2014年02月09日

吹雪の夜の“Night Vision”



思っていた以上の雪が一日降り続けて僕はどこへも行けず、窓の外の圧倒的な景色を眺めてパチパチと仕事をしていた。去年の豪雪のときは確か夜に下北沢へヒックスヴィルのライブを観にいく予定だったのがナシになっていつもより静かな仕事部屋でまだ完成していなかった『新しい青の時代』の録音作業をした。45年ぶりとかいう現実味のない積雪のあった昨日の夜に思い出したのは2年前の雪のことで、僕はその日六本木のビルボード東京へスザンヌ・ヴェガのライブを観にいったのだ。

2ndセットのステージ、後方のカーテンが開けられ六本木の街が雪で白く塗りつぶされる風景はスザンヌ・ヴェガの歌にとてもよく似合っていて感動したことを憶えている。雪で埋もれた道にひやひやしながら轍を刻み真っ白な世界を帰った帰路のことも。上京してきて最初の1992年に横浜のランドマークホールで観て以来20年ぶりの生の歌声だった。そんなことを考えながら雪が止んだ今は彼女の7年ぶりの新譜『Tales from the Realm of the Queen of Pentacles』を聴きながら雪見酒ならぬ雪見珈琲を。I am sitting in the morning at the diner on the corner...。スザンヌ・ヴェガといえば「Night Vision」である。高校生のときにその歌詞の静謐さに鳥肌が立つほど感動して以来ずっと聴いている。



Night Vision/夜の幻

昼には感謝 夜はご注意を
世界の半分は優しくて
あとの半分は怖い

暗闇があなたを連れ去り
彼女の手があなたの顔を覆っても
簡単にあきらめないで
彼女が消してしまったものを探して

線を見つけて 形を探して 粒子の中から
形の輪郭を見つけたら それらの名前がわかるはず

テーブル、ギター、空っぽのグラス
昼の光が消えるとそれらは混ざり合ってしまう
 
線を見つけて 形を探して 粒子の中から
形の輪郭を見つけたら それらの名前がわかるはず

さあ、あなたが眠りに落ちるのをここで見ているわ
シーツの上で丸くなるのを見ているわ
唇が開いて まぶたが閉じる なんの不安もなく
 
光のなかで あなたを守ってあげる
だけどわたしが教えてあげられるのはこれだけ
夜の幻
夜の幻


Posted by monolog at 08:35│Comments(0)TrackBack(0)

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