2015年06月11日

些細なことのように(山田稔明『the loved one』全曲解説4)

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「些細なことのように」は2010年の夏に書いて9月にステージで初演した歌。『新しい青の時代』に収録された「光と水の新しい関係」や「平凡な毎日の暮らし」と同じ時期に書かれたということになる。当然『新しい青の時代』収録候補曲だったのが、「なんだかしっくりしない」という漠然とした理由で外されたのだった。この曲を歌うと感動の波が客席から寄せてくるのも知っていたし、大きなテーマを持った大切な曲だということもわかっていたが、この歌を自分のものにするのに東日本大震災とポチの旅立ちを経験することが必要だった。大きなテーマがとても身近なものに変わり、そしてまた大きな愛の歌になったような気がします。

「月あかりのナイトスイミング」「日向の猫」でも手腕を発揮してくれた佐々木真里さんにアレンジを依頼。エンジニア手塚さんが提案したサウンドサンプルはランディ・ニューマンの「Every Time It Rains」だった。スタジオでのセッションでピアノ、アコギ、エレキ、ベース、ドラムのベーシックトラックを録音し、安宅くんのペダルスティールが泣き、僕のブルースハープがため息を吐く。真里さんの施したストリングスはさざめきのようにせり上がってきて、ピアノは優しく語りかける言葉のよう。sugarbeansくんのドラムとエビちゃんのベースはあくまで淡々と鼓動を刻む。完成するまでに5年かかった。もうこれ以外にない、というシンプルで完璧な歌になりました。

下の写真は1年前の今日のポチの顔。病院の診察台の上で、「ポチちゃんは騒がず暴れず、本当にえらい猫ですね」と言われているところ。僕は何もかもずっと憶えてる。





yamada_the loved one_S 山田稔明/the loved one
 2015年6月19日発売(全国流通開始7月7日)
 GTHC-0007 定価2000円(税別)

 1.my favorite things
 2.太陽と満月
 3.ポチの子守唄
 4.些細なことのように
 5.small good things
 6.猫町オーケストラ(album mix)

 『the loved one』プレオーダーはこちらから。

Posted by monolog at 13:06│Comments(0)TrackBack(0)

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