
前日はそれぞれ思い思いの観光を楽しんだ猫町フェスメンバー。むぎちゃんは東京での過密スケジュールのプロモーションから夕方に沖縄に戻ってきて、いろんな準備で右往左往したはず。ライブ当日、この日は昼夜2公演のため長い一日。朝10時前にロビーに集合して歩いて会場の桜坂劇場へ向かいます。映画館でのライブ、イメージしていた通りの会場だったけれど、スクリーン前に舞台が組まれている。ステージ背後の銀幕に絶対さわらないように最初に厳重注意された。
猫町フェスバンドは7人、楽器編成もマリンバやバイオリン(今回は三線も)含む大所帯なのでサウンドチェックやリハーサルがと大変。この日も初めての会場で音の感覚を掴むのがとても難しくみんな真剣。ギリギリまで調整、「先行物販始まりました」「もうお客さん並び始めました」とか「まもなく会場です」とか、時計との睨み合い。楽屋に戻ると差し入れがたくさん。むぎちゃんの家で挙げたサータアンダギー、食べ始めたら止まらない(水分持っていかれるからコーヒーが必須)。果たして2020年幻となった公演から3年越しの猫町フェスOKINAWA公演が始まります。

沖縄公演のわれわれ、ドレスコードはアロハ。男性陣とスタッフチームは思い思いのアロハを用意、イノトモちゃんとみおさんは華やかなリゾートドレスでした。不思議なもので、普段なかなかチョイスしないアロハって着るだけでテンションがあがるのです。満員の会場、1曲目は「猫町オーケストラ」、僕のギターと歌から始まり楽器が重なってきてドラムとベースがイン、コーラスが添えられていくワクワク。オープナーに相応しい曲になりました。時間をかけて準備をしてきた沖縄公演、2曲目は近藤さんが歌う「上野動物園準備中」。子どもの姿も多い会場がちょっとふわっとした感じがありました。3曲目むぎちゃんの「君に会いに」、ようやく沖縄のみんなに会いにこれた喜びよ。やっぱりライブは楽しい。ここで一息ついて、ホスト役むぎちゃんからメンバー全員の紹介がありました。

続いて「lucky star」、この曲は初めて演奏したとき(山口の防府)からむぎちゃんのタンバリン姿が印象的で、いつも力余って鈴の部分が弾けてひとつずつ欠けていくというのが見モノだったんだけど、ついにこの日の夜、タンバリンがただのプラスチックの輪っかになってしまった。これもひとつの記念日。「フワフワスター」は発売になったばかりのむぎ新作からのフレッシュな曲。続けて「アガってく音頭」、この曲は本当に演奏していて楽しい。普段自分がやってる音楽とかけ離れているぶん思い切ってギターが弾ける。むぎちゃん相当ハアハアし始めて一旦休憩に。
むぎちゃん抜きの猫町フェスメンバーでの演奏、ここ最近の富山での山田+itoken+みお、岡崎での山田近藤itokenみおのステージの流れもあったので完成度が高かった気がします。itoken作の「Song fo r Serena」の海の中のイメージから続けて昼の部は「hanalee」、夜の部は「月あかりのナイトスイミング」。特に初めて猫町バンドであわせた「hanalee」はコーラスの重なりの重厚さもあって演奏しながら感動した。「ナイトスイミング」もいつもぐっとくる。イノトモちゃんは昼の部は「星と花」、夜の部は「眠る猫」とタイプの違う2曲、時間帯にあってどちらもいい雰囲気でした。近藤さんは未発表だった古い自作曲を記憶の抽斗から取り出して沖縄の風にさらして、弾き語りで「花言葉」。いわばこのセクションは<花セクション>もうこの時点で沖縄公演、充実の内容だなあと僕は思っていたのです。
昨年むぎちゃんとなんとなく交わした言葉から「ホウセンカ」をセットリストに組み込むことに。ホウセンカの花で爪を赤く染めるフレーズをむぎちゃんは「てぃんさぐぬ花」の歌詞がモチーフだと思っていて、逆に僕はそのことを知らなかったのです。「ホウセンカ=てぃんさぐぬ花」。近藤さんが三線を弾いて素晴らしいアレンジをした「てぃんさぐぬ花」、いつかきちんと録音したいよね。

ここ数年の趣向を凝らした猫町フェスから一転、曲を淡々とプレイするシンプルなかたちになった沖縄公演ですが、演奏曲目や曲順、アレンジに並々ならぬ思い入れがあったことが皆さんに伝わっていたら嬉しいです。ライブ後半、「第2の人生」「song of life」「ニャンとなるSONG」と続く流れは、言うなれば<LIFEセクション>。「天国かもしれない」で本編終了。初めてむぎちゃんの「天国かもしれない」をフジロックで目撃してから6年。「もう6年」なのか「まだ6年」なのかわからないけれど、この歌を沖縄で演奏できたことが幸せでした。
一度引っこんでみんなで慌ただしく新しい猫町フェスTシャツを着替えてアンコールに応えてステージへ。むぎちゃんが着ていたのはXXLサイズ、そんなに非常識なサイズじゃないんだね。昼の部は「AとBと」、夜の部は「三億年後に会いましょう」と8ビートのテンポいい楽曲で盛り上がりました。そしてみんなでラララと声をあわせた「日向の猫」、そして手拍子鳴り響く「toi toi toi」。この2曲は最初の猫町フェスからずっと演奏しているけれど、間違いなくこの日の演奏がこれまでのナンバーワンでした。「toi toi toi」のエンディングで客席でカチャーシを踊ってるシルエットが見えたり、威勢のいい指笛が聞こえてきたり、とにかく最高に盛り上がりました。このまま終わらなければいいのにと思った。

終演後にたくさんのサイン、皆さんといろいろおしゃべりもできて嬉しかったです。地元の皆さん、遠方から来てくださった方、僕の古い付き合いの同級生の姿やミュージシャン仲間の姿も。さすがに夜の部終わったあとはヨレヨレになってしまいましたが、とにかく打ち上げまでずっと楽しい猫町フェスOKINAWAの一日でした。手伝ってくれた仲間、メンバーやスタッフみんな、会場スタッフの皆さん、そしてご来場いただいたお客さんに想いを寄せてくれていた皆さん。またそう遠くない未来に沖縄で猫町フェスやると思うので、またそのときにみんなで集まりましょう。
沖縄が大好きになりました。
写真:ka-ko