あの夜からちょうど1年が経った。去年の今日、日付が変わったばかりの午前1時前頃、もうすでに窓の隙間から入り込んでうちのリビングで遊ぶようになっていたポチ実を、両手でガシッと捕まえてケージに入れて、覚悟を決めて窓を閉めた。それまで自由奔放に世界を行き来した野良猫ポチ実は「山田ポチ実」になったのだ。「猫に九生あり」といいますが、9月9日と9が並ぶ、満月の日でした。自分が捕らわれたことに気付いたポチ実のパニックと反抗はものすごかった。ケージにシーツをかぶせてその夜を過ごし、朝が来て初めて撮った写真が上のもの(しばらくトイレのなかで座り込んで過ごした)。その目には不安とか悲しみとか絶望とかいろんな表情が見いだせる。それでも数日でポチ実は僕にも家にも慣れて、1週間経つ頃には楽しそうに駆けまわり、幸せの風が吹いたのでした。
2キロちょっとだったポチ実は1年経って経って5キロ(!)に。来客があっても昔みたいに気配を消したりせずにそろそろと様子を伺って姿を現すようになった。僕はポチのことを「日本で一番か二番目に可愛い猫」と紹介するのが常だったが、ポチ実もその「日本で一番か二番目」のどちらかになった。今でもポチ実の後ろ姿や伸びて寝ている背中にポチを感じることがある。パッと目覚めて躍動する姿は若々しいポチ実そのものだ。僕は一匹の猫の中にふたつの魂を感じているのかもしれません。健やかに長生きしますように。ハッピーアニバーサリー。
1年前の9月のはじめは日がな庭に出て猫とのかけひきをやっていたから雨が少なかったのだな、と思い出している。早く快適な秋の季節がやってくるのを猫と一緒に窓際でずっと雨が続く灰色の空をうらめしく見上げながら願っているところだ。5thシーズンはこれで終わり。次からは6つ目の季節。