猫が行方不明4


ポチのことを猛烈に思っていた。ポチがうちにいないなんてそんなことがこれまであっただろうかと思いを巡らすと、あった。一度だけ。2002年の2月、避妊手術で入院したときだ。
あのときはポチを午前中に病院に連れていって、全身麻酔での手術になるから不測の事態が起こっても文句は言いませんというサインをしてひたすら手術終了の電話を待った。結局ポチは予定よりもずいぶん遅く手術台に乗り、夜分遅くに無事との連絡があって翌日のお昼に迎えにいったのだ。約30時間の不在。でも今回は誰も「無事です」という電話をしてきてはくれない。
マンションの階段を昇る足がやたら重い。このまま朝が来ないでずっと夜だったらいいのに、と思った。街が動き出すと物陰に隠れたポチがますます出てこれなくなるじゃないか、と思ったから。
僕の部屋は3階だが、ふと2階のフロアーを歩いてみた。何度もポチの名前を呼んだし住人が帰宅した部屋には呼び鈴を押してポチの写真を持って尋ねてまわった一角だ。猫の気持ちになって壁づたいに歩いてよく観察してみると湯沸かし機かなんかが設置してあるスペースの部分、足元にわずかな隙間がある。だいたい約10センチくらいか。
最後の望みのようなものがグワーッっとわいてきてそのわずかな隙間を覗き込んでみた。土埃と砂で汚れた吹きだまりの暗闇に見慣れた色のケバケバが見えたような気がした。しっぽだ。ずっと探していたポチの毛のパターンだ。
「ぽっちゃん!ぽっちゃあああん!!」夜中なので声を押し殺しながらも僕は名前を何度も呼んだ。ポチがいたのだ。しかしポチは鳴きもせず、そこから出てこようともしない。
続く。
Posted by monolog at 01:29│
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良かった!良かった!本当に良かった。一安心です。
これからの救出が問題ですね。
出て来ないのは、入ったはいいがスッポリとはまってしまったか、寒さとショックのあまり動けなくなっているかかしら?
とりあえず一安心です。が、まだ一波乱あるのでしょうか?
あんまりヤキモキさせないでください。う〜!
ひとまず見つかって安心しました!
山田さんの気持ちがまるで自分が体験しているかのように感じられ、泣きそうになりました。
うちにも猫達が居ます。
猫は宝ですね。
見つかってよかったです!!
私もうちの子が・・・
と思うと・・・ドキドキ
手を出せない自分にやきもき・・・
うれしいです。
今頃、部屋の中でぬくぬくゴロンしているといいのですが・・・
まだ続く・・・
長編小説ですか?
あー。もう!
本当によかったです……。
とりあえず無事でいることだけでもわかって本当によかった!!
でも、そして、どうなったのですか?
もうその後が気になって気になって仕事に身が入りません。
気になって覗いてみて良かった。
ひとまず見つかって安心。
見付かってよかった!
でも衰弱しているのかもなので、介抱してあげてください。
あ、山田さんも衰弱してそうですね…。
あ〜、マンションの中にいたんですね?
よかった
どうしてるのかなと心配でした
良かった!
外じゃなくてマンション内に居てくれて良かったですね。
鼻が、つーんとしてきました・・・ううぅ・・
遅くなりました。
我慢の積み重ねが溢れ出してきてこの頃は声をころして泣いてばかりいます。
なんだか外に出てきてしまうので、心がバランスを取り始めてきたのかなと思います。
この頃考えることは、もし私が明日消えてしまったらと言うことです。山田さんは知らないままで、私が書かないので嫌われちゃったり、見切り発車と書かれたりしてしまうのかなと考えてしまうのです。
そんなのイヤだなぁ。
1月6日は意味のないことで困らせるような気持ちを伝えてしまって本当に申し訳なく思っています。すみませんでした。頭を冷やしたその中で、心の振れ幅が大きすぎて自分ではどうすることもできない気持ちを自分自身知り、「こんなにも相手を思えている」と言うことも同時に知ることができました。
がしかし、救いようのないことを伝えてしまいました。
反省しています。