先日観た『ノマドランド』が2020年末のグレートコンジャンクションで訪れた「風の時代」の物語だとするならば『ミナリ』はかつての「土の時代」の記憶と記録。どちらもアメリカン・ドリームについてのお話だ。ここ数週間ずっとラナ・デル・レイについての原稿を書きながら考えたことと、この『ミナリ』も重なる部分があって興味深かった。時代と空間を移し替えた「北の国から」とも言えるなあと感じたのは、劇中に流れる音楽によるものかもしれない。妻役のハン・イェリが歌った子守唄のようで印象的だった歌は「Rain Song」というタイトルだった。
「ミナリ」とは韓国語で香味野菜のセリ(芹)、悪い土にもたくましく地に根を張るそうだ。映画を観た後に夕飯時前の人気のないお蕎麦屋さんに入ったら、偶然にも「せり蕎麦」という季節限定のメニューがあったので食べてみた。独特の苦味があるセリを溶き卵でとじた、とても体に良さそうで、体も温まって、美味しかった。
