2014年06月25日

昨日のこと/太った猫の話



昨日のこと、朝からたまプラーザで撮影。ずいぶん前から決まっていたスケジュールで、日程の変更を気遣うメールもいただいたのだけど予定通りに(持っていくべきものをカバンごと忘れたり散々でしたが)。現場へ向かう車の中で聴いていたラジオ、インターFMの「バラカンモーニング」で今週代打パーソナリティの萩原健太さんが愛猫ポチのために捧げる歌を流してくれた。KINKSの「Phenomenal Cat」、湿っぽくならないようにと選曲。フルートが踊り、猫の声のようなコーラスが歌う可愛い歌でした。ポチが具合が悪い日々、夜寝ないで付き添って背中を撫でて夜が明けて、朝7時にバラカン・モーニングが始まるとその滋養ある音楽の選曲にほっとして少しだけ眠れていたので感謝の言葉とともにメールを送っていたのでした。

撮影現場では「苦悩が滲み出てるのをそのまま撮りましょうよ」ということになって、信頼する気の置けない仲間うちでの作業だったので無理に笑ったりしなくてよくて助かった。つつがなく撮影は終了しアメリカン・ダイナーでみんなで美味しいランチを食べました。モノクロのフィルムで撮ってもらうのは多分初めてなので、仕上がりが楽しみだ。お昼から渋谷をぶらぶら。気が付くとぼんやりしてしまっている時間が多いから大好きなレコード屋さんに行けば気が紛れるかな?とポチがいなくなってから初めてのレコードハンティング。ポチを看病している2週間、そして亡くなってからもずっと音楽を流していましたがどうしても聴ける音楽は限られてきて、R.E.M.の『Unplugged 1991-2001』がずっと流れて、Conor Oberstの新譜も胸に静かに染みて、そして思い出したようにターンテーブルに乗せてその声と言葉に癒やされたのがポール・サイモンのベスト盤でした。

アトラクションショーのような雹まじりの雷雨のなか帰宅。雨が上がった夕方にお世話になった動物病院の先生やスタッフの皆さんに改めて挨拶に。ポチは院長先生が学会で不在のときに急変して逝ってしまった。庭のある新しい家に越してきた2011年からずっと看てもらった先生の顔は僕にダライ・ラマ法王を思わせる。だからいつも先生に会うと心が落ち着いて救われた。とても厳しい先生で楽観的なことはあまり言ってくれなかったけど、昨日の診察室での先生はとても優しくて寛大でその言葉は僕の胸のなかの固まりを少し溶かしてくれました。「ポチは美味しいものを好きなだけ食べて甘やかされて何も我慢しないで最後までこんなにふっくら太って、腎臓の寿命を全部使いきって逝ったんだから幸せな一生だったよ」と。先生にお礼に、と「ひなたのねこ」と『緑の時代』を渡すと「あなた音楽やってんのか。うちにはたくさん音楽家の猫が来るよ」と世界的に著名な猫好き音楽家の名前がいくつも出てきてびっくりして、その系譜に入れたことに誇らしく思った。先生にねだられて猫の絵とサインを描いて、看護婦さんたちも「これポチちゃんですか?可愛いですね!」と集まってくれて、ポチはここでも好かれていたなーと嬉しくなりました。

そして夜になって、買ってきたKINKSの『Village Green Preservation Society』(“GREEN”繋がりだ)を聴いた。僕は『ローラ対パワーマン』というアルバムが大好きなのだけど、初めてちゃんと聴いたこのアルバムも素晴らしかった。健太さんがポチのために選曲してくれた「Phenomenal Cat」にはこんな歌詞が歌われていた。朝からの一日の出来事を思って言葉にならないようないろいろな感情がうずまきました。いつまでも未練たっぷりにネコネコ言って申し訳ありませんがこれまでの自分の生活の8割くらいが猫ありきなものだったのでどうかご容赦ください。たくさんのメール、メッセージ、お花、お気持ちに個別にお返事できなくてすみません。もう少し待っててください。週末の京都と加古川にはポチも連れていきます。



Phenomenal Cat/The Kinks

猫が住んでいた。驚異的な猫が。
一日じゅうごろごろ転げまわるのが好きで
満足気に樹の下にすわるその猫を
だれも邪魔をすることはできなかった。
食べるのが生きがいでいつも太っていたし
その姿のままでいるのが猫の望みだった。

大きくて太った猫だったけれども
世界はすべて猫にとっていい場所だった。
地図を眺めて猫は行ったことのある場所を指さした。
カールスバッド、インド、カトマンドゥ、シドニー諸島にハイファに…


Posted by monolog at 08:29│Comments(2)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
タイトルだけ見て、「太った猫」は健太さんの事を指しているのかと・・・(^^;

Kinksの歌詞にある猫のように、ポチちゃんはこれから先ずっと、山田くんと一緒に色々なところに行くのでしょうね。
Posted by りーな at 2014年06月25日 10:15
いつまでも未練たっぷりにネコネコ言っててもいいですよー。
今の瞬間の大切なお気持ちを、いっぱい言葉にしてネコネコと聞かせてください。
山田さんとぽっちゃんを愛する人たち皆さんが、丸ごと受け止めたいと思っているのですから。
Posted by haru&michael at 2014年06月25日 12:07