ラジオから「ギリギリの経済状況に追い込まれ不法移民の密入国という危険な仕事に手を染ながら“母親愛”で苦境を乗り越えてゆく白人女性とモホーク族女性が繰り広げる感動ドラマ」というストーリーの映画があると聞いて、「そんな映画オレ以外に誰が観るのかよ」という思いで出かけた映画の日。「フローズン・リバー」という映画を観ました(お客さんは結構入っていました)。
その名の通り真冬の凍ったセントローレンス川を車で行き来する真っ白な映像がそのままこの日の東京の降雪と相まって印象的でした。先住民の保留地の様子や現代に生きるモホークの人たちの暮らしやホワイトトラッシュの貧困とか、アメリカの光と影、その“影”の部分に丁寧にフォーカスした優しい悲しい映画。演者もスタッフもすべてネイティブ・アメリカンで制作された「スモーク・シグナルズ」という映画に通じる空気感がある。
女性監督の感性の賜物か、とにかく繊細に揺れ動く心の機微のようなものがスクリーンから伝わってきて、僕はずっと体を前のめりにして2時間魅入ってしまいました。年頭の「アバター」をきっかけに、今年はインディアン熱再燃の年と目標をたてたのだが、早くも胸を打つ素晴らしい作品に出会ってしまった、という感じです。今は渋谷でしか観られませんが春に向け全国ロードショーとのこと。