
札幌2日目。この日はまずタワーレコード札幌ピヴォ店に挨拶に。北の彼の地でも『新しい青の時代』は丁寧なコメントとともにディスプレイされていました。札幌らしいものを、と美味しいスープカレーで昼ご飯を。そして恒例の中古レコード店散策、探していたレコードを100円で。さらにジョニ・ミッチェルの『blue』をアナログで初めて購入、嬉しい。
地元のIちゃんにいろいろ面倒を見てもらってたべるとくらしの研究所へ向かう。前回来たときはタイミングがあわずに玄関口にお土産のTシャツだけ置いて帰ったのだ。明子さんと草一郎くん百々花ちゃんとは先週福島で会ったばかり、伸也さんとスタッフのまさるさんも揃って迎えてくれた。伸也さんからは「お店で新しいCDかけてたら日に3組もお客さんが『これ誰ですか?』って聞いてくるんだよ。すごいよ!」とメールをもらったりしていた。また新しい親戚ができたような、「ただいまー」という感じ。キッコリーズの面々も到着し、機材設営から椅子の配置まで全員で。その隙間を子ども2人が駆けまわる。




まだ明るい初夏の日差しが窓から差し込んで、ステージ背後の窓は開け放たれていて譜面が風にめくれる。梅酵素ジュースの氷がカラカラと音を立てて、草一郎くんが持ってきたギタレレはポロポロと、百々花ちゃんはケタケタと笑い、僕らはこの日初めてセッションする歌を練習する。この本番までの数時間は夜の本番と同じくらい良い時間だった。「福島のあんざいと同じ空気が流れてる!」と盛り上がったときに泣きそうになった明子さんや音が鳴り始めると聴き入る子どもら、古い板張りの小学校みたいなたべるとくらしの研究所は誇らしいほどに平和でした。
そして夕暮れ、札幌たべるとくらしの研究所での “つながって、輪になって” 開演。キッコリーズの3人は相変わらず完璧なアンサンブル。カポウさんの歌はビリビリと空気を震わせてゆく。お客さんもたっぷり入ったお店を音楽が満たしていくのが目に見えるようでした。「てあてのうた」という歌があって、これはまるでナーサリーライムであり、ゴスペルのようでもある。そして僕のステージの始まり。



弾き語りの音が木の柱や床や天井に染みこんでいく感じ。ほどよい音量での演奏はライブ2日目に相応しい。途中ちょっとトークを、と伸也さんを呼びこんだらスルスルと草一郎くんと百々花ちゃんもステージへ。これは将来が末恐ろしいよ。マイクジャックされるシーンも。伸也さんとはシロでもクロでもないモヤモヤとしたものについての話や、本気で楽しいことを続けるためにはどうしたらいいか、という話。「自分で考えて選挙に行きましょう」と結ぶ。
そしてキッコリーズを呼び込んで合体。彼らとのセッションはもうこれで4度目になる。そのセッションの成果のひとつがニューアルバムのなかの「やまびこの詩」で踊るユウさんのヴァイオリン、彼らと出会わなかったらこんな歌にはならなかった。それぞれのレパートリーを一緒に演奏、初めて合わせた「予感」もとても良かった。高野寛さんの「確かな光」のカバーは歌いながら泣きそうになった。ふと背後に目をやると裏庭のハンモックに子どもたちが揺れながらこちらを眺めていたり、ああ、ここは僕らのとっておきの場所、と本気で思ったのでした。

伸也さんとの“シロでもクロでもないモヤモヤしたもの”という話から繋がって最後は「あさってくらいの未来」を。「うれしい」や「かなしい」じゃなんにも伝わらないことを伝えたくて僕はこの日も歌を歌いました。開演後にいらっしゃった車椅子のお客さんをみんなで手伝ってお店に運び入れたり、様々な再会があったり、昨日のレストランのやファミリーが目の前で揺れながら歌を聴いてくれていたり、繋がりはまたどんどん繋がって大きな輪になっていく感じがしました。
前日に続き五十嵐くんは遊びにきてくれて、この日はセッションあたりからライブに間に合ったのだけど、市街地からたべるとくらしの研究所まで歩いてくるときに僕の歌が聴こえてきてそれに誘われるようにお店に辿り着いたのだと(五十嵐くんの日記)。そんな素敵な夜の街を僕も歩いてみたいものだ。彼がたべるとくらしの研究所のために名前を描き入れてくれた招き猫は今日もあの素敵なお店で木彫りの熊の間に座っています。
美味しいご飯屋さんで遅くまで打ち上げ。なんだかとても楽しくてゲラゲラ笑いながらたくさん話をしたけれども楽しかったことだけが濾過されて記憶の名残になっている。札幌はいつも魔法のようにこれでもかと楽しい夜を降らせてくれる街。昨日も今日もかけがえのない日だった。
