
きっかけはファンの方からもらったコーヒーでした。「aalto coffee、失恋コーヒー」とだけ記載された銀色の袋に入った褐色の豆粒、とても美味しくて、その聞きなれない名前とともに記憶に残っていた。Twitterをきっかけに言葉を交わし、ロースターの庄野さんが僕の音楽を昔から好きでいてくれたことがわかって、それからずいぶん早急なスピードで徳島まで訪ねて(明石大海を越えてそこへ車で連れていってくれたのが紅茶専門のチャッツワース岸本さんだというのも素敵な繋がりだ)美味しいコーヒーを淹れてもらった。
もじゃもじゃで愛想がいいのか悪いのかわからない庄野さんだがとてもコーヒーに誠実な人に見えて「来てよかったなあ」と思った。僕はaalto coffeeのオリジナルコーヒー缶を購入し庄野さんは『pilgrim』と「home sweet home」を買ってくれました。それが5月のはじめ。
その時にmille booksから刊行予定だと聞いていた著書がこの「たぶん彼女は豆を挽く」という本で、とても手触りの良い、手元に置いておきたい装丁でした。内容も肩肘はらない美味しいコーヒーの淹れ方やコーヒー豆についての話、あるいはいかにしてコーヒーロースターになったかという経緯など興味深い内容でした。
大抵暑い季節になると僕はすぐ出来合いのアイスコーヒーをスーパーで買ってきて氷をかきまわして楽をしてしまうのですが、この本を読んでライブのたびにファンの皆さんからたくさんいただくコーヒー豆をちょっと時間をかけてドリップして好みの濃さの水出しコーヒーを作ってみました。
コーヒーと音楽は似ているような気がします。なくても生きていけそうな気がするけど、それが「ない」世界を想像できない。人それぞれのこだわりがあって、良い悪い高い安いでは仕分けすることができない存在、みたいな感じ。興味がある方はぜひ読んでみてください。