2014年07月25日

真夜中のドライブイン経由、僕たちの旅(2014年7月24日 @ 吉祥寺スターパインズカフェ)



昨日のこと、お昼すぎから吉祥寺のリハーサルスタジオで高橋徹也さんと待ち合わせて1時間の練習。ボーカリスト同士が膝を突き合わせてお互いの曲を交換しあうという、なかなか新鮮な風景。僕は大好きな歌を高いキーに四苦八苦しながら、タカテツさんは僕の歌いクセのある言葉を一語一句確認するようにアレンジしたり歌い分けを決めたりしながら特訓。15時半には会場のスターパインズカフェへ。

本番前のリハーサルをして地上ヘあがると(スターパインズカフェは地下二階建てなのだ)唖然とするほどの雷と雨。レコード屋とか本屋とかふらふらと散歩するつもりだったのに一歩も外へ踏み出せず。結局僕は15時半からずっと吉祥寺の赤と青の黄色のライトが照らす洞窟の中にいた。足元の悪いなかご来場いただいた皆さんにただただ感謝。「山田さん、物販のグッズでTシャツはありますか?」と問われ、見ると雨でずぶ濡れた女性が着替えを欲しているという。こういう出会いもあるのだな。GREEN Tシャツを買ったあの人が僕の音楽も好きになってくれていたら嬉しいな。

雷の轟はやまないまま雨にたたられて出足のにぶった会場でしたが全国どこへ行っても噂を聞く樽木栄一郎くんとロッカー然とした佇まいが印象的な龍之介さん、それぞれに個性的な歌を聴かせていた。高橋徹也さんのステージも独特の緊張感。この人の歌のどこに自分は惹かれるのだろうか、と考えてみたが自分との個性の差異ゆえか。言葉のチョイス、メロディの行きつく先が僕ならそこへはいかないな、という地点へ着地するのが面白い。

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2014年7月24日 @ 吉祥寺 スターパインズカフェ
“結局は、とてもシンプル。”


1.平凡な毎日の暮らし
2.一角獣と新しいホライズン
3.夏の日の幻
4.スティーブン・ダフィ的スクラップ・ブック
5.down the river to the sea
6.high tide
7.日向の猫

8.僕たちの旅〜自己嫌悪'97(w/ 高橋徹也)
9.真夜中のドライブイン(w/ 高橋徹也)


2011年の大震災の前に書いた「平凡な毎日の暮らし」は震災を境に自分のなかで意味を変えて鳴るようになったのだけど、2014年6月の愛猫ポチの旅立ちを経てまた違う意味を湛えるようになった。「夢よ醒めないで」「もう手に負えないや」と歌うときに声と気持ちがシンクロした。あれから一ヶ月以上が過ぎて僕の心の根底には“悲しい/寂しい”という感情が沈殿しているわけだが、友だちに会えば笑って話すし、録りためていたドラマ「THE WALKING DEAD」をドキドキしながら見る。美味しいものを食べたら感動するし、真夜中にはまたポチの不在に打ちのめされてめそめそ泣いたりする。まさにそういう行ったり来たりする気分を“僕は悲しいんだ/元気なだけで”と綴った「スティーブン・ダフィ的スクラップ・ブック」が15年の時を経て自分のなかで再燃する感覚がとても不思議。「down the river to the sea」は学生時代に読んだマーク・トウェインを自分の故郷にあてはめて書いた歌。会場には9月に対バンするハックルベリー・フィンのサクちゃんとたけ兄も遊びにきてくれていて、そこもぼんやりとリンクした。『weekend』の曲をやらない代わりに「rain song ep」のカップリングを両方演奏しました。

高橋徹也さんとのセッションはまず僕の「僕たちの旅〜自己嫌悪'97」から。これはまさに1997年、映像制作会社AD時代に彼の「真夜中のドライブイン」のMVを撮った直後にその歌にインスパイアされて作った曲。「最初からわかってるのに」というフレーズの頭のメロディはタカテツさんの「ラジオからー」の引用である。この歌をタカテツさんはテンポを超スローにしてボッサ的爪弾きの歌にアレンジしてきて、めちゃめちゃ面白かった。インスパイア元に歌い直してもらう贅沢さ。僕も今度からこのバージョンでやってみようかと思う。そして僕からのリクエストで出会いの曲「真夜中のドライブイン」を。キーが非常に高い歌なので、自分の声域にアダプトしようかと思ったがタカテツさんの「自分、オリジナルキー厳格派なもんで」という名台詞が出て(1年前は「自分ストーンズ派なもんで」とビートルズ曲のセッションを拒否!)僕は本当なら出ないはずのキーで歌い上げました。会場には根っからビートルズ派の杉真理さんが遊びにきてくれていたんだけどそんなストーンズ派のタカテツさんを「彼のファルセットはキレイだねえ」と感心していらっしゃった。1997年、1999年、2014年。長くやっていると繋がり直したり出会い直したり、人生は面白いな。

ご来場いただいた皆さん、そして刺激的な時間をくれた高橋徹也さんに感謝。

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Posted by monolog at 10:54│Comments(0)TrackBack(0)

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