2011年に「
ひそやかな魔法 ep」、2012年には「
あさってくらいの未来 ep」と配信限定でのリリースを重ねて思ったことは、「ああ、やっぱりジャケットや歌詞カードなんかが伴わないと満足できないな…」ということだった。次に新しいオリジナル・アルバムを作るときは音源だけじゃなく“もの”として手にしたいような、フィジカルな魅力のあるCDにしたいという決意がありました。昨年冬にリリースした『Christmas Songs』は今回の『新しい青の時代』に向けての助走だったような気もしています。
レコーディング作業と並行してずいぶん早い段階から取りかかったのはパッケージ探しでした。僕のなかでのイメージは明確で、2011年発表の坂本慎太郎氏『幻とのつきあい方』と同じサイズと手触りのダブル紙ジャケットのCDにしたくて、その装丁で製作できるプレス業者を突き止めるのに数ヶ月を要した。ついに“キャンバス”が確定して、ここに福田利之さんの絵が印刷されることを想像しただけで興奮したのことを憶えています。
福田さんに『Christmas Songs』のジャケットを描いてもらったときは「キーワードはクリスマス、あと猫を登場されてもらえれば」というシンプルなリクエストで完成したのだけど、今回はそのときより紆余曲折、緊迫した感じで進行することになった(これまでのソロ2作のジャケットの絵を自分で描いてきたうえでの3枚目だから当然か)。「ジャケットには山田稔明とポチを」とお願いしつつも、僕はこのアルバムへの思いの丈を少々熱く語りすぎるきらいがあり、福田さんとの間での意思疎通が行き違う瞬間が多々ありました。最初の絵があがったときの吉祥寺のカフェmoiでの打ち合わせは忘れられない。お互い押し黙ってしまった僕と福田さん、水を注ぎにきたマスターの岩間さんに救いを求めるように「岩間さん、どう思います?」と絵を見せると岩間さんも真剣に考えて言葉を探して「うむむ…」と沈黙、というシーンでは胃が痛くなった(もうすでに笑い話にできて、嬉しい)。
しかしそれから福田さんは僕の想定していたよりも奥深い物語性を付加した表紙の絵と「できあがるまでは見ないでください」的な鶴の恩返しのように織り成した中ジャケ部分の作品、さらには盤面用のイラストをプレス工場に入稿する数日前に届けてくださった。その色と筆致はため息が出るほどで、僕はこの絵のどこにも文字を載せたくなくて背表紙に小さく自分の名前を、そしてビニールパッケージを施した上に透明ステッカーで値段と日本語タイトルを記載することにしました(ステッカーに関してはMMJのJim Jamesのソロアルバムの装丁を参考にしました)。歌詞ブックレットの紙は青のグラデーション、そして撮り下ろした写真を。
果たして5月の終わりにプレス工場から段ボール箱にたくさんのCDが到着、“もの”として所有したくなるような『新しい青の時代』が完成しました。手触りの独特な紙にインクが染みこんで風合いが変化し青い絵の深みが増しています。ぜひその手で触って匂いを嗅いで(僕は昔からCDの匂いが大好きです)音と一緒にお楽しみいただければ、と思います。皆さんの部屋の窓際で光を吸ってこのパッケージが暮らしの色に馴染んでいけばいいなと願いつつ。
本日18時から入場無料のインストアイベントを等々力の家具と雑貨のお店“巣巣”で行います!
山田稔明『新しい青の時代』
発売記念インストアイベント in 巣巣
2013年6月15日(土)18:00〜(入場無料)
出演:山田稔明
2013年7月7日全国発売となる山田稔明『新しい青の時代』の巣巣での
販売開始を記念して巣巣にて試聴会を行います。もちろんCDのご購入も可能、
サイン会もあわせて。ミニライブなどもあるかも?ぜひご来場ください!
巣巣にて入場予約受付中
巣巣(
http://www.susu.co.jp/news/p999.html)
〒158-0082世田谷区等々力8-11-3 岸本ビル1F
TEL 03-5760-7020
Posted by monolog at 09:23│
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