だんだん思い出してきた。夏の暑さとか蒸し風呂のような車とか、忘れていた「夏」という風景を。暑い。駐車場にはいつものとは違う長毛の猫がわざわざ暑そうなハイルーフ車の上に寝ていた。いつも思うことだが、猫と話ができたなら「おまえ、夏らしく毛を短めにしてみたら?刈ってやるから」「ううむ、髪の毛の長さはあんまり変わらない感じで体毛だけスキバサミで軽くしてもらおうかしら」「バリカンでいっちまえよ」みたいな話の流れで涼しげな感じにしてあげたくなる。
昔ポチは手術やらなんやらで首から下、おなかあたりの毛を短くしていた時期があって、それは今の風体に比べたらはるかに涼しげだった気がする。本当は毛を刈ってほしいんじゃないか、おれはおまえの要望に応えるべきなのではないか、と自問自答と葛藤を繰り返す夏の日だ。