年はインディアン熱再燃の年と目標をたてたのだが、早くも胸を打つ素晴らしい作品に出会ってしまった、という感じです。今は渋谷でしか観られませんが春に向け全国ロードショーとのこと。

映画『フローズン・リバー』  
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