
窓の外に鳥が飛んでくると、それまでどれだけだらしない格好で寝ていたとしても、とたんにうちの猫はキリリとしたクールな顔になる。目に野生の光が見えるような気がします。とてもお世話になった音楽ライター角野恵津子さんが亡くなられたということを知り驚き、そして今はぼんやり不思議な気持ちでいる。角野さんはいつからか代官山の“晴れたら空に豆まいて”のブッキングを担当するようになり、一度はわがままを聞いてもらって“夜の科学vol.15”をやらせてもらった。
今年6月の、HARCOとSwinging Popsicleとのイベントをブッキングしてくれたのも角野さんで、メールボックスをたどってみるとライブのオファーから含めて2009年秋頃から半年以上をかけてやり取りして実現したのがあの夜、ということになる。普段対バンイベントに消極的な僕への角野さんからの定期的な確認メールに今さらだけどすごい熱意を感じました。
角野さんのホームページはたくさんの文字が踊るシンプルなものだけれども、そこに積もった音楽人たちの発言と角野さんの相槌や思いはものすごいアーカイブスだ。僕がインディーズでCDを出して、生まれて初めてインタビューというものを受けたときの聞き手が角野さんだったのは僕にとってとても幸せなことだったかもしれないな。
ひねくれて生意気な、その当時23歳の僕は根拠のない自信かなにかでいい気になってわかったようなふりをしてインタビューに答えていて、僕は今でもこの頃の僕に説教をしたいくらいだけども、角野さんはそんな僕のことをを面白がってくれて、そして今の今までずーっと応援してくれました。『home sweet home』を渡そうとしたら「もう買ったよー」とサンプルを受け取ってくれなかった。
もっとたくさん会話を重ねればよかったと後悔しています。ありがとうございました。ご冥福をお祈りします。