
僕は2007年に発表された佐野元春の『COYOTE』というアルバムが大好きで今でもずっと聴いているのだけど(特にドライブ中に聴くととてもいい)そのアルバムがきっかけで上昇したモトハル熱にかられて観にいった2008年のコンサートはHOBO KING BANDとの演奏で、(もちろんコンサートはとても良かったのだけど)僕が聴きたいと思っていた『COYOTE』のサウンドではなかった。
昨日、ついに「佐野元春& THE COYOTE BAND 2012年初夏のツアー」を観にいった。お台場のダイバーシティに新しくできたZEPPへ(てっきりZEPP東京の名前がZEPPダイバーシティに変わったものだと思い込みあやうく聖なんとか学園生徒総会の会場に入りそうになったりしつつ)。個人的にはGTHに不可欠な盟友であるPLECTRUMアッキーが2人目のギタリストとして参加してツインリードとなるサウンドが楽しみでならなかった。
果たして照明は暗転。バンドの面々が登場しアッキーが打ち鳴らすギターからステージが始まりました。オープニングのインストゥルメンタルが終了するや佐野元春登場。バックライトを浴びてライオンみたいでめちゃめちゃカッコいい…。ザクザクと刻まれるリズムは『COYOTE』の世界観をさらに大きくし、差し込まれるクラシックな楽曲も「懐かしい」という印象は皆無で2012年に鳴らされるべき音で鳴らされていました。ノスタルジーではなく“今”の音像。
現在レコーディング中だという作品からの新曲を2曲。それがとても良かったことも嬉しかった。「街には音楽がこんなにあふれているのに誰も君のブルースを歌ってくれない」という趣旨の歌詞が自分にとってこの日のパンチラインに。ぼんやりするときに僕がいつも考えてしまう「もう世界には音楽は足りているんではないか/それなのになぜわれわれは新しい歌を書き続けるのか」という問いを解決するヒントがそこにあるような気がしました。
これまで何度も聴いた歌に違う照明が当てられているような気がして、このタイミングで「今までの君は間違いじゃない」とか「夢のひとつひとつを消していくのはつらいけど若すぎてなんだか解らなかったことがリアルに感じてしまうこの頃」という言葉がいちいち胸に刺さってきて、感極まるような瞬間がいくつもあった。
COYOTE BANDの演奏はとてもソリッドでうるさくて、カッコいい。こんな男気とそれぞれの個性あふれるバンドを背負えるのはシルバーのたてがみを揺らすしなやかなライオンのような佐野元春くらいなものではないか。途中オペラグラスで感慨深くアッキーに見とれてしまう時間があったがそこにすっと佐野さんがフレームインしてきてアッキーと向きあってギターをかき鳴らすシーンには本当に痺れた。
終演後に佐野元春さんその人にお会いして初めてお話することができた。新曲が本当によくてと空んじた歌詞のことを伝えると「君はその一節を心にとめて持って帰るんだね」とニコリと。ナイアガラトライアングル同胞である杉真理さんにプロデュースなどでずっとお世話になっていることなどを話すと「彼、僕について変なこと言ってない?」と和やかな談笑ができて、ぶるぶると心が震えた。握手して佐野さんからいただいた言葉「またどこかで合流しましょう」は今年の僕の口癖になることだろう。