
今日はポチの六七日忌です。亡くなって6週間、“浄土”へ旅立つとされる四十九日まであと1週間になりました。最近いただいたお花が白中心の落ちついたものだったので、昨日黄色と紫、赤のパッとした花を買ってきて併せて並べたところでした。かつて10数年前、オフィシャルなリリースの陽の目を見なかった楽曲を集めてレコーディングして「SONG LIMBO」というCDRのシリーズをGOMES THE HITMANで発表したことがありましたが、この“LIMBO”というのが“この世”と“あの世”のあいだにある“辺土”のこと。ポチは今この“LIMBO”で遊んでいるということになるのでしょうか。
7週間かけて故人の生前の行いを審判して天国へ行くか地獄へ行くかの判決がくだされるらしいのですが、ポチは悪いことをひとつもしなかったので行き先は確実に幸せな天国のはずです。ポチに会った人がよく言うのは「ポチはいいやつだ」ということで、例えば留守中に猫シッターに来てくれた人がうちで寝落ちしてしまったときにポチは寝心地のいいソファの寝床ではなく、床の上のその人のそばで目が覚めるまで添い寝をしたらしい。「あたい仕方ないから添い寝してやっている」という雰囲気だったんだと。ポチをよく世話してくれたイトケンさんはポチのお通夜もお葬式も忙しい時間を割いて一緒につきあってくれたのですが「お手数かけてすみません」とお礼をして「おれ、ポチのこと大好きだから」と即答されたときに、ああ、ポチはホントに愛されてるなあと感動したのです。
今週末恵比寿での“夜の科学45”で販売する「MONOLOG vol.12」のためにポチについての長い文章を書いていたらやっぱりとめどなく涙が溢れてきて、ポチはきっとこの家のなかや庭をうろうろ気ままに漂っているはずなので何度も「ポチ、ぽっちゃん」と名前を呼びました。1ヶ月ちょっと経って今思うことは、また親バカだと笑われるかもしれませんが、ポチは本当に可愛い猫だったなあ…ということで、こんな可愛い猫と13年も一緒に暮らした自分がどれだけ幸せだったかということを思い知らされています。心にあいた大きな穴よ…と考えていたら頭のなかに流れてきたのはフィッシュマンズの「POKKA POKKA」という歌で、それと同時に思い出した、その歌の歌詞を著作名に引用した加藤典洋氏の評論集「ポッカリあいた心の穴を少しずつ埋めてゆくんだ」を読み返したくなって本棚のカオスのなかを指が探している午前中。こうやっていろいろな記憶の点と点は繋がって蘇ってゆくのです。