月曜日にも関わらずたくさんのお客さん。第一部は陽馬さんとのトーク。僕は初めて観にいった映画のこととか、甘酸っぱい思い出も含めて赤裸々な告白を。生涯ナンバーワン映画である「ダンス・ウィズ・ウルブズ」については多くを語りすぎてしまう。映画と音楽の結びつきについて初めて印象に残ったもののひとつとして映画「バグダッド・カフェ」のなかの「Calling You」という曲をかけましたが、これはライブのMCでも話したことがあるのだけど「home sweet home」のなかに出てくる「I'm calling you いつか観た映画の風景をまぶたに重ねて」というフレーズの元になっている曲。僕は家路への暗い暗い夜道をバグダッド・カフェの荒涼としたラスベガス近郊の砂漠と重ねていたのです。
第二部のライブ。僕がこれまでの15年(+α)で書いてきた歌詞アーカイブスに「映画」という言葉で検索をかけてヒットした曲を全部歌うというセットリスト。まずは「blue moon skyline」の「憧れた映画の風景を思い描いて駅へ急ぐ」、これは「イージーライダー」の風景を想定。「シネマ」は木曜日の映画館から始まる物語。そして、「恋はワイルドシング」は大学時代に後輩の女の子バンドのために書いた曲(BMGから再発された『down the river to the sea』にデモが収録された)で、僕はプロデューサーを気取ってそのバンドに「Death Angels」という悪趣味な名前まで付けたのを思い出した。とてもかわいい曲で「映画館」が登場し、アウトロに映画「明日に向かって撃て!」のなかの「雨にぬれても」のメロディを引用している。今までもこれからも演奏することはないかもしれない。震災後からまた頻繁に歌うようになった「世紀末のコロンブス」には「初めて君と出かけた映画のフィクションが預言書のよう」と世界の終わりにつぶやく家族の姿。
このイベントはカバー選曲も楽しい。「(500)日のサマー」でトムとサマーが恋に落ちるきっかけになったThe Smithsの「There is the Light that Never Goes Out」、初めて人前で歌った、大好きな曲。フィッシュマンズの「My Life」は映画「人のセックスを笑うな」のなかでMariMariがカバーした曲。奇しくも今週15日は佐藤伸治さんが亡くなって15年。僕が映像制作の仕事をしていた頃にうちの事務所にあがた森魚さん(「人セク」でも味のある演技)が作業しにきて僕が編集機材の操作を教えたという逸話からあがたさんが制作した「僕は天使ぢゃないよ」のなかの「それはぼくぢゃないよ」を。大瀧詠一さんの名曲。震災から3年、思いを込めて「home sweet home」と「悲しみのかけら」、最後は冬に別れを告げるために「tsubomi」を歌いました。