2021年04月14日

ミナリ、土の時代

リー・アイザック・チョン監督作品『ミナリ』を観た。1987年レーガン時代にアメリカで夢を追う韓国の家族を描いたドラマ。最近買った「地図でスッと頭に入るアメリカ50州」という本のおかげで舞台となる町の地理的意味合いがスッと理解できるようになった。この映画では南部アーカンソー州、自然豊かな(つまり田舎の)バイブルベルトの信心深い町が舞台。主演のスティーヴン・ユァンは僕にとっては『THE WALKING DEAD』シリーズのグレンである。近未来でゾンビと戦っていたグレンがパラレルワールドで奮闘し苦悩し必死に畑を耕す姿をまた息を飲んで応援することになった。

先日観た『ノマドランド』が2020年末のグレートコンジャンクションで訪れた「風の時代」の物語だとするならば『ミナリ』はかつての「土の時代」の記憶と記録。どちらもアメリカン・ドリームについてのお話だ。ここ数週間ずっとラナ・デル・レイについての原稿を書きながら考えたことと、この『ミナリ』も重なる部分があって興味深かった。時代と空間を移し替えた「北の国から」とも言えるなあと感じたのは、劇中に流れる音楽によるものかもしれない。妻役のハン・イェリが歌った子守唄のようで印象的だった歌は「Rain Song」というタイトルだった。

「ミナリ」とは韓国語で香味野菜のセリ(芹)、悪い土にもたくましく地に根を張るそうだ。映画を観た後に夕飯時前の人気のないお蕎麦屋さんに入ったら、偶然にも「せり蕎麦」という季節限定のメニューがあったので食べてみた。独特の苦味があるセリを溶き卵でとじた、とても体に良さそうで、体も温まって、美味しかった。

minari


Posted by monolog at 23:22│Comments(0)