一昨日のことです。ペットサウンズレコード森陽馬さんとちょうど1年前くらいに始めた“月あかりのナイトリスニング”というトーク&ライブのイベントの5回目。3ヶ月に1度くらいのペースで平日の夜に開催してきたこの集いも回数を重ねるごとにお客さんの数が増えてきて、公開ラジオ番組のような楽しい感じが(オフレコな話も含めて)さらに増してきました。ついに“GOMES THE HITMAN”を俎上にあげて行われることになった“ナイトリスニング”、一昨日の夜もたくさんのご来場ありがとうございました。レアなPVなどの映像を流す予定だったのが訳あって叶わず、代わりに門外不出のカセットテープをいくつか披露。20年くらい前のGOMES THE HITMANの荒くれて未熟な音は皆さんの耳にどう響いたでしょうか。いつもはアナログのレコードをかけるところをカセットというさらに懐かしいメディアを再生できてよかった。今回も陽馬さん制作の丁寧なリーフレット、ファンのみんなが僕に聞きたいであろう質問を投げてくれて充実した会話が繰り広げられたような気がします。年内にもう一回このイベントをやって、流せなかった映像なども公開する機会が作れればと思っています。
ライブは当然GOMES THE HITMANの楽曲を。歌詞に「秋」が出てくる曲を演奏。「アップダイク追記」「遅れてきた青春」「夕暮れ田舎町」(「お別れの手紙」にも出てくるのですがこれは夏に何度も歌ったので割愛)、そして未発表楽曲の「hello hello」という曲には“秋のコスモス畑がひと休み”というフレーズが。久しぶりに歌ってみて、この歌はその後の「ハミングバード」に昇華した歌だとひとり納得。GTHがコピーバンド時代に演奏していたメキシコ70というイギリスのバンドの「Drug is the Love」には「僕たちの旅〜自己嫌悪'97」のメロディがちらほら。そしてこの日リリースからちょうど21周年の小沢健二『犬は吠えるがキャラバンは進む』から学生時代にコピーした「カウボーイ疾走」を。このアルバムに出会わなければ今の自分はないのです。そしてこの日遊びにきてくださっていた大先輩シンガーソングライターの村田和人さん飛び入り。
村田さんには1999年の「new atlas ep」楽曲でのコーラスアレンジ、そして2000年「緑の車」でのプロデュース以来ずっとお世話になっている。僕にとってレコーディングへの苦手意識を快方へ向かわせてくれた恩人だ。今年出た村田さんのニューアルバム『ピーカン』に僕は1曲歌詞を書かせていただいたが、村田さんが求めたものと僕の資質がうまくマッチした素晴らしい楽曲になったと思います。「言葉数が多いメロディに作詞家は“その”とか“あの”とか指示代名詞を多用しがちなんだけど山田くんはそういうふうには書かなかった!」というお言葉に「は!ホントだ!」と驚きました(「あの」「その」を使わないのは常に自分のなかの詩作のルールなのだけど村田さんの歌にもそういう詩を書けてよかった)。その「Brand New Day, Brand New Song」を僕のキーで演奏、村田さんには力強いコーラスをつけていただいた。山下達郎さんのライブをずっとコーラスで支えてきた村田さんにハーモニーを添えてもらうのはとても胸が高鳴る思いでした。
もう一曲、「緑の車」をセッション。いつもよりかなり熱い感じの演奏だったのではないでしょうか。この歌は学生時代からのレパートリーで、目をつぶってでも演奏できるくらい何度も繰り返した曲だったのを2000年にCDにするにあたってアレンジ含めてすべてを村田さんにお任せした曲でした。爽やかで軽やかな歌がレコーディングを経てカリフォルニアから南下してメキシコの風合いさえ漂ったときには感動したものです。ライブの最後は“秋”に限らずすべての季節が歌詞のなかに登場する「ねじを巻く」で締めくくり。10月のGOMES THE HITMAN月間への僕の所信表明というところでしょうか。そう、7年間止めていた時計のねじを巻くのです。遠く離れた友たち、しばらく音沙汰のない知人、時の流れがまた動き出してつながっていけばいいな、と願いつつ。
Posted by monolog at 10:46│
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