2013年01月08日

Song of the Week vol.1 “These Days”

昨年末にLivedoorブログがJASRACと包括契約をしてJASRAC管理楽曲の歌詞掲載が可能になった、というニュースをぼんやりと眺めていたのですが、年が明けてからギターを爪弾きながら考えたのは自分の好きな歌を再解釈する2013年にしたいなということでした。ずっと好きで聴いてきた曲も実際にギターでコードを追ってみたり歌ってみたりするとまた違う角度から光が当たるものですね。

“Song of the Week”というタイトルで気ままに連載開始、週1かもしれないし隔週かもしれないし、忙しくなって断続的になるかもしれませんが2013年の習慣、目標にしたいと思います。第一回目はJackson Browneの「These Days」を。ギター弾き語りにコーラスだけダビング、ミックスは『pilgrim』『home sweet home』そして現在制作中の新作でもお世話になっているfreewheelの手塚雅夫氏にお願いしました。





These Days

Well I've been out walking
I don't do that much talking these days
These days,
These days I seem to think a lot
About the things that I forgot to do for you
And all the times I had the chance to

And I had a lover
It's so hard to risk another these days
These days,
Now if I seem to be afraid
To live the life I have made in song
Well it's just that I've been losing so long

I'll keep on moving
Things are bound to be improving these days
One of these days,
These days I sit on corner stones
And count the time in quarter tones to ten
My friend,
Don't confront me with my failures
I had not forgotten them


These Days

そう、ずっと僕は旅の途中
最近は誰かと話すことも少なくなって
この頃は、
君のためにやりそこなったことのあれこれを、
そしてそれをやる機会がいくつもあったことを考えこむ日々さ

かつては恋人がいたけど
同じようにまた恋をするのはリスキーだなと思ったり
この頃は、
自分が歌に描いてきたような
そんな暮らしを送ることに臆病になってるのか
あるいは、時間をかけてなくしていってるのかもしれないな

僕はそれでも旅を続けるよ
この頃はいい兆しもちらほら見えるんだ
こないだなんかはさ、
通りに立って四分音符で拍子をとって10まで数えたりしたよ
友よ、僕の過ちを責めないでおくれ
なにも忘れたわけではないのだから

(訳・山田稔明)



昔から好きな曲だけど昨年秋に観たジョー・ヘンリーとリサ・ハニガンの来日公演アンコールで演奏され予期せぬ感動を受けた。1973年『For Everyman』収録だが1968年のソロデビュー作でNicoが歌ったりたくさんのカバーバージョンが存在する。とても感傷的でありつつ静かな不屈の誓いもあり時代を越えて胸に迫るものがあります。ジャクソン・ブラウンは16歳のときに書いた曲らしいが、とても早熟だったのか、背伸びしていたのか。ここ数年の彼自身のパフォーマンスも迫力(あくまでも静かな迫力)があって素晴らしいです。

ネットでちょっと調べるといろいろ面白い記事があり、Beth Ortonがアルバム『Daybreaker』中の「Concrete Sky」でこの歌を引用しているとあったので聴き返してみたら、歌い出しの「Go out walking don't do too much talking」の歌詞引用、そこにライアン・アダムスがハーモニーをつけて歌っていました。Bell & Sebastian「If Your're Feeling Sinister」ではメロディの引用が。つい口づさみたく流麗なメロディです。Kathryn Williamsのカバーアルバムの中ではNICOバージョンで演奏され、ここ最近のジャクソン・ブラウン自身の演奏も出版社のために1966〜67年に書かれた“NINA DEMO”バージョンに立ち返ったような解釈で演奏されているよう。


*追記(2013.1.9)

「These Days」の1966-7年に出版社のために録音されたジャクソン自身の“Nina Demo”バージョンには1973年スタジオバージョンでは省かれた第2ヴァースが存在する。これが入るのと入らないのでは歌のイメージが変わってくるような気がします。やんちゃな青白きヤンキーのジャクソン16歳が「いやー、もうギャンブルはやめんたんすよ」と頭を掻く姿すら浮かんでくるから面白い。音楽も人も歳月を経て成長するのなのだな。


I stopped my ramblin'
I don't do too much gamblin' these days
These days,
These days I seem to think about
How all the changes came about my way
And I wonder if I'll see another highway

意味なくうろつくのをやめたんだよ
この頃はギャンブルみたいな事もそんなにやってないよ
最近はさ、
どうして僕にこんなふうに変化が訪れたのか、
次に進むべき旅路がこの先にあるのかどうかってことをずっと考えてるよ

(訳出・山田)






*さらに追記(2013.1.10)
Dirty Projectorsが「These Days」を引用している、という記事を読んだので久しぶりに『Bitte Orca』を聴いてみました。「Two Doves」という曲、なるほどこれはリリース当時にはまったく気付かなかったけれどもギターの爪弾きとストリングスの雰囲気などNicoの「These Days」へのオマージュである。曲中に「Don't confront me with my failures 」というリリックを引用している。面白い。



Jackson Browne
“These Days”
Posted by monolog at 12:05│Comments(2)TrackBack(0)

この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
ジャクソン・ブラウン!
大好きなミュージシャンの一人です。

山田くんの歌うThese Days。
出だしの「Well I’ve・・・」のところが、ジャクソン・ブラウンの歌い方にそっくり!で、ドキッとしちゃいました。

Song of the Week
とても良いです!
Posted by りーな at 2013年01月09日 00:33
BeckがやっていたRecord Clubのようにミュージシャンがこういう解釈を見せてくれるのはすごくうれしいです

今後も楽しみにしています!
Posted by おーすてん at 2013年01月09日 09:44