2017年12月06日

ポエトリーリーディング & LIVE(2017年12月3日 @ 大阪 スタンダードブックストア心斎橋 カフェ)【ライブ後記】



先週末、日曜日の話。普段ならチャッツワースで遅めの朝食をいただくところを、早朝に加古川を発って11時に心斎橋入り。青空と紅葉が目に鮮やかで気持ちがいい。急遽開催が決まったスタンダードブックストア心斎橋でのポエトリーリーディングのイベントは、その実どんなふうに何を話して、どのように進行するかといった内容がなにも決まっていないぶっつけ本番のイベントだったので、不安と緊張が大きかった。しかしお店について中川和彦さん(社長)のニコニコ顔を見たら大丈夫だと思った。僕が訪れるたびになぜかビートニクや詩の話で盛り上がるので、「とにかくやってみようや」という中川さんの一声で企画されたこの日のイベントは「詩を書く」ことではなく「詩を読む=朗読する」ことにフォーカスしたものとなりました。

たくさんの人が得体の知れないこのイベントに参加してくれた。まずそのことが嬉しくて心強かった。今回のキーワードは映画『パターソン』とウィリアム・カーロス・ウィリアムズ、そして副読本は谷川俊太郎『詩ってなんだろう』。僕にとって初めて“詩”を意識したのは、自作の詩が新聞に掲載された小学生のころ。掲載紙も詩そのもののことも断片的にしか憶えていないのだけど、とにかくまず頭の片隅に少しだけ残るかけらを集めて書いた「夜のカーテン」という歌の歌詞を朗読してみた。歌詞を声に出して読むことでそれが詩になっていくのだろうか、という実験。さらに中川さんに無理強いして「blue moon skyline」を朗読してもらった。紙に書かれた言葉、それを関西弁のイントネーションが読み上げていくときに思い込んでいた情景や物語が変容していく感じが面白かった。

次にトライしたのがご来場のお客さんに朗読してもらうという無茶振り。しかし果敢にも我こそはと手があがる。「予感」を読んでくれた人は感情豊かでよかった。次は男性に、という流れで僕が指名した彼も朴訥とした口調が素晴らしかった「言葉の海に声を沈めて」。谷川俊太郎さんの本を読んでくれた人、アクロスティックという言葉遊び(あいうえお作文のようなもの)を説明する詩だったのでちょっと難しかったのだけど、それをヒントに僕が取扱説明書を朗読するという飛び道具で会場が沸いた。トリセツを感情豊かに読むと朗読というものが面白可笑しく、ぐっと自分のほうに近づいてくる感覚があった。

中川さんが谷川俊太郎の「足し算と引き算」を朗読したことに呼応して、僕が「小さな巣をつくるように暮らすこと」を歌った。2コーラス目の一節をメロディから離れて朗読してみたらこれも新しい気付きがあって面白い。詩を考えるときにはやはり永井宏さんのことが浮かんで、永井さんの詩で「アイスクリームマン」と「くよくよするなよ」を歌うころには予定時間の2時間を過ぎようとしていました。ポエトリーリーディングという少し難しく堅苦しいテーマなのに笑いの絶えない時間が過ごせたのは、いつも以上に耐え難き僕の饒舌を中川さんが上手に手綱をとってくれたからだと思います。こんなに楽しい会になるとは予想以上だった。次回はみんながそれぞれの読みたい言葉を持って集まろう、という約束をしてお昼のポエトリーリーディング集会は終了しました。個人的には言葉について小さな革命が起きた日でした。また春に。

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Posted by monolog at 23:01│Comments(0)