





昨日は一日陰鬱とした天気で気分も優れず。何もない日とはまさにこういう日のことを言うのだなと思いながら、開け放った窓から入り込んできた風が騒がしくもう一方の窓から駆け抜けてゆくのをぼーっと眺めて「つまらない。面白くない。ああ、まずいなあ、この感じ」と思いつつも、ただひたすら時間が過ぎるのを待つような時間だった。明けて今日は抜けるような台風一過の青空。焼けるように熱い日差し。庭の紫陽花もどんどん立ち枯れていって、季節が変わる節目を迎えています。
ここ数週間で読んだ猫についての本を紹介します。以前紹介した山下洋輔さんの「猫返し神社」はお世話になった動物病院の先生の口から名前が出なかったら出会わなかった本。猫返し神社に実際出かけることもなかっただろう。下村しのぶさんの「おばあちゃん猫との静かな日々」を改めて読み返して、先日は直接会ってお話もさせていただいた。この本は現在WEBショップなどで売り切れていて購入しづらくなっているのですが「ひなたのねこ」展で販売させていただくことになりました。下村さんがおっしゃるには中高年、老齢の方にたくさん読まれているらしく「自分、あるいは介護中の親の姿を照枝さんに重ねているのかなあ」と。その「ひなたのねこ」展でもご一緒する木下綾乃さんの「ねこをもらったよ」も素晴らしい絵本。推薦コメントにも書かせてもらったが5月にこの本の内容を読ませてもらった後、まだ元気だったポチのおなかに顔をうずめにいった。そうしたくなるような内容。
数々のエッセイが載っていてガイド本としても有益なのは2010年に出たユリイカ特集「猫ーこの愛らしくも不可思議な隣人」。このなかの荒木経惟さんのチロについてのエッセイには感動させられた。この本のなかで“読むべき猫マンガ”として紹介されていたのは須藤真澄著「長い長いさんぽ」、普段まったく漫画を読まない僕だが「これは読んだほうがいい」とピンときてすぐ注文。共通すること共感することがたくさん。この漫画家さんはこの本を書かなければ前へ進めなかったのだろうな。そして今は久しぶりに大島弓子の「綿の国星」(これも数少ない愛読漫画)を読み返して、ポチがどんな気持ちで暮らしていたかを想像したりしています。
猫沢エミさんというミュージシャン/文筆家がいて、僕はそれこそデビュー前の映像制作会社勤務AD時代からその存在を知っている(僕がADを担当したコロムビア/TRIADレーベル提供の「beats are alright」という番組のMCを務めていたのが彼女でした)、15年前の初夏には渋谷クアトロで対バンしたこともありましたが、今年になって猫がきっかけで再び繋がりなおしたところでした。猫沢さんからも心尽くしのお悔やみの言葉をいただき、何度ものやりとりのなかで「山田さんはまだ読まないほうがいいけど…」と紹介されていた彼女の著書「猫と生きる。」という本を本屋で見つけたので、その言葉を振り切って購入、その日のうちに読み終えました。途中で読むのをやめることができないようなすごい本でした。猫と人間の関係、愛、運命というのはものすごいものだ。そして猫は人と人を繋ぐ生き物だということにここ数週間で気付かされました。
招き猫とはよく言ったものだな。