
高知といえば龍馬、龍馬といえば「うーみー!」ということで桂浜へ。前回の高知訪問のときは大きな台風の只中で荒れ狂う灰色の桂浜だったのだけど、この日は快晴。旅の疲れが蓄積されているはずなのに僕はパッと目覚めて「ごちそうさん」を見終わったら早速出発の準備をして出かけました。高知は路面電車の街、並走するのが楽しい。そして見えてきた海、自然と嬌声が僕の疲れたノドから。





桂浜、前回と打って変わってそこにあるのは白い砂浜と青い海と青い空。闘犬の看板、そして竜馬像にも「また会ったな」と挨拶。なんと竜馬像の横にやぐらが建っていて「龍馬に大接近」という、銅像と同じ高さから竜馬像を凝視できるイベントの最中。そんなの登るに決まっているでしょ、今でしょ、と100円払って登頂。見たことない角度の龍馬を堪能、その向こうには太平洋。ぼんやり波音を聴きながらどれくらい浜にいただろうか。気づくとお昼になっていました。

そこから再び街へ。あらためてterzo tempoを訪ねる。静かに時間が流れる素敵なお店。ここはアアルトコーヒーの豆を使っているのだけど佐野さんがゆっくりと丁寧にアルヴァーブレンドを淹れてくれた。四国の名店を紹介する本にはだいたい載っているお店、実は前日に菊池亜希子さん(ムック「マッシュ」でお馴染みの)も取材にいらしたのだがイベント準備のため対応できなかったそうだ。派手なところのひとつもないとても清楚なお店です。芋けんぴをお土産に持たせてくれました。また来ますね。
ポップインミュージックというレコード屋さんをちらっと覗くつもりが深い洞窟のような店で時間を潰してしまった。昨年のマイベスト邦画である「桐島、部活やめるってよ」のロケ地となった高校のそばまで行って、その変わった地形のキャンパスを眺める。甘酸っぱい気持ちになりながら高知にさようなら。アンパンマンミュージアムを熱く薦められたのだけどそれは次回来たときのためにとっておきます。





徳島へ戻って向かったのは雑貨屋cue!、店主青木さんとは土曜日の夜に会えずじまいだったので何もいわずサプライズ訪問。開催中の酒井美華器展の美しさに息を飲む。去年青木さんと倉敷のクラフトフェアでばったり遭遇したのが酒井美華さんのブースの前だった。このタイミングで展示開催中という偶然、いや必然なのか、悩みぬいてマグカップをふたつ購入。そこから今度は徳島のジャクソンズというレコード屋を偵察。前回はヒックスヴィル中森さんたちと立ち寄った店。僕は結局高知でも徳島でもR.E.M.のレコードを買った。





そしてこの旅最後のイベント、庄野さんファミリーと再合流して徳島市立文化センターでゴスペラーズのコンサートを。『新しい青の時代』でピアノを弾いてくれた佐々木真里さんと3曲でドラムを叩いてくれた杉野寿之さんはゴスペラーズバンドのメンバー、ちょうどすれ違いで高知と徳島でコンサートがあって、徳島の夜に僕と庄野さん一家を招待していただいたのだ(真里さんは夏のトラベラーズファクトリーで庄野さんとは対面済み、いつも僕がうちで出すコーヒーがアアルトなのも印象的だったそう)。僕も庄野さんも普段あまり聴き馴染みのないゴスペラーズの音楽だったけれどもコンサートが始まったらずっと楽しくて手拍子をしてYMCAの振り付けまでやってしまって、学校でコルネットを吹き始めて音楽心が芽生えた娘さんも目をキラキラしてステージを眺めていました。とにかく演奏も歌も良くって、お客さんを100%楽しませようと力を惜しまない姿に感動しました。終演後のロビーで真里さんに挨拶、黒沢さんにも会えた。翌日ゴスペラーズ内カフェ部ご一行はアアルトコーヒーを訪れ、庄野さんは渾身のコーヒーをお出ししたそうです。
コンサート終了とともに僕は庄野さんたちと別れ、来た道を戻って大きな橋を渡って神戸経由で日付が変わる前に大阪へ。なんともはや長い、充実した、しかしあっという間の移動日か。最後のほうはもう朦朧としていたのだけど、これも国道沿いの中古CD屋で手に入れたゴスペラーズの『ソウル・セレナーデ』というアルバムを爆音で鳴らしながら(僕もファルセットでシンガロングしながら)なんとか目的の宿へ辿り着いたのでした。ああ、楽しい旅だった。あらゆる縁に感謝。