2013年09月24日

高高高&ちょっと白



昨日の続きの一昨日のこと。 上田映劇でのヒトノユメコンサートは「高高高&ちょっと白」という題名の言葉と絵画と音楽の演奏会。高野寛さんと高木正勝さん、ヒトノユメの主催者である高橋久美子さんと白井ゆみ枝さんの頭文字を取って、音楽の演奏と朗読とライブペインティングの宴。会場は満席、東京から駆けつけたファンも多数。こういう機会に知らない街を旅するのは素敵なこと。楽しそうなことに誘われて東京から電車で1時間半、車なら3時間の未知の風景との遭遇。

今年春の読書のフェスでの高木正勝さんとの、そして新代田FEVERでの高野寛さんとの邂逅をどちらも目撃した僕にとっては、何が起こるかわからないこの4人のケミストリーを見逃すわけにはいかないのだった。久美子ちゃんと白井さんのくねくねを気恥ずかしそうなガールトークから始まったコンサート、地元有志を巻き込んだ朗読オーケストラも会場を盛り上げる。そして高木正勝さんのピアノと歌でまた空気が変わる。ゴフゴフとペダルを踏み込む音まで聴こえてくる「girls」はこの日も圧巻でした。久美子ちゃんと白井さん加わっての即興セッションを経て(これも二度と再生できないような言葉と音と絵の絡みだった)、高野寛さんのステージが「確かな光」で静かに始まる。

デビュー25周年の高野さんがギター一本で歌うデビュー盤からの「夜の海を走って月を見た」は凛とした逞しさ。「“さわやか”と言われ続けて25年、“さわやか”でいるのも大変」と笑う高野さんに会場もとても和やかに反応する。「夢の中で会えるでしょう」もよかったな。久美子ちゃんがドラムに座って「ベステンダルク」のセッションで湧くお客さん。何年かぶりに彼女に8ビートを叩かせた高野さんの求心力と懐の深さよ。朗読と絵とのセッションも一期一会な時間。そして高木さんがそこに加わるかたちでの終盤の数十分はまるで奇跡のような瞬間の連続でした。予想していた通りの(予想もつかなかった)言葉ではうまく伝えられないコンサート、見にこなかったら後悔してただろうなあと思った。

ヒトノユメ会場で販売されているヒトノユメパンフレットには高橋久美子初の朗読CDが付いていて、僕は暑い夏の盛りにその録音と制作を手伝ったのでミックス中に何回も聴いているうちにフレーズを覚えてしまった。なのでこの日の朗読セッションで聴こえてきた音はまるで大きな意味での“音楽そのもの”であり、言葉の可能性について(逆説的には楽器の持つ可能性についても)いろいろ思考を重ねるきっかけになりました。最後の最後、感動的な言葉でしんみり泣かせることをあえてせず、サンバのようなリズムでみんながニコニコしながらコンサートが終わったのもよかった。人を感動させて泣かせることよりも人を楽しく笑わせるほうが全然難しいことだと僕は考える。

終演後の皆さんに挨拶、初めて白井さんにお会いしたが想像していたよりもふわっと柔らかい女性だった。高野さんと高木さんも素敵な方。この催しを支えるボランティアスタッフの皆さんが駆けまわる姿を見て、学生時代の学園祭のことを強烈に思い出したのは会場外に出たら空気が秋そのもので虫が鳴いていたからか。とにかく他に類を見ない展示とコンサート、また来月上田市を再訪できることが楽しみです。ルヴァンというパン屋さん(奥のレストランのご飯が美味しかった!)とタワーレコード上田店、Fikaというカフェにフライヤーを置かせていただいたので地元の方はぜひ探しにいってみてください。次回はもっと深まった秋の空気を吸いにいきます。

2013_top


<10月は長野2days!>

山田稔明ニューアルバム発売記念ライブ
“夜の科学 in 松本〜brand new blue”
2013年10月12日(土)@ 松本 豆とコーヒー Laura

開場16:30/開演17:00/前売2500円 (当日3000円)

*入場ご予約はLauraのHPにて受付中
豆とコーヒー Laura
〒390-0811長野県松本市中央2-8-12
TEL;0263-88-5280



ヒトノユメ “十五夜祭り”
2013年10月13日(日)@ 長野 上田 ヒトノユメ展会場内 芝生ステージ

開場18:00/開演18:30/前売3000円 (当日3500円)

作家高橋久美子(ex.チャットモンチー)が画家白井ゆみ枝と共同開催する
ヒトノユメ in 長野開催期間中のイベントにゲスト参加します。音楽と朗読
を秋の名月を見上げながら。
*チケットはヒトノユメHPにて受付中です。

ヒトノユメ
会場;笠原工場常田館製糸場跡
〒386-8611 長野県上田市常田1-10-3


Posted by monolog at 09:14│Comments(0)TrackBack(0)

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