今年もバカみたいにレコードを買った1年でした。Instagramに買ったレコードをほとんど記録したので数えれば購入枚数はわかるのだけど数えないことにした。27日に今年最後のライブが終わってずっと事務仕事したり掃除したりしながら今年発表されたアルバムを聴いていたのですが、例年以上に聴き応えのある新譜が多かった年のような気がします。今年は全国流通で2枚とコンピレーション参加で1枚のCDをリリースしたので大型レコード店に挨拶しに足を運ぶ機会も多く、結局そこでもCDを買ってしまうという“ミイラ取りがミイラに”的なことに。自分が歌を書いて録音して、そのCDを買ってもらって生活しているからこそ自分もたくさんのCDを買いたいと思うのですよ。CDが売れないと言われる季節が続きますが、僕は意外とそんなふうには思わなくて、この年の瀬に「すごくたくさんCDを買ってもらった2013年だったなあ」と感じています。今年自分にとって一番のレコードは自分で作った『新しい青の時代』なので、それは特別賞に置いておいて、特に今年聴いたアルバムを10枚、順不同で。
<今年よく聴いたレコード10選>
Vampire Weekend『Modern Vampires of the City』
Sam Amidon『Bright Sunny South』
Chelsea Light Moving『Chelsea Light Moving』
Jack Johnson『From Here to Now to You』
Denison Witmer『Denison Witmer』
Jim James『Regions of Light & Sound of God』
Steve Martin & Edie Brickell『Love Has Come for You』
Mavis Staple『One True Vine』
Billy Bragg『Tooth & Nail』
Toad the Wet Sprocket『New Constellation』
*順不同
多分一番聴いたのはVampire Weekendで、期待していた作品がそれを越えて提供されたときに僕ら受け手側はとても幸せになるのだなあと感動しました。今年もたくさん車でツアーしましたがBGMになることがとても多かった。Sam Amidonは今年出会った声、ライブを観られなかったのが残念で、しかし彼の奥さんとなったBeth Ortonの久しぶりの来日を最前列で堪能できたのは嬉しかった。自分のアルバム制作の佳境のときにずっと大音量で聴いていたのがサーストンの新バンドChelsea Light Moving。Jack Johnsonを聴き始めて10年くらい経つがいつも新しいアルバムで唸らさせられる。彼の新作を聴きながら海を走る幸せといったらない。Denison Witmerは人に教えたくないシンガーソングライター、前作も2012年のベスト10入りしたが今作は最高傑作か。My Morning JacketのJim Jamesのソロ作もよく聴いた。『新しい青の時代』のアートワークを詰めているときにこのCDを参考にしてジャケットに貼る透明ステッカーを発注した。今年2番目に聴いたかもしれないのがEdie Brickell(『星に輪ゴムを』の人だ)が俳優のSteve Martinと作ったブルーグラスのアルバム。この声には抗えない。WilcoのJeff Tweedyが前作に続きプロデュースしたMavis Staplesのアルバムも素晴らしかった。高校生の頃から聴いているBilly BraggはJoe Henryと素晴らしいアメリカーナ・アルバムを作った。そして中学生の頃出会ったToad the Wet Sprocketがリユニオンして16年ぶりのオリジナル・アルバムを出した。ノスタルジーではなくリアルタイムなサウンドだったことが嬉しい。他にもYo La Tengo、Superchunk、Iron and Wine、Kurt Vile、Arcade Fireもまだまだこれから聴くほどによくなっていくのだろうし、10選からもれた次点もたくさん。それからDarrell Scottという米シンガーソングライターの『Crooked Road』という2011年作をよく聴いた。これはKIRINJIの千ヶ崎くんがブログで僕のアルバムを評するのに引き合いに出していて知った盤。
日本語の歌にも心動かされることが多かった。相対性理論の新作はドライブ旅のBGMになることが多かった。そしてとにかく今年は「あまちゃん」の年で、これはあまちゃん現象と呼んで然るべきもので音楽も含めてすべてがエンターテイメントでした(今日のあまちゃん祭りで1年振り返りという感じでしたね)。同じくらいのキャリアの同胞、知り合いの音楽家たちがたくさんの時間をかけてインディペンデントリリースで確かな手応えの作品を発表するのが心強く感じた年でもありました。森山直太朗は新作が出るたびに気になって今回も興味深い言葉が踊る作品でした。25周年の高野寛さんのカバーアルバム、HICKSVILLEの再録ベストも長く聴ける作品で耳が喜ぶようでした。
今年よく聴いたレコード(国内編)
相対性理論『TOWN AGE』
大友良英『あまちゃん オリジナル・サウンドトラック』
イノトモ『ねむるねこ』
高橋徹也『大統領夫人と棺』
徳永憲『ねじまき』
関美彦『HAWAII』
ハックルベリー・フィン『cairn』
森山直太朗『自由の限界』
高野寛『TOKIO COVERS』
HICKSVILLE『SONG RECYCLE』
*順不同
最初にも言いましたが2013年の山田稔明的レコード大賞特別賞は僕自身の3枚目のソロ作『新しい青の時代』です。他のなによりも一番聴いた歌たち。エンジニアの手塚さんから送られてくるミックスを聴いては微調整を重ねて、だいたいどの曲も最終テイクはVer.7とかVer.8になって、だからこそ後悔の欠片もないレコードを生まれて初めて作ることができました。曲順決めのためにカーステレオで鳴らしながら第三京浜を三崎まで往復したりしたことも忘れられない。このアルバムを2013年のベストいくつかに上げてくれている人がたくさんいて本当に嬉しいです。来年も変わらず聴いてもらえたら音楽家冥利につきます。再来年も。
以上、山田稔明的レコード大賞でした。