夏は勢力を落とさずにめらめらと全国を熱し続けています。これが数カ月後には「ああ寒い、夏はよかった」と思ってしまうんだから日本の季節とはたいしたものですね。
毎日新しい歌のことを考えながら過ごしています。僕は常日頃から「この世界にもう音楽は足りている!(だけどおれはもっと聴きたいし作りたいのだ)」という持論/暴論を持つ男なので、“新曲”を作る必然性や歌の内容やモチベーションについて対峙するときにとても考え込んでしまう。自分に向き合うとても有意義な時間です。コンセプトもたてず、ただひとつだけ、必ず猫を歌詞のなかに登場させる、というルールを課して書いています。
秋のライブの調整を引き続きやってます。一足先に予約が始まった静岡、倉敷、金沢と順調にご予約いただいています。秋の季節が楽しみになるような、嗚呼、僕がいったことがないところにも僕の歌を聴きに来てくれる人がいるのだなと感動しながら、ふと思うことがあった。
ライブハウスやカフェのスタッフの方に「山田さんのお客さんは行儀が良くてゴミも散らからなくてみなさん素晴らしいですね」とよく言われる。そして次に言われるのが「男性のお客さんがこんなに多いライブイベントは珍しい」ということです。東京のライブでは一時は、「男:女=1:1」というくらいのときもあったほどで、これはステージから眺めた風景もちょっと印象的でした。
だれかと話していたときに「普段洋楽リスナーだが山田稔明のCDを聞いても照れたり恥ずかしくなったりしなくて、そこが、良い。そういうのって意外と少ない」という男性の意見を聞いたこともあって、それは僕の歌が“明快なメッセージソング”ではないからだろうな、とも思った。
でも、東京から離れれば離れるほど、この男子占有率が少なくなっていくことに少し前から気づいていて、今回特に初めていく街に関してはそれがとても顕著である。「東京から離れれば離れるほど(僕の音楽を聴いている)男性は社会的地位が高く忙しくライブなどに出かけるヒマはないのだ」という仮説を考えても「いや、短絡的すぎる。違うな」となる。分母の数自体の問題かもしれないしな。
大学生の頃、スピッツの『空の飛び方』というアルバムの発売記念トークライブ(インストアじゃなくて)が池袋WAVEであったときに僕はふらっと出かけていったのだがそのときの客層が98%が女性で、恥ずかしくてうつむき加減でグッズが当たるジャンケン大会に参加したことをと突然思い出したのだけど、たぶんここ数年の「夜の科学」にそういう雰囲気はないのではないかと思うので男性のみんなも来るといい。なにせ僕だけが知っていることだが男子がサインと握手の列に並んでくれたら「同志よ..」とテレパシーをおくっているのだから。女の人も誘える男子がいたらぜひ連れてきてください。「テレパシー来るってよ!」と。
残暑見舞いに福岡のcafe tecoから手嶋さんが作った大粒の梅干しを送っていただいた。「一日一粒!」と書いてあって夏バテにはとても効く。それから昨日はひょんなことから香川の製麺所から、ものすごく立派なうどんを素敵なポストカードとともにいただいた。形あるものはそっと消えていくけど、味とか、歌のメロディや思い出はなくならないものなのだな、とクーラーの効いた部屋で思いを馳せている夏の朝だ。