

大阪・加古川・倉敷から戻ってきてラジオ収録を経ての吉祥寺スターパインズカフェでのイベント。先週の金曜日からずっと続く一連の流れの句読点という感じのこの日。ここ2年はお正月の杉真理祭りでお世話になっていたスターパインズカフェ、「山田さん吉祥寺の人なんだからお正月以外ももっとうちに出てくださいよ!」という連絡から立ち上がったこのイベントは結果として同世代の似たような体型の男性シンガーソングライター3人による夜、僕のブログの名前と似た、“独白”という意のタイトルをつけていただきました。6年ぶりくらいのここでの“ちゃんとした”ライブ、僕をスターパインズカフェにつなぎとめてくれたのは間違いなく杉真理さん。この日杉さんは打ち合わせのためギリギリで間に合わず会場前でしばし抱擁。同じ街に住む優しき大先輩に大きな感謝を。
吉祥寺でのライブはホントに楽ちんだ。いつもの道をいつものようにふらふらと歩いていけば会場に辿り着く。イトケンさんもカバンひとつチャーっと自転車で登場。高橋徹也さんはsugerbeans佐藤くんと、小林建樹くんはベースが旧知のチガちゃんでドラムは宮川剛さん(先月の高野寛さんのステージでお見かけしたばかりだった)というバンド編成、知り合いばかりでリハから和やかなムードに。3人のセッションリハをおそるおそる手合わせ。本番どうなるかな。ゲストコーラスをお願いしたイノトモちゃんもひらひらと自転車で会場入り。


山田稔明と夜の科学オーケストラは年功序列のトップバッターを務める。登場時の音楽は恵比寿に続きベス・オートンの「See Through Blue」。平日の夜にも関わらず会場はお客さんでいっぱい。僕らは普段いつも2時間以上のライブをゆるゆるとやるのに慣れきっているので7曲40分のセットは不得手なのだけど、この日も目一杯の楽器を鳴らして駆け足でステージは進んでいきました。スターパインズカフェの高い天井、光の具合で洞窟のように見える石壁、あらためてとても良いハコ。「どこへ向かうか」で始まったライブ、「予感」ではフルートの上野洋くんが登場。彼は“kickingbirds”の頃にバンマスといって言いくらいの心強いサポートをしてくれた腕利きの音楽家。安宅くんのクラリネットとのアンサンブルでCDでのアレンジを再現することができました。そして加えて、ゲストコーラスのイノトモちゃん登場。

イノトモちゃんとは2011年の震災後の4月に一緒に静岡で(安宅くんも一緒)、暮れにカフェ長男堂で(with イトケンさん)共演して、新しいアルバムには絶対彼女にコーラスして欲しいと思っていて、それが実現した(ご近所さんなので自転車でうちまで来てもらってレコーディングしました)。できあがったCDを渡すときに「お酒おごるから歌いにきてよ」とお願いしてこの日「やまびこの詩」を一緒に。「光の葡萄」でも新しい声を足してくれました。ステージ上には最大7人のミュージシャンが並び、僕にとっては何度目かのアルバム完成記念ライブのような感覚。安宅くんはこの日もマンドリン、エレキギター、コーラス、さらにはクラリネットにグランドピアノまで八面六臂の活躍。イトケンさん、五十嵐くん、えびちゃんも阿吽の呼吸で。
次は高橋徹也さんの登場。先月渋谷で観たバンド編成も強烈だったが静謐なこの日のステージもとても刺激的。僕は映像制作会社勤務時代に「真夜中のドライブイン」という彼の2ndシングルのPVの撮影を手伝ったのだけど、僕の心を掴んだ言葉とメロディは時が経っても有効な魔法だった。小林建樹くんも9年ぶりのバンド編成とは思えないグルーヴ。思えば9年前の2004年、この日と同じ編成の建樹バンドと対バン予定だったのが僕の肺気胸緊急入院で果たせなかった共演の、9年越しの実現だったのだ。初めて聴いたときに嫉妬すらした「祈り」はますます説得力を増した祈りの歌に。そして懸案の3人でのセッションに。
いまいち共通項の見えない3人に「ビートルズでもやる?」という流れに「自分ストーンズ派なんで」と切り込んできたタカテツさんの言葉が可笑しくて「みんな日本語を大事にするSSWだから」という理由で山下達郎「RIDE ON TIME」に決定。初めて歌いましたがオリジナルキーが高いので自然といつもより熱唱、気持ちよかった!22時過ぎまでのとても長いイベントだったのだけどお客さんがずっと楽しそうにしているのが伝わってきて嬉しかったです。何回もシーンを反芻したくなるような、有意義な共演でした。



短い打ち上げではあったけどもいろんな縁が結びつく時間。五十嵐くんはイノトモちゃんとの再会に感動したり会場外でお会いした杉さんにも遊びにきていた高橋久美子ちゃんにも「招き猫作りますよ!」と営業していたし、イトケンさんは宮川さんとドラム談義、エビちゃんはチガちゃんとベース談義。イノトモちゃんの新作に安宅くんも参加してたり、上野くんはシュガビン佐藤くんのCD制作を担当したし、あれもこれもつながっている。タカテツさんと一緒に建樹くんの持論を「へええ」と言いながら聞くのも楽しかったし、結局僕とイノトモちゃんと建樹くんはその後朝4時過ぎまで飲んで'90年代からの知り合いが今も元気に音楽を紡いでいるのはとても素敵なことだなあ、としみじみ思い入った長い一日でした。
ご来場いただいた皆さん、会場でお会いしたスタッフの皆さん、ありがとうございました。また再会を。
いよいよ来週末7月7日に『新しい青の時代』が全国発売になります。わくわくしてきました。