
9月は「harvest moon」、実りの月。自分の名前の漢字を使って「稔りの季節」だと言うこともできる。10日前の9月2日は初めてうちの庭に野良の仔猫ポチ実(当然そのときまだ名前はなかった)が現れた記念日だった。上の写真は僕が慌てて撮った、初めてのポチ実の写真、うそみたいな、妖精さんみたいな姿。それは2014年、ポチが亡くなって2ヶ月半後のことでした。それまでの寂しく色褪せたモノクロームの風景が総天然色に塗り替わるような出来事だったのでとても大切な日であるわけだけど、僕はGOMES THE HITMANのツアーファイナルの翌日でよれよれフラフラの二日酔い状態だったこともあり、お昼を過ぎたあたりで「わ!やべ、今日チミ猫記念日やんか!」と気づいた始末で、ポチ実もシラーっと僕を素通りしていく。
それにしても、4年前の9月頭の1週間は奇跡みたいな美しい時間で、たくさんの写真が残っていていろんなことを思い出す。ポチに供えるためのフードがたくさんあったから、すぐお皿にあげてまず彼女の胃袋をつかみ、遊び盛りの仔猫の本能に訴えるべく猫じゃらしで一日中遊んだ。縞三毛の模様がポチにそっくりだから「ポチ似」と呼び、それがポチミと変化し、横腹にリスみたいな模様があるから木の実の「実」がいいと思って「ポチ実」にしたが、それは稔という文字と同じ意味を持っていたし、冒頭にも書いたように9月は実りの月なのだ。
野良猫ポチ実をついにがしっと捕まえて家に入れて “うちの子” にしたのは日付が変わった9月9日だったからその日もポチ実記念日なのだけど、今年の9月9日になった瞬間僕はバリから成田へ向かう飛行機のなか、多分赤道の上あたりでグーグー眠っていたから「チミちゃん、うちの子になって4年、ほんとありがと!」と抱き寄せることはできなかった。4歳になったポチ実は元気すぎるほど元気で、気心しれた猫番さんのおかげで留守番も気丈にこなすようになったから僕は安心して旅に出ることができた。今日はうちの子になって4年と4日の記念日ということで、迷惑そうな顔で嫌がるのも構わず顔を擦り合わせて日頃の感謝をしようと思います。毎日毎日飽きることなく可愛くて面白くて、どうもありがとう。同じようにポチにもきれいな花束を。


