

昨日のこと、思い立って横横を海までドライブ。鎌倉カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュでのカジヒデキさんと堀江博久さんとの「東京湾ダービー」ライブへ。鎌倉に赴くのは4月モルンでのオズマガジンとトラベラーズファクトリーとのコラボライブ以来でしたがすっかり秋の空気になっていました。神奈川出身の堀江さんがこの日はホーム、千葉出身のカジさんがアウェイという設定でのダービーマッチ、リラックスして和やかなムードでライブが始まりました。カジさんの演奏を見るのって多分2010年夏に渋谷センター街にあったHMVが閉店するときのインストアパフォーマンス以来だ。その前は90年代後半の渋谷公会堂ライブだったか。
瑞々しい新作からの楽曲、その普遍のポップネスにため息が出る。爽やかさだけではない凄みを感じるのは高野寛さんにも通じるなと思った。堀江さんが加わっての演奏もやんちゃで勢いがあって、“カフェライブ”とか“アコースティックライブ”みたいな簡単な言葉からはみ出るような趣きがあって刺激を受けました。カジさんがアコギを弾くときにカポタストをしないで高いポジションまで力強くセーハしているのが印象的で、ロックの人なのだなと再確認。堀江さんとのコンビネーションも長い年月を経て培われた揺るぎないものに感じられました。
終演後、初めてきちんとカジさんに挨拶。7月にリリースしたGOMES THE HITMAN『SONG LIMBO』にカジさんに推薦コメントをお願いしてからしばらく時間が経ってしまったけれどお礼が言えて、CDを手渡しすることができて嬉しかった。最初に届いたコメント原稿には僕のことを「山田稔明さん」と丁寧に書いてくださっていたカジさんに「カジさんはポップスの先輩、僕は後輩だと思っているので『くん付け』で!」とお願いしたのです。「山田くんと呼ばせてもらいます。僕のこともカジくんでいいですよ」とお返事をいただいていたのだけど、本人を前にしたら呼べなかった…。カジさんは思ったとおりの、とても優しい素敵な方でした。次にお会いしたときは「カジクンさん」くらいまで頑張ってみたい、と思う。
1997年発表のカジさんのソロデビューアルバム『ミニスカート』はキーボードとパーカッションを擁するGOMES THE HITMANにとってアレンジの参考書のような作品でした(その頃僕らはインディーズ盤『in arppegio』『down the river to the sea』を作ってた)。それから20余年、休むことなくエバーグリーンなポップ・ミュージックを追求しつづける姿はキラキラと眩しく見えました。新作EP『秋のオリーブ』を聴きながら夜の第三京浜を走り東京へ戻る帰路のドライブ。表題曲「秋のオリーブ」の後奏が『SONG LIMBO』のなかの「虹とスニーカー」と共通する “Elephant Stone” 風味だったのでハンドルを握る手でリズムを取りながら。13年ぶりのGOMES THE HITMAN新録音盤『SONG LIMBO』、コメントをお願いするとしたらカジヒデキさん、と真っ先に思いついて、こうやって夏を越えて秋の入り口に立ってご本人に会えたことがとても嬉しい一日。
あらためて、素敵なコメントをありがとうございました!

解き放たれた四つの季節の歌たち
GOMES THE HITMAN『SONG LIMBO』
(GTHC-0013/2778円+税)
全12曲収録/2018年7月25日(水)発売
1.way back home
2.虹とスニーカー
3.晴れた日のアスリート
4.世紀末のコロンブス
5.晴れ男と雨女
6.黄昏・夕暮れ・夜明け
7.恋の見切り発車
8.桃色の雲
9.churchbell’s ringing
10.北の国から
11.スプリングフェア
12.山で暮らせば
実は近そうで、意外と遠い存在だった山田稔明くん。そしてGOMES THE HITMAN。
出会いのタイミングもあると思うのですが、たぶん昔の僕は「ネオ・アコースティック」と
呼ばれるようなアーティストに、少し意固地になっていたのかもしれません。
でも今、この素晴らし過ぎる音楽が、すーっと体の隅々まで染み込んできて、涙が溢れています。
山田くんの優しい歌声や言葉も、丁寧によく考えられたアレンジも、端正で素敵な演奏も、
すべてが愛おしく思える。しかもこの瑞々しさと言ったら!
20年余りの歳月を埋めることは出来ないけど、今から僕は真っさらな気持ちで
GOMES THE HITMANと一緒に新しい旅に出るんだ!そんな気持ちと感動です。
13年ぶりの新録盤の発売、本当におめでとうございます。アレ?これベスト盤じゃないの?!
いや〜、エバーグリーンなポップスって正にこのアルバムの事だと思います!
カジヒデキ