1週間前の今日のこと。まだあれから7日しか経っていないのか、というほど慌ただしい大型連休ですが、風知空知での『猫町ラプソディ』刊行記念ライブ第二弾を振り返りたいと思います。そんなに広くない風知空知のステージに5人(+シークレットゲスト)が乗るのはなかなか大変でその配置決めのために四苦八苦。しかし身を寄せ合ってぐるっと半円を組むようなフォーメーションはリハーサルスタジオ、あるいは部室の感覚に近く、背後の本棚等も相俟ってなんだかとても落ち着く感じになりました。演奏もしやすかったな。これまでは弾き語りとデュオ編成でしか歌ったことがなかったけれど、風知空知での合奏もいいな、と思いました。夕暮れの日差しのなかでのリハーサルは本番同様に和やかで多幸感溢れる時間でした。
この日も満員御礼、立ち見になった方ごめんなさい。イトケンさん、安宅くん、五十嵐くん、上野くんと僕のクインテット編成。五十嵐くんはこのところの定位置、ベースを担当してくれましたが、それ以外の4人は“kickingbirds”という名前で2007年から音を重ねた仲(五十嵐くんもその後すぐ加わります)。言わば僕のソロ活動の超初期から支えてくれている恩人。その頃のブログを読み返してみると個人的にはかなりタフで鬱屈した時代だったことを思い出し、そのメンバーで10年経っても音を鳴らせていることが嬉しいなと思いました。なのでこの日の演奏は10年総まとめ的なテーマがありました。
ライブは「どこへ向かうか」で始まります。音がひとつずつ重なっていく象徴的な歌。最新アルバムからの「calendar song」を2曲目に置くことでその10年の歴史の長さを演出。「光と水の新しい関係」も音源化されるずっと前からバンドで何度も演奏した曲。そして始まりの曲とも言える「home sweet home」「glenville」はなんだかスタンダードな響きがあったなあ。「予感」では安宅くんのクラリネットと上野くんのフルートが織りなすつづれおり、しみじみと感動しながら歌っていました。
ちょうど展示期間と重なったキチレコのために作った『INOKASHIRA』から「my favorite badge」、独りで作った歌をみんなで演奏するときの楽しさったら、ない。これから先の未来にリリースされるであろう「吉祥寺ラプソディ」と「小さな巣をつくるように暮らすこと」も恵比寿での編成とはまた一味違う風合いの演奏になりました。そしてサプライズゲストとして近藤研二さんをステージに呼び込むと客席からは小さな悲鳴があがっていました。前回の風知空知のときはシークレットのつもりが看板に名前を書かれてしまうという失敗があったので、今回はちゃんと驚いてもらえてよかった。近藤さんの存在も『猫町ラプソディ』には欠かせません。『猫町ラプソディ』収録のために書きはじめた近藤さんとの交流についてエッセイは未完のまま僕のコンピュータのなか。モイの病気がわかって中断していますが、モイが良くなったら書きあげて『猫町ラプソディ2』に載せましょう。
近藤さんにタンバリンを託して「my favorite things」、そしてギターを手にしてから二人で「第2の人生」。そして2年ぶりにバンド編成での「ポチの子守唄」を演奏しました。染みた。ポチのことも、紫陽花の季節のことも、あの猫のこともこの猫のことも、そしてあの人のこともこの人のことも思い浮かんだ。音楽はタイムマシンだな。そして「日向の猫」では会場全体がコーラスの響き。猫との暮らしのなかで作られた歌がみんなの歌になるのはとても嬉しいこと。この日のハイライトだったと思います。
本編最後は「hanalee」。もうこれはソロの最初からずっと演奏している曲。上野くんの鍵盤ハーモニカ、安宅くんのマンドリン、僕のギターと歌、それらを支えるイトケンさんと五十嵐くんのリズム。魔法の竜ではなく魔法の猫が見下ろしていたかもしれない。アンコールの「太陽と満月」では手拍子が響き、「ハミングバード」で大団円を迎えました。隅から隅まで楽しい2時間半、集まってくれたお客さん、友人たち、録音担当してくれた鈴木くん、関係者みんな、そして風知空知のスタッフ陣の優しさに心から感謝を。素晴らしい音楽人たちに支えられているなあと思った4月でした。イトケンさん、安宅くん、五十嵐くん、上野くん、近藤さん、そして真里さんにえびちゃんに綾香、ありがとうございました。
打ち上げ、日付が変わったら安宅くんの誕生日。みんなで祝えてよかった。これからもみんなよろしくお願いします。