2016年01月24日

GOMES THE HITMAN「饒舌スタッカート」リリースから本日で15周年

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15年前の2001年1月24日はGOMES THE HITMANのシングル「饒舌スタッカート」が発売された日です。今日でちょうど15周年となりました。「饒舌スタッカート」「拍手手拍子」「ねじを巻く」と3曲収録されたうち「拍手手拍子」はフジテレビ系『世界超密着TV!ワレワレハ地球人ダ!!』というバラエティ番組のテーマ曲になり、「饒舌スタッカート」も後を継ぎました。この番組はバカバカしくて面白くて毎週放送を楽しみにしていました。「ねじを巻く」はNHK-FM『ライブビート』のエンディング曲に長く使われていた記憶があります。全国のFM局でも数えきれないほどのパワープレイを獲得、TOKYO FMでたくさん流れて感動したことを憶えています。

そもそも「饒舌スタッカート」を僕は “ボ・ガンボスの「魚ごっこ」をガレージサウンドで超高速で演奏する”というコンセプトで書いた。印象的なイントロのギターリフから時間軸に沿って順番にできた。「拍手手拍子」は『cobblestone』でお世話になった斎藤誠さんのライブで「ギターマンの純情」という曲を聴いて、みんなでラララと歌える曲を作りたいと思って作った、みんなのための歌。「ねじを巻く」は1998年以来隠遁していた小沢健二氏へのオマージュ、ボサノバのギター教則本を見ながら書いた曲。

このCDは小説『猫と五つ目の季節』のなかでも描かれているように僕らの試金石になるべく望まれた、バンドの未来を占う作品でした。売れなくてはいけないCDだったということです。「饒舌スタッカート」はスピッツを手がけた笹路正徳氏にプロデュースを依頼、「拍手手拍子」「ねじを巻く」はルースターズ、ブルートニックとレジェンダリーなバンドを経て、僕の人生を変えたレコード『犬は吠えるがキャラバンは進む』でベースを弾いた井上富雄さんと作り上げた。「饒舌スタッカート」でエレキギターを弾いているのは現ソウル・フラワー・ユニオンの高木克さん。レコーディングのすべてのシーンが貴重な体験だったし、これまで作ったどの作品よりも強度のある作品になった手応えがありました。それまで頑なに拒んでいたインストゥルメンタル(カラオケ)トラックの収録を決意したのはみんなで楽しくシンガロングしてほしいと思ったから。最終工程のマスタリング作業はロスアンゼルスで敢行された。エンジニアのEddy Schreyer氏は僕の無人島ディスクの1枚であるJane's Addiction『Ritual De Lo Habitual』を手がけた人。できあがったばかりのマスターCDを聴きながらヴェンチュラ・ブルーバードを走ったことを今でも忘れない。

葉山の斎門富士男邸で行われたCDジャケット撮影で僕は運命の猫ポチと出会う。深い青を背景に猫を抱いた僕の姿(僕の写真がジャケット表紙に使われたのもこれが初めてだった)を見たときに、これが自分にとって何かの機転となる1枚になると思った。CD帯には僕が描いた猫の絵、「ニャンだそんなことか!」と吹き出しのセリフ。「饒舌【じょうぜつ】おしゃべり。口数の多いこと。スタッカート【staccato】一つ一つの音を勢いよく短く切って演奏すること」と記載されたのは“饒舌スタッカート”というタイトルが音の響き、字面ともに難しすぎるのでは、という懸念を補足するためでした。僕はこの曲のおかげで今でもスラスラと「饒舌」と漢字で書くことができます。

このCDの発売日を機にドラマー高森哲也が脱退(彼の最後の仕事はPV撮影だった)、僕らは4人組となり、これからどうなるのか期待と不安の只中にいました。当時のスタッフの皆さんには本当にお世話になって、今でもよくしてもらっている。なんだかんだと解散せずに4人で演奏できている僕らは幸せなバンドだな、と思う。いろんなことがあったから「なんだ、まだ15年しか経っていないのか」というのも正直なところ。「饒舌スタッカート」という曲は一生懸命に身体を使って息を大きく吸って演奏する曲で、今でもステージでプレイすると息が上がってしまう。余裕しゃくしゃくとか熟練という言葉とは程遠い。次に演奏するときもハアハア肩で息をしながら歌い奏でるのだ、僕らは。


iTuneでの購入はこちら、Apple MusicやLINE MUSICなどのサブスクリプションサービスでもお聴きいただけます。だれかが勝手にアップロードしたカラオケトラックがこちらにあるので歌ってみてください。

15周年、ありがとうございます。

Posted by monolog at 13:01│Comments(1)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
15周年、おめでとうございます!
まだソロアルバム何周か聴き終えたところなのに、15年前の曲からの聴き込みを始めて大丈夫なの?と自問自答しています。
とにかくカラオケ含め4曲購入しておきました。先は遥かに長く、これは決して追いつけない!でも楽しみが続くのは良いことです。(^・^)
「饒舌スタッカート」を聴いて、歌い方や声があまり変わっていないことにびっくりしました。
それだけ歌い方が出来上がっていたということでしょうか…(*'▽')

Posted by motokoishita at 2016年01月24日 14:28