
昨日のこと。三寒四温の社会には休憩だって必要だろ?ということで録音作業すべてオフに。お昼からTSUTAYA TOKYO ROPPONGIまで出かけて出版記念トークショーを覗く。風のとても強い日で何もかもがひっくり返っている東京。いたるところがゴミ捨て場みたいになった東京。カラスがどこかで虎視眈々。六本木から広尾へ。先週切った髪の毛、追加作業。
広尾から渋谷へ。渋谷公会堂で開催される「Dear Beatles 2013」というイベント、数ヶ月間毎日ラジオでCMを聞いていたのでずっと気になっていた。10年来お世話になっている杉真理さんと村田和人さん、それにアルフィー坂崎さんら“いい大人たち”が真剣にビートルズを演奏するという10年以上続いているイベント。正直に言うと僕は全然熱心なビートルズ・リスナーではない。アンコールのセッションでビートルズの曲を!となるとソラでも歌える皆さんとの温度差を感じながら一生懸命アンチョコを見つめるのが常だ。
それでもなぜか今年はこのイベントが観たくなって開演時間に客席にいた。DEAR BEATLES 2013が僕を無性に惹きつけたわけがわかったのはイベント中盤。毎回アルバム通して完全再現するという企画があって今年は『REVOLVER』をやる!僕が擦り切れるほど聴いたビートルズは2枚だけ、それは『HELP』と『REVOLVER』、僕の一番好きなビートルズは僅差で『REVOLVER』である。そうか・・『REVOLVER』が僕を呼んでいたのか・・・。
『REVOLVER』はライブをやらなくなったビートルズが発表した作品だから、楽曲の演奏は大変そう(同時に楽しそう)。でも杉さんたち5人の歌い手は「TAXMAN」から「TOMORROW NEVER KNOWS」まで完遂。僕は90分テープの片方に『REVOLVER』を入れ(もう片面は『HELP』)それをウォークマンに忍ばせて中学3年の修学旅行で南九州バス旅行の数日間を過ごしたから『REVOLVER』は南九州の風景とともに響いてくる。神々しい山並み、阿蘇のカルデラの台地、知覧の特攻隊が飛び立った場所、指宿の温泉宿、桜島・・・。15歳の僕は何を思っていただろうか。
杉さんがジョージ・マーティンにあったときに畏れ多くも「一番好きなビートルズはなんですか?」と聴いたら『アビーロード』と『リボルバー』だと答えたというエピソードも興味深かった。ライブの最後を「ビートルズの最新曲です」と言って「REAL LOVE」で締め括ったのも今なお心に作用し続けるビートルズへの愛を感じさせた。終演後の挨拶もそぞろに会場を抜けだして閉店間際のレコード屋で僕は『ホワイト・アルバム』を手にしていた。家に帰って日焼けしたジャケットを開いてみるとポスターとピンナップの四隅には画鋲の跡、歌詞対訳カードに原詞を貼り付けたりして(意味を理解しながらシンガロングできるように?)自分用にカスタマイズされた中古盤、数十年前の音楽好きの痕跡がありました。十人十色のビートルズのことを思った夜でした。